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211話~蔵人君…実は…~

新章スタート。

しましたが?

体育祭が無事に終わり、翌日の日曜日は完全なオフであった為、一日を有意義に過ごした蔵人。

ちょっとやり過ぎて、体の節々が軋み出している状態で、月曜日の朝を迎えた。

今日は通常の登校日。午前中は、体育祭の片付けや反省会をすると聞いている。

片付けと言っても、各々の私物や作成した備品を回収するだけで、お掃除やグランドの整備などは、学校のスタッフさん達がやってくれているらしい。

なので、反省会が主になるだろう。

蔵人達の東軍は優勝までしているので、反省よりもお祝いの意味合いが強いかも知れない。


本当に、大盛り上がりの体育祭であった。

優勝できた東軍は勿論の事、どのチームも力を出し切り、協力し、実に清々しく誇らしい勇姿を見せてくれた。

出来る事なら、全ての生徒に表彰の言葉を賜りたい物だが、世の中そんな風には出来ていない。

兎にも角にも、1つのビックイベントが盛大に成功し、学校内の活気が最高潮であろうこの時点での登校を、蔵人はそれなりに楽しみにしていた。

のだが、


「坊っちゃま。本日はお休みになられた方がよろしいかと思います」


柳さんに止められてしまった。

どうして?


「今日は、その…た、台風になるかもしれませんよ!」


そう言う柳さんだが、窓の外は見事なまでの快晴だ。まだ台風が接近していないからだと言われても、気圧の変化も無さそうだし、台風が近づくにしては穏やか過ぎる天気である。


蔵人は、柳さんの言動に訝しみながら、テレビのリモコンを手に取る。この時間なら何処かのテレビ局で天気予報が流れているだろう。

そう思ってボタンを押す蔵人。

だが、テレビが付かない。

電源ボタンの所が緑色にならない。それどころか、光自体が消えている。

どうやら、電気自体が来てなさそうだ。多分、電源ケーブルが外れているとかであろう。


直すのは簡単。

そう思った蔵人がテレビの裏に回り込もうとすると、しかし、またしても柳さんがテレビとの間にインターセプトして、蔵人を阻んだ。


「て、テレビは、故障してしまいました」


故障と柳さんは言うけれど、彼女はこちらを全く見てくれない。なんなら、朝から一度も目を合わせてくれない。

明らかに、蔵人との対面を避けている。まるで、見透かされるのを恐れるかのように。

これは、もしかして。


「柳さん。流子さんから何か言い使っています?」


流子さんから、何か指示が出ているのではないだろうか?

