118話~はーっはははは!~
突発的な海水浴イベントを満喫した桜城一行は、名残惜しみながらも千葉のリゾートを後にする。
蔵人も、心残りであった彼女への答えを返せたことで、眉間の皺が随分と平らになった。
良かれと思ったユニゾンが、彼女の重荷となってしまったかと、如月戦の後に随分と悔いていたのだ。
だが、それも無くなったので、蔵人はゆったりとバスの座席に腰かけることが出来た。
本当に、良かった。
一つ懸念があるとすれば、海の家を出る途中、丹治所長に声を掛けられた事だ。
何かあれば、我々を頼ってくれと言われてしまった。
彼女のお世話になるとしたら、機械の体が欲しくなった時だろう。
今の所、永遠の命は欲しくないので、曖昧に感謝の言葉を述べておいた。
蔵人達が海を満喫している間、待ってくれていたバスの運転手にも感謝せねば。
聞いた話、蔵人達が海へと行ってしまった後に、朽木先生が対応してくれたのだとか。
お陰様で、待機料金を取られるハプニングも起きずに済んだ。
思えば、朽木先生にも色々と不便をかけてしまった。
お忙しい中、引率の先生として申し出てくれたのだから。
もし、彼女が来てくれなかったら、学生だけでホテルには泊まれなかったかもしれない。
そうなったら、片道2時間近くを毎日往復せねばならなくなり、選手達に大きなストレスが掛かったことだろ。
もしかしたら、それが原因で負けていた可能性もある。
感謝せねば。
蔵人が先生に感謝の念を抱いていると、隣の西風さんからトロフィーが回って来た。
……違う。
トロフィーかと思ったそれは、黒くて短い棒。
マイクであった。
「…うん。これは?」
「マイクだよ!」
西風さんが元気に答えてくれる。
うん。ありがとう。今のは俺の聞き方が悪かった。
「何故、こっちに回って来たんだろうね?」
「今大会MVPの特権だよ!」
とても嬉しそうに、西風さんが教えてくれる。
そう、この関東大会でも、蔵人はMVPを頂いてしまった。
優勝旗を掲げながらのメダル授与にも、慣れてしまった蔵人である。
どうやら、MVPである蔵人から、バスに設置されたカラオケを歌い出して欲しいという事らしい。
先輩達までこちらを振り向き、手を振ってる。
「蔵人君、ガンガン歌ってね!」
「歌声聞きたい!」
「あー、なんかデュエットしたくなってきたなぁ」
先輩達の熱い眼差しがこちらに集中する。
それは良いのだが、最後に発言した海麗先輩。それは止めて頂きたい。
冷え冷えする視線で、部長が睨んで来ています。
デュエットは是非、部長とお願いします。
大会へ行く際のバス内は、緊張と不安で静かなものだったが、帰りは都大会と同じくらい盛り上がっている。
ここで受けねば場が凍る。
蔵人は仕方なくマイクを受け取り、隣の西風さんを見る。
彼女がカラオケ用のリモコンをこちらに向けてくれたので、何か歌える曲はあるかと検索をかけた。
すると、
「…なに?」
「どうしたの?蔵人君?」
蔵人の囁きに、西風さんの心配そうな顔が、リモコンの横からヒョコリッと覗く。
要らぬ心配をかけてしまったな。
蔵人は、彼女に微笑みを返す。
「ごめんね。何でもないよ」
「もしかして、歌いたい曲、無かった?」
西風さんの困り顔に、蔵人は小さく首を振る。
「いいや。寧ろ、男性の曲が有る事に驚いたんだ」
そう、男性歌手の歌がちゃんと有るのだ。
日本の有名な歌手。ロックバンド。アイドルグループ。
それだけでなく、海外の有名歌手や、アニメの主題歌なんかも出てくる。
その歌の詳細を見てみても、歌手の名前は史実のままである。
そう、ちゃんと有るだけなく、男性の歌い手も史実そのままなのだ。
良く探してみないと確かなことは言えないが、軽く検索をかけてみただけでも、かなり史実世界と似たラインナップが並んでいる。
歴史が少し変わった程度のパラレル世界であれば、それもあり得るかもしれない。
だが、この世界は異能力があり、史実とは大きく異なる。そして、その異能力によって、女性は圧倒的に優位な力を授かったのだ。
当然、社会的地位も女性の方が圧倒的に高く、重要なポジション、例えば、政治、軍事、経済、教育と言った分野の上層部は、殆どが女性で占められている。
それだけ女性優位の世界情勢の中で、歌の部門においては男性の活躍が目覚ましい。
これは、どういうことだろうか?
