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189話~負けてないっ!!~

蔵人は盾を作り出す。その盾の色は無色透明。

アクリル板である。

蔵人はアクリル板を何枚も作り出し、その板の周囲を鋭利に作り替えていく。

そして、風早先輩に向けて、飛ばした。


最弱の盾であるアクリル板は、女の子が体重を掛けるだけで割れてしまう。防御力など皆無な最弱の盾。

だが、最弱である反面、強みもある。

魔力コストが安い事や、隠密性に優れていること。

それに、その加工のし易さである。

加工がし易い事で、空気抵抗を受けにくい流線型を形作ることが出来る。

即ち、それだけの速度が出せるという事。


透明板(クリア)()弾丸(バレット)!」


蔵人から離れたアクリル板が、超高速で風早先輩に襲いかかる。

盾の中でも、最速となるアクリルの弾丸。

その速度は、本物の銃弾と同レベルであった。


「痛っ、いたっ!」


超高速で突き進んだ弾丸が、彼女のプロテクターに直撃し、風早先輩が甲高い声で喚く。

最弱の盾なので、高速で当たったとしても、当たった瞬間に砕けて消えてしまう。

プロテクターを着けた人の前では「痛い」程度のダメージしか与えられない。

それでも、風早先輩にとっては随分と脅威に感じてくれた様で、逃げ回るのを止めてくれた。

彼女が蔵人に振り返り、両手を突き出して叫んだ。


「カマイタチ!」


風早先輩の手から、無数の刃が生まれ、蔵人が追加で飛ばしていたアクリル板を尽く砕いていく。

アクリル板を砕いた風の刃は、威力をそのままに、蔵人の方に迫ってくる。

飛びながらも攻撃出来るのかと、蔵人は感心しながら、目の前に水晶盾を作り出す。

それに、カマイタチが「カツっ、カツっ」と音を立てて当たる。

当たった部分の水晶盾は、浅い傷が幾つも生まれる。

だが、Aランクの攻撃としては浅い。

多分、振り向き様であったから、威力はそれ程こめられなかったのだろう。

加えて、先輩が立ち止まってくれたお陰で、彼女との距離が随分と縮まった。

先輩の顔が、苦々しく歪む。


「吹き飛んじゃえ!トルネード!」


先輩の手から、風の渦が生まれる。

なるほど。これを盾で受けようものなら、貫通させない事は簡単だが、そうすると吹き飛ばされてしまう。

盾は蔵人の体を守らんと、大きく広がっているので、このような強風の前では凧揚げの凧だ。

とは言え、これだけの威力を受けてしまえば、体に貼った龍鱗だけでは持たない。

では、こうしよう。


蔵人は、ランパートを作り出し、それをグイッと自分の方向へと曲げる。

すると、ランパートは円錐状に変形した。

変形と言っても、ランパートは膜に複数の水晶盾を張り付けているので、蔵人の技量でも曲げることは可能なのだ。

そのランパートに、風早先輩の乱気流がぶち当たる。

ヒョーっと、風が通り過ぎる音が聞こえるも、盾が押されることは無かった。

円錐型ランパートは、見事に乱気流を貫いたのだった。


それを見て、風早先輩の目がまん丸になる。


「くそっ!何なんだよ!お前!」


先輩は再び前を向いて、逃げ始める。

その少し後ろを飛ぶ蔵人。先輩にピッタリと追従する。

時折、クリアバレットで牽制するので、思ったように速度を出せない風早先輩。

お陰で、蔵人は彼女の背中からそれ程引き離されないで飛ぶことが出来た。

その状況に、先輩が苛立った声で叫んだ。


「くそっ!くそっ!さっきからなんなんだよ!そもそも、なんで飛べるんだよ!シールドだろうが、お前!盾が空飛ぶなよ!」

「飛ばない盾は、ただの盾ですよ?」

「むっかぁああ!ぜったいに、アドリア海に沈めてやるぅう!」


