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私を店から追放処分して半年後、ざまぁみろスカッシュしてやると戻ってきた

作者: 孤独

私の名前は、引満範ひきまん はん


家から数分の距離になるスーパー。そこに私の居場所があった。

半年前。愚かな事にこの私を追放処分にしたのだ。

なんて愚かな事だ。すぐに苦情を沢山書き込んでやったさ。


だが、それもしばらくすれば、忘れられる。

自分の中でもやはり、そこは近いのだ。人間なんて忘れるものだ。


ピロリローーン


チャンチャンチャンチャーンッ


あーっ、懐かしい感じ。こんなダサイBGMが流れたスーパー。催促するかのように、オススメの商品や特典の放送。

しばらく、通ってなくても、どこに何かあるか分かる。



「……………」


よし。これに決めた。この缶ビールとおつまみ。

スカッと爽快。万引き、サイコー!!ざまぁみろってんだ!!

自分のエコバッグの中に商品を入れる瞬間。この所業が上手く行くときのフィーバー感は、パチンコ並!


ポンポンッ


「?」

「事務所に行きましょうか、引間範さん」

「……お、お前は、万引きGメンのみゆき!!」



◇        ◇



「そろそろ来るだろうなーって、店長と話をしてたところですよ」


引間を事務所の中に引きずり込んだみゆきは、まるで歴戦の友と接するかのように、万引き常習犯にも関わらず、お茶を用意してあげる。



「4丁目の”スーパー薫”で万引き失敗したんですよね(笑)。プッフー、ホントに反省できませんね」

「ぐっ……」

「いつものざまぁみろスカッシュとか、思ってくれてもいいじゃないですか?」


最初こそは怒鳴っていたが、もうかれこれ、10何回という行為。

その数だけみゆきが捕まえているという事実もあるが、それ以上に反省をしない引間。もういい加減、諦めたら?



「服変えたんですか?なんか太ってませんか?」

「五月蠅い!!」

「警察に言わないから、反省文でも書きなさいな。未遂って事で手をうってあげるから」



警察ももう、この人の相手をするのが面倒くさいのだ。本人は万引きするタイミングに幸福を感じ取るが、結構な確率で捕まっている。凄いくらい、万引きのセンスがない。(それは良い事か?)

そんなわけでもう店側も面倒だから、反省文を書かせた後、



「店に来ないでと、2年前からずーっと言ってますよね?ホントに……」

「たまに来たって良いじゃない!私は客よ!!」

「万引き犯はお客様じゃありませ~ん」


出禁処分を言い渡している。他にもスーパーあるんだから、そっちに行けよって……。しかしながら、色んなところでやりすぎであり、今回のように店内に入れるところまでは行くも、買う前に追い出されてる事例がいくつか。

それ故に。


「私は3つも隣の街のスーパーまで買いに行ってるのよ!!どんだけお金と時間が掛かってると思うのよ!?」

「すぐに万引きしてたからじゃね?」



自分がまだ出禁にされてない、万引きに気付かれてないお店を探しに、遠出している苦労人なのか馬鹿なのか。よく分からん。

サラサラと反省文を書いて提出をする引間。それを眺めながら、みゆきは



「……こんなに素早く反省文を作れる文章力を、万引きに活かせるといいですね(笑)」

「きーーーーっ!!」

「はいはい、出て行った出て行った。また遠いスーパーにでも行ってらっしゃい」


煽った後、万引きをしようとした商品を回収し、引間を店内から追い出した。近所の方々にも有名な人物だ。


「覚えてなさーーい!!」

「忘れたいくらいです」

「こんなスーパーの悪口、近所に広めてやるからな!!絶対にぶっ潰してやるからなーー!!」

「お気をつけてー!」



◇         ◇


みゆきと引間のゴチャゴチャ騒ぎの中。

店内はとても静かで楽しい買い物が続けられていた。その中に、若い男性が”周囲”を見ていた。


キョロキョロ


「……引間とみゆきが店内にいないな……」


万引きGメンのみゆきは、プロ中のプロだ。しかし、奴が動けない状態ならどうしようもないのだ。

引間という万引き常習指名手配犯がやってきたとあれば、みゆきは必ず、その相手をしなければならない。


スッ


「へへっ」


万引きってのは楽なもんだぜ。

馬鹿が騒いでる間に、バックの中に忍び込ませるだけなんだからよ。

あーいう奴がいてくれないと困るぜ、世の中はよ。



ポンポンッ



「!」

「あら~。ダメですよ。お兄さん。……ちょっと事務所に来てもらいませんか?」


若い男は無事に店に出られたと思ったが、肩を叩かれる。

後ろにいるみゆきが、どーいう表情をしてるかといえば……振り向けば分かることだ。


昨日の短編の続きみたいな事を言っちゃうんですが。(後日談をまた聞けたんで)


クレーマーさんがお前等なんか二度と利用したくないって叫ばれたそうです。

もうそりゃあ、どうぞどうぞ、お願いします!ってこちらからも頭を下げるくらい嬉しいご提案なんですよね。お互い関わらないのが一番ですって。


【クロネコも佐川も郵便もAMAZONもメルカリも楽天も使いたくない!!】


そんな感じの捨て台詞を吐いて、電話を切られたそうですが。

いや、利用すんなよって。

クレーマー様が精一杯の努力をして頂いて、欲しい商品を別の企業で見つけて来てください。配送会社も自分で探して、お願いしてください。

こちらからもお願いしてるんですけど、一切やってくれないんですよね。

俺達はあなたが利用されると、困るんですけど。






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