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128話~総攻撃開始!総攻撃開始!!~

ご覧いただき、ありがとうございます。

今回も、他者視点です。

はい。勿論、西片君です。

では西片君、報告をお願い致します。

8月20日。午後2時00分。

大阪特区の(なだ)中学と、東京特区の桜坂聖城学園の試合が始まりました。


灘の初期配置は、

前衛:7人。

中衛:2人。

円柱:4人。

灘が得意とする、防御型の布陣です。

前衛で敵を押しとどめ、円柱で点数を稼いで勝つ、灘がいつも使う戦法。


挿絵(By みてみん)


でも、何時の灘よりも、円柱役は多めの配置です。

普段の灘であれば2人がベースであり、近畿大会で獅子王(うち)と当たった時には、円柱役は0人でスタートしていました。

それだけ、桜坂を軽視しているのが分かる立ち上がり。


それは、僕の足元から聞こえる声からも分かりました。

試合開始前のミーティング時に発生られた、灘のベンチに居る監督からの指示です。


「いいか!お前たち!この試合はいかに消耗しないで勝つかが大事な一戦だ!次の試合、恐らく広島の呉が勝ち進んでくるだろう。Aランクの太田は勿論の事、Bランクの選手達も魔力の使い過ぎに十分注意し、体調悪化で明日に響くような事が無いように十分注意しなさい!」

「「「はいっ!」」」

「そして、消耗しない一番の方法はコールドで勝つことだ!最低でも15分のコールド、目指すは前半戦だけでの勝利だ。だから、前線に少しでも余裕があると判断したら、容赦なく円柱役に移ってもらう。その分、前衛は苦しくなるだろうが、相手は東の学校だ。2対1でも余裕で捌いてみろ!出来なければ、獅子王は勿論の事、晴明にも彩雲にも勝てないぞ。いいかぁ!」

「「「はいっ!」」」


その指示に呼応するかのように、周りの応援席からも同じような内容の声が幾つも聞こえてきました。


「なぁ、今戦っている桜なんちゃらは、男の部員もいるそうやよ」

「ホンマに!?マネージャーやのうて?」

「ホンマや。しかも結構いいツラしてるって、昨日星崎先輩言うとったわ。会場で見かけて、東京の女共を侍らせてて、先輩に気付いたら、向こうから手ぇ振っとったらしい」

「ほぅ。そりゃ、大阪の女教えてやらなぁいかんな。試合終わったら慰めに行ってやろうや」


「アカンって。この試合の後、うちら呉の試合結果聞く事になっとるやろ。次の対戦相手の視察、マネージャーの木原君がしてくれとるから、それをみんなで聞くんやて、先生言うてたやん」

