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196話~凄い男性なんて、そうそう居ないんだって~

若葉さんと合流した蔵人達は、次のアニキの試合まで、会場の片隅で調整を行った。


「こんなもんか?蔵人」

「おおっ。流石はアニキです」


アクリルでスパイクを作り出す作戦は、案外すんなりと形となった。

流石はアニキ。俺よりも生成する技術が格段に上だ。

見事なアクリルのスパイクを眺め、蔵人は満足そうに頷く。

その横で、若葉さんがその様子を激写している。

うん。技術漏えいだけは勘弁してくれよ?

心配する蔵人の背中を、慶太がツンツンしてきた。


「くーちゃん。竹内君が、若ちゃんのこと紹介して欲しいんだって」

「ばっか!違うって!誰なのか教えてくれって言ったんだよ!」

「ええっ?一緒じゃないの?」


慶太と竹内君が、何やら揉めている。

流石は竹内君。若葉さんの可愛らしさの前に目が離せないでいる。

だが、


「若葉さんは桜城のクラスメイトで俺の友達…と言うより、大事な戦友だ。何時もみたいなノリで接したりはしないでくれよ?」


蔵人の忠告に、竹内君は青い顔をブンブン振っていた。

なんか、脅したみたいになっているけど、当たり前のことを言っただけだぞ?

竹内君にはちゃんと釘を刺さないと、若葉さんにまでセクハラをしたら大変だ。

では紹介しようと隣を見ると、いつの間にか若葉さんの姿は消えていた。

取材に行ったのかな?流石は敏腕記者。


「ちゃうちゃう、蔵人。なんか赤い顔してどっか行きよったぞ。試合前には戻るそうじゃ」


うん?何でそうなるんだ?

蔵人が深刻な顔で悩んでいると、アニキが遠慮がちに声を上げた。


「あー…。それよりもの、ちょっとお前さんに見て欲しいんじゃが」

「どうしました?あら?これは…」


アニキが見せて来たのは、先ほどのアクリルスパイクを付けた鉄靴だ。

靴底同士をガンガンッぶつけると、いくつかのスパイクが取れてしまっていた。

底部分の鉄盾との接合が甘いのだろう。激しく動いていると、そのうち取れてしまうかも知れない。

これは、修練を重ねるしかない。今大会中に物に出来るだろうか?



そう思った蔵人の予想は正しく、2戦目のアニキは、まだアクリルスパイクを使いこなせていなかった。

いなかったが、1回戦よりも遥かに早い段階で、相手の隙を作り出すことが出来た。

途中でスパイクは取れてしまったが、十分に相手へ接近出来たのだ。


「喰らっとけ!ヘッジホッグ!」


相手の懐に入り込んだアニキは、瞬時に盾の表面を千本針に変形させ、相手を串刺しにした。

勿論、相手は針が触れる前にベイルアウトしてしまったが。

ヘッジホッグ。なかなかエグイ技だ。


試合を終えたアニキを迎えに、蔵人達が控室に行こうとすると、若葉さんが違う方向へ歩き出した。

トイレかな?


「違うよ。隣の会場でも注目選手がいるから、それを撮りに行くんだよ」


何時もの笑顔に戻っていた若葉さんは、カメラを掲げてそう言った。

隣の会場では、中学Dランク戦の別ブロックが催されている。

順当に進めば、アニキが決勝で当たる相手が居るだろう。それは見ておきたい。

蔵人は、若葉さんと一緒にそちらへと赴く。


隣の会場も、アニキが居る会場と同じくらい人が詰めかけていた。

見ると、大会運営の姿も見られる。MINATOシティー大会の決勝戦で、蔵人を値踏みしていた人達と同じ人種だ。

つまり、若葉さんが見に来た選手は、かなり注目されているという事。

それこそ、アニキ以上に。


蔵人が観客席に視線を寄越していると、観客達が一斉に湧いた。


「「「うわぁあああ!!」」」

「剣帝さまぁ!こっちむいてぇ!」

「すてきっ!かっこいい!」

「優勝だ!今回も一発で決めてくれ!」


凄い人気だ。しかも、剣帝だと?