先輩はジグザグに飛んだり、地上スレスレを飛んだりして、蔵人を突き放そうとする。

そして、壁の上擦れ擦れで飛行した際に、


「テンペスト!」


壁を削るような突風を繰り出して、蔵人を攻撃する。

蔵人は、再び円錐ランパートを生成して、その砂嵐の中に飛び込む。

だが、


「なに?」


砂嵐が明けると、そこに先輩の姿は無かった。

代わりに、


「はーっはっはぁ!見たか!くろきしぃ~!」


後方から、勝ち誇った声が聞こえた。

なるほど。砂嵐は後ろを取るためのブラフ。

なかなかやるな。

ならば、


後方を取られた蔵人は、一気に加速し、フィールドの上を縦横無尽に飛行する。

だが、風早先輩はそれについて来る。蔵人の後方直ぐにピッタリと付いて、千切れないように全速力を出していた。


「さぁ!逃げろや逃げろ!」


そう言いながら、カマイタチを放ってくる風早先輩。

蔵人は、それをバレルロールで躱しながら、速度を更に上げる。

その最中、


「先輩!僕について来れますか?」

「はぁ!?当ったり前だろ!」


煽る蔵人。

追う先輩。


蔵人は、今度は大きく渦を巻くように飛行する。

積乱雲の様に、ソフトクリームを作る様な横回転と縦回転を交えた飛行。

風早先輩は、それを外側から追う。

グルンっと、大回りをする度、体に強烈な遠心力が掛かる。

その遠心力が最大となるところで、

蔵人は、ブレーキを掛けた。

体中の盾を総動員した急激なブレーキ。体を押しつぶさんとする強烈なGに耐えながら、蔵人の速度は著しく落ちた。

それに、


「なっ!」


風早先輩は付いて来られなかった。

遠心力に負けて、蔵人の前へと出てしまった。

蔵人は、せり上がって来た胃液を呑み込みながら、苦い笑みを浮かべる。

捻り込み。

まさか、こんな所で生きるとは。

そう、感慨深く思いながら、右手を前に出す。

そして、


「うりゃっ!」


先輩が壁の上スレスレを飛んでいる中、出した右手で引っ張る動作をした。

その途端、先輩の体がぐらついた。

先輩の体には、アクリル板がくっ付いていた。

先程のクリア・バレットは、大半は激突させて相手への攻撃に使用したが、一部の弾丸は彼女のプロテクターにぴったりと付着させていた。

それが今、先輩の体を押したり引っ張ったりしている。


アクリル板は最弱の盾だ。それは、盾の持ち上げる力にも言える。水晶盾なら200kg以上の力で持ち上げることが出来るが、アクリル板は10kg程度が限界。故に、相手を押し潰す程の威力は到底無い。

無いのだが、空中では10㎏程度の力で十分であった。

絶妙なバランスが求められる飛行という高等技術に置いて、バランスを崩されると言うのは致命的なのだ。遠心力に翻弄された今であれば、特に。

それ故に、


「ぴぃいやぁあああ!!」


バランスを崩し、甲高い悲鳴をまき散らしながら、風早先輩は地面に激突した。

いや、激突する前に地面が軟化した。

泥沼に突っ込んだ先輩は、ドロドロの状態で沼の中に沈んでいった。


どうやら、朽木先生が助けたみたいだった。

地面に手を着いた先生が、蔵人の視線に気付いてニコッと笑いかけて来た。

テンションが上がっていた蔵人は、親指を突き出してそれに答える。

グッジョブですよ、先生。


風早先輩がベイルアウトするのを見届けた蔵人は、戦線に戻る。

地上部隊は中央付近の土山の合間から撃ち合いをしており、数的不利のBランクチームがいい位置に陣取り、Aランクチームを寄せ付けない様にしていた。

Bランクチームの指令役が、上空からAランクチームの様子を伝えているのも大きい。指令役が潰されたAランクチームは、戦況がどうなっているのかも把握出来ないでいたのだ。