「かぁー!せやった!これじゃ声掛けに行く前に、桜の男子東京に帰ってまうやないか。なぁ、別に木原君の報告聞かんでも、後でテレビで見りゃええんやない?」

「アホ。テレビ入るんは3回戦からやろ。せやから1、2回戦は他の学校も見張り立てとんのや。そこの男の子も、うちらの試合観に来とる獅子王のマネやろ」

「ホンマや!男の子やないの!ちょっと声掛けてくるわ」

「アホ。聞いとらんかったんか。獅子王っちゅうたやん。後で獅子王の先輩共に八つ裂きにされても知らんで」

「うへぇ…そりゃ敵わんわ」


僕が座っているのは、灘の応援席真近の最前列。この試合の勝率が高い学校の情報を得るために座った席でしたが、危うく絡まれる所でした。

試合が見やすく、相手校のベンチも見えるからと国上先輩に連れられて座ったものの、こんな怖い席だったとは…。


国上先輩がいれば、彼が助けてくれたでしょう。

でも先輩は、如月の試合結果を報告すると言って、そのまま席を立ってしまいました。

なので、今は僕1人です。

しっかりと試合を見て記録しなくちゃと、試合が始まる前までは意気込んでいました。

でも、灘側から聞こえる話は、男の話や次の試合の事ばかりで、あまり気持ちの良いものではありませんでした。

関東とはいえ、相手の桜城中学の情報も集めなくちゃいけないのに、これでは監督に叱られてしまいます。


この調子のまま試合を観なければならないのかと、胃が重くなっていた僕でした。


そんな中で、始まった試合。

試合開始から暫く、灘の防御陣の前に、桜城は攻めあぐねている様に見えました。

灘の防御力は決して高くありません。

ですが、彼女達は避けるのがとても上手く、桜城の遠距離攻撃がなかなか当たらないのです。


唯一、右翼のAランク同士の戦場だけは、桜城が押している様に見えました。

桜坂に1人しかいないAランク。美原選手です。

空手の名選手で、フィジカルブーストから繰り出される一撃は脅威であると、国上先輩からもらった情報には書かれていました。


灘も、彼女に対しては最大限の警戒をしているみたいで、右翼にはAランクソイルキネシスの太田選手の他に、もう1人近距離役を配置していました。

逆に言えば、彼女以外は脅威ではないのです。

Aランクがたった1人の学校では、満足に連戦出来ないからです。

Aランクの魔力回復は、最長で2日も掛かります。

ですので、どうしても魔力をセーブして戦う傾向にあります。


現に、桜城の美原選手は、余り本気を出している様には見えません。

きっと、明日以降の試合の為に、魔力を温存しているのでしょう。

それでも、下手に近づいた灘の選手を、軽くワンパンで吹き飛ばしてしまいました。

シングル戦でも上位選手である彼女は、ファランクスにおいても十分に脅威でした。


万が一、桜城が勝利した場合を考えて、僕が急いでそのことをメモに記していると、


「「「うぉおおっ!?」」」


どよめきが起きました。


試合が動いたのかっ!?

