415話~いよいよ、オリンピックが近付いているんですね~
いつもご愛読いただき、ありがとうございます。
本話から新章となります。
「天上。今まで居た世界から、一つ上の世界での戦い」
雲の上の戦い。その序章となるお話です。
『セカンドタッチ!桜城13番!ロキ選手!』
「「「わぁあああああ!!!」」」
大歓声が会場の空気を揺らし、興奮した彼女達の足踏みがフィールドの地面までをも振動させていた。
今日は東京都大会2日目。第3回戦のベスト16位決定戦であった。
相手は東京農業大学付属中学校。去年もベスト16に残った強豪校である。
だが、
『!これで点数は74対26!コールドまでカウントダウンが始まった!』
「「おう・じょう!おう・じょう!」」
桜城は彼女達の上を行き、コールドまで残り1%という所まで来ていた。
相手は円柱に人数を割けるほど、前線に余裕はない。よって、円柱に4人を置いている桜城が勝つまで、あと30秒もない状況だった。
この状況を作り出したのは、主にこの男の子。
『前半戦に続いて2本目のタッチを見せたロキ選手が、今、桜城前線に帰還します。その後ろ姿からは、全く疲れが見られない!まだまだウォーミングアップなんだよと、そんな余裕すら感じてしまう!なんて選手だ、ロキ選手!まるで去年の黒騎士選手を思い起こさせる活躍っぷり。本当に男の子なのかと、その分厚いフルフェイスの中を覗きたくなってしまうのは、私だけでは無いはずだ!』
「「わぁあああ!!」」
「ロキくーん!」
「かっくいい〜!」
「私にだけ、貴方の素顔を見せてちょうだい!」
観客達が黒騎士と並べて絶賛するが、それ以上の活躍をしていると蔵人は思っていた。
相手が疲れ始めた前半戦7分。一条様は相手の隙を突いて前線を突破し、中衛で妨害してきた敵全てを投げ飛ばし、後衛からの遠距離攻撃はステップだけで躱して見せた。
そして、そのまま難なくタッチを成功させた。
先程の、後半戦が始まった途端のタッチはもっと凄い。相手は完全に一条様を警戒していた。
だと言うのに、彼は桜城の遠距離部隊に別方向からの攻撃を指示して、相手の意識が向いたその瞬間を突いた。そして、僅かに浮き足立った相手選手達の心の隙を突いて、再突入したのだった。
相手の心が読める。
それは、この異能力世界では珍しくないありふれた能力の1つ。
だが、彼が使えばこれ程にも相手選手を翻弄し、自由自在にフィールドを支配することが出来ていた。
ファァアアン!
『試合終了!桜城領域が75%を超えた為、ここで桜城のコールド勝利が決まった!圧倒的な力を見せつけた前回王者が、今年も順当に勝ち上がって来たぁ!』
「「「わぁああああ!!」」」
「ロキ君サイコー!」
「桜城の男の子は化け物なの!?」
試合が終わり、桜城の選手達がこちらへと帰ってくる。その背中に、去年とは比較にならない程の大歓声が降りかかる。
去年までは観客も満員じゃなかったし、実況も淡々とした物だったからね。きっとファランクスという競技自体が盛り上がっているのだろう。
「お疲れ様!みんな!」
帰ってきた選手達を、部長が出迎える。
それに、リーダーである秋山先輩が「どもども〜」と答える。
「いやぁ〜。何とかなったねぇ。最初はみんな緊張してたけど、ロキ君の一発で良い具合に緊張が解かれたみたい」
「私の爆発が、その道を作ったんだぞ?」
あー、はいはい。君も大いに活躍したね、祭月さん。
「祭月と雪花も良くやったわ。2人が前半と後半で別れて敵前線に圧を掛けたから、相手前線は隙を作ったのよ」
部長が上手いこと祭月さんを宥める。