例えば、急遽蔵人を呼び出せとか。誰か家に訪問させるから、蔵人を在宅させる様にとか。

そう考えた蔵人だったが、柳さんはしっかりと首を横に振る。


「いいえ。流子様からは何も」


そうか。違うのか。

今の柳さんの表情からは、少し自信が見て取れる。嘘を付かなくてもいい事に安堵した。そんな表情だ。

つまり、本当に流子さんから指示は出ていない。他の誰かに指示を出された可能性すら無い表情だ。

と、言うことは…。


分からん!情報が少な過ぎる。

蔵人は1つ息を吐くと、机に向かう。


「兎に角、学校には行かせて頂きますよ、柳さん。俺には義務教育を受ける権利がある」


片腕を飛ばされたり、軍人から脅されたりしているけど、まだ中学生なんだよね。

義務教育中だから、本人の意思があれば阻むことは出来ない。


「…分かりました」


柳さんは少し思案した後、諦めた様に朝の支度をしてくれた。

柳さんが突然起こした謀反、という訳でも無さそうだ。

恐らく、俺の為にやってくれている事なのだろうが、向こうから話してくれるまでは待とう。

そう決める蔵人だった。



可笑しな様子の柳さんだったが、それは彼女だけではなかった。

校門の近くを通れば、何時もは目の色を変えて近づいてくる学生達が、今日は遠目で蔵人を観察するだけに留まっている。

まるで、入学当初の彼女達みたいだ。

体育祭で暴れすぎて、蔵人株が暴落でもしたのかと思ったのだが、試しに彼女達の方へ手を振ると、ちゃんと手を振り返してくれる。

でも、やはり距離がある気がする。


これが、体育祭効果か。

こいつはなかなか良いなと、蔵人は笑みを深くしながら教室の扉を潜る。

すると、そこでも同じような状況が広がっていた。

蔵人が扉を開くと、教室の喧騒がピタッと止み、クラスメイト諸君が一斉にこちらを振り返ってきた。

いつも通りに注目してくる彼女達だが、いつもみたいな積極的過ぎる挨拶が無い。

普段、我先に蔵人へダッシュしてくる彼女達は、今はおはようと手を振るだけに留まり、その顔には薄く貼り付けた様な笑みがあるだけだった。


この距離感はなんだ?

彼女達との溝は、本当に体育祭だけが原因なのか?

少なくとも、この子達は自分の実力を知っていた筈だ。間接的ではあるが、夏休みでの活躍を知っている彼女達であれば、体育祭時にやり過ぎた事などで引くとも思えない。

故に、このマリアナ海溝のように深い溝が、体育祭だけで形成されたとは考えにくい。


蔵人はそう、頭の中で推測しながらも、表情は至って穏やかに取り繕い、自分の席に着く。

着いた瞬間に感じる、蔵人に向かう10個の目。

若葉さん、桃花さん、本田さん、白井さん、林さん。

どの目も心配そうに、蔵人を見つめてきた。

何時もギリギリ登校の白井さんと、部活の朝練で忙しい本田さんが、既に登校しているのも普段とは違う。

まだ、朝のホームルームまで30分近くあるのに。

それは、クラスメイト全員に言える事。

こんな朝早くなのに、既にクラスメイト全員が揃っている。


奇怪。

珍妙。

摩訶不思議。

朝から可笑しい事だらけだ。


「この状況、如何に?」


蔵人は、真っ直ぐに若葉さんを見る。

クラスの中で、いや、この世界で一番信頼している彼女に、答えを聞こうとする。

しかし、若葉さんは蔵人の目を見ると、途端に目を伏せてしまった。

おいおい。まさか、君までか?

