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337話〜海の匂いがするよ!〜

3月の下旬に差し掛かる頃。

蔵人は、沖縄に向かう飛行機の中にいた。

クリスマスに、鈴華サンタから貰った旅行企画だ。来週には交流戦も控えている中ではあるが、部長に頼んでお休みを貰った。


みんなの良い息抜きになるし、主力が抜けた状態だからこそ、先輩達にも良い刺激になる。

そう言っていたのは部長であった。彼女にも、色々と考えがあるようだ。

先輩達が主力に頼り過ぎていると、ことある事に嘆いていたからね。今回我々がいない間に、危機感を煽るつもりらしい。


蔵人は飛行機の窓から、手元に視線を移す。

そこにあるのは、1枚の写真。その写真に写る人達は、泣いたり、笑ったり、隣の人と肩を組んだりと、和気あいあいとした雰囲気である。

卒業式の写真だ。

桜城中等部の正門で、ファランクス部で集まろうとなって撮った一枚。だが、途中でシングル部も合流し、随分とハチャメチャな記念撮影会となってしまった。

しかもいつの間にか、蔵人が中心へと座らされてしまい、その両隣には、海麗先輩と麗子先輩がガッシリ腕を捕まえて逃げられないようにしていた。


『蔵人!もっとこっちに来てちょうだい』

『そうそう。今日は私達が主役だから、蔵人君を独り占めさせて貰うからね』

『海麗。私もいるんだから、2人占めよ』


あの時の会話が、今でも思い出される。

そして、2人に抱きつかれた腕に残る、温かい感触も。

いや、腕だけでは無い。頭にもその感触が残っている。その2人に対抗した鈴華が、後ろから抱きついてきて、頭の上に柔らかい物を乗せていたから。


「よく撮れてるでしょ?」


写真の風景を懐かしく思っていると、隣席の若葉さんがニヤニヤしながらそう問いかけてきた。

これは、彼女の絶妙なカメラワークを指している言い方では無い。被写体である蔵人が、良いご身分だったと言いたいのだ。

巻ちゃんに変身した蔵人は「ふぅ」と息を吐いて、それに答える。


「(高音)最高の瞬間を切り取った、見事な写真ね。でもやっぱり、貴女も一緒に写って欲しかったって、私は思うわ」

「なっ」


言葉に詰まり、口をパクパクする若葉さん。

みるみる赤くなる彼女を見て、してやったりと蔵人は微笑む。

すると、若葉さんは少し怒った風に頬を膨らませて、もう1枚の写真を胸ポケットからシュパッと取り出した。


「もうっ!そんな風に揶揄(からか)うなら、この切り札を切るよ?」


そこに写るのは、1つのシルエット。

正門の前で立つ2人が、外灯の下で重なり合って1つの被写体となった瞬間。

決定的瞬間を収めた1枚だった。


「(高音)待て、待て待て。ちょっと待ちなさい!揶揄った訳じゃないから。本心だから。そいつを収めて頂戴」

「本心って…また、そんな事言って…」


慌てた蔵人に、若葉さんもタジタジになる。

そして、写真をポケットに戻し、表情を取り繕った。


「冗談だよ。こんなプライベートな写真、本人達以外には見せられないよ」

「(高音)それは…鈴華には見せたってこと?」

「勿論だよ。どうする?って聞いたら、焼き回ししてA4サイズでくれって依頼されたよ。額縁に入れて自室で飾るんだってさ」


なんちゅう危険な依頼を…。

蔵人が目眩を覚えて眉間を抑えていると、復活した若葉さんのニヤケ顔がこちらを向く。


「それと、島津円さんからだけど、結婚式のカメラマンを依頼されたよ。近い内に必ず、黒騎士様と挙げる事になるだろうからって」

「(高音)そっちにまで話が波及しているのね…」


こいつも、ホワイトデーショックの一種である。

バレンタインデーでウェディングケーキを送って来た円さんに、蔵人はバームクーヘンを贈った。少し小さめの、輪になった6個入りだ。

円さんは甘い物が苦手だと聞いていたけど、大丈夫かな?と心配していた矢先、

大丈夫ではなかった。


卒業式を終えた日。円さんから手紙が届いた。その手紙の冒頭には、無事に品物が届いた事へのお礼が書かれていたのだが、一緒に同封された写真には何故か、顔を赤らめてバームクーヘンを薬指に嵌める円さんの姿が写っていた。