すると、祭月さんは気分よく胸を張り、それを雪花ちゃんが冷たい目で刺した。
ちなみに、一条様の2つ名は〈ロキ〉としたみたいだ。グレイトロキから取ったのだろうけど、13番の背番号と相まって直ぐに広まっていた。
日本で13という字はやはり、それ程嫌悪される数字ではないみたいだ。
「でも、ほんとロキ君が活躍してくれて助かったよ。私達が入場した時に、黒騎士選手は出ないの?って声がかなりしていたから」
確かに、そんな声もあった。
一応、ベンチ入りはしていた蔵人だったが、出るつもりはなかった。ここで出てしまったら、関東大会やビッグゲームが辛くなる。そろそろオリンピック向けの本格的な練習も始まるから、その両大会に出られない自分は出るべきではないと思っていた。
だから、彼らだけの力で頑張って欲しいと思っていたが…。
結果は、予想以上の善戦だった。
「さぁ!みんな気持ちを引き締めて、明日はいよいよベスト8位戦。関東大会進出を掛けた大事な試合になるわ。体調を整えて、ロキ君は装備のメンテナンスも忘れずにね」
「ああ、つくばからメカニックを雇っているから、問題はないよ」
うわっ、すごっ。もう専属契約を結んでいるの?流石は一条家のご子息。
部長に連れられて、選手達は退場していく。みんなの背中は、入場時とはまるで違う。みんな、自信に満ち溢れていた。
初めての公式戦という人も多かったから、本当に勝てるのかと不安そうだったみんな。だから、この1勝は大きい。自分達の勝ち方が見えた事も、彼女達の背中が真っ直ぐになった要因の1つだろうから。
ただ1人、先頭に立つ部長を除いて。
「黒騎士ちゃん。心配?」
蔵人が彼女の背中を目で追っていると、鶴海さんが話しかけてきた。
蔵人はそれに、小さく頷く。
「あれから湊音君、学校に来ていないそうですからね。そりゃ、姉からしたら心配でしょう」
「そうね。でも、家には帰ってきているんでしょ?」
そうらしいのだが、かなり遅くに帰ってきて、朝も早いのだそうだ。だから、部長は殆ど会えておらず、余計に心配を募らせているのだとか。
「まぁ、特区の男性の殆どは、引きこもりや家出なんかをするそうですから、それと比べれば毎日出かけて、家に帰ってきている分、健全なのかも知れませんけど」
「そうね。ちゃんと護衛も付いているんでしょ?」
そうだ。彼には専用の護衛が付いている。下手な事をしようとすれば、しっかりと止めてくれるだろう。
だから、部長もこうして大会に出ているのだろうし。
「それも大事だけど、私達が考えるべきは今週末の練習会じゃないかしら?」
鶴海さんの言う通りだ。
今週末から、オリンピックに向けた本格的な練習が始まる。全国から出場選手を集めて、本格的な練習を開始することになっている。
今までも本格的ではあったが、どうしても全員が集まらないので個別練習となっていた。だが、今週からは出場選手全員での練習となる。
「いよいよ、オリンピックが近付いているんですね」
「そうね。来月の今頃には、私達も選手村に入って最終調整期間になるだろうし、その頃には他国の選手も入国していると思うわ」
他国の選手か。
蔵人はその選手村の様子を、楽しみ半分、憂い半分で思い描く。
それから数日が経ち、蔵人達は東京特区の端っこに来ていた。
青梅WTC。
東京特区の中で最北端のWTCだ。
23区のWTCと比べるとかなり小さく、ダンジョンダイバーズやステージなどのアトラクションが存在しない。代わりに、大きな競技場が他より多く設置されていた。
…単純に都心よりも入場数が少ないので、多目的広場を多めにしているみたいだ。