関東大会で散々聞かされた剣聖の亜種みたいな二つ名に、蔵人は渦中の人物に視線を投げかける。

そこには、亜麻色の美しい髪を靡かせた、1人の少女が試合会場に入って来たところだった。

凛とした立ち姿は、何処か久遠選手を思い起こさせる。

いや、彼女は何処か華のある歩き方。方や剣帝は、しずしずと静かに進む、修行僧の様な佇まい。

美しさは似ていれど、芯の強さが似て非なる者。


これは、強い。

蔵人は笑む。


「あれが剣帝か」

「そうだよ。全日本Dランク戦の覇者、柳生理緒(りお)。エレキネシスとその洗練された剣術でもって、昨年の全日本では無類の強さを誇ったんだ。当時中学1年生の彼女に、誰も触れることすら出来なかったからね」

「ほぉ。それは強いな。そして、柳生か」


洗練された剣術。そして柳生と来れば、新陰流の剣豪か。

なるほどな。道理であの足運び。そして、称号の剣帝はそれ故なのだろう。

蔵人が納得していると、若葉さんも頷く。


「うん。蔵人君の予想通り、彼女はあの剣聖、柳生真緒(まお)の妹だよ」

「なにっ!剣聖?あの紫電を超える絶対王者という奴だったよな?その妹だと…」

「あれ?気付いてて頷いてたんじゃないの?」

「いいや、全然。剣聖が柳生の姓であったことも忘れてたわ」


生憎と、人の名前を覚えるのが得意でなくてね。

でも、お陰で2人の名前はバッチリ覚えたよ。ありがとう。

蔵人がサムズアップすると、若葉さんも同じように返してくれる。


そんな事をしている間に、剣帝の試合が始まった。

終わった。

はやっ!


「勝者!十文字学園所属、柳生理緒!」

「「「うぉおお…」」」


余りに早い試合の結末に、観客達も腰を半分浮かせた状態で固まっていた。

恐らく、この会場の殆どの者が、彼女の動きを捉えられなかったのだろう。

若葉さんも見えなかったみたいで、困ったようにこちらを見る。


「見えた?」

「ちょっとはね」


蔵人は、今起こった事をありのまま話す。

審判の試合開始コール前、剣帝は帯刀した刀の柄に手を置いた。

コール後、彼女は尋常じゃない速さで相手との距離を詰め、同時に抜刀。刀は相手を薙ぎ、剣帝は相手の横を通り過ぎて刀を納刀した。

納刀の瞬間、静電気の様な物が見えた。恐らく剣帝はエレキネシスの電気信号を利用し、脳の命令よりも早く体中の筋肉を動かして、高速移動を実現させているのだろう。柏レアルの白羽選手と同じ原理だ。


蔵人の解説に、若葉さんは両腕を組む。


「何がちょっとだよ。全部見えてるじゃん」

「白羽選手との戦闘経験が無ければ、何をやっているのかまでは考察出来なかったさ。若葉さんも、それを分かった上でもう一度見れば、何となく見えると思うがね」

「無理だよ。私、人間辞めてないし」


おい。それはどういう意味だ?

俺は人間を辞めてないぞ?