そして、手紙の終わりの方には〈素晴らしい婚約指輪をありがとうございました。婚儀は何時に致しましょう?〉と書かれていた。


…いや。そうはならんやろ。

そう、ツッコミたかった蔵人だったが、ツッコんだら負けだろうと思い直す。

きっと、突っ込みを入れてしまったら、彼女が東京特区まで突っ込んで来るだろうから。


「(高音)本当に何故、こうなるんでしょうね…」

「プレイボーイの悩みだね」

「(高音)プレイした覚えが無いんだけどね…」


蔵人が嘆くと、若葉さんは再び懐から写真を取り出す。

ピラピラするのやめいっ!


「(高音)あー。沖縄楽しみだわー」

「現実逃避だね」


うん。そうとも言う。



「うぉおお!!あったけぇ!!」

「海の匂いがするよ!」


空港を出ると同時に、祭月さんと桃花さんが飛び跳ねる。

まだまだ寒い東京に比べたら、沖縄は夏の気候だ。世界が違う事を肌で感じ、一気にテンションが上がったみたいだ。

それは良いのだが、上着を一挙に脱ぎ始めた祭月さんは、肌着1枚という淑女らしからぬ姿に変貌する。


「祭月ちゃん。その格好は流石に不味いわ。Tシャツは着てちょうだい」

「なにっ!じゃあ、水着になれば良いんだな?」


そう言う問題じゃない。

蔵人は鶴海さんと顔を見合わせ、この爆弾娘をどうするべきかと無言の会議を開く。


そんな2人を追い越して、伏見さんが祭月さんに詰め寄る。


「アホか!こないな所で水着になる奴なんて()らんで。東京もんは、頭おかしいって思われるやろ!」

「なんだとっ!?誰の頭がおかしいだっ!」

「自分や!」


おお。流石は伏見さん。

蔵人は安心する。彼女が居れば安泰だと。


「全く、騒がしい奴らだな」


蔵人が伏見さん達の漫才を見守っていると、隣に鈴華が並んで、呆れと嬉しさが混じった声でそう言った。

そう言いながら、蔵人の腕を抱き寄せて来た。

鈴華が着ているのはノースリーブワンピースだから、彼女の温かさと柔らかさがダイレクトに伝わってくる。


…明らかに、ホワイトデーからボディタッチが増えた鈴華。何かスイッチが切り替わった感じがする。

そんな鈴華の手を握り、蔵人は頷く。


「(高音)そうね。でもそれだけ、鈴華の旅行が成功しているって事だと思うわ」

「ふふっ。そいつは良かった」


鈴華が笑みを返しながら、手も握り返して来る。

すると、反対の手にも何かが当たる。


「わ、私も、楽しみ、よ?」


鶴海さんだ。顔を真っ赤にして、手を繋ごうかどうしようか迷わせている。

何時もの彼女にしては、随分と積極的だ。この気候が、そうさせているのか。

そう思いながらも、蔵人は鶴海さんの手を取り、鈴華と同じ様にしっかりと握る。


「(高音)ええ。私も楽しみよ」


蔵人が答えても、鶴海さんは頷くだけで精一杯であった。

っと、そんな3人に向けて、シャッター音が響く。

我らが敏腕記者だ。


「良いね。旅立ちって感じが出てるよ。みんなも巻ちゃんの近くに集まってよ」

「私が主役だぞ!」

「ぼ、僕も、お手て繋ぎたい!」

「カシラ!荷物持ちます」