蔵人の予想では、ほとんどの男性アーティストはこの世に出てきておらず、女性ばかりがリストに上がるものと思っていた。
蔵人が首を傾げていると、西風さんがうんうんと頷く。
「歌もそうだけど、男性が活躍している分野は他にもあるよ。例えば、お医者さんとか、看護夫さんとか、お店の料理人さんとか、楽器を演奏する人とか」
医療従事者が多いのは、異能力の関係で知っていた。元々、ヒーラーやテレポーターは男性の割合が高いから、必然的に男性の業種となっていくだろう。
もしかしたら、料理人や歌手も同じなのか?
聴力等の五感が強化される異能力等は、男性の方が多い。その為、歌や料理の分野に男性が入りやすくなっている。
だが、それだけだろうか?
蔵人が悩んでいると、西風さんも「う~ん…」と悩みだす。
「他に男性が活躍している分野で言うと…アニメや漫画家も男性が多いね。主役や登場人物も結構男性が多いし…何でだろうね?」
西風さんが言うには、サブカルチャーは男性の担い手も、作品も多いのだとか。
女性優位のこの世界なら、その分野でも女性が占有している物だと思っていた。
であるのに、この分野においても元の世界にかなり似ているとの事。
そう言えば、頼人と見ていたニチアサのヒーロー物は、男3人に女2人が基準であったと思い出す蔵人。
理由は…正直分からない。
考えられるとしたら、そういう分野でしか、男性は活路を見出せなかったとかであろうか。
この世の男性は、家庭に入るか、結婚せずに肉体労働で小金を稼ぐくらいしか道がない。
最近になって男女雇用機会均等法等の法律が整備され始め、特区外の大手企業が少しづつ男性も雇用し始めてはいる。
だが、まだまだ男性の社会進出は少ないし、重要ポストは殆ど女性である事は変わっていない。
その為、異能力とは関係無い技術を要求される、芸術方面に活路を見出したのでは?と、推測する蔵人。
果たして、正解は?
「何故でしょうか?」
蔵人は、正解を得るために後ろの席を振り返る。
大きな瞳が、パチクリと瞬く。
「そうね。それもあるでしょうけど、多分、需要の問題もあるとわ」
「需要…ですか」
鶴海さんの答えに、蔵人はそれを飲み込むように言葉を繰り返す。
鶴海さん曰く、それらの分野は男性にも需要があり、特にアニメ、漫画は男性にこそ需要があるのだとか。
どういう事かと言うと、世の男性諸君は娯楽に飢えているのである。
WTCを始めとした多くのアミューズメントパークは特区の内側にあり、それらは世の女性の為にあると言っても過言では無い。
逆に、特区の外ではそう言った娯楽施設が少ない。動かすための異能力者が特区の外では確保しにくいと言うのも問題らしいが、男性が異能力を怖がってしまうので、使えないというのも問題みたいだ。
故に、特区の外には娯楽施設が少なく、その代わりとして、漫画やアニメは特区の外に居る男性達に大人気なのだとか。
まぁ、どの世界でも男性はロマンチストで、女性はリアリストな所がある。ファンタジーな世界を求めやすい男性に、受けがいいという面も有るだろう。
そうしてサブカルチャーに接してきた男性達が、俺もこう言うのを描きたい、作りたいと思うのは自然なことであり、自然と、そういう業界は男性が中心となり、物語の内容も、男性が中心に成っていった。
「そういう背景もあって、蔵人ちゃんの応援には、男の子達が多いのよ。アニメや特撮のヒーローみたいだ!て思ってね。多分だけどね」
「そうそう。凄かったよね、吹奏楽部の応援。楽器振り回して先生に怒られてる男子の先輩いっぱい居たよ」
「流石に、チューバを振り回していたのは驚いたわ」
それは怖い。
蔵人は、色んな意味で、この世界の常識に驚愕していた。
トロフィーの回し合いをしながら、みんなで熱唱をしていると、いつの間にか白亜の城が目の前に迫って来ていた。
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。
先輩達もそう思っていたのか、名残惜しそうにしながらも、順にバスを降りていく。
そして、都大会と同じように、バスを降りたところで全員止まっている。
…さて、今度は誰がいるのかな?