「でも、そういうことか。蔵人君のお陰で、彼女の記事も書けそうだよ。ありがとう」

「こっちこそ。この情報をアニキに渡せば、優勝の足掛かりになるよ。ありがとう」

「う~ん…。流石に、剣帝に勝つのは無理じゃないかな?」


何を言っているんだ。出来るさ、アニキなら。

なに?速さが足りない?それは…確かに。


どうやったら、アニキが剣帝に勝てるのか。

蔵人は、アニキが待つ会場へと戻りながら、思考を駆け巡らせた。



その後、アニキは順当に予選を勝ち上がり、見事ベスト8となった。

ここでDランク戦は小休止。今度は蔵人達Cランクの予選が始まる。

今回の中学生Cランクの部は、参加者183人と、MINATOシティー大会よりも少ない人数となった。

やはり東京都特区に比べると小規模になってしまう。交通の便も悪いからね。

それでも、Bランクに比べれば多い方で、大学生のBランク戦は、参加者が30人に満たないらしい。その内の大半が筑波大学生というのだから、殆ど校内ランキング戦である。


蔵人は1回戦がシードだったので、Dランクの会場からゆっくりと移動させてもらった。

2回戦の相手は、埼玉の栄徳中学の2年生。

蔵人は知らなかったが、埼玉のシングル戦ではなかなかの強豪校らしい。


「くーちゃん!やっちゃえ!」

「まき…黒騎士!負けるなよ!」

「やったれ、黒騎士!学ばせてもらうぞ!」


観客席の前の方には、慶太達の姿があった。

大寺君は、蔵人の事を本名で呼びそうになり、慌てている。

アニキは勉強したいらしいので、何かお手本になる戦い方をしなければな。

蔵人が戦い方を検討していると、試合開始の合図が降りた。


「試合開始!」


それと同時に、相手が突っ込んで来た。

髪色は黒。踏み込む速度は速い。ブースト系か。

蔵人は鉄盾を構える。そこに、相手は容赦なく拳を振り下ろす。


「貰った!」


鉄盾を前に、相手は警戒することなく、それを殴りつけた。

殴られた部分が凹む。だが、一瞬でそれは元に戻った。

外殻を鉄盾にした、ランパートである。

鉄盾と言えど、間に膜を挟みこめば水晶盾以上の強度となる。


「くそっ!」


相手は必死に盾を殴る。

何時ぞやの伏見さんみたいに、格下の異能力も破れずに、焦っているみたいだ。

蔵人はその間に、足裏にアクリルスパイクを生成し、盾の後ろから飛び出す。

咄嗟の事で、相手は反応しきれずに、蔵人に懐まで入られる。


蔵人は、スパイク付きの足で相手の鳩尾に蹴りを突き刺す。

悶絶する相手。そこに入り込む蔵人。相手の首元と腕を掴み、相手に背を見せて、その背中に相手を乗せる。

そのまま、相手を投げ飛ばした。


「せいやっ!」


一本背負い。相手は勢いよく地面に叩きつけられる。

普通なら、気絶したり、下手をすると首の骨を折るほどの衝撃。

だが、流石はブーストの異能力者。呻くだけで無傷の様だ。

それでも、脳みそは激しく揺さぶられたので、平衡感覚が麻痺して立ち上がれないみたいだ。

蔵人は鉄盾の拳を振り上げ、止めを刺す。


「そこまでっ!勝者、黒騎士選手!」

「おお!勝った!勝った!Cランクに勝った!」

「すげぇ。本当に勝てるんだ、Cランクなんて化け物に…」


相手がベイルアウトされるのを見て、竹内君は飛び跳ねて、大寺君は青い顔で首を振っていた。

彼らは多分、Cランク以上の戦闘を見たことが無かったのだろう。

若しくは、学校でCランクの脅威に晒されているのか。

