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21話〜お前は俺が倒す〜

昼休憩を挟んだ後、準決勝が始まった。


『百山小学校所属、巻島蔵人!』


蔵人が手を上げると、拍手の雨が降り注ぐ。

小雨よりは強い程度の雨だが、昨日までの応援と比べると随分と強くなった。


「蔵人く〜ん!頑張って!」

「相手が優勝候補だからって、ビビるなよ!」


何人か声援を飛ばしてくる人もいる。

勿論、知らない人だ。今までの戦いでファンになってくれたのかな?嬉しい限りだ。


『神奈川県私立麗鈴女子小学校、白虎(びゃっこ)会所属、日向華瑠羅(ひうがかるら)!』


放送された名前に、蔵人はおや?と首を捻る。

白虎という名前に、ひうが…ひなた?それって…。

だが、蔵人の思考は、破裂するような爆音に塗りつぶされてしまった。


「「「うぉおお!!おじょぉおお!!」」」

『ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!』


男達の怒号と、和太鼓の音が地鳴りの様に鳴り響く。

そちらを見ると、真っ黒スーツに鋭い目付きと、大きな切り傷を頬に刻んだヤバめの方々がいらっしゃ…あっ、目を合わせちゃいけない人達だ。


「うるせぇぞ!!てめぇら!!」


そんな怖い人達に向かって吠える、1人の小柄な少女。夜空のような黒い髪を肩まで伸ばし、整った顔をしているだろうその美顔は、今はくしゃくしゃに歪められ、縄張り争いをしているライオンの様であった。

彼女の一吠えで、シュンとなる怖いおっさん達。


お嬢…ねぇ。アイドルの次は、アッチ系のお嬢様か。どうなっているんだ、この業界。

蔵人は遠い目をする。

そんな蔵人を見た日向さんは、蔵人を睨み付けて一言、吐き捨てる。


「ちっ、男かよ。つまんねぇ」


睨み付けると言うより、冷たい目。もうお前に興味は無いよ。そう言われている気がする。

それでも、構えは解かない。ヤルことはきっちり()ってやる。そういう意思まで伝わって来る。

そんな剣呑な雰囲気の真ん中で、主審が蔵人達の目の前まで手を下げて、一気に振り上げる。


「始め!」


開始の合図。

と同時に、蔵人に急接近する日向さん。

あまりの素早さに、蔵人は一瞬、瞬間移動かと錯覚してしまう程だった。


蔵人が見せた僅かな隙に、両手を振り上げる日向さん。獣の様に鋭利な爪を魔力で生成し、その手のひら一杯に広げる。それを、蔵人に向かって勢いよく振るい下ろしてきた。

蔵人は、すぐさま盾を生成。彼女との間に3枚の鉄盾を滑り込ませる。

だが、


彼女の爪が触れただけで、1枚目の鉄盾が裂けてしまった。2枚目も貫通!3枚目で漸く止まるも、盾は大きくひしゃげてしまって、もう持たない。

蔵人は、急いで鉄盾を生成、合成し、水晶盾を作り上げる。丁度その時、拮抗していた3枚目の鉄盾も砕け散り、彼女の爪は作ったばかりの水晶盾を叩いた。

ギギギギッと言う金属同士がぶつかる不協和音が響く。

だが、水晶盾は砕けない。


「おっ、結構頑丈じゃねえか」


日向さんは口元を少し歪め、両手で盾を潰そうと力を入れ始めた。


「へぇ、こりゃあ、ちっとは楽しめそうか?」


そう言いながら、水晶盾にダメージを与え続ける。

振られる一振りごとに、金属音が高く、重くなってきている。


まさか、Cランクの盾が破られるのか?

蔵人は目を見開く。

相手の魔力はDランク。そして、今の動きや攻撃方法から、恐らくブースト系異能力者だ。それなら、水晶盾どころか、鉄盾でも対応出来るはず。

なのに、なぜ水晶盾すら砕かんとする力が出るのだ!?


