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274話~ああ、驚かせてしまって済まない~

【アイザック…王子。何故、ここに】


議員の苦々しい声に、アイザック殿下は蔵人から目を離し、涼しい顔で議員を見下ろした。


【何を言っているんだ、ギデオン議員。元々、表彰式には参加するつもりだと申していたであろう?こちらの式典が長引いてしまったから、もう出席は間に合わないかと残念に思っていたが】


優しかった殿下の目が、少し鋭くなる。


【大事な場面には、間に合ったみたいだな】

【ぐっ…】


議員は苦しそうに顔を歪ませながら、鶴海さんを背中に隠した。

そして、取り繕った様に笑みを浮かべた。


【殿下!この様な危険な場所に、護衛も付けずに危険でございます。今まさに、特別試合の真っ最中ですので。お越し頂いた事は喜ばしい限りではございますが、どうぞここは、御身を第一にお考え下さい】


そう言うと、議員はフィールドの方へと手を伸ばし、グレイト10の主砲を消して、代わりに白銀のヘリコプターを作り出した。

本当に便利な異能力だ。オールクリエイト。

蔵人が半分感心し、半分呆れている先で、議員が殿下を振り返って、腰を折る。


【さぁ、殿下。粗末ではございますが、こちらで宮殿までお送り致します。どうぞ、こちらへ】


顔を上げ、含み笑いを向ける議員。

さぁ、早く何処かに行けと言うように、白銀のヘリコプターを手で示し続けている。

そんな彼に対して、


【必要ない】


殿下は、冷たくあしらった。

そして、隣に立つ男性を見上げた。


【私には、心強い護衛が居るからな。叔父上】

【承知しました】


そう言って小さく頭を下げたのは、金髪に白髪が混じった50代くらいの男性だ。

その男性が真っ直ぐに手を伸ばし、指をパチンッと鳴らした。

その途端、


【なっ!】

【うわぁ!】

【【【きゃっ!】】】


議員の驚き声と、観客達からの悲鳴に近い声が重なる。

その声に釣られて見ると、議員の周りには幾人もの人間が真っすぐに立ち、彼に鋭い視線を送っていた。

迷彩プロテクターに、アサルトライフルに似た武器を携えた女性達。

完全武装の彼女達に囲まれた議員は、自然と表情を固くして、小さく呟いた。


【Eスコードロン…イギリス特殊部隊が何故、こんなところに…】

【この件に関しては、彼女達が一番適任だったからな。ああ、それと、その子も返してもらおうか】


男性が再び指を鳴らすと、彼の目の前に鶴海さんが現れた。

議員の方を振り返ると、彼の手には、役目を奪われた白いロープだけが残されていた。

議員は、それを驚いた表情で見た後、眉を(ひそ)めて男性を見上げた。


【デイヴィッド様…何故貴方が、これ程高度なテレポートを?貴方の魔力はBランク程度とのお話だった筈です】


議員の疑問に、蔵人も自然とデイヴィット様へと視線が誘われた。

テレポートされた特殊部隊員は10人以上。これだけの人数を数mテレポートするだけでも、Bランクでは魔力不足だ。

加えて、会場の外から彼女達をテレポートしたのであれば、それ以上の魔力が必要となってくる。

こんな武装した集団を、会場内で待機させるのは無理があるから。

つまり、デイヴィッド様の魔力ランクは必然的に…。


蔵人が、恐る恐るデイヴィッド様を見上げていると、彼は小さく首を振った。


【知る必要の無いことだ、ギデオン君。それに、君が今、興味を持つべきは私の事ではなく、自分自身の事ではないかね?】


デイヴィッド様の言葉に、周囲の特殊部隊員が一斉に武器を構える。

それを見て、議員は顔を赤らめて、胡散臭い笑みを消す。そして、鋭い視線でデイヴィッド様を見上げる。


【少々お待ち頂きたい、デイヴィッド様。この私が、何をしたと言うのですか?私はただ、大会を盛り上げようとしているに過ぎません。この様な仰々しい者達に、囲まれるような事は一切…】

