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五日目 核爆弾

「チョイさん。海を臨む崖なんて、犯人を追い詰める以外になんの用事が?」

「犯人を追い詰めるシチュエーションも相当レアだけどね。まあ、見てて? もうすぐ最終兵器が現れるから」


「現れる? もしかして、この海の底からですか?」

「ええ、そうよ。ほら来たっ」


『ザバァァァァ』


「せ、潜水艦!? しかも凄く大きいです!」

「ミンちゃん、語彙力がどっか行った?」


「えへへ。で、あの潜水艦が最終兵器ですか? 今回は、見るからに最終兵器然としてますね」

「そうね。厳密に言えば、本当の最終兵器はあの中にあるのだけど、あれ自体、最終兵器と言えなくはないわね」


「うん、あの中? 搭載兵器って事ですか?」

「ええ。あの潜水艦は科学の粋を集めて造られたわ。そして、この世界で数回使用された核兵器の系譜ね」


「か、核兵器!? 今回はモロ(・・)ですね。忌まわしき人類最悪の兵器」

「ええ。いわゆる原爆と言われる兵器ね。爆心地付近では4000度の熱線が駆け巡り、膨大な放射能で、自然と人体を内部から破壊して苦しめるだけ苦しめ尽す、悪しき兵器」


「地上を、地獄よりも地獄にしたっていう……」

「悪魔も驚く程のね。一度目はリトルボーイ。二発目はファットボーイ。三発目は落とされる事は無く、それに使われる筈だったプルトニウムの塊は、のちにデーモン・コアと呼ばれたわ」


「ちょっと悪魔の名前使うの止めてほしいんですけど……って、じゃあ、あの中には……?」

「ええ、あるわ。それも原爆の威力の約3800倍。被害範囲は1400倍。間違いなく人類史上もっとも忌むべき兵器。弾道ミサイル型核兵器、【カリギュラ(暴君)】が搭載されているわ」


「名前からしてヤバすぎる。あ、でも、搭載されてるって事は、使われてない?」

「ええ。発射されることは無かったわ。その前にこの世界が滅んでしまったから」


「滅んだ? じゃあ、あの潜水艦の中は?」

「無人よ。いいえ、正確に言えば、中で死んでるわ。今はプログラムで海底を航行して、極秘裏に決められたパターンで水上に上がってくるの」


「一体、この世界で何が?」

「世界規模のパンデミックが起きたのよ。自然発生した伝染病で人類の抵抗むなしく、この世界の人類は滅亡したわ。ああでも、自然発生も少し違うわね」


「と言うと?」

「人類の行動が元で、溜まった毒素が《《ソレ》》を生んだとも言えなくはないから」


「なるほど。でも、皮肉なもんっすね。人同士で争った結果、大自然にしっぺ返しを食らったんですね」

「そうね。世界が滅亡して、この世から兵器が無くなった。文字通りあの潜水艦と搭載されている核ミサイルが最終兵器になったのよ」


「最後の兵器かぁ」

「これからも人を失った世界で、あの最終兵器は海底を彷徨い続けるのよ」

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