「おらぁあ!」


日向さんが両手の指を真っ直ぐに伸ばして、それを思いっきり盾にぶつけると、爪の先端が盾を食い破った。そして次の瞬間には、水晶盾すら砕け散った。

蔵人は急いで、もう1枚の水晶盾を出す。

だが、


「同じ事やっても、つまんねぇんだよ!」


日向さんは急旋回して、盾の横から回り込んで来た。

そのギラギラと輝く目が、蔵人を捉える。


「ほぉら。見つけた」


三日月に曲がる彼女の双眼。獲物を補足した獅子の様。

その両爪が、無情にも振るわれる。

だが蔵人は、彼女の両爪が振るわれる直前、水晶盾を素早くスライドさせて受け止める。

勢いよく振るわれた爪は、盾によって弾かれた。


「ちぃい!」


悔しそうな日向さん。

だが、蔵人は不思議に思った。

先程の攻撃が、あまりにもお粗末だったから。


いや、そう言うと語弊がある。

他の攻撃、爪の攻撃や急接近、急旋回があまりにも見事だったから、急旋回後の攻撃がお粗末に見えただけだ。他のDランクと比べたら、十分に速い攻撃である。

でも、この子ならもっと速く攻撃に移れたのでは無いのか?それとも、攻撃に移れない何かがあるのか。

蔵人は水晶盾越しに、日向さんの姿を観察する。それを嫌がるように、彼女は両手を振り上げる。


「しゃらくせぇ!」


振るわれた彼女の猛撃に、水晶盾は数秒で食い破られる。

蔵人は、こちらへと迫り来るその爪を、直前でバックステップして避けた。

すると、ワンテンポ遅れて日向さんもそれを追従する。

だが、盾で移動をサポートしている蔵人は、攻撃される直前に体を移動させ、その爪をギリギリで避けて見せた。


振り下ろしの隙に、彼女と数歩分の距離を取る蔵人。

すると、また日向さんはワンテンポ遅れて動き出す。

わざと動き出しを遅くしている…訳ではない。

もしかしたらこの子…。


「ちょこまかと、うぜぇんだよ!」


日向さんが突っ込んで来る。だが、蔵人は避けるつもりは無かった。盾も出さずに、大きく構える。

それを見た彼女の目が、冷たくなった。

魔力が切れたのか?ここまでの奴だったか。

そう聞こえてくるような、彼女の表情。

試合開始時。詰まらなさそうだった彼女の顔が、再び浮上した。

終わりだ。

そうとでも言うように、冷酷に振り上げられた5本の刃が、蔵人へと振り下ろされた。

だが、


ガキンッ!