そう思って、前を見た蔵人は、
驚愕した。
「皆さん、関東大会優勝。そして、全国大会出場、おめでとうございます」
「「「おめでとー!」」」
「おめでとう!海麗ちゃん!」
「麗子、やったわね!」
そこには、校長先生が満面の笑みで立っており、その後ろには、桜城のジャージに身を包んだ生徒達が待っていた。
校長先生を始め、多くの生徒は拍手でファランクス部を迎え、中には花束や垂れ幕を持った娘も居る。
白地の垂れ幕には〈ファランクス部!全国大会出場!〉と赤い大文字が躍っていた。
多分、後で学校の壁に掲示するのだろう。
全国大会に出場した部活がある名誉を、校内外に知らしめるのだ。
部長と朽木先生が、慌てて校長先生の元に駆けより、何かを話し合っていた。
恐らく、改めて関東大会優勝の報告と、この歓迎のお礼を言っているのだろう。
何度もお辞儀をした部長が後ろへ下がった時、校長先生の手には、みんなの手垢が着いたトロフィーが大事そうに抱えられていた。
どうも、教員棟の入り口に飾るみたいだ。
そこには、歴代の桜城生が勝ち取った勲章やトロフィーが飾られており、8年前のファランクス部の栄誉もそこにある。
多分、その横にでも飾ってくれるだろう。有難い事だ。
他の楯や賞状は、ファランクス部の訓練棟入り口に飾るそうだ。
これで、1年生の部員が増えてくれたら嬉しいのだがね。どうだろうか。
蔵人が期待を寄せていると、拍手していた娘達が駆け寄って来て、先輩達に詰め寄った。
「おめでとう!海麗!関東大会優勝とか、凄いじゃん!」
「都大会で天隆も倒したんでしょ?どうだった?シングル戦の脅威になりそうな選手は居た?」
「麗子おめでとう!優勝したって聞いて飛んできたよ!」
「ずっとあんたの夢だったもんね。ファランクスで全国出場するの。ほんと、自分の事みたいで、嬉しくて、涙出てくるよ…」
「「「サーミン君!おめでとう!」」」
「応援行けなくてごめんね?でも、ずっと応援してたからね?」
「私は行ったよ!2回戦だったかな?サーミン君が円柱役を頑張ってて、私手を振ってたんだよ?」
先輩達が、出迎えてくれた生徒達の雪崩に呑み込まれてしまった。
だが、囲まれた先輩達はみんな嬉しそうだ。
1年生の出迎えは殆どいなかったみたいで、1年生組の蔵人達は後ろの方で放置されている。
良かった。黒騎士の話は、まだ広まっていないみたいだ。
蔵人が1人安堵していると、横から視線を感じた。
そちらの方を見ると、ファランクス部用の駐車場に、1台の高級車が停まっていた。
その車の窓からは、アッシュグレイの少年が、窓から身を乗り出してこちらに手を振っていた。
頼人だ。
服装は普段着なので、態々蔵人達を出迎えに登校してくれたみたいだ。
蔵人は、そちらに走り出したい衝動に駆られるも、思いとどまった。
彼が車から出てこないのは、女子生徒の群れに囲まれない為だ。
ここでもし、蔵人が走り寄ってしまったら、彼女達に頼人の存在を気付かせてしまう。
なので、蔵人は彼に向かって、握りこぶしを上げるだけに留めた。
やったぞ頼人、と。
「はーっはははは!」
蔵人がそんなことをしていると、何処からか高笑いのようなものが聞こえた。
何処だろうかと周囲を探してみると…3mくらい上空に、パンツが浮いていた。
…違った。小学生くらいの小さな女の子が、桜城の制服である白亜のスカートをバッサバッサとはためかせて、仁王立ちで上空をホバリングしていた。
おっと、これは不味い。
蔵人は急いで、視線を地面に落とした。