これは、新手の異能力攻撃を受けているッ!と蔵人が危惧していると、若葉さんは直ぐに顔を上げてくれた。

だが、何か話し出そうとして口を開くも、声は出ないままに口が半分閉じる。

言いたくない。でも、言わなくちゃ。

彼女の葛藤が聞こえる様だ。


本当なら、蔵人は若葉さんを止めてあげたい。

もういいよ。無理には話さなくていいよと、許してあげたい。

だが、済まないな、若葉さん。

知りたいのだ。知らなければならないのだ。こうもみんなが可笑しくなる原因を。

ここまでの影響がある事柄を放置すれば、必ず後で響いてくる。

取り返しの付かない事が、起こるやも知れないのだ。


頼む、若葉さん。

蔵人の心の声が聞こえたかのように、若葉さんの表情が凛々しく、覚悟を決めたような顔になる。


「蔵人君…実は…」


若葉さんの声に、クラス中の視線が集まるのを感じる。

だが、次の言葉で、そんな視線の事なんて忘れてしまった。


「君…炎上しているよ」

「…えっ?えん、じょう?」


蔵人は目の前が黒く、暗く、見えにくくなった気がした。

いや、見える。

鮮明に、煌々と、ユラユラと。

月明りだけの夜陰を、切り裂くように天へと上がった真っ赤な明かりが、目の前に見えた気がした。


〈◆〉


いつもは意気揚々としていて、苦しい試合の中でも何処か余裕そうな蔵人君が、今は揺らいでいる。

視線が彷徨い、足元が覚束無くなって、机に手を着いた。

それだけの衝撃を彼が受けたのは、当然の事だと思う。


炎上。

それはネット用語で、強烈なバッシングを受けている事。

特定の人物や物事に対し、不特定多数の人間が掲示板等に書き込み、溢れ、パンクする事を言う。

要は、悪口を四方八方から投げつけられている状態だ。

蔵人君が炎上している原因は、とある情報誌からもたらされた、1つの記事が発端だった。


〈先日行われた中学ファランクス競技大会、通称ビッグゲームにおいて、黒騎士と呼ばれる選手にドーピングの疑惑が浮上している。黒騎士選手はCランクとして登録された男性の選手となっている。それにも関わらず、Aランクの選手と対等に渡り合ったり、1度に複数の選手を倒すなど、通常では考えられない活躍を見せた。これには、有名な世界ランカーも「黒騎士は異常だ。何かズルをしている」と強い疑念を表しており、大会を実際に観戦した人からも「CランクがAランクの選手を倒すのは異常であり、(不正が)ないとは言えない」「挙動も怪しかった。シールドの出来る動きにはとても見えなかった」「もしも(不正が)本当なら、異能力界からの追放は避けられないだろう」等と言った、黒騎士選手を疑問視する声が多数寄せられている。このように、異能力業界を騒がせる黒騎士選手だが、異能力大会運営には本件の真実を説明する義務が生じている。場合によっては、警察も動く可能性があり、世間からも厳しい目が向けられている〉