若葉さんの一言で、みんなが集まってくる。

いいぞ。集合写真で、旅の団結力を図るんだな?ナイスな判断だ、若葉さん。

でも、


「(高音)折角なんだから、若葉さんも一緒に写りましょ?」


蔵人は、カメラを構えようとした若葉さんを手招きする。

そして、少し後ろを振り返り、そこにいる人物に視線を送る。


「(高音)すみません、柳さん。代わりに撮って貰えませんか?」

「はい。お嬢様」


柳さんは嬉しそうに頷くと、そそくさと前へと出てきて、若葉さんからカメラを引き継ぐ。

彼女は今回、旅行をサポートする為にと、一条家から派遣されていた。遠出するなら、黒騎士と顔見知りの執事が同行するべきだろうと、ディさんが取り計らってくれたのだ。


「…あれ?ここのボタンでは、ないのでしょうか?」


意気揚々と前に出てきた柳さん。だが、カメラの扱い方に戸惑っていた。

家事も運転も、翻訳までこなすスーパーウーマンである彼女だが、機械は苦手なのだ。携帯も、殆ど蔵人が教えた様なものであった。

さて、助けねばと蔵人が足を前に出そうとした時、それよりも早く、柳さんの元に超長身の女性が駆けつけた。


「(高音)おう。貸してみろ」


女性の声で、しかし何時もと変わらないぶっきらぼうな物言いを放つのは、こんな暑い中でもスーツ姿の大野さんだ。彼だけでなく、後ろには音切荘のメンバーも控えている。

瀬奈さん、橙子さん、恵美さん、レオさん。

彼ら彼女らも、一条家から派遣された黒騎士の護衛だ。何かあっては不味いと、ディさんは軍まで動かしてくれたのだ。彼や橙子さんがいるから、蔵人も完璧な巻ちゃんに変身していられるのだった。

美来ちゃんだけは、まだ中学生なので護衛任務に同行出来なかったみたいだけど。


「あっ、でも、私が…」

「(高音)良いから。お嬢様とは久しぶりに会うんだろ?だったら、一緒に写ってやれよ」


渋った柳さんだったが、大野さんの言葉に甘えてこちらに来る。

もっとこっちに寄ってくださいよ、柳さん。


「(高音)よーし。もっと中央に寄れ。おい、モテ男。もっと嬉しそうにしろ」

「(高音)ちょっと大野さん!モテ男ってなんですか!」


叫ぶ蔵人には取り合わず、大野さんは容赦なくシャッターを切った。



レンタカーを借りて、ホテルに着いた蔵人達は、荷物を置くと直ぐに街へと繰り出した。

先ず向かったのは、ホテルからも近い〈那覇市国際通り〉である。

ここへは、最終日に来てお土産を買うつもりだったが、昼食を摂るならここと鈴華がお勧めするので、初日から来てしまった。


だが、それは正解だった。

大通りにはカラフルなお店が立ち並び、その前に南国をイメージさせるヤシの木が整然と並んでいた。

飛行機からも見えたが、やはり沖縄は植生が本島とは違う。背が低く、葉を広げる木々が多い印象だ。

沖縄に来たという物理的な証拠を前にして、みんなのテンションが更に上がる。


「見て見て!美味しそうな物がいっぱいだよ!」

「うぉおお!!腹減った!片っ端から食うぞ!」


早速、元気娘達が店へと突撃する。

昂る気持ちは分かるが、あまり遠くには行くなよ?