どちらにしても、とても良い反応を前に、蔵人は悪い気がしなかった。


蔵人が観客席に戻ると、アニキ達が駆け寄って来た。


「お疲れさん。凄い見ごたえのある試合だったぞ。お陰で良いアイディアが生まれそうじゃ」

「くーちゃん、なんで鉄盾までしか使わないの?手加減?」


フルフェイスを外したアニキは、凄い笑顔で迎えてくれた。

その言葉の通り、何か掴めたのかもしれない。

しかし、その横の慶太だけが、不思議そうに目を細める。

手加減という訳ではないのだがな。これは所謂修行であり、創意工夫して戦う訓練だ。

同時に、アニキに見せる戦いでもある。

蔵人がそう説明すると、「おおっ!流石くーちゃん。オイラもやってみよう!」と言っていた。

う~ん。お前さんは先ず、確実に同ランクを倒せるようになって欲しい。出来れば、君1人の力で。


「慶太。もし良かったら、練馬こぶし大会、お前さんも一緒に出るかい?」

「おおっ!いいね!オイラも出る!」


なんと、かなり前向きな回答を貰ってしまった。これは嬉しい。

この大会が終わったら直ぐに、参加申請しなければ。

蔵人と慶太が喜んでいる横で、アニキが顎を摩りながら話しかけてくる。


「その、練馬なんちゃらってのは、Dランクは無いのか?あればワシも出たいんだがの」

「すみません…。特区の大会なので…」


折角の申し出なのだが、難しい。特区で開かれるものはCランク以上の大会しかないのだ。

アニキが前向きになっているところ心苦しいが、どうしようもない。

蔵人が申し訳なさそうにそう言うと、アニキは明るい声を出して、手を振る。


「ええて、ええて。そこまで本気で言うた訳じゃなか。お前さん達の熱気に当てられて、一緒に出られたら面白いと思うちょっただけじゃ」

「それならさ!くーちゃんとオイラと、ハマーの3人で、アンリミテッドに出ればいいんだよ!らーちゃんやカルちゃんと出たみたいにさ!」

「なるほど」


慶太の提案に、蔵人も大きく頷く。

確かに、それであればランクの壁を越えて共闘出来る。更に、上位のランクと戦えれば、より多くの経験値を得ることが出来るだろう。

蔵人が食い気味に頷くと、アニキも満更でもない顔をする。


「アンリミか。それは中々に難しい大会だな。どうやって戦うか、連携も考えんといかん」

「じゃあさ、先ずオイラのミニゴーレム達で…」


それから暫く、蔵人達は未来のアンリミ大会に思いを馳せ、架空の技を議論していた。

その最中。


「ユーヤ!」


会議を中断させる声が割り込んできた。

カオリさん達だ。

彼女達はこちらに駆け寄ってきて、若葉さんが居るのに気が付いて、慌てて急停止した。


「ゆ、ユーヤ、こんなとこで何しているの?」

「向こうの会場に居ないから探しましたよ?ここは高ランクばかりで危ないですから、私達と一緒に戻りましょう?」


必死に引き戻そうとする2人に、アニキはゆっくりと頭を振る。


「ワシはここで観たい試合があるんじゃ。ワシの事は気にせんで、向こうの会場に戻ってくれ」


アニキはそう言って、2人に手を振るが、振られた2人は頑としてそこから動こうとしない。


「ユーヤが観たいのって、あれでしょ?凄いって言われてる騎士の試合でしょ?ホノカから聞いたけど、あれ男の選手なんだってよ」

「ごめんなさい、西濱君。ちゃんと調べないで発言してしまって。特区で人気な男性は、殆どが高ランクだったり珍しい異能力の方なんです。貴方みたいに、強くて有名になった訳ではないみたいなんです」