この記事は、先週末に文化書店が発行した、週間文化のとある記事の一部分だ。

週間文化とは、結構有名な情報週刊誌であり、様々な分野の特ダネをいち早く載せる為に読者もそれなりに多い。

そんな週刊誌の見出しの1つに、黒騎士の暴露情報が載った。


勿論、ガセネタだ。

蔵人君がドーピングなんてしている訳ないし、もしも誰か1人でもそんな事したら、一発で大会運営委員会にバレる。

競技開始前には、みんな厳しい精密検査を受けているから、そこで明るみに出ない訳が無いのだ。


寄せられる疑問の声も怪しい。オリビアさんの発言も、蔵人君と戦う前の一言を切り抜いた物だし、観客達の声も、悪い物をピックアップしているだけだ。

それを集めて、さもそんな声ばかりが上がっている様に見せているだけ。


そんな事も知らないのか、ネットではこの話題が広がった。

初めは、みんな〈黒騎士って誰?〉という書き込みが多かったが、黒騎士をよく知る人も現れて、次第に批判的な声が増えだした。


〈中学生でドーピング?有り得ないでしょ?〉


〈でも、相当強かったらしいよ。その黒騎士って〉


〈CランクなのにAランクを倒したって書いてあるし〉


〈それだけじゃありませんわ!黒騎士様は一度に10人近くの選手を倒しました!〉


〈なにそれ?マジでドーピングやってんじゃん〉


〈低ランクが高ランク倒せる訳ないもんね。ギルティだ、こりゃ〉


〈一気に複数人やったってのも怪しいね。多分買収してんじゃない?そいつ〉


〈そんな事してません!この記事自体がインチキですわ!〉


〈そもそもさ、いくらドーピングしたって、CランクがAランクを倒すなんて出来ないぞ?陸上競技じゃなくて異能力格闘技なんだからさ。ちょっとは考えろよ〉


〈お前は全部のドーピング知ってんのかよ?自分の知識だけで喚くお前が考えろよ〉


〈信者様達、顔真っ赤っかじゃんw〉


〈うわ、マジかよwwドーピングだけじゃなくてワイロとか、中学生で終わっとるwww〉


〈どうせ有名財閥のお嬢ちゃんでしょ?そいつ〉


〈名前は分からないけど、男って書いてあるよ?〉


〈はいダウトぉ〜。男の訳ない〉


〈男って言って活動する奴なんて、このご時世に幾らでもいるからね〉


〈ネットアイドルの鬼龍君とかね〉


〈アイツは許せん!私の投げ銭全部返せ、詐欺師!〉


〈とにかく、男って言っとけば許されると思っていたんでしょ。そいつ〉


〈悲報︰黒騎士氏、罪状が増える。ファランクス競技規約違反、賄賂罪、詐欺罪〉


〈豚箱確定で草生えるwww〉


〈いや、中学生らしいから少女院でしょ〉


〈どっちも一緒www〉


こんな下らない論争が、ネットの至る所で散見しており、一部のテレビでも取り上げられる様になってしまった。


馬鹿らしい。本当に、馬鹿馬鹿しい。

根も葉もない噂に、いい大人達が翻弄され、情報を吟味もせずに、ただ批判中傷を繰り返す。

こんな者は、大人じゃない。人間ですらない。ただ吠え散らかすだけの駄犬だよ。


それでも、その声は大きく、恐ろしい。

言葉は武器だ。強力な兵器だ。

人を動かし、脅し、時に殺してしまう事だってある。

銃や異能力よりも恐ろしい、凶器なんだ。


そんな物が至る所から振りかざされる蔵人君は、今、憔悴しきっている。

私が守らないと、この人を。

情報は私の得意分野なんだから。

若葉はそう思い、宙に浮いていた手をグッと握りしめる。


「蔵人君。大丈夫だよ。私は…私達は味方だから」


若葉の言葉に、蔵人君は伏せていた顔を上げる。

いつも凛々しい目を更に鋭利に尖らせて、何処か遠くを見るような目で、向こうの雲を眺めている。

何か、小さく呟いた。

うん。何だろう?


「本能寺…上総守様…」

「えっ?信長?」


上総守護とは、信長が朝廷から賜った官位だったはず。

本能寺で信長、そして炎上。

もしかして…


「それって、本能寺の変?蔵人君、炎上って、本当の火事だと思ってる?」

「えっ?あれ?そう言ってなかったか?」


図星だった様だ。

困惑した表情をする蔵人君。

若葉はブンブンと、首を振る。


「違う違う!ネットの事だよ!」

「えっ?ああ、そうか。そりゃそうだわな。何故か俺、炎上と聞いた途端に、本物の火事が思い出されてしまって…」


心底安心した風に言って、蔵人君は笑った。


「良かった。俺はてっきり、自分の家で火事があったのかと想像してしまった」


柳さんが無事で良かったと、蔵人君は心底安心した様に吐息を吐いた。


いや、全然良くないよ!

若葉は現状を話して聞かせる。

炎上とは厄介な物だ。なかなか消えないし、何時までも付きまとう。

もしかしたら、今後の大会に影響するかもしれない。


でも、蔵人君は顔色1つ変えずに「確かにな」と言うだけで、先程までの深刻そうな表情をすっかり崩してしまった。

事の重要性を分かって無いのだろうか?

若葉が心配すると、蔵人君はしっかりと頷いた。


「大丈夫、分かってはいるさ。ネットでの炎上は、人に寄っては一大事だからね。デジタルタトゥーは殆どが消えることの無い厄介な物だ。酷いものだと人生を狂わせて、人を死に追いやる事もある。それは理解しているよ」


一大事。

そう言いながらも、とても涼しい顔で語る蔵人君は、何処か自分の事と捉えていない気がする。

テレビの向こう側の出来事を、まるで茶の間からお煎餅食べながら鑑賞している。そんな雰囲気を感じてしまう。


若葉が感じたそれは、他の人も同じ様に感じたようだった。

桃花ちゃんが、焦って声を上げる。


「でも!蔵人君、警察が動くかもって、記事には書いてあるよ!?」

「事件性があればって事だよ。証拠も何も無い状態では、動く事は無いよ。そうだろう?」


蔵人君がこちらを見て、確認する。

若葉は、静かに頷く。

週間文化は、普段から情報が早く、驚く様な記事をすっぱ抜く。

でも、その分ガセネタを掴むことも多いんだ。

芸能人の浮気とか、官僚の汚職とかは高い確率で当てて、休業などに追い込んだりする。

反面、他国のスパイ疑惑とか、男装女子疑惑などの不確定要素が多いものは、後でそれがデマであったと発覚する事も珍しくなかった。


今回の文化砲は、正しく後者。

蔵人君の証拠を掴んでいる訳でも無く、何処かの誰かから聞いた話を繋げて膨らませて面白おかしく作り上げた可能性が高い。


そう推測する根拠は、さっき言った大会運営委員会の事。

異能力の不正利用…例えば、隠れてバフをしたり、選手以外のドミネーションを受けているだけでも出場停止になるのに、ドーピングを許したなんてなったら、委員会の恥だ。有り得ない。