つまり、相手は蔵人がフリーになった事も知らない。

蔵人は大きく回り込み、Aランクチームの背後から強襲する。


「ダウンバースト!」


蔵人の極大ドリルが、相手チームの1人に向けられる。

空中からの急襲に、相手の娘はドリルの音が何処から聞こえるのかを探す間に、消えてしまった。

ドリルが当たる前に、その威力の高さからベイルアウトしたのだ。

相手が居なくなった蔵人のドリルは、盛大に土塊を撒き散らしてクレーターを作る。

そんな蔵人の出現に、パニックになるAランクチーム。


「な、なに!?敵襲!?」

「何処から!?空?!」

「メイが消えた!ベイルアウトだ!」

「黒騎士だっ!風早の奴、何処行ったのよ!?」


混乱するAランクチームだが、流石に桜城の異能力者。すぐに連携を立て直し、蔵人を囲むように陣取る3人。

Aランク3人を相手取るのは、流石に厳しい。

そう思う蔵人だったが、囲うAランク達の向こう側から、声が響いた。


「今よ!総員突撃!」


Bランクチームが援護にやって来てくれたのだ。

土山で身を隠しながら進み、Aランクチームの1人を背後から襲う3人のBランク。

Aランクとはいえ、3人に襲われたら一溜りもない。上空からの航空支援により、他のAランク2人も動けないでいる。

Bランクの1人が、Aランクの1人と相打ちし、ベイルアウトして消える2人。

その激闘に視線を奪われていた相手チームの1人に、蔵人は突っ込む。


「シールド・ランパート!」

「くっ!ファイアジャベリン!」


急いで迎撃する彼女だったが、ランパートを構えながら走っていた蔵人には、取るに足らない攻撃だった。

無数の火炎弾をいとも簡単に弾き飛ばして、相手へと猛進する蔵人。

幾ら弾丸を撃ち込んでも止まらないその姿に、相手は恐怖で足を竦ませた。

そして、蔵人にひき倒される前にベイルアウトした。


残る敵は、1人だけだ。

振り返ると、3対1で戦っている女子達が見えた。最後の1人は防御系なのか、Bランクの娘達は土の壁をなかなか崩せないでいる。

ここまで来たら、後は時間の問題だろうけど、念には念を入れて。

蔵人は、少しだけお手伝いする事にして、口の周りに盾を仕込む。そして、


『こっちは倒したぞ!あとそこの娘1人だ!』


蔵人のロアに、ギョッとこちらを振り返るAランクの娘。

態々相手の背中まで回り込んで発言した為、彼女はかなり大きな隙を作ってしまった。

その隙を、Bランクチームは見逃さない。


2人が正面から攻撃し、その防衛に集中した相手の横から、指令役の娘が飛んできて、

ピッタリとくっ付いた状態で風の弾丸を連射した。

流石の防御力を誇るAランクでも、それには堪らずにベイルアウトした。

これで、全ての敵を殲滅した。

試合終了。こちらの勝利だ。


『試合終了!Bランクチームの勝利!』


南先生の拡張された声が、フィールドを駆け抜ける。

結果、Bランクチームは4人が生存して、Aランクチームを完全に壊滅させた。

正に大勝利である。


「やった!勝った、勝ったよ!」

「Aチームに勝った!信じられない!」

「藤堂さんを倒せるなんて…私、初めてAランク倒せたよ!」


Bランクチームが互いに駆け寄り、ジャンプしながら喜びを爆発させる。

それだけ、今までAランクチームに抑圧されていたのだろう。

Aランクに止めを刺した娘なんて、嬉し泣きをしながら飛び跳ねている。

微笑ましいものだ。


そんなBランクチームの元に、ベイルアウトから復帰したAランクチームの面々と、先生達がやって来る。

刺し違えてベイルアウトしたBランクの娘も駆け寄って来て、嬉し泣きしている輪に加わって号泣し始めた。

段々、カオスな状態になって来たぞ?ちょっと落ち着きましょうよ。


「何言ってるの?こんなの奇跡だよ!」

「ありがとう!君のお陰だよ!ホント凄かったよ!」

「あんな凄い空中戦、初めて見たよ!これが黒騎士様の力なんだね!」

「あの校内新聞マジだったんだ!ゴメン、ちょっと疑ってたよ」


蔵人まで巻き込んで、輪になるBランクチーム。

何だか、このまま胴上げまで行きそうで怖いんだけど?