金属同士がぶつかる甲高い音が、会場中央で響く。

彼女の爪は、弾かれてた。

水晶盾で厚く覆われた、蔵人の拳によって。

今度は、日向さんの目が見開かれる。

初めて、蔵人の反撃を喰らって驚いていた。


蔵人はチラリと、会場に設置されたデジタルタイマーを目端に捉える。

長い、1分だった。


「ふっ!」


蔵人は、水晶盾で覆われた拳を振り抜く。


「くっ!」


日向さんは、それを爪で受けるも、威力を殺しきれず後退りを、


「なめんなぁ!」


しない。

返す爪で、蔵人の急所を狙ってくる。

だが、それも蔵人の拳で相殺される。


「おらぁあああああ!」

「がぁるぅううああ!」


蔵人の拳と日向さんの爪が、幾度も、幾重にも混じり合う。

会場中央での、高速の撃ち合い。

あまりに速くて、殆どの観戦者は鍔迫り合いが見えない。

見えないが、


「「「うおおおおおお!」」」


湧く会場。

尋常じゃない出来事が起きていることは、一目瞭然であった。


「「おじょおおおお!」」

「「蔵人ぉおおおお!」」


両者の名を呼ぶ声で、会場中が震える。

降って湧いた激闘に、観客の誰もが総立ちとなる。

そんな中でも、2人は周囲の様子に気付かずに、ただ拳の嵐を吹き荒らし続ける。


「くっ、は、ははははは!」


蔵人が、嗤う。

傷付けたらどうしようとか、負かして泣かせないかとか、そんな思考はとうに消えていた。

ただこうして、真剣に戦える今が、心底楽しかった。


「ひぁははははははははは!」


日向さんも嗤う。

口元は大きく弧を描き、目は血走っている。


撃ち合う度に、彼女の努力と工夫が拳に伝わってくる。

Dランクという、決して恵まれていない魔力量を如何に上手く使うか。それを考え、行き着いた先が、ここだ。

一点に集中して、威力を高める。


今、蔵人も日向さんも、己の手にCランク並みの魔力を込めている。全魔力を集中しているから出来る芸当。だから日向さんは、移動した後の攻撃に隙が出来ていたのだ。魔力を移動させるのは、まだまだ訓練不足のご様子。

それ故に蔵人は、止まっての撃ち合いを仕掛けている。彼女の全力を、この手に受け取る為に。

もしかしたら、試合終了まで撃ち合うのか。

蔵人がそう思い始めたその時、終焉は唐突に訪れた。


蔵人の拳が、日向さんの爪を食い破り、彼女のお腹に深々と入った。

見ると、日向さんの爪には、もうブーストが掛かっていなかった。

魔力切れ。


「ぐっ!」


くぐもった声が、日向さんの口から飛び出す。それと反対方向に、彼女の体は会場の壁まで吹き飛んでいった。


「そこまでっ!」


審判が慌てて駆け寄って来て、蔵人に手を差し出す。

蔵人の方を真っ直ぐに見て、声を上げる審判。


「勝者、巻島くら…」

「まだだぁ!」


大きな声が、審判の声を遮った。

そちらを見ると、お腹を抑え、よろよろと立ち上がった日向さんの姿があった。


「まだ、おわっ、ちゃ、いねぇ!」


彼女は苦しそうに言葉を吐き出しながら、1歩、1歩と、弱弱しい歩みを進めた。

だが、数歩歩いたところで足が止まって、(うずくま)ってしまった。

蔵人の盾付き鉄拳をモロに喰らったのだ。立てるだけ凄い、と言うより脅威だ。

そんな彼女の元に救護班が駆けつけ、医務室に連れていこうと担架に乗せられる。


「離せ!俺はまだやれっ…つぅ…」

「大人しくしなさい!骨が折れて、臓器を傷つけているかもしれないのよ!」

「知るかぁ…俺は、まだ…おい、蔵人。こんなんで終わりじゃ、ねぇぞ。おい、蔵人!待ちやがれ!」


待てと言われても、遠のいているのは君の方なんだけどね。

蔵人は、担架で運ばれながらも、ギラギラした目を向け続ける日向さんを見送りながら、そう思った。




準決勝が終わり、蔵人と柳さんはホテルまでの道を歩いていた。

ホテルに着くまで、柳さんからは、今日の試合が如何に危険であったかを諭され、彼女が不安で仕方がなかった事を陳情された。

色々とご心配をおかけして、申し訳ない。

蔵人がそう言って取り繕っても、なかなか柳さんの機嫌は直りそうになかった。

それだけ、自分を心配してくれたという事だろうけれど、今日の試合はそれ程ギリギリの勝負ではなかったと思う。

柏レアルの方が余程ギリギリの勝負であったと、蔵人は思っていた。


そうこうしている内に、ホテルに着いた。相変わらず、ロビーは広くて煌びやかだ。

早速、部屋に帰って明日の予習をしなければならない。柳さんも、明日の事を考えれば機嫌を直すかもしれないし。

そんな楽観的な事を考えていた蔵人の元に、誰かが歩み寄って来た。ホテルの人間ではない。スーツをピシッと着こなした、1人の女性だ。


「初めまして、巻島蔵人さん。少しお時間を頂けませんでしょうか?私はこういう者です」


そう言って、柳さんに名刺を渡す。

柳さんの顔が、若干緊張している。

このスーツ姿の凛々しい女性は誰なのだろう?

