245話~ふむ。何故じゃ?~
「気付かれておったか」
そう言って、着物美女が蔵人の前で佇む。
彼女の腰には、文化祭の時にはなかった刀が、鞘に収まった状態でこちらに柄を向けていた。
周囲に剣帝さん達の姿はない。たった1人で付けて来たのだろう。
蔵人は振り返り、彼女に向き直って満面の笑みを作る。
「(低音)こんだけ情熱的に見詰められたら、鈍いオラでも気づいちまうってもんですよ」
蔵人は笑いながら、お腹を掻く。
彼女の射貫くような視線は、出会った当初からずっと変わらない。
寧ろ、あまりに変わらず降り注ぐことに、蔵人は内心で冷や汗をかいていた。
何か、尻尾を出してしまっているのではないか。何処かで、彼女と会ったことがあるのではないか。
そんな疑念が、浮かんでは消えた。
何度考えても、そのようなことはない。それでも彼女は、蔵人を見続けていた。
剣帝さんがアニキの為に校庭を駆け抜けている間も、蔵人が戦闘員を弾き飛ばしている間も。
そして、蔵人が帰路を歩んでいる最中も、ずっと。
蔵人は頭を上げて、彼女の様子を伺う。
何故、彼女がここまで執着するのかは分からないが、何か自分に用事があるのだろう。
そう考えた蔵人は、尻尾を出さないように徒歩で帰りながら、人気のない場所に彼女を誘った。
あの場では殆ど、蔵人達に声を掛けなかったのだから、誰も居ないところでないと話せない内容かと考えた。
その配慮に、彼女は、
「ふっふっふ。そうじゃな。気付ける者であれば、そうであろう」
笑みを浮かべて、蔵人を真っ直ぐに見ていた。
「修羅場を潜って来た人間であれば、であろうがな」
その笑みは、友好的なものとは違う。だからと言って、何か企んでいるような邪悪な物でもない。
それは多分…。
「のぉ、猪瀬殿。其方は只者では無かろう?歩き方、呼吸の仕方が武を修めた者のそれじゃ。無法者達の弾丸を止めたあの技も、並の異能力では無かったからの」
ほぉ、見抜いたか。
蔵人は内心で笑みを深める。
傍から見れば、ただ柔らかいアクリル板とも思える膜のシールド。
だが、彼女はそこに詰まった技巧を見抜いている。
それは、彼女が物知りなだけなのか、それとも…。
蔵人が無言で彼女を値踏みしていると、彼女の笑みが更に広がり、
「其方は何か隠して居ろう。実力か?素性か?それは儂には計りかねる。だがの」
それを手で押さながら、言った。
「その服の下にある物が、其方の異能力であることは、儂でも分かるぞ?」
そうか。そこまで見抜かれているのか。
蔵人は学ランの上から己のEランクの膜を摘まむ。
しかし、この技が分かるということは、彼女は透視能力者か?それとも…。
驚く蔵人の様子を見て、お姉さんの口から再び押し殺した笑い声が漏れる。
「かっか。何故バレたか解せん、といった顔じゃな。良かろう。儂の力を教えてやろう。其方だけに、特別じゃ」
人差し指を立てて、内緒とジェスチャーする彼女は、一瞬だけ年相応の少女のように見えた。
だが、次の瞬間。
彼女の体が揺らぐ。
彼女の足元から、一陣の風が風巻き、彼女の着物の裾を激しく靡かせる。
「儂の異能力はエアロキネシスじゃ。風は、様々なものを儂に届けてくれる。その者の熱、匂い、音、そして、他者の異能力の気配も」
音、そうか。
蔵人はそれで、納得する。
彼女と最初に出会ったとき、遠く離れた彼女が、蔵人達を指さした理由が。
それは、蔵人達がアニキの話をしていて、その内容が彼との親しい間柄を示していたからだ。
それ故に、お姉さんは蔵人達を見て、剣帝さんに話しかけるように仕向けたのだ。
そして、それと同じ様に異能力も感知できるらしい。それがどういった感覚なのかは想像できなかったが、音や匂いと同列で並んでいるということは、五感に似た感覚で分かるのだろう。
そういえば、彼女との最初の邂逅で、自身の体を風が通り抜ける感覚があったなと、蔵人は思い返す。
「(低音)すんげぇ便利な異能力だなぁ。そんなすんごい人が、こんなとこまで付いて来たんは、オラのこの腹の事を聞きたかったからかぁ?」
彼女の異能力が、本当に蔵人の膜を把握していたのだとしたら、彼女がここまで追って来た理由も何となく想像できる。
蔵人の力が、普通の、教科書にあるような使い方ではないから。
その問いに、しかし、彼女は小さく首を振った。
「今日、儂がここまで足を運んだのは、もとよりある人物を探しての事じゃった」
うん?人探し?誰を?