蔵人が危惧していると、


「みんな、お疲れ様!」


南先生が声を張り上げ、全員を注目させる。

そんな先生の元に、Bランクチームが集まる。

彼女達は、期待した目で先生を見つめている。褒めて欲しいのだろう。


「う、うん。Bチームは良くやったね。ちゃんと連携も取れていたし、チャンスを見逃さなかった」


先生のお褒めの言葉に、Bランクチームは満足した様に笑みを深めた。

南先生がクルリと反転する。

笑顔も反転、少し眉間に皺が寄っている。


「それで、Aチームはどうした?終始やられたっぱなしだったじゃないか。イレギュラーが起きたからって、直ぐに立て直さないからこんな事になったんだ」


南先生は少し厳しめの言葉で、Aランクチームを(たしな)める。

後で聞いた話、南先生はAランクチームに活を入れるために蔵人を呼んだそうだ。最近のAランクには、何処か楽観的な考えが蔓延しており、練習に気持ちが入っていなかった。

と言うのも、セクション部においてAランクチームは1組しか編成出来ないので、どうしても強者との戦闘が組み辛い。

夏休み前までなら、地方の強豪と練習試合が出来たが、大会目前の今は何処の学校も最後の調整で忙しく、彼女達の相手は格下ばかりとなってしまった。

それ故に、天狗になりつつあった。

その鼻を折る作業を、蔵人に依頼したという顛末。

Aランクチームの1人が、視線を鋭くさせながら蔵人を見る。


「だって、あんなの居るなんて知らなかったし、そもそもセクション部に兼部すらしていない子でしょ?反則じゃない?」


恨み節を呟く彼女に、先生はやれやれと肩を上げる。


「お前たち、散々バカにしていたろ?Cランクだの足手まといだのと。そんな風に相手を舐めているから、足元を掬われたんだ」

「だって!噂じゃ…黒騎士は…ただのマスコットだって…」


一瞬、もう一度こちらに厳しい目を向けたAランクだったが、直ぐにしおらしく視線を下げて、声を小さくしていった。

南先生は、小さく息を吐いてから、腰に手を当てた。


「それが舐めていると言っているんだ。相手が弱いと噂されているからって、気楽に試合をするのか?違うだろ。どんな相手にも全力で当たり、もしかしたらと常に考えていれば、今回だってここまで酷いボロ負けはしなかった筈だ」