そう思っていると、柳さんが名刺を蔵人に渡してくれた。


なになに…小林愛子さん。愛堂プロダクション人事部、エグゼクティブマネージャー…。

蔵人が名刺に視線を落としていると、頭上から声が降ってきた。


「本日の3回戦、三島との試合を拝見させて頂きました。巧みな異能力捌きに加えて、あっと驚くような演出。ほんの数分間で観客を魅了した貴方には、アイドルとしての類稀(たぐいまれ)なる素質が眠っていると感じました。是非、我々と一緒に、その才能を育ててはみませんか?私達は男性アイドル事業に力を入れている事務所でして、国民的アイドルのステップステップも所属しています。そのステップステップですが、先日、小学生だけのユニット、アニマートを結成しました。是非その初期メンバーとして、蔵人さんをお招きしたいのです。お子さんなら、きっと一躍有名スターになれますよ」


小林さんが静かな声で、だが、熱っぽく語る。

勿論、語る相手は蔵人2割、柳さん8割だ。柳さんを母親とでも勘違いしたのか、お子さんは素晴らしい才能ですと押しまくる。

何かの間違いかと思ってしばらく話を聞いていたが、結局、蔵人をアイドルに誘いたいと言う話だった。


異世界でアイドル紛いの活動をしていた時期はあったが、こうして正式にスカウトされたのは初めてだった蔵人は。少し新鮮な気分を感じていた。

そう思っていると、柳さんが心配そうな顔で見下ろしているのに気付いた。

蔵人は、それに苦笑いで返し、小林さんを見上げる。


「大変名誉ある申し出であり、喜ばしくあります。ですが、残念ながらこのアイドルと言う道は、私が進もうとしている方向とは異なります。お話、大変有難い事ですが、今回は…」


蔵人がつらつらとお断りの言葉を述べるのを、最初は呆気にとられた顔で迎えていた小林さん。だが、直ぐに気を立て直して、蔵人の言葉に自身の言葉を重ねる。


「今すぐにご決断を頂くのは、確かに時期尚早でした。申し訳ございません」


蔵人の言葉を遮って、小林さんが蔵人に向けて頭を下げた。

最後まで言われてしまうと、ここで縁が切れるとでも思ったのだろう。

そして顔を上げると、獲物を狙う狩人の目をこちらに向けて、彼女は言った。


「今回は御挨拶をと思い、お声がけさせて頂きました。また別の機会にでも、お話させて頂けたら幸いです。本日は、お忙しい中にご対応頂きありがとうございました。失礼致します」


一息にそう言うと、柳さんに何か紙袋を渡して、風のように消えていく小林さん。

呆気に取られた蔵人達は、少しの間ロビーで突っ立っていたが、やがて2人で顔を合わせて笑い、部屋に戻った。


紙袋には、愛堂プロダクション所属アイドル達のお菓子や文房具、団扇等の記念品等が詰まっていた。三島さんくらいの小さな子ばかりじゃなく、中高校生くらいの男子アイドルや、大人の男性アイドルも数多く手がけている様だった。

どうも、会社の社長は女性らしいので、史実にあった某アイドル事務所みたいなことにはならなさそうだ。

…であっても、入らないがね。


それからは、明日の試合の為に、相手の研究等をしていた。

日向さんとは違い、次の相手は初参戦らしいので、相手がソイルキネシスの上位ゴルドキネシス使いである事くらいしか分かっていなかった。

なので、C、Bランクのマスタークラスで、それに近い異能力戦を見て研究していた。


そうして、柳さんとあれやこれや議論していると、ドアがノックされた。

ルームサービスかと思って出てみると、目の前にはスーツ姿のヤバいおじさんが立っている。

えっと、もしかして、カチコミ?