【君には、国家反逆罪の疑いが掛かっている。男性達を(そそのか)し、この国を乗っ取ろうとしているのではと言う声が、我々の元に多数寄せられているのだよ】

【はっはっは!それは実に面白い。そのような世迷言を、貴方々は信じる御つもりですか?】

【ギデオン君。君も知っている筈だ。この部隊の役割が、何であるかを】


史実のEスコードロンは確か、英国情報部と連携して動く部隊で、スパイ活動や裏工作等を行う部隊である。

また別に、政治性の高い案件に対しても、動いていたと思う。

詰り、外交問題や国家レベルの問題に対応する部隊だった筈だ。

蔵人が史実の情報を思い出していると、議員の顔色が少し青くなる。

どうやらこちらの世界でも、彼女達の役割は大きくは変わっていないみたいだ。


【馬鹿なっ!この私が、どれだけ英国の為に尽くしてきたか、お忘れだとでもおっしゃるのですか!私が推し勧めて来た政策に寄って、多くの資金がイギリスへ流れ込み、長年赤字であった財政が大いに潤ったではありませんか!その恩恵を、貴方達も大いに受けていた筈だ。そんな私に、この仕打ち…私の支持者達が、黙ってはおりませんぞ!】

【お連れしろ】


議員の叫びに、しかし、デイヴィッド様は取り合おうとしなかった。

デイヴィッド様の命令で、特殊部隊員達が議員を歩くように促した。

それに、議員は彼女達を睨み返して鼻にシワを寄せる。だが、流石に抵抗はしないようで、歯を食いしばるだけであった。

その表情のまま、王室の2人を見上げた。


【何故、男性である貴方達が女性側に立つのですか!?嘗て、権力を手にした女性達が、男性に何をしてきたのかを、王族である貴方達ならご存知の筈だ!】


うん?どういう意味だ?

蔵人は、議員に目を向ける。

権力を手にしたとは、第一次世界大戦後に、女性達が政権を奪取した時を示しているのだろう。

その時に、女性達が男性にした事?

特区を作り、高ランク男性を囲い込んだだけでは無いのか?


蔵人が不思議そうに議員を見下ろすと、殿下達に向いていた彼の顔がこちらを向いた。

その顔には、歯を剥き出しにした、獰猛な笑みが浮かんでいた。


「黒騎士。お前達は知らんだろうから、教えてやる。俺の祖母、スカーレット・コッククロフトは悪魔の実験を…」


そこで、議員の姿は消えた。

周囲の特殊部隊員諸共、一斉に。

蔵人が振り返ると、消えた彼らに向かって、デイヴィッド様が手を突き出していた。


「もう少し、観衆に見せつけてやりたかったのだがな。少々お喋りが過ぎた」


ああ、なるほど。

蔵人はその言葉で、理解する。

直ぐにテレポートで護送しなかったのは、周囲に捕まった議員の姿を見せつける為だったのか。

彼の思想を、この場で打ち砕く為に。

だが、それを中断してまで、彼の口を塞ぎにかかった。


スカーレット・コッククロフト。

その人が行ったと言う実験を、バラされたくない為に。

まるで、箝口令(かんこうれい)が敷かれいる、アグレスの情報と同じ扱いだ。

いや、実際に同じなのかも。


蔵人は顔を伏せて、思考する。


議員が言っていた悪魔の実験。それが、アグレスを招いた事だとしたら。

例えば、異世界に通じるゲートを、議員の祖母が開発したのだとしたら、どうだろうか?

異世界の資源や土地を奪おうとしたら、逆に侵略者が出てきてしまって、閉じられなくなったとか。

そのストーリーであれば、議員の発言にも納得できる。

試合中、女性が世界を壊すと言っていた、彼の発言が。


では、女性達が男性にしてきた事とは、何の事だろうか?

その実験によって、男性が何か被害を受けたのか?

アグレスが発生した事による被害…では無いだろう。

アグレスは、魔力量が多い者を襲う性質があると聞くから、魔力量が多い女性の方が被害を受ける確率も高くなる。

では、実験に男性が必要だったのか?