一瞬、それが自分の事を?と考える蔵人だったが、あり得ない。蔵人が今日、砦中に来ることを知っているのは、アニキただ1人だけだ。
蔵人が訝しんでいると、彼女は続けた。
「のぉ、猪瀬殿。其方は、黒騎士という名を知らぬか?」
黒騎士。その名前を聞いた途端、蔵人はほんの僅かに、体に力を入れた。
何故、黒騎士の名前がここで出てくるのだ?
自分を黒騎士と結び付けた?
それは無理だろう。猪瀬と黒騎士の接点は無い。そのための変装なのだから。
だが、では、何故今ここで、黒騎士の名前を出したのだ?
そう、心の中だけで葛藤する蔵人。
だが、
「かっかっか。やはり、知っておるか」
お姉さんが嬉しそうに、笑いを漏らす。
蔵人の、変化とも呼べない心の動きを察するかのように。
いや、実際は、先ほど言われていた風とやらで、蔵人の微妙な変化を読み取ったのだろう。
汗の匂い?それとも、筋肉の弛緩か?
どちらにしても、恐ろしい能力だ。
蔵人は更に、警戒の色を強める。
そんな蔵人に、お姉さんは鋭くも暖かい瞳を向ける。
「其方の魔力の流れはとても澄んでおる。まるで、山から湧出でる清流の如くな。それは、理緒の思い人にも言えること。儂らと同じ覚醒者。そして、恐らく黒騎士とも同じであろう」
やはり、彼女も覚醒者か。
蔵人は納得する。
今まで多くのエアロキネシスに会って来たが、彼女のように使いこなす人を見たことも聞いたこともなかった。
エアロキネシスは、風の刃を飛ばすか、刃で斬りかかるか、己を押すかの三つに一つ。
彼女の風の使い方は、そのどれでもない。
教科書に載っていない、新たな手法。
それを、ディ大佐は覚醒と呼んだ。
「黒騎士に関することは、ほとんど得られん状況じゃ。分かるのは、奴が中学1年生ということ位で、後はクリエイトシールドだろうという推測くらいじゃった」
それは、異能力運営が情報統制をしているからだ。
巻島蔵人という名前は、ごく一部の上流階級でしか知られない名前となっている。
でも、
「ここ最近になって、西濱の名前が耳に入って来た。黒騎士と同じ中学1年の男子で、同じクリエイトシールド。そして、同じ大会に出場していたとな」
その大会とは、つくば大会の事だろう。
あの大会は、黒騎士とハマー軍曹が共演した初めての公式大会。
そして、剣帝選手と出会った大会だ。
蔵人は、目の前の女性を確と目に収める。
恐らく剣帝さんから聞いた情報で、アニキの事を知ったのだろう。
そして、同じように剣帝さんから黒騎士の事を聞き、こうしてアニキが通う砦中を探しに来たのだ。
接点が一番濃い、アニキの周辺を探るために。
剣帝さんを理緒と親しく呼ぶ間柄で、黒騎士を追って田舎の中学校まで来る熱量を持つ人物。
その2つから推測すると、彼女は…。
「(低音)剣聖…」
「なんじゃ?知っておったのか?」
着物女性…剣聖さんが、少し詰まらなそうにこちらを見る。
「少し前まで、特区の外であれば名が知られておらんから、比較的自由であったというに。やはり、世界大会なぞ出るもんでは無かったということかの」
残念そうに呟く剣聖さんに、蔵人は同情してしまった。
やはり、彼女ほどの有名人であると、特区の中では自由が利かないのだろう。
「(低音)大変だなぁ…」
「かっか。だが、そんな事で歩みを止めてはいられん。少しでも広く、我々覚醒者の力を示さねばならんからの」
それは、もしかして技巧主要論の事を言っているのだろうか?