だが、今回はそれが有難い。他のお客さんが少ない分、貸切にするのが容易で野次馬も寄り付き難い。何せ、青梅WTC付近に宿は数える程しか無いのだから。
「よろしくお願いします、東京の皆さん」
そして、その中には元岩戸中の藤波選手の姿もあった。
どうやら、彼女も選手に選ばれたみたいだ。ラスト8枠を勝ち取るとは、相当努力されたのだろう。気のせいか、顔つきも凛々しくなっている気がする。
それで…あれ?獅子王の難波さんの姿がない。あれ?これは不味いんじゃ…。
「よーし!みんな揃ってるな?練習を始めるぞ〜」
陸上競技場の芝生に集まった選手達に、大会副理事の川村さんが近付いて来て、手ぬぐいを頭に巻きながら声を上げた。彼の横には、女性のインストラクターっぽい人も居る。
今回は、この2人がチーフコーチみたいだ。
「オリンピック協議会、元ファランクス日本代表の畑山です。今回は皆さんのコーチとして参戦します。進藤監督には敵いませんけど、現役時代に得た豊富なファランクスの知識をバンバン伝えていきますので、宜しくお願いします」
畑山コーチは、良く日に焼けた笑顔をみんなに向ける。
柔和な態度だが、体つきは立派なものだ。流石は元日本代表。
蔵人は期待を募らせた。
そうして始まった練習は、確かに色濃いものであった。
強化合宿の時と同様に、元ファランクス選手やオリンピック選手がサポーターとして我々を指導し、動き方や異能力の使い方などをアドバイスしてくれた。
…最も、異能力の使い方においては、こちらの技術に驚かれる事の方が圧倒的に多かったけど。
「なるほど。こうやって盾を回して、その遠心力で攻撃力をアップしているのですね?なるほど」
練習中、畑山監督やサポーターが寄ってきて、色々と質問をしてくる。
その度に、蔵人は丁寧な説明を心掛けた。
「ああ、それだけではなくてですね。こうして、盾の縁を細くして、刃の様にすることで殺傷能力を上げています」
「おお!形状変化も合わせて使っているんですね。なんて高度な技術力だ。シールドカッター1枚取っても、習得に10年はかかるぞ…」
こんな風に、逆に感心される事が多かった。
まだまだ、異能力技術についてはこちらに一日の長があるみたい。
それでも、ファランクスという競技においての知識は、彼女達の方が豊富であった。
立ち回りや円柱へのエントリー方法、弾幕の張り方など面白い話を幾つも聞かせて貰った。
「ですが、やはり進藤監督に来て欲しかったですね」
練習の合間の休憩中、円さんが寂しそうに零す。
それは、考えなくもないが難しい事だ。彼女は今頃、ビッグゲームに向けての準備で忙しいだろうから。
「ビッグゲームが終わり次第、こちらに来る予定になっているそうですよ?」
おお。そうなのか。
蔵人が鶴海さんの情報に驚いていると、円さんが静かに手を叩いた。
「ビッグゲームと言えば、そちらの県大会結果はどうでした…あっ、東京は都大会でしたね」
「ああ?勿論、あたしら桜城が優勝よ」
鈴華がふんすっ!と鼻息荒く、胸を張って自慢する。
だがな、鈴華。我々は一切出場していないぞ?全て、他の部員達が頑張った結果だ。
「今年の桜城も強いぜ。何せ、点取り屋が2人も居るからな」
一条様とサーミン先輩の事だな?決勝戦でも、あの2人がタッチを競い合って奪ったから、前半戦だけでコールドが決まってしまった。
それだけ今の桜城が強いと言うのもあるが、天隆との相性が良かったと言うのもある。防御主体の冨道を相手にした時には、20分フルタイムの試合となっていたから。