小さい子とは言え、女の子だ。レディのパンツは見ちゃイカン。
そんな蔵人の頭上で、少女の声が響き渡る。
「なんだよ、なんだよ!どいつもこいつも関東大会優勝ぐらいで大騒ぎしちゃってさ。そんなこと、さーだったら片手で出来ちゃうもんね!それなのにみんな、ふぁら…何とか部なんかを褒めちゃってさ、ほんと笑っちゃうよ!」
甲高い声を振りまく少女。
どうやら、大勢に祝福されるファランクス部に嫉妬しているみたいだ。
一瞬見えた制服や少女の言動からすると、彼女は桜城の生徒で、異能力部の部員のようであった。
そんな少女に、海麗先輩が声を上げる。
「風早さん!あのね、ファランクスは大勢で勝負する競技なの。だから、シングル部と比べることは出来ないし、どっちが凄いって話じゃないんだよ?」
「うるさいうるさい!さーより弱いお前が入って勝てるなら、さーが入ればもっと凄いんだ!でも、入ってあげないよ。さーは全日本の練習が忙しいんだ。そんなお遊びしている暇ないからね!」
なるほど。
少女の名前は風早さん。シングル部の部員で、ホワイトナイトの海麗先輩よりもランキングが上位であると。
つまり、彼女はAランクで、恐らく3年生。
言動は幼子そのものだが、それは容姿に引っ張られているだけでなく、強者の奢りもあるのだろう。
蔵人が少女の分析を行っていると、朽木先生の声が割り込んでくる。
「こら!紗沙良ちゃん!そんな事言う子は、部活の練習増やしちゃいますよ!」
「ふーんだ。そんなの、全然怖くないもんね!」
「じゃあ、補講の宿題を倍にするように、南先生に言っちゃいますよ!?」
「ふ、ふーん!そんなの、そんなの全然怖くないもん!ないもーん…」
もーん、と言いながら、声が遠くに消えていった。
蔵人がチラリと見上げると、風早先輩の姿は無くなっていた。
どうやら、飛んで行ってしまったらしい。
彼女の異能力は、恐らくエアロ系。それも、空が飛べる程の出力。
本当に、嵐のような子だったなと思ったのは、多分蔵人だけではないだろう。
「お帰りなさい!蔵人様!優勝おめでとうございます!」
家に帰ると、柳さんが盛大に祝ってくれた。
親子丼やハンバーグ、トンカツに赤飯と、なんだか目出度い料理がわんさか並んでおり、pfcバランスが崩壊するメニューだった。
何がpfcだ!今日はチートデイだぜ筋肉ちゃん達!と蔵人はごちそうを胃袋に掻き込んだ。
そんな蔵人を優しく見守りながら、柳さんが話題を振ってくる。
「そう言えば、蔵人様。今月末にイギリスから親善大使の一団が来日して、有力者のお子さんを集めてパーティを開かれるそうですよ。毎年開かれるパーティらしいのですが、今年はイギリス王室の王子も参加されるとか」
「ムシャムシャ……ゴックン。ほう、パーティに王子ですか」
優雅なものですな。
蔵人はゆっくり一つ、頷いた。
まぁ、やんごとなき方々の動きは、まだ把握する必要は無いだろう。
今の蔵人は、ただ力を見せ、真実を知る者を一本釣りするだけである。
あまり興味を示さない蔵人を見ても、しかし、柳さんは先を続ける。
「そのパーティに、頼人様もご出席なさるそうです」
「ほぉう。頼人が、ね」
難儀なものだな。
蔵人はため息を吐くかのように、長い吐息を吐いた。
勿論、頼人が望んでいない事くらい、蔵人は分かっていた。
巻島家。海上運輸を担う財閥の末席。その面子を保つ為に利用されているだけだ。
あわよくば、有力な家との縁談が舞い込めば御の字という腹積もりなのだろう。