「ちょっ!待たんかい!」

「危ないですよ」


蔵人が心配していると、伏見さんと柳さんがついて行ってくれた。

いつの間にか、伏見さんがお姉ちゃん的存在となっていた。来年は1年生達が入って来るから、とても頼もしい。


「巻ちゃん!見て見て。これ、沖縄のドーナッツなんだって。可愛い形だね」

「(高音)サーターアンダギーね。沖縄の代表的な食べ物よ」


桃花さんが、ぴょんぴょんしながら帰ってきた。

凄く可愛い。


「おいっ!みんな凄いぞ!ち〇こだ!沖縄ではちん〇が売られてるぞ!」

「やめて!祭月ちゃん!ちんすこうよ!」


…うん。平常運転だな、祭月さん。桜さんが君に、ヘッドロックを掛ける気持ちが分かるよ。

解説の鶴海さんが、真っ赤で可愛いから許せるけど。


テンション高めなみんなを引き連れて、蔵人達は一件の飲食店に入る。居酒屋みたいだが、お酒以外にも様々なメニューがある。

さて、どれにしようか。


「なぁ、ボス。そこは酒のページだぞ?」

「ダメよ、巻ちゃん。泡盛は危険よ?」

「(高音)……ちょっと、参考までに見ていただけよ?」

「カシラ。せやったら、(はよ)うページ(めく)らんと」


みんな厳しいな。見ていただけじゃないか。

蔵人は両隣から厳しい視線を受けて、泡盛達とサヨナラした。

それからしばらくすると、机の上に料理が並ぶ。


「おぉ。この肉、ごっつうええな。食べ応え抜群や」

「それはラフテーね。豚のバラ煮込みよ」

「うぇえ…この緑の野菜、なんか苦いよぉ〜」

「(高音)それはゴーヤチャンプルーね。桃花さんの口には合わなかったかしら。私のかやくご飯と交換しましょ?ジューシーって言うらしいわ」

「ありがと!巻ちゃん!」


沖縄の名物料理は名前から察するのが難しく、戸惑いを見せる娘もいた。


「おいっ!」


その筆頭が、彼女。


「これはなんだ!女将を呼べい!」

「どないしたんや」

「海ぶどうって書いてあるから頼んだのに、全然ぶどうじゃないぞ!詐欺だ!」

「祭月ちゃん。海ぶどうは沖縄の代表的な海藻よ」

「そうだぞー、祭月。知らねぇ方が悪いんだ。これでも食って落ち着けって」


鈴華が渡したタコライスをかき込む事で、漸く静かになる祭月さん。

彼女がいると、この場が一気に明るくなるから良い。

ちゃんと周りに、彼女を止めてくれるストッパーがいることが大前提だが。


天真爛漫な祭月さんを遠目で見ていると、向こうの席で何か揉めているのが耳に入った。


「(高音)少しくらい良いだろうよ。こんなんで変身に支障はねぇんだからよぉ」

「ダメです。今は任務中ですよ?大野さん」

「(高音)たかが1杯のロックで酔わねぇよ」


どうやら、お酒を飲みたい大野さんを、瀬奈さんが必死に止めているみたいだ。


「泡盛は度数が高いんです。普通のロックと一緒に考えないで下さい!」

「(高音)おいおい。折角沖縄に来たのに、まさか一滴も飲まねぇ気か?勿体ねぇ」


うんうん。やはり沖縄に来たのだから、その土地の特産品を堪能するべきだよな。それこそが、旅の醍醐味。


「巻ちゃん」


蔵人が大野さんの意見に賛同していると、隣席の鶴海さんが微笑みを向けてくる。


「お酒は、二十歳になってからよ?」

「(高音)…はい」


この笑みは卑怯だよなぁ。



お腹も膨れた一行は、次の観光名所へと移動していた。

国際通りからほど近い所にあるここは〈首里城〉である。

沖縄の文化を象徴する建物であり、2000年には二千円札の絵柄として書かれた程に有名な建物だ。

…まぁ、この世界では二千円札自体が生まれてないみたいだが、人気っぷりは変わらない。人々が列をなして首里城までの道を登っている。


ッバァアアン!


うん?爆発音?


「まだまだよぉー!」


ズドーン!


「「うわぁああ!!」」

「はっはっは!(わー)に勝とうなんくぇ、10年早いぞー(ふぇーさんどー)!」

「おばぁ、強すぎやさぁ!」


…なんか、首里城の周辺で爆発が起きているんだけど?攻城戦みたいな事をしているぞ?

蔵人は遠目から首里城周辺の様子を見て、目を瞬かせる。

緑の芝生に覆われた丘を、学生っぽい子達が必死に登っており、それを城の城壁前に立つおばさん達が、異能力で迎撃している。


なんだ?何が起きてる?


「おーい、ボス。なんかイベントやってるみたいだぞ?」


鈴華が、呆然と立ち尽くしていた蔵人の手を引いて、何か書かれた看板の前まで連れてきた。

そこには確かに、イベントの告知が掲載されていた。

なになに。


〈デージエイサー開催中。参加希望者は総合受付まで。参加資格…10歳〜19歳。海外の方もWelcome(いらっしゃい)


ふむ。デージエイサーか。でーじとは、確か沖縄語で凄いという意味。そしてエイサーは、沖縄の伝統的な盆踊りだった筈だ。


蔵人は看板から視線を上げて、向こうで繰り広げられる攻城戦を見渡す。

…これが、盆踊り?アマゾン奥地の部族だって、もっと大人しい踊りをするぞ?