僕は急いで顔を上げます。

すると、先ず見えたのが、青いプロテクターの選手が飛んでいる所でした。

その色は、灘の選手。


灘に浮遊能力者がいるなんて聞いていなかった僕は、焦りました。

だって、空を飛べるというのは、ファランクスにとって大きな利点になるから。

前線を攻撃するのにも、タッチを狙うのにも、戦術が一気に増える有力な異能力。


僕は、急いでその浮いている選手の背番号を見ようと、目を凝らしました。

でも、見えませんでした。

番号を捉える前に、その選手は地面に叩きつけられて、足があり得ない方向に向いてしまったからです。

そこで、漸く僕は理解しました。

今のは飛んだのではない。吹き飛ばされたのだと。

そう分かったと同時、


『な、なんと言う事だっ!灘の11番!柏木選手が、ベイルアウトォオ!』

「「「うぇええ!!」」」


実況の驚きが遅れて届き、それを追うように一般のギャラリーが悲鳴に近い声を上げました。

左翼には、目ぼしい選手は居ないはずでした。

精々、灘のBランク盾役が中央寄りに配置されてた程度です。

桜坂に至っては、Cランクしかいませんでした。

僕が、貰った情報を間違って覚えていたかな?と焦った時、実況がそれを否定しました。


『倒したのは桜坂の96番!96番のCランクの選手だぁ!』

「嘘やろ、柏木先輩が同じCランクに…?」

「なんかの間違いちゃうんか?先輩を退場に出来るCランクなんて、関東に()るわけ無いやろ」

「相手中衛のBランクが、何かしたんやないの?」


灘の控え選手達にも、不安が広がりました。

それは、僕も一緒です。

Cランク同士がぶつかって、あんなに人が飛んだ所を見たことが無かったからです。

大人と子供、若しくはBランクとCランクくらいの差があるとしか思えませんでした。

ですが、


『またもやベイルアウト!灘13番を轟沈させたのは、これまた96番!桜坂の96番だぁ!!』

「「「「うぉお……」」」」


目の前で、数m飛ばされた青プロテクターの選手が、力無く地面を転がっていく様を見て、観客は溜息のような響めき声でしか言い表せませんでした。

1、2回戦を見に来る観客は、殆ど地元の人であり、灘を応援する為に座っていました。

その為、連続で2人もベイルアウトされて、それも同じ選手がそれを成した事に、声すら出なくなってしまったのです。

それは、灘の控え選手達も一緒で、


「な、なんや、あの選手は…」

「あんなボロボロの鎧着とる奴に、先輩達が負けとんのか…?」

「ホンマに中学生なんか?かなり身長高いで。プロ雇っとるのとちゃうやろな?」


精々、相手校の選手に文句を言うくらいしか、言葉を発することが出来なくなっていました。

でも、それも直ぐに止みました。


『桜坂96番の攻撃は止みません!次々と灘の盾役を吹き飛ばし、灘5番、Bランクの佐川選手に突撃!凄まじい連続攻撃に、佐川選手の水盾が割れ、あっ、ベイルアウト!ベイルアウト!灘5番!Bランクがベイルアウト!これで灘の盾役は、中央部まで淘汰されてしまった!桜坂96番、Cランク。信じられない活躍…っと、ここで桜坂選手の詳細が届きました。ええっと96番…うぇっ!?ホンマなん!これ?…うせやろ…』


一体、何にそんな驚いているのか。僕だけでなく、会場中が実況の声に聞き耳を立てます。

そして、その内容が伝えれました。


『信じられん事がもう一つあります。ええ…。今活躍中の桜坂96番ですが、何と、1年生!それも、男の子です!』


実況の言葉に、僕の頭は真っ白でした。

1年生?男子??

えっ、何だ?白昼夢か?と頬を引っぱたきましたが、目覚めることは出来ませんでした。

目の前には、ただ悪夢が広がるばかり。


それは、観客も灘の控え選手も一緒だったみたいで、試合前には耳が痛くなる程の大歓声が占めていた会場が、今ではまるでお通夜の様に、静まり返ってしまっていました。

聞こえる声は、向こう側で奏でられる、桜坂応援団の軽快な音楽と、


「関東相手に何やってんだぁあ!相手は格下だぞ!近距離役、防御に回れ!カバーしろ!男だろうが1年だろうが容赦するなぁ!攻撃しろ!ベイルアウトさせろ!走れぇ!動けぇええ!!」