確か以前流子さんが、許嫁の事を仄めかしていた気がするのだが、更なる栄華を求めているのだろう。
夏休みが明けたら、頼人に声かけしてみるかと頭の中でスケジュールに加えた蔵人。
頼人の話題が出たので、ついでに聞いてみようと、蔵人は話を振る。
「柳さん。今日、頼人もお祝いに来てくれたのですが、彼は夏休みも元気に過ごしているのでしょうか?」
柳さんは時折、流子さんと電話しているらしい。
その内容は、主に蔵人の事を報告しているそうなのだが、偶に頼人の情報を得ることもあると、以前柳さんから聞いていた。
今回も、その可能性が高いと思ったが、柳さんの顔を見る限り、どうやら正解みたいだ。
「頼人様は、夏休みも色々なお稽古をされていて、特に最近は、そのパーティに向けたダンスのレッスンを頻繁にされているとか」
「ぐっ、ダンス、か」
蔵人の脳裏に、苦い記憶が滲み出る。
あれは何時だったか、勇者一行と共に王家主催のパーティへ参加した際に、半月近くお辞儀や食事、ダンスのレッスンで雁字搦めにされたことがあった。
王家が興味あるのは勇者だけなんだから、俺はどうでも良いだろ!と思ったが、結局最後まで付き合わされてしまった。
魔物を倒すより、余程疲れた記憶がある。
うん。話が脱線した。
つまり何が言いたいかと言うと、
「頼人も大変だな…」
この一言に尽きる。
「その様ですね。とても辟易なさっているとか。でも最近は、蔵人様のお陰で随分と元気付られているとも聞いていますよ」
「うん?僕の?」
特に電話とかしてないのだがなと、蔵人は首を傾げる。
元々、電話しても頼人に取り次いで貰えないので、電話出来ない訳だし。
「はい。これは私が勝手に想像している事ですが、多分頼人様は、普段の蔵人様のご活躍を聞いていて、また、今日の試合も見られていて、それで元気を貰っているのではないでしょうか?」
なるほど。確かに、ありえない事では無い。
彼とは幼い時、一緒に異能力戦に出ていたからね。その時を思い出しているのかも知れない。
「なるほど。そう言うことか」
頼人が態々出迎えてくれた理由が、それで納得出来る。
テレビを見て、蔵人をお祝いしたくて来てくれたのだろう。
「はい。あくまで私の想像で、流子様が言われていた訳では無いのですが」
「いえ。僕もそう思いますよ。それに、もしそうなのでしたら、全国大会のチケット、頼人にも贈ろうかと思います」
蔵人が提案すると、柳さんはとっても喜んで、賛成してくれた。
身内に何枚か渡す用にと、校長先生から貰ってたのだ。
態々、業務の合間にお祝いしてくれただけでなく、そんな事までしてくれるとは。
蔵人は、校長先生に感謝した。
「勿論、柳さんの分もありますよ」
「ええっ!よろしいのですか!?」
蔵人が柳さんにチケットを渡すと、本当に飛び上がって喜んでくれた。
これは、頑張らねば。
蔵人は、自分の肩にかかる重圧が、少し増した気がした。
関東大会から帰って早々、色々な方から祝福されましたね。
「一部、絡んできた生徒も居たがな」
風早と呼ばれていた子ですね?美原先輩よりも強いと言っていましたけど、どうなのでしょうか?
「定かではないが、あ奴にとっては良い練習台になりそうだ」
飛行系異能力者は少ないですからね。レースとかしたら面白そうです。
イノセスメモ:
・サブカルチャーは男性の働き手も多く、特に漫画作家やアニメーターなどは男性の職業となっている模様。
・サブカルチャー程ではないが、歌や料理などの分野も、男性の割合は他分野に比べて高い。