「それを言うのでしたら、今年の彩雲も強いですよ。私や姉上が居らずとも、九州女児の魂は何者にも止められはしません。今年こそ、ビッグゲーム優勝は我らの物です」
「何を言うてんねん。今年こそうちら桜城が優勝したるわ!」
「如月中も負けてないよ!」
「あの、岩戸中も負けない…と思います…」
いつの間にか、学校自慢になりつつある。
それを聞いていると、今年のビッグゲームも激戦になりそうだ。
あっ、如月とは関東大会でぶつかるのか。
「お〜い!練習を再開するぞ〜」
川村さんの号令で、蔵人達は雑談をやめて練習に戻った。
気のせいか、先程よりもみんなのやる気が上がっている気がする。
後輩達が頑張っている事を再認識したのかな?俺も負けていられないな。
それから2週間も経つと、関東大会が始まった。
蔵人達は練習があるので付いて行くことは出来ず、練習終わりにテレビ前で彼らの奮闘を確認するくらいしか出来なかった。
それでも、
「よっしゃあ!ナイスだ祭月!今の一撃で相手前線が崩れたぜ」
「良かったわ。これで、みっちり家庭教師した甲斐があったって事よね?蔵人ちゃん」
「ええ。本当に良かったですよ…」
今年こそはと、期末テストの3日前から付きっきりで教えたからね。お陰で、赤点は英語の一科目だけだった。
…それでも、一科目は赤点になるところが祭月さんらしい。
「一条の奴も凄い人気だな。去年の紫電を見ている気分だぜ」
鈴華の言う通りであった。
一条様は関東大会でも無双しており、1試合に1タッチ、下手すると3度もタッチを成功させることもあった。関東大会に出場するようなチームを相手にそれであるから、相当なものだ。
加えて、ベイルアウトもいくつか取っている。合気道の技で投げ飛ばした時に、打ち所が悪くて倒してしまったらしい。
「黒騎士の再来だ…なんて言われているらしいぜ?」
「何を言うとんねん。カシラはAランクのロボやCランクチャンピオンを倒したんやで?まだまだ足りひんて」
「あたしが言ってんじゃねぇ!周りがそう言ってるって話だよ!」
まぁ、まぁ、鈴華。分かっているよ。
周囲が盛り上がる程に、桜城は順当に勝ち進めていた。明日が決勝戦との事だったが、順当にいけば勝てるだろうと評価されていた。
そのキーパーソンに成りつつある一条様は、持ち前のクールさで安定した強さを見せており、周囲も安心して熱狂していられる。
彼が心底推しているグレイトロキも、多くの人から注目を集めていた。戦闘向きの異能力種でない彼がここまで強くなるなんてと、評論家達を驚かせている。
「そのグレイトロキについてだけど、私達の分も生産してくれないかって川村さん達が打診しているそうよ?」
「マジかよ。あたしは要らねぇぞ?鉄で出来てねぇと戦い辛いからよ」
「うちもや。下手に重くされると困るで。シンプルが一番や」
「僕も…スピードは風で出せるから…」
鶴海さんの情報に、みんなは否定的だ。
まぁ、彼女達の異能力では、グレイトロキの恩恵を得られにくいだろう。ロキは弱い力を増幅させることに特化した機体だから、元々機動力のある人には向いていない。
「そう言う意味では、アニキとかには良いかも知れませんね?」
「そうじゃの。儂は貰えたら嬉しいと思うぞ?まぁ、今着とる奴も十分高性能なんじゃがな」
おっと、そうだった。アニキは既に、グレイト11を使っていたんだった。じゃあ、グレイトロキは必要ないか?
どちらにせよ、グレイトロキの名前が売れて、再びつくばの技術力が脚光を浴び始めていた。
自分の子供を褒められて、丹治所長は喜んでいるだろうか?それとも、既に高まっている名声が底上げされて、迷惑しているかな?