蔵人がこの世界のカルチャーショックを受けていると、繋いだままだった鈴華の手が、蔵人を引っ張る。


「なぁ、ボス。一緒に出ようぜぇ。すげぇ楽しそうじゃん!」


鈴華の目が、いつになくキラキラしている。こうやって直ぐに興味を持つから、何事も上手くなるのだろうな。


「せやな。攻め込んでる地元学生も不利そうやし。加勢したりませんか?」


鈴華の後ろに立った伏見さんも、拳を撫でてヤル気Maxだ。

ふむ。参加者は攻める側に回るのか。確かに、今飛び込んで行った金髪の女の子達は、赤い首里城目指して丘を駆け上がって行った。日焼けした現地の学生と一緒になって、城壁の大人達に対抗しているみたいだ。


「(高音)そうね。確かに苦戦しているし、参加するのも楽しそうね。でも、ルールとか何処かに書かれていないのかしら?」

「きっとこれは、キャッスルのルールだと思うわ」


看板を覗き込む鶴海さんが、謎の言葉を放つ。


「(高音)キャッスル?」

「ええ。ファランクスの亜種ルールみたいなものよ」


鶴海さんが教えてくれたキャッスルとは、大まかにはこんな感じの競技だ。


・攻撃側と防御側に別れて戦う。

・防御側には、守るべき宝物(円柱等)があり、攻撃側にタッチされないように防御する。

・防御側は、何かしらの防衛陣を張った状態でスタートする。

・攻撃側は防御陣を掻い潜り、時間内に宝物にタッチしたら勝利。

・タイムアップ、もしくは攻撃側から一定数以上のベイルアウト者が出たら防御側の勝利。


「公式戦では、ランクや人数の上限を設けるんだけど、今回は無制限みたい。本当に、お祭りなのね」


なるほど。だから、参加者を外からも募っているみたいだ。

首里城から発せられる異能力が、どう見てもABランクの高威力弾ばかりだから、きっと防衛側は高ランクを揃えていると思われる。

若者達に、大人の強さを見せつけているのか?若しくは、大人になる為の通過儀礼なのか?裏の考えは分からないが、派手な花火や楽し気な笑い声が幾つも聞こえてきて、何となく沖縄らしさを感じる。

蔵人は、みんなに向けて大きく頷く。


「(高音)では、私達みんなで参加しましょうか」

「写真は任せて!」

「(高音)貴女も参加よ、忍者若葉」

「写真はどうするの!?」

「(高音)戦場カメラマンになりなさいな」


蔵人は後ろを振り向く。

柳さんと大野さんが手を振っている。

うん。大人組は参加券がないからね。観光用の通路から、先に登って待ってて下さい。


「(高音)橙子さん達は、どうします?」

「はっ!申し訳ございません。我々には、護衛任務優先の指示が出ておりますので」


うん。そりゃそうよね。

蔵人は護衛の皆さんに会釈する。すると、レオさんと恵美さんが冷たい視線を送って来た。

この姿だと好感度0だから辛いな。まぁ、バレていないって証明なんだけどさ。


「(高音)さて、じゃあ行きますか」

「よっしゃ!あたしらの実力、沖縄の奴らに見せてやるぜ!」

「おおー!」


部活動に似た事をするけど、みんなは笑顔だ。

これも旅の醍醐味…なのかな?

沖縄…いいですね、沖縄。

最近寒いので、私も行きたくなります。


「沖縄にまで行ってファランクスとは」


亜種ですよ、亜種。きっとファランクスとは違う面白さがある筈です。


「世界文化遺産を壊すなよ」

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― 新着の感想 ―
クク、旅行先でも戦闘ですかい?ワクワクさせてくれる…こりゃぁ、沖縄の猛者との戦いも期待できそうだぁ…
円さんとも時間の問題ですわこれは。島津家内では既に婿殿とか呼ばれてそう。
強くて性格もGOODな男らしい男、という後天的超レア属性転生「プレイ」をしてるから仕方ないのぢゃ・・・ 偽I氏 「これは、異能力アインシュタイン・リング!」 偽相方 「知っているのかイ○セス!」 偽…
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