若葉でも分かる事を、警察が知らない筈が無く、蔵人君の元に来る事は愚か、確認の電話1本寄越さないだろう。

記事が警察も動くと書いている事は、その可能性がゼロではないから、そう書いているだけ。警察と書けば、それだけでみんなが注目してくれるから、インパクトを出す為に書いている。


この話を、掻い摘んでみんなに話すと、みんなは少し安心した表情になる。

だけど、


「でも、やっぱり納得行きません」


テルちゃん(林さん)がボソリと、でも確かに強い視線で呟く。

すると、みんなは彼女の発言に、何度も頷く。


「そうだよ!蔵人君が悪いみたいにして、僕も許せないよ!」

「蔵人様を書いた週間文化はもちろん、好き放題言ってる奴らもタダじゃおかないわ!」

「しゅくせー!」


桃花ちゃん達の会話が聞こえたのか、クラスのみんなも寄ってくる。


「文化書店に抗議致しましょう?私の母が、出版業界にちょっとしたコネがございますの」

「ネットは任せてよ。姉がNHTの職員なんだ」

「だったらウチの母さんだって、テレビ夕日の職員だから何とかするよ」


女子だけじゃなく、男子達まで積極的に声を上げた。


「蔵人君!俺も…俺ん家はサラリーマンだけど、なんか手伝うんよ!」

「僕も!部活の先輩とかに声掛けるよ!」

「じゃあ僕は、特区外で署名活動でもしようかな?Dランクだから、外でも動き易いからね」


凄い。

これが、蔵人君の魅力。

蔵人君が積み上げてきた、信頼。

誰も、蔵人君がドーピングをしたなんて少しも思っていない。


流石の蔵人君も、そんなクラスの様子に涙腺が緩んでいた。

目頭を抑えながら、蔵人君が謝辞を述べる。


「ありがとう、みんな。俺はその言葉だけで嬉しい。十分だ」


それは、暗に動かなくてもいいと言っている。

若葉はそれに、声を上げる。


「蔵人君、それじゃあ…!」


良くはならない。

口からそんな言葉が出そうになったが、それは蔵人君が止めた。


「いや、良いんだ。若葉さん。俺はね、顔も見せない臆病者に何を言われても平気だ。心は動かない。何故なら、ここに、こんなにも心強い友が居るんだから」


蔵人君が、席を立ってみんなに頭を下げる。


「俺の無実を信じてくれて、ありがとう。みんなのお陰で、俺は大丈夫だ。何を言われようと、みんなが信じるそのことだけで、文化砲だろうが何だろうが、何人来ようが負けはしない」


顔を上げた蔵人君の強い瞳の色に、それが虚勢でも嘘でも無いことはみんなが分かった。

やっぱり、この人は強いな。

若葉は改めて、巻島蔵人と言う人物を見直すのだった。

「光あるところに影は差す。有名になるという事は、それなりのリスクを負うという事だ」


炎上ですか。厄介ですね。


「とはいえ、周囲の者達は惑わされていない様だがな」


それが救いですね。

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― 新着の感想 ―
話も観想欄で色んな意見見るのも楽しいですね~ ディさんの仕込みの可能性は考えませんでしたけど 逆風作っといて後で逆転でこれだからランク主義のバカ共はって展開もありなんですね 個人的には大会で圧倒的撃…
[一言] そんなの言われてもこないだの鑑定みたいなので調べてもらうだけだしな 白なの示して結果で黙らせるだけだわ シングルのデカイ大会が今から楽しみだ
[一言] さっそく、フェミニスト達が牙をむきましたね。でも、蔵人の影響力をよく考えもせずに手を出した出版社が無事に存続出来るか…
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