ゲートが開いた時、男性達を突っ込ませたとか?

ゲートを開くのに、男性の何かが必要だった?

…分からん。


蔵人が考え込んでいると、影が刺した。

見上げると、デイヴィッド様の姿が目の前にあった。


「君達も疲れただろう。医務室まで送ろう」


そう言うが早いか、彼は手を掲げて、パチンッと指を鳴らした。

途端に、目の前が白で埋め尽くされる。

白いカーテン。白い壁。

WTCの医務室…にしては部屋の作りが豪華だ。カーテンには所々、金の刺繍も入っているし、ベッドのフレームまで金で出来ている。

ここは…何処だ?


蔵人が周囲を見回すと、若葉さん達も同じように目を丸くしていた。

そこに、


「怖がることはない。ここは、王室御用達の医療機関だ」


デイヴィッド様が両手を広げて、安全であることをアピールする。

彼の隣には、アイザック殿下もいらっしゃる。

彼も、もう安心だと言うように、何時もの微笑みを携えていた。


デイヴィット様の答えを受けて、蔵人は再び周囲の部屋を観察する。

病室だと思うが、ベッドの他に、数々の調度品が棚を彩っていて、大きなソファーや高級そうな椅子も置かれていた。

病室というよりも、高級ホテルのスイートルームみたいだ。

王室御用達という事は、聖バーソロミュー病院辺りかな?だとしたら、大会会場から4マイル…6㎞以上も離れている事になる。

それだけの距離を一瞬で、しかもこの人数を。

やはり、デイヴィッド様はSランクのテレポーターだ。

それに、この流暢な日本語。

彼は、もしや…。


蔵人は、デイヴィット様を凝視する。

すると、彼は余裕の笑みを蔵人に返し、部屋の一角を手で示す。


「さぁ、そこのソファーに座っていたまえ。すぐにも看護師達が来る」

「ありがとうございます、デイヴィッド様。王室の方々にここまでお力添えを頂き、恐縮です」


ソファーに座りながら、蔵人はお2人に深々と頭を下げる。

学生の、それも外国人の身分で王族の手を煩わせてしまったからね。今でも、彼等よりも先に座ってしまっている。

そう思っての謝罪だったが、デイヴィッド様は「くっくっく」と含み笑いをしながら首を振った。

次いで、殿下に視線を下ろす。


【殿下。もうよろしいかと】

【良いのですか?叔父上】

【ええ。彼らに、私の誠意を見せたいのです】


殿下は少し困った顔で、こちらをチラリと見た後、デイヴィッド様に手を(かざ)した。

途端、デイヴィッド様の皮膚が溶けだして、中から少しくすんだ金髪の美男が現れた。

彼は、サングラス越しにこちらを見て、小さく笑みを浮かべた。


「蔵人君のご友人方、初めまして。私の事は、ディと呼んで欲しい。イギリス王室の人間では無いから、殿下に対する程の敬意は不要だ」


やはり、ディさんだったか。

蔵人が安堵している横で、若葉さん達が息を飲む音が聞こえた。


「メタモル、フォーゼ…」


若葉さんの驚いた声に、ディさんは近くの椅子に座りながら、大きく頷いた。


「ああ、驚かせてしまって済まない。何分、公の場に出にくい人間でね」


ディさんの釈明に、しかし、みんなは表情を更に固くする。

文化祭の犯人も、ギデオン議員も変装していたからね。変装に対して、悪いイメージを持っているのだろう。

蔵人は、そんな彼女達を安心させる為、身を乗り出してディさんに声をかける。


「お久しぶりです、ディ様。ご助力下さり、大変感謝しております。お陰で、鶴海さんも無事に救出できましたから」

「いや、感謝される事では無い。我々がもう少し早く到着出来ていれば、君達を危険な目に遭わせずに済んでいただろうからな」

「確かに、ディ様の到着がもっと早ければ、ギデオン議員との戦闘も、もっと楽になっていたでしょうね」

「ははっ、手厳しいな」


蔵人が砕けた口調になると、ディさんも困った様に笑った。

それに、蔵人も笑い返す。