蔵人が思考を戦闘モードに切り替えようとしていると、おじさんの足元から唸り声が響く。


「おい、何処を見てる。こっちを見ろ」


声の方を見ると、そのおじさんの足元にもう1人いた。

おや?


「もう治ったんですね。良かった」

「おう。あれくらいなんて事ねぇ。日常茶飯事だ!」


そう言って口元を歪めたのは、蔵人に腹を殴られた日向さんだった。

彼女の言う通り、その姿はピンピンしていて、完全回復しているのが服越しでも分かった。

ヒールの異能力か。便利なものだな。


しかし、日常茶飯事ね。それだけ、日々戦いに明け暮れているのだろうか。

と、そこで蔵人は疑問に思った。彼女は何をしに、ここに来たのだろうかと。

準決勝で負けて、あれだけ啖呵を切っていた彼女が、完全回復した今、何をしに来たのか。

……まさか。

蔵人は嫌な予感がして、顔が強張る。


「もしかして、ここでやろうって事か?」


試合の続きをするぞ!って事で来たんじゃないだろうな、この脳筋娘は。

会場と違って、ここにはサポート系異能者がいない。回復は勿論、テレポートでの病院送迎も望めない現状では、彼女との戦闘は本当の流血沙汰になってしまう。

しかし、日向さんは呆れた様に首を振った。


「んな事するか。お前、どんだけ俺と戦いたいんだよ」


なんだ、違うのか。

蔵人は、自分の肩から力が抜けるのを感じた。

だが、そうだとしたら、なぜこの娘は来たのだろうか。

蔵人は、日向さんが来訪した理由が余計に分からなくなった。

なので、彼女を見つめる。すると、


「あー…っと、そのだなぁ…」


日向さんは、少しバツの悪そうな、何か煮え切らない様子となった。

攻め攻めオラオラ系の彼女にしては、珍しい態度だ。

だが、すぐに鋭い視線を蔵人に投げかける日向さん。


「お前は俺が倒す。だから、明日はぜってぇ勝てよ!」


ああ、そういう事か。

蔵人は日向さんが何をしに来たのか理解出来て、安心した。

つまりは、激励に来たのだ。強めの言葉を使っているのは、照れ隠しのつもりだろう。

そう推測した蔵人は、ただ小さく頷いた。


「ありがとう。勝つよ、必ず」

「ふん、当たり前だ。あ、後な…」


まだ、なにかあるのか?

再度モジモジし出した日向さんに、不安を覚える蔵人。

やがて、諦めた様な顔になって、日向さんが呟く。


「今回は俺の負けだ。試合の後に色々言ったが、忘れろ」


ああ、そうか。多分、本当はそれが言いたかったのだろう。

確かに色々言っていたが、骨折れてるのに元気だなぁ。くらいしか思っていなかったんだけどね。

蔵人は微笑んで、それに答える。


「うん。いい試合だった。久しぶりに本気が出せたよ」

「ああ、そうだな。俺も久々に楽しかったぜ!またやろうな!」


そう言って、彼女は心底嬉しそうに笑った。難しそうな顔ばかりを表に出していた、彼女の初めての笑顔。

おお…。

蔵人は、少し驚く。

だって、余りにも、


「ああ?んだよ、変な顔しやがって」


訝しそうな彼女に、蔵人は微笑み、答える。


「ああ…いやぁ。日向さん、笑うと凄く可愛いんだぶはぁっ!」


蔵人が全部言い切る前に、言葉は拳で粉砕された。


「なっ、だっ、誰がっ、可愛いだ!バカヤロー!」


顔面にストレートが突き刺さり、蔵人は弧を描いて吹っ飛んだ。

またヒロイン候補ですか?

あまり増やすと、刺されますよ?


主人公は、あまりアイドルには興味がなさそうですね。

きっと、拘束されて、バグ探索に行けなくなるからでしょうね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 嫉妬は本気の恋の証。刺されるときは甘んじて受けて頂きたい。別に死んで欲しいわけではありませんが。
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