「そうそう。ユーヤみたいに凄い男性なんて、そうそう居ないんだって。ユーヤは残念かもしんないけどさ、理想は理想のままにして、あたし達と一緒に帰ろ?」


2人の言葉に、アニキは苦い顔をこちらに向けてきた。

止めてください、そんな申し訳なさそうにするの。アニキのせいじゃありませんよ。

あと、両隣でニヤニヤ笑っている、貴方のクラスメイト達を抑えて下さい。色々バラしそうで怖いです。

蔵人は溜息を吐く。丁度その時、目の前で行われていた試合が終わった。

そろそろ行かねば。


「みんな。取り込み中に済まないが、もう行くよ」

「すまん、時間取らせて。頑張ってな」

「やっちゃえ、くーちゃん!」


みんなに応援されながら、蔵人は控室へと足を向ける。

その背中越しに、カオリさん達の声が聞こえる。


「あれ?岡田がどっか行っちゃうよ?トイレ?」

「Eランクが1人で出歩くなんて…。止めた方がいいんじゃないですか?西濱君」

「ええんじゃ。問題ない」


端的に答えるアニキ。

説得するのに疲れたみたいだ。

これは、試合を見せつけて、黒騎士のイメージを修正しなければ。

そう思いながら、蔵人は会場へと歩みを進める。


そして、3回戦が始まる。

蔵人は第2試合に組み込まれていたので、早々にフィールドへと登壇した。

そこに、観客席からアニキ達の声が聞こえる。


「相手は近距離型みたいじゃぞ!気を付けろ!」

「ええっ!?な、なんか岡田が出てきたんだけど?あれヤバくない?マジで殺されるよ?」

「摘まみだされない所を見るに、選手登録されているみたいですよ?という事は、あれは岡田君じゃなくて、特区の人だったってことですか?」

「あれが黒騎士じゃ」

「ええっ!?マジで?」

「西濱君、黒騎士と知り合いだったんですか?」


観客席では、カオリさん達が大慌てだ。

本人の前で、弱いだの期待外れだの言ってしまったからね。

本当に弱かったとしても、特区の男性に暴言を吐いたことを悔いているのだろう。

蔵人が観客席に意識を割いている内に、試合が始まっていた。


「くらえぇ!」


相手が突っ込んでくる。

ブーストとしては、随分と遅い。これは、サイコキネシスか?

相手の力量を想定しながら、鉄盾ランパートを構える。そこに、相手の拳が振り下ろされた。

バンッ!

破裂音と、眩い炎が着弾地点で弾ける。それを受けた鉄盾は、その部分だけが焼き切れていた。

おおっ。デトキネシスか。それも、なかなかの威力。

珍しい異能力を前にして、心を躍らせる蔵人。

それとは対照的に、観客席で悲鳴が上がる。


「うわっ!爆発した!ヤバいよこれ、マジでヤバい!」

「飯塚さんと同じ、最上位種。でも、威力は桁違いです。これでは、勝負にすらなりません」

「これ以上見ちゃダメだよ、ユーヤ」

「相手が悪すぎます。諦めましょう、西濱君」

「いいから、黙って見ておれ」


観客席では、アニキを連れ出そうとしているみたいだ。

あまり長引かせると、アニキが攫われてしまうな。

蔵人は足裏にスパイクを生成し、相手の前へと躍り出る。


「なっ!」

「うっそ!ヤバッ!」


相手の驚き声と、カオリさんらしき人の悲鳴が重なる。

相手は驚きながらも、すぐさま蔵人に向けて拳を振り上げる。

蔵人はそれに、鉄盾を生成し、それを振り下ろそうとしている相手の拳に飛ばす。

バンッ!

鉄盾と接触した拳が、相手の顔面横で爆発する。


爆発の衝撃で、相手は真横に数歩よろめいた。頭を押さえながら、首を振っている。

爆発自体や破裂片などによるダメージは無いみたいだが、衝撃と音の影響は受けたみたいだ。

顔の真横で破裂したことで、相手は暫し、動けずにいた。

そこにすかさず、蔵人の回し蹴りが炸裂する。

鉄盾を纏った右足が、相手の側頭部を意識と共に刈り取る。


「そこまでっ!」


相手が地面に倒れると同時に、審判のコールがフィールドに木霊する。


「勝者!桜坂聖城学園所属、黒騎士選手!」

「「「うぉおおおお!!!」」」

「「黒騎士さまぁ!」」


コールに従って手を挙げると、会場中から歓声と拍手が鳴り響く。

そんな中でも、こちらに手を振るアニキ達の姿と、その横で顔面蒼白になって立ち尽くすカオリさん達の姿が良く見えた。

「漸く、うるさい奴らが黙りそうだな」


主人公の強さを見たら、不味いと思って逃げ出すでしょうね。

お2人の事は置いておいて、剣帝、なかなかに厄介ですね。


「超高速の抜刀術。どう対処するべきかだな」


逃げても、追われて終わりみたいですし…。

はてさて。対策なんてし様があるのでしょうか?

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― 新着の感想 ―
[一言] 蔵人がまた全自動ジゴロしてる〜 と、それはさておき改善したとはいえ未だに立ち上がりに遅さがあるアニキと瞬間最大戦速の剣帝さんは相性最悪だけどどうするか
[一言] Dランクの戦いも面白いですね。 蔵人の工夫して戦う所好きです。
[良い点] 蔵人は女の子への発言・行動に気を付けましょう [気になる点] デトキネシスの飯塚さんって小学生の時のあの子でしょうか [一言] 猿山のボス猿は猿から進化でき…るといいですねぇ アニキは足止…
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