そんな2人のやり取りを見て、若葉さん達の目がまん丸になり、蔵人とディさんの間で視線をさ迷わせた。

その中で、ただ1人、


「でも、オイラは楽しかったよ!オイラ達のそーりゅーが、でっかい神様を倒したんだ!」


慶太だけは、ディさんに対しての警戒心を解いたみたいで、気さくに話しかけた。

流石は慶太。大物である。

ディさんも、嬉しそうに慶太を見て、小さく頷いた。


「ああ、実に素晴らしい戦闘だった。初めから見ることが叶わなかったが、君達が作り出したあのシンクロは、極めて完成度の高い異能力であったと思う」

「シンクロ…」

「それって…」


若葉さんと鶴海さんが、何かを察した様子で見つめ合った。

シンクロとは、軍事機密だと議員が言っていたからね。王族でないと言っていたのに、それを知っているディさんの身分を、何となく察したのかもしれない。


桃花さんだけは、そんな彼女達を不思議そうに見ている。

うん。そういう所が、君の魅力だ。

蔵人は、ディさんを穴が空く程見つめる若葉さん達の気を引く為、声を上げる。


「若葉さん。ディ様は難しい立場にあるんだ。あまり詮索はしないで欲しい」

「ありがとう、蔵人君。だが構わん」


構わんのです?

ディさんの言葉に、今度は蔵人が驚き、ディさんをマジマジと見つめてしまった。

それに、彼は目線で答えて、若葉さん達の方を向く。


「私は、日本陸軍に所属する軍人だ。蔵人君とは以前から顔見知りで、友人の様なものだと私は思っている。今回、君達の前にこうして現れたのは、蔵人君の友人でもあり、覚醒者でもある君達と顔を合わせたかったからだ。君達には今後とも、助力を願い出ることがあるかも知れないからな」


やはり、若葉さん達も覚醒していたか。

そして、ディさんは彼女達にも目を付けたと。

それは、喜ばしくないな。

蔵人は表情を消し、ディさんの方に体を乗り出す。


「ディ様。彼女達はまだ、覚醒の道を歩み始めたばかりです。全日本の件は私が何とかしますので、どうか、彼女達にまで期待を寄せないで頂きたい」


若葉さん達にまで、技巧主要論の布教を手伝わされたら大変だ。

折角、異能力に対してプラスの感情を持ち始めたのに、嫌になってしまったら成長が止まってしまう。


そう焦った蔵人だったが、ディさんは心得ているとばかりに大きく頷く。


「そう怖い顔を寄せないでくれ、蔵人。そこは我々も十分に理解している。彼女達にまで、その重荷を背負わせる気はない。全日本での優勝を頼める人材は、君しか居ないのだからな」


それなら良かった。

蔵人が胸を撫で下ろすと、今度は鶴海さんが硬い声を発した。


「重荷って、何ですか?蔵人ちゃんに、何をさせようとしているんです?」


おっと。心配させてしまった。

蔵人は慌てて、鶴海さんに顔を向け、ジッと彼女の瞳を見つめる。


「安心して下さい、鶴海さん。俺は強くなる為に、ディ様と目標を決めたんです。全日本に出場して、優勝するって。サポート系の異能力でも戦えることを、世間に証明したいと、俺がそう言ったんです」

「…本当に?蔵人ちゃん」

「ええ。男性だからシールドだからと諦めてしまう。そんなこの世界の壁を突破する。それが、俺がドリルを回す根源ですから」

「そう。そういう事なら…分かったわ。でも、あまり無茶はしないでね?」


鶴海さんが、心配そうにこちらを見つめ返してくる。

ちょっと目が潤んでいて、今にも泣きそうだ。

本気で心配してくれているのだな。

蔵人は、心の中の幸福な何かが、溢れ出しそうになった。

イカン、イカン。

彼女から目を反らすと、こちらを優しく見守っていたディさんの視線とかち合う。


「良い仲間を持ったな」


ディさんがしみじみと言葉を漏らし、直ぐに表情を硬くした。

そして、


「蔵人君。その件に関しては、改めて感謝と謝罪をさせて欲しい」


そう言って、こちらに頭を下げて来た。

いやいや。貴方がそんな事しなくて良いんですよ!


