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勝負の結果

 噂が広がりに広がって、リーゼロッテの決闘の話は色んな人の耳に入った。

「でもまさかこんなに賑わうなんて……」

 幕の端から客席を見ると、そこには一つの隙間もないくらいギチギチに座っている生徒達が居た。

「辞めるなら今のうちだよ」

「まさか」

 リュートにそう返すと、歓声を受けながらリーゼロッテ達は入場した。


「では、これよりリーゼロッテとリュートの決闘を開始する」

 審判の声に、剣を構える。そして、「始め」と言われた瞬間に、リーゼロッテ達は動き出した。

 剣のぶつかる重い音が鳴り響く。捌き捌かれ、勝負は五分五分だった。

 しかし、それは体力のある最初だけ。男女の身体の差は大きい。段々リーゼロッテが劣勢となってきた。

「はぁ、はぁ、はぁ」

 一旦距離をとって息を整えるリーゼロッテに、口角をニンマリとあげ、リュートは声をかけてきた。

「やっぱり『万能』なだけ(・・)の君は、僕には勝てないよ」

 痺れる体で、その言葉を聞いたリーゼロッテは、またか、と息をついた。

 『象徴』だから、人と同じ扱いを受けなかった。

 『万能』だから、過度な期待を寄せられた。

 『廉潔』だから、罪を裁かれなかった。

 リーゼロッテ達はいつだって、祝福に囚われている。だけどーー

「それが、どうしてっていうんですか」

 リーゼロッテはもう一度足に力を込め、斬り掛かった。

 リュートに押し返されたが、リーゼロッテはこれで、自分が決まった。

 飛ばされたが、また駆けていく。

「確かに私は、『万能』でありながら『天才』には成れませんでした。だけど、それがここで剣を振るうのを諦める理由には、なりはしません」

 だって、リーゼロッテは大切なあの子の為に振るうから。

「『女神様』というレッテルを貼られ、痛みすら上手く表現できないあの子の為に、私はいるんです。あの子が起きた時、期待を裏切ったから刺されるかもしれないと怯えることのないように!」

 キン、と剣がぶつかり合う。そのまま、下から上へ剣を上げて、リーゼロッテはリュートの剣を弾き飛ばした。

 丸腰になったリュートに振りかぶる。


 そして、剣の平で、リュートの額にコツンと当てた。

「……なんで、殺さないの?」

「ここで貴方を殺したら、私も貴方と同じになるからです」

 エゴでエリネティーシャを殺そうとしたリュートと。

「だから、生きて、よく考えてください。貴方の見つめた女神様に、体温は有ったのか」

 その言葉に、リュートはあどけない笑顔を返した。初めて見る、本当の笑みだった。

「僕の負けだよ、リーゼロッテ」


 その言葉をかわぎりに、決闘場が拍手と歓声で満ちる。息を整えていると、リーゼロッテの友人達が駆けてきた。

「おめでとう、リーゼロッテ。それとよく聞いて。エリネティーシャ様の、意識が戻りかけているらしいの。言ってあげて」

「……! うん」


 そう言って、ただ愛しい人のためにかけていく少女を、皆が優しく見守った。

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