ディ大佐は、彼女にも自分と似たような依頼をしているのだろうか?
それは、大いにあり得る。
強固に蔓延る魔力絶対主義を打破するために、数少ない覚醒者同士が力を合わせて技巧主要論を広めていく。その為に協力者を募っている可能性は高いだろう。
だが、その目的については、何処まで知っているのだろうか?
侵略者の存在まで、彼女達が知っているのか…。
「(低音)何でさ、そげな大変な思いさしてまで、力を示す必要があるんだべか?」
「それはな、この世界に再び、戦乱の兆しがあるからじゃ」
彼女のその物騒な言葉に、蔵人の顔は再び険しいものとなる。
その表情を見た彼女は、一つ満足そうに頷くと、言葉を続ける。
「先の祭で乗り込んできた粗暴者共は、恐らくアグリアの手の者じゃ。あ奴らの様に、今特区の外では無法者共が動きを活発化させておる」
彼女が言うには、アグリアの手の物が、特区の外で勧誘や、テロ行為を頻繁に行うようになっているらしい。
アニキの周りだけかと思ったら、それが全国で起きているのか。
その原因が…。
「奴らは、ここ最近になって海外からの支援を受けているそうじゃ。特に、アメリカやロシアの武器が、秘密裏に日本やイギリスのアグリアへと渡っておるらしい」
アメリカやロシアは、アグリアのテロ事件が日本の比ではないらしく、治安が史実よりも悪いらしい。
それ故に、銃も流出し放題で、それを他国のアグリアに提供しているのだとか。
なるほど。だから、今日の襲撃者達はハンドガンを使っていたのか。
史実の日本もイギリスも、同様に銃規制が厳しい国だ。それは、この世界でも似た状況だと考えられる。
だから、両国ともに海外製の銃を使っていると。
「それ故に、黒騎士殿には我らが道場へ入門してもらいたいのじゃ。我ら覚醒者が力を示し、ランクの良し悪しだけで人は区別できんと示すのじゃ。さすれば、銃で不満を撒き散らすのではなく、己が力で道を切り開くことが大事であると分かるであろう」
熱弁を繰り広げる剣聖さんに、蔵人もしっかりと頷く。
やはり、彼女は技巧主要論の影響を受けている。恐らく、ディさんかその関係者と接触しているのだろう。
だが、アグレスについては知らないのかもしれない。
彼女の目は、本気でアグリアに加担する者達を目覚めさせたいと言う意気込みに溢れている。
考えれば、アグレスなんて言いう国家機密を、ただ覚醒者だからとホイホイ教えるのもいかがなものかと思うからね。
蔵人が1人で納得していると、剣聖さんはこちらをジッと見ていた。
そして、その右手を真っ直ぐに、こちらへ伸ばしてきた。
「どうじゃ?儂と共に、この世界の窮地を救ってはくれぬか?」
「っ!」
何故、こちらに手を向ける?
蔵人は、顔の表情を一切動かさずに、心の内で自問する。
まさか、最初から俺が黒騎士だと分かっていたのか?分かっていたから、ここまで付けて来ていたのか?