狂った様に叫ぶ灘の監督の声だけです。

その必死な彼女にとっては虚しくも、実況が更なる窮地を知らせます。


『灘1番ベイルアウト!続いて3番ベイルアウト!右翼でも前線が破られました!桜坂1番、美原選手が連続ベイルアウトをもぎ取った!』


ギリギリ均衡を保っていた右翼が、96番の突出で浮いた足を掬われ、一気に崩れました。

それを見た桜坂のベンチから、何か水で指示が出ました。

アクアキネシスを使った指示。テレパスも居ない学校が使う、前時代的な指示。

その指示を、96番が拾いました。

96番の目の前に立ちはだかった灘選手を、いとも簡単になぎ倒した後、彼は天に向かって吠えました。


『総員傾注(けいちゅう)(てき)は総崩れ!総攻撃開始!総攻撃開始!!』

「「「おぉおおおお!!!!」」」


まるで拡声器でも使ったかの様な96番の大声に、桜坂の中衛選手団が一斉に異能力を降らせ始め、空いた隙間を桜坂の前衛が突撃しました。


96番が灘選手を減らしたことで、数的有利となった桜坂選手は、灘選手1人に対して2,3人で攻め始めます。

本来だったら、灘の盾役が抑える場面。

ですが、先ほどから96番は、灘前線を薙ぎ払うように横一文字に突撃した為、殆どの盾役がベイルアウトしてしまったのです。

つまり、今の灘は、盾を持たない無防備な剣士。

遠距離攻撃が強い桜坂選手達とは、まともに戦えません。


とは言え、後退することも出来ない状況でした。

何故なら、灘前線を食い破った96番が、彼女達の背後から迫っていたからです。

無防備な灘前線を、前後からすり潰す。

これを狙って、96番は最初から盾役のみを攻撃していたのだと、僕はやっと分かりました。


『ベイルアウト!灘18番!桜坂3番と4番、10番の見事な連携!あっ、灘7番ベイルアウト!桜坂8番と11番の挟撃!』


次々と討ち取られていく灘の選手。

その中でも、いつの間にか灘の領域に入って無双する96番は別格の動きでした。

灘前線をボロボロにした挙句に、今度は援軍に向かっていた灘の円柱役4人に向かって行ったのです。


『灘前線が崩壊寸前!堪らず、円柱役を向かわせる!だが、だがしかし、それを迎え撃つかの如く、96番が走り出している!灘の円柱4人が、一列になって96番に一斉砲撃!だが、止まらなぃいい!96番止まらず!突き進む!全く速度が落ちない!まるで弾丸を弾く装甲車の様に、異能力の弾丸を尽く跳ね返す!その速度のまま…今、突撃ぃい!灘14番、15番が吹き飛ばされたぁあ!交通事故!まるで交通事故だぁ!まさに鎧袖一触(がいしゅういっしょく)!信じられない!これが本当に男子の成せる業なのかぁあ!?』