南先生の説教に、愚痴った女子生徒は再び顔を伏せる。

代わりに、別の娘が顔を上げて、先生を見上げる。


「南先生。心構えだけでどうにかなったんでしょうか?黒騎士…君は凄く強くて、私は勝てないと思いました。だって、風早さんでさえ負けたんですよ?」

「勝てないなら、今から大会までの練習を本気でやれば…」

「負けてないっ!!」


先生が話している最中に、金切り声が上がった。

見ると、怪人ドロドロマンが発言を…。

失敬。泥だらけの風早先輩が、顔を真っ赤にして叫んでいた。


「あんなの負けじゃない!あんなのっ、あんなのズルだっ!さーは負けてなんかないっ!!」

「いや、負けでしょ?最後なんて泥の中に落とされていたし」


Bランクチームの指令役の娘が突っ込むと、泣きそうな顔で睨む風早先輩。

指令役の娘がうっと詰まる。

背がちっちゃくて、顔も童顔だから、小学生を虐めているみたいで罪悪感が凄い。

俺でも同じ顔されたら言葉に詰まるだろう。

蔵人が同情していると、風早先輩が地団駄を踏む。


「さーが負ける筈ない!さーは最強だっ!」


既に涙が一雫落ちてしまった風早先輩だが、本人はそれを気にした素振りはなく、ズイズイっと歩き出し、蔵人の目の前で立ち止まる。


「校内ランキング戦で勝負しろ!黒騎士!シングルでだったら、お前なんかぐちゃぐちゃのベコベコにしてやるんだからな!」


風早先輩の申し出に、蔵人は一瞬悩む。

相手はAランクであり、貴重な飛行能力者だ。

先程は、後ろを取った状態で戦ったが、改めて戦ったら、きっと良い試合になるだろう。


だが、風早先輩は海麗先輩と同じレベルのシングル部員だ。

きっと、Aランクの補欠くらいにはなっているのだろう。

そんな人と戦って勝ってしまっては、きっと不味い事になる。

先輩にとっても、自分にとっても。

百害あって一利なし。


そうは分かっていても、彼女は顔をグシャグシャにしながら、蔵人に詰め寄って来る。

罪悪感が酷い。助けて。

蔵人は、朽木先生に視線を送り、助けを求めた。

すると、先生が動いてくれる。


「ダメですよ、ささらちゃん」


先生は、少し悲しそうな顔をして、風早先輩の前に座り込む。

…お母さんみたいだ。


「ささらちゃん、貴女、今は大事な時期だって分かっているでしょう?貴女はうちのレギュラーですよ?蔵人君と戦って、もしも調子を落としでもしたら、大変でしょう?」


レギュラー?この娘が?

蔵人は驚愕する。

いや、でも確かに、空中を飛べるAランクは変化球として重宝する。

相手の異能力種によっては一方的に戦えるから、勝利にも繋げやすい。

そう言う事でも、彼女が補欠ではなく選手枠に入っているのも理解できる。

蔵人が1人納得する横で、風早先輩はジタバタする。


「ヤダヤダ!戦う!校内ランキング戦する!さーの方が強いって、思い知らすんだ!」


駄々っ子だ。

祭月さんも大概だと思っていたけれど、この子、ヤバいくらい精神年齢が低い。

およそ5歳児と言っても過言では無い。

そんな幼女先輩に、お母さん…じゃない、朽木先生が立ち上がり、両手を腰に当てて頬を膨らませる。


「もぉ!そんなに我儘を言って、恥ずかしくないんですか?みんなが貴女を見ているんですよ?今年の全日本では、何処まで行けるんだろうって、みんなが期待しているんですよ?」

「ヤダヤダ!全日本も出る!黒騎士も倒す!」


なに?

この娘。そんなに強いのか?

空は高速で飛べるけど、攻撃は安綱先輩や海麗先輩よりも弱かったぞ?

でも、朽木先生の口ぶりでは、既に全日本へのチケットをその手に掴んでいそうな言い方だ。

蔵人が固唾を呑んで見守る中、朽木先生が疲れたようにため息を吐いた。


「ささらちゃん…。これ以上我儘言うなら、全日本への出場を考えないといけません。そんな事嫌でしょ?我慢してちょうだい。貴女は、シングル部のエースで、校内ランキング戦1位のゴールドナイトなんだから、出来ますよね?」


そう言って、風早先輩をあやす朽木先生。

その横で、蔵人はこめかみを抑えた。


校内ランキング、1位?

この子供が、桜城最強のゴールドナイト?

安綱先輩の、上?


蔵人は、目眩が襲ってきた気がした。

まさか、こんなところに、それもこんな子供が校内ランキング1位?


「あ奴も言っていただろう。飛行系は、異能力種によって圧倒的有利を取ることが出来ると」


ああ、確かに、美原先輩が相手だったら、一方的な試合が出来そうですね。

でも、それって何か卑怯な気が…。


「故に、実力派ではなくランク派に居るのかもな」


なるほど。複雑な心情です。

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― 新着の感想 ―
>風早先輩  仮にあのままランキング戦をやっても、蔵人には勝てないと思いますよ。  確かに魔力量もAランクと高く空中を自由に舞えるというのはシングル戦においてかなりのアドヴァンテージにはなりますが、…
[一言] 蔵人がやってるからクリエイト系なら覚醒すればみんな空飛べそうだよね。武侠系の以気御剣みたいに剣に乗って飛ぶ奴とかも出てきそう
[一言] 相手の周りを盾で囲ってドラゴンロアすれば三半規管をヤレる凶悪な武器になれますよね
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