いや違う。ならば、始めから詰問すればいいだけだ。彼女はまだ、確信を得られていない筈。それ故に、このような回りくどい方法で、こちらを試しているのだ。
「(低音)なんでオラなんです?黒騎士さ誘うんでなかったかい?」
「何を言うておる。儂は覚醒者である其方を誘っておるのじゃ」
ああ、そう言う事か。
蔵人は安堵する。
別に黒騎士でなくとも、覚醒者であれば見込み有りという事で、誘うつもりだったのか。
納得する蔵人。そこに、
「ふむ。何故じゃ?」
剣聖さんが、疑問を呈した。
「何故、安堵した?」
剣聖さんのその疑問に、
蔵人は息を詰まらせる。
それを見て、剣聖さんは笑みを零す。
「其方の立場であれば、ここは憤るか、更に心を硬くする場面じゃ。黒騎士の代理のような扱いに怒るか、突然の招待に緊張するかと言うのが普通。決して、安堵する場面ではない」
剣聖さんが、蔵人の方へと一歩踏み出す。
「もしも安堵するとしたら、黒騎士と見破られたのかと危惧し、それが思い違いであった。とかであろうか?」
彼女の強い威圧に、蔵人は自然と体を構えてしまう。
それを見て、更に一歩前に出る剣聖さん。
「さて、どのような思いで安堵されたのじゃ?猪瀬殿」
満面の笑みを浮かべる剣聖さんに、蔵人は「ふぅ」と上空に息を吐く。
やられた。
彼女はただ、異能力の技術に優れているだけでなく、人の観察眼も優れている様だ。
かすかに吐いた息の音を拾っただけでなく、その吐いた強弱により、人の感情を聞き分けてきた。
そのように仕向けた、彼女の話術も見事なものだ。
始めから、これを狙って会話していたのだろう。こちらが食いつきそうな話題で、気を逸らしながら。
まさに罠。彼女の術中。
嵌ってしまったのならば仕方がない。罠の中で足掻けば、余計に傷が深くなるだけだ。
「お察しの通りですよ」
蔵人は素直に認め、喋り口調も元に戻した。
その様子に、「そうか、そうか」と満足そうに頷く剣聖さん。
「では、黒騎士殿。儂が示した先ほどの提案、如何様に判断されるか」
先ほどというのは、黒騎士を道場に招きたいということか。
蔵人は頷く。
「確かに、世界各地のテロリズムを不活性化出来るのでしたら、是非協力させて頂きたく思います」
「うむ。では」
「ですが、道場への入門は、少々考えさせて頂きたい」
部活もあるからね。
これ以上タスクを増やすのは、リスクも高まる。
中学生にして、過労で死んでしまうぞ。
蔵人はそう思い、身の保身に走った。
のだが、
「なるほどの。其方の懸念は察する。要するに、我らの道場へ入門する利を見出せんという事じゃな」
うん?いや、そう言う事では無いのだけれどもね。
蔵人が眉を上げている前で、剣聖さんは「それもそうじゃな」と1人納得されている。
「では、その利を直にご覧いただこう」
そう言った彼女の瞳は、楽し気に揺れていた。
どうも、こちらが彼女達の実力を疑っていると取られたみたいだ。
その解釈は、あながち間違ってはいない。
風の噂では散々聞いた剣聖の名前。だが、実際に目にしたことは無い。
剣帝さんも言っていた、その柳生の道場がどの程度のレベルなのか。それが分かれば、場合によっては部活動よりも優先すべき事柄かも知れない。
それを判断する材料として、彼女の力量を示してもらうのは好機と言う物。
決して、世界レベルを体験してみたいという、好奇心だけで判断している訳じゃないぞ!