「「「うぉおおおおお!!!」」」

「「「くっろきし!くっろきし!くっろきし!」」」


盛り上がり続ける桜坂応援団から、楽器と声援が響き渡りました。

会場の総数から言えば、桜坂側の応援をしている人は少数派です。

でも、灘応援団が完全に意気消沈している中、彼ら彼女らの声援が、この会場を支配していました。

いえ、ただ1人、


「馬鹿な、こんな、馬鹿なこと、ある訳ない…」


呪詛にも似たその声だけが、僕の真下から未だに聞こえていました。

灘の監督が、力無くそう言って首を振っている姿が、そこにはありました。


「来た!こっち来たっ!」

「迎撃しろ!迎撃だっ!」


必死な金切り声が、フィールドに響きました。

灘の監督も、僕もそちらをついっと見てしまいました。


そこには、逃げ惑う灘の選手が2人。

突進してくる傷だらけの鎧に、必死になって火炎弾と水泡弾を飛ばす2人の姿。

でも、歴戦の白銀騎士は止まりません。

幾つもの弾丸を前面に貼りだした水晶盾で払い除け、まるで羽虫の攻撃と言うかの様に、全くとして速度を落とさないその姿は、まるで動く要塞でした。


96番は、手前にいたパイロキネシスの選手を容赦なく跳ね飛ばすと、そのままもう1人へと爆走してきます。


「く、来るな!こっち来るなぁあああ!!」


残った灘の選手が砲撃を止め、一目散でこちらに、灘のベンチへと逃走を開始しました。


「先生ぇ!!助けてぇ!早く、早く棄権してぇえ!!」


片腕をこちらに向け、必死に助けを乞う灘の選手。

プロテクター越しでも分かるくらい、彼女の顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃでした。


「ば、バカ者ぉ!棄権など、関東相手に棄権など出来る訳ないだろがっ!」


灘の監督は、しかしそれでも、諦めようとしていませんでした。

いえ、違います。ただ現実が見えていないだけです。

もう、フィールドに残る灘選手は僅か。

逆転なんて出来ない。そんなのは、1年生の僕でも分かります。

それでも、灘の監督だけは認めませんでした。

認めたくない様子でした。


そんな監督の姿に、


「もう、無理っ!」


灘選手は、見切りを付けました。

猛追されるプレッシャーから逃れるため、96番に追われていた最後の選手は、自ら芝生にダイブして、両手を頭の上に乗せました。

このポーズは…。


『灘17番、ベイルアウトぉ!黒騎士選手の猛突撃に、溜まらず降伏しました!分かります。寧ろ、懸命な判断だと思います!』


実況の言葉を受けて、観客席も同情の視線を17番に送ります。

ザザーッと芝生に顔をこすり付ける17番に対し、誰1人としてヤジを飛ばすような人はいませんでした。

それだけの窮地だと、誰もが分からされた1分間。


17番の横をすり抜けて、96番の黒騎士が、灘ベンチの方に徐行してきました。

ベンチまで、残り数mという距離で、彼が止まります。

彼の目が、こちらを、ベンチ側を非難がましく見てきます。

その目は、紫色の瞳でした。


鎧兜から覗く鋭い眼光に、目線の先に居ない僕ですら動けなくなりました。

余りに強いその視線に、僕は黒騎士が男なのかを疑う以前に、本当に人間なのだろうかと、そんな失礼な疑問が浮かんでしまいました。

でも、それ程彼から受けた物は大きかったのです。


黒騎士はそのまま踵を返し、重そうな足跡を残しながら、フィールドに戻っていきました。


「せ、先生…もう、無理です。先生!」


ベンチで、そんな声が聞こえました。

控え選手達までも、棄権を訴えているみたいでした。

彼女達も、彼の瞳を見てしまったのでしょう。

それを受けて、灘の監督は下を向きました。

彼女が持つ、監督者権限に視線を落としているみたいでした。


「嘘だ、こんなの…。相手は関東…。そうだ、関東なんだ。たかが関東。灘は名門。負けるはずない。あと、30秒で追加投入出来るんだ…。まだやれる。まだ、やれる…」


灘の監督が、まるで暗示の様に「やれる」を繰り返したその時、


『ファァアアアアアン!!』


試合終了の合図が鳴りました。

電光掲示板の時間は、試合時間6分38秒。前半戦終了には、あまりにも早い時間。

これは、


『試合終了!フィールドに居た灘校の選手が全員ベイルアウトしたため、桜坂が前半6分で完全試合(パーフェクトゲーム)、パーフェクトゲーム達成での勝利です!!』

「ぱ、パーフェクト、だと…」


灘の監督が、そう言って、膝から崩れ落ちました。


『まさかの結果に、灘の応援団は呆然としております。それもそのはず、中学ファランクス界では知らない者がいない名門、灘校が、突然現れた無名校、桜坂聖城学園にパーフェクトを決められるという結末。一体誰が、こんな試合結果を予測できたでしょう。それも、たった1人の男子選手を起点に起きた奇跡。白銀の鎧に幾数もの傷を付けた彼の姿は、まるで歴戦の騎士。黒い傷が、彼の強さを物語っている!正に黒騎士や!!』

「「「うぉおおおおお!!!」」」

「黒騎士様ぁ!カッコいい!」

「流石黒騎士様だぁ!」

「黒騎士ちゅうんか、ワレェ!惚れたで!」

「ウチもやっ!ファンクラブ入らせてもらうわ!」

「「「くっろきし!くっろきし!」」」


会場全体が、黒騎士を称える大合唱で埋まっています。

桜坂の応援団だけではありません。地元の応援席からも、多くの人が立ち上がり、桜坂への祝福を惜しみなく送っています。

そんな中、


「パーフェクト……関東相手に、名門の、(うち)が、パーフェクト…はっ、はははっ、うっ、あぁあああっ…」


灘の監督は、そのまま地面に突っ伏して、笑いながら泣いていました。

以上、西片君の報告でした。


「素晴らしい報告であった、西片とやら。褒美をつかわす」


ダメですよ?この世界に介入しようとしないでください?バグが生まれますよ?


「分かっている。冗談だ。だが、パーフェクトとは相手の殲滅を意味する言葉だったのだな」


そうですね。確かに、主人公が読んだ部長のルールブックにも、フィールドに居る選手全員を倒したら、点数関係なく勝利と書かれていましたね。


「さて、この報告を受けて、獅子王はどう反応するか」


それは、次回をお楽しみに。


イノセスメモ:

桜城VS灘。

桜城領域:43%、灘領域57%。

試合時間6分38秒。フィールドに立つ灘選手が0人となった為、桜城側の完全試合勝利。

2回戦進出:桜坂聖城学園。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 睨んでたのは引き際を弁えない指揮官に思うところがあるんかね。
[一言] そう…幾度となく傷を負ってなお、何度も何度も戦場に立たされ続ける歴戦の白銀騎士は、まさに苦労騎士! …え、違う? でも、宇宙規模の問題をワンオペで片付け、不断の努力が求められる彼の労働環境…
[良い点] 絶望。この言葉をまさか主人公に使うときが来るとは…素晴らしい戦いでしたね。一騎当千の姿からチートを疑われるレベルですが、正真正銘の努力の結晶というのが何とも面白い。逆に言えば彼と同じような…
感想一覧
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