蔵人が慌てて、彼の頭を上げさせようとしている横で、若葉さんがずいっと体を乗り出してきた。


「えっと、ディ様。ちょっとよろしいでしょうか?」

「ああ、何だね?望月君」


ああ、流石は陸軍大佐。

若葉さんの事も、既に把握されているのね。

きっと、自分がイギリスのコンビネーションカップに出場すると言った時には、同行者全員の素性を調べ上げていたのだろう。


名前を呼ばれた若葉さんは、驚いて体を引いたが、気を取り直して再び前のめりになった。


「私の祖母が行方不明なんですけど、何か知りませんか?」


おっとっと!

それをここで聞いちゃう!?

いや、軍のお偉いさんが目の前に居るのだ。若葉さんからしたら、聞かずにはいられないか。

だが、もうちょっとこちらが有利な状態で聞きたかった。

確実に返答される状況を、作りたかったのだが…。


蔵人が残念がる横で、ディさんは「うむ」と頷きながら少し思案して、


「それに関しては、少々込み入った話になる。また明日にでも、時間を作ろう」


そう言うと、ディさんは殿下と共に立ち上がり、こちらを見下ろす。


「済まないが、明日の昼に、君達の時間を貰えないだろうか?ささやかながら、君達の慰労会を開きたいと思う」

「ええ。勿論…みんなも良いかな?」


みんなを見回すと、全員が頷く。

慶太は既に、ヨダレが垂れ始めていた。

早いぞ、戦友。


全員の同意を得て、ディさんは表情を崩した。


「助かる。ではまた、明日の12時に君達のホテルまで迎えに行く。なに、そう肩肘を張らず、気軽に待っていてくれたまえ」


パチンッと言う音が部屋の中を木霊して、お2人の姿が消えた。

その途端、白衣の看護師さん達が入って来た。

ディさん達が退室するのを待っていたみたいだ。


彼らは手際よく、蔵人達にヒールを掛けて、ケアをしていく。

慶太はベッドに寝かされた途端、いびきをかき始めた。

だから、早いって。


蔵人もマッサージを受けていると、自然と頭の中がぼーっとし始めて、今日の出来事が思い返された。

演武で優勝し、議員に特別試合を仕掛けられて、次はディさん達との邂逅。

そして明日は、ディさんとの昼食会だ。

議員との会食が無くなったのは良かったのだが、無事に慰労会は終わるのだろうか?


蔵人は隣のベッドを見る。

涎を垂らしながらベッドに埋もれる桃花さんの横で、目を見開いてベッドに座る若葉さんの姿が目に入る。

その彼女の硬い表情を見ていると、その不安がより大きなものになった。

ディさん…変身してまで蔵人さんを追って来たのでしょうか?


「それもあるだろうが、もしかしたら呼ばれていたのかもしれんな」


ディさんは日本陸軍所属の筈なのに、アイザックさんから叔父と呼ばれていますものね。

彼についても、謎が多い。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 良いですねぇ、悪魔の実験。女性が男性に行った諸行、アグレスとの関係、ゲートの開発…面白くなってきました。早く、この世界の真実が知りたいですね。えげつない物を抱えていることを期待します。
[一言] 鶴海さんによる圧倒的正妻感からのディ様に助けられる蔵人くん そして今回退場してくれてよかったけど、能力制限できるなにかがないとオールクリエイトだとすぐ脱獄できそうだな…こわ…
[一言] さてギデオンさんがいい気になってるところにお偉いさんにビシってやられるまでキッチリこなして小物ムーブのロイヤルストレートフラッシュ決めたところで何やら風雲急を告げるターニングポイントの予感、…
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