そう思いながらも、蔵人は嬉々として片手を突き出した。
「でしたら、これなど如何でしょうか?」
突き出した手の先に、自身の体を隠す大きな盾を生成する。
Eランク膜を水晶盾で囲んだ、1枚のランパートである。
ビッグゲームでも数多のAランクと渡り合った盾であり、サマーパーティーでも二条様の攻撃を防いだ盾。
つまり、Aランク上位レベルの攻撃でも、1撃までは耐えられる代物だ。
果たして、Cランクの最高峰である彼女に対して、どこまで出来るのか…。
蔵人が構えていると、真緒さんは一瞬笑顔を見せる。
「ふっ、早いな。流石は黒騎士じゃ」
だがすぐに、表情を消して低く、低く構えた。
携えていた刀の柄に手を置き、鞘を水平に保つ。
抜刀術。
その姿は、妹である剣帝と瓜二つである。
あの、超高速抜刀術が来るのか。
蔵人は嫌な予感がして、自身の周囲にも水晶盾を生成する。
その間にも、剣聖さんの周囲には魔力が、風が集まりだしていた。
彼女は静かに目を閉じ、
「はぁっ!」
目を開けると同時に大きく一歩踏み込み、ランパートを自分の間合いに収めると、
目のも止まらぬ速さで、刀を水平に斬り薙いだ。
ふわりと、蔵人の頬に触れる風。その風が通り過ぎたところを、温かいものが伝う。
そこに手を触れると、その手が真っ赤に染まっていた。
自身の血。
頬が、ぱっくりと切り裂かれていた。
見ると、目の前の水晶盾にも深い傷が入っており、更に、自身に纏わせた龍鱗すらも切り裂いて、皮膚を薄っすらと切り裂いた。
つまり、それは。
ランパートを以てしても、防ぎぎれなかった攻撃ということ。
蔵人の目の前で、しっかりと彼女の攻撃を守り切ったと思われたランパートは、
その上の部分がゆっくりとズレて、真ん中から横一線で断ち斬られていた。
まるで、主を守り切れなかったことを嘆くように、頭を垂れた盾は、儚く散って消えて行った。
「おっと、済まぬ。男の柔肌を傷つけてしまったの」
消えゆく城壁の向こう側に見えた人影は、体を起こす剣聖さんの物だった。
「主の盾、相当な練度じゃったからの。手加減など出来んかったわ」
こちらに向く彼女の顔は、再び笑顔を携えている。
だが、その笑顔は先ほどの物に比べて、余りにも鋭く見える。
よく言えば勇ましい戦士の顔、だが悪く言えば、覚悟を持った人斬りの顔。
どちらにせよ、見るだけで鳥肌が立ち、その場を直ぐにも飛び立ちたくなる顔であった。
それでも、
「とんでもない。これは私が未熟者であったが故です」
蔵人はゆっくりと、その笑顔に首を振る。
全く動じないその様子に、剣聖さんは笑みを濃くする。
「そうであろうの。黒騎士ともあろう者が、その程度で気分を害しはせん。いいや、寧ろ…」
剣聖さんが真っ直ぐに見つめる蔵人の顔には、彼女と全く同じ笑顔が浮かんでいた。
「主も儂と同類。強き者を前にしても、退くことを知らず、負けることを厭わず、只々猛き炎の如く燃え上がる武士よ」
剣聖さんは、再び蔵人に向けて構える。
「さぁ、来い、黒騎士。主も計りたいじゃろ、儂とお主の差を」
私と戦い、その真価を見せ合うぞ!
彼女の瞳の灯る、危険な色の炎を前に、蔵人は、
「望むところ」
己が欲を隠さずに、吐露する。
蔵人は眼鏡を外し、学ランの胸ポケットに入れると、その上着ごと地面へ放る。
体を覆っていた脂肪も引っ込めて、代わりに小さな盾で急所を覆う
龍鱗、タイプⅠ、半身鎧スタイル。
「桜城学園中等部1年、クリエイトシールドCランク、巻島蔵人」
名乗る蔵人。
それに応じて、構えを深くする剣聖さん。
「冨道学園高等部2年、新陰流免許皆伝、柳生真緒。いざ…」
剣の柄に手をかける真緒さん。
蔵人も両手に盾を纏い、
「いざ、尋常に…」
彼女の目線を受け取る。
「「勝負!」」
瞬間、二つの獣が飛び出した。
アメリカやロシアはテロが多いと聞いていましたが、それが日本にも影響しているとは…。
「そのテロの大部分が、アグレスによるものなのだろう。アグレスが活発化するだけ、特区の高ランク達はそちらに手を取られてしまい、アグリアにまで手が回らなくなるのだ」
それで、アグリアが無法状態となってしまい、銃の密輸もやり易くなっているのですね。
それを憂う剣聖さんとの勝負が始まりました。
果たして…。