「どっちにせよ、後輩達が頑張ってんだ。あたしらも気合入れて行こうぜ」
「せやな。ビッグゲームとオリンピックの2冠達成したろうやないか」
「オリンピックは、僕たち桜城だけの話じゃないけどね」
テレビを見ていた鈴華達にも気合が入る。明日からの訓練も頑張ろうと、自分達に割り振られた部屋へと戻っていく。
今は7月の中旬。あと1か月もしない内に、オリンピックが始まる。そう思うと、少し焦る気持ちも顔を出す。
その焦る気持ちを、訓練にぶつけよう。
蔵人も、盾を回しながら部屋へと帰って行った。
それから2週間ほどが経ち、世間はビッグゲームの話題で持ちきりとなっていた。
今年も獅子王が優勝するのか。関東の桜城が天下に手を伸ばすのか。はたまた、無敵を誇る呉の魔王軍が全てを覆すのか。
まさに群雄割拠の情勢に、去年よりも遥かに多くのメディアが競い合うように報道を重ね、より状況をカオスにしていく。
そんな中、蔵人達はバスへと乗り込み、ビッグゲームとは反対方向へと向かっていた。
東京オリンピック選手村。
東京湾内のふ頭に設けられた施設で、このオリンピックの為だけに建設された巨大建造物が並び立つ。
その一角に、日本チームの為の施設が作られていた。
「これが僕たちのホテル?なんだか、大き過ぎない?」
桃花さんが驚くのも無理はない。本当に、今までのどのホテルよりも大きくて立派だから。
10階建ての豪華なホテルは何棟も連なって立っており、敷地を一周するだけでも良い運動になりそうなくらいだった。
蔵人も一緒になって見上げていると、その様子をカシャリと写真に収めた若葉さんが得意げに解説し始めた。
「このホテルに泊まるのは、ファランクス選手だけじゃないからね。シングル選手やテニスプレイヤー、空手にクライミングに水泳にサッカー。全種目の日本人選手がここに泊まるんだ。加えて、そのサポーターや大会運営、それに私達報道官の一部もここに泊まるよ」
「じゃあ、若ちゃんも泊るの?」
「勿論!」
若葉さんはそう答えながら、桃花さんにカメラを向ける。
それに、桃花さんは恥ずかしがって手でガードし、尚も撮ろうとする若葉さんから逃れようとしていた。
「でもよぉ。なんであたしらもここに泊まらねぇといけねぇんだ?家まで車で30分も掛からねぇだろ?」
「それはね、色々あると思うわ。セキュリティ面もそうだし、競技場までのアクセスが便利なのもあるでしょうし」
競技場はすぐそこだからね。バスで移動しても5分と掛からない。
それに、セキュリティ面と言うのが大きいだろう。オリンピックが始まれば、大勢の外国人観光客も訪れる。そんな中、選手達が家から通っていては何が起きるか分からない。こうして、全員を一か所に纏めた方がリスクもコストもカットできるのだ。
とは言え、既に外国人選手も大勢入村しているから、この施設内でのトラブルが起こる可能性もあるけれど。
蔵人が補足すると、鈴華は心得た表情で頷く。
「なるほどな。じゃあ早速、村の中を探検しようぜ。他の国に殴り込みに行くんだ」
「なぜそうなる」
蔵人が呆れて返すと、鈴華は「当然だろ?」みたいな顔で返してくる。
「やられる前にやる。それがあたしの信条だ」
嫌な信条だな、おい。
「でも、それも一理あるわよ?蔵人ちゃん」
「鶴海さんまで、何を…?」
絶句する蔵人に、鶴海さんは慌てて手を振った。
「殴り込みのことじゃないわ。この選手村の中を見て回った方が良いって話の所よ。どんな設備があって、どんな人達が居るかを把握しておくのは為になるわ。敵情視察も含めて、ね」
敵情視察。
確かに、それは大事だ。
蔵人達は荷物を部屋に置くと、早速散策へと出かけた。
このバカでかい選手村の中に、どんな人達がいるかを知る為に。
ちなみに、アメリカでの授賞式は無事に終了しました。
「本当に無事だったのか?」
え~。大統領から直接勲章を授与されて、固い握手を交わされて、多くのメディアに2ショットを撮られたくらいです。
「十分に大事故な気がするぞ?ロマノフ家が久我嬢を狙った時のように、あ奴の国籍が変えられたりしていないだろうな?」
………調べておきます。
「頼むぞ」




