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第4話 鑑定のロックアップ

◇リリィ視点◇


 繋がりを司る神?

 確かに女神教の神々に『クサビ』という神様の名前があった。

 まさか本当に神様?

 そうで無かったら怪鳥に乗る怪しい人だ。

 弟が、ホマレがこういうシチュエーションを好みそうではある。


「我が名は『クサビ』。人の繋がりを……」


「あっ、すいません。それ聞いたんで……」 


「うむ。そうか。反応がないから聞こえなかったのかと思ってな……」


 ああ、だから繰り返したのか。

 少し茶目っ気のある神様らしい。


「人間の娘よ。お前が入り込んだここは『神域』と呼ばれるものだ。普通の人間が入る事は許されぬ」


 どういうわけか私は神様の住む『神域』とやらに入ってしまったらしい。

 即ち、不法侵入だ。

 そう言えばかつて父様は母様の家に不法侵入して放尿をぶちかましたことがあるらしい。

 何だか字面だけ見ると父様がとんでもない人という印象を受ける。

 …………いや、ある意味とんでもない人なのだけど。

 そんな人と結婚する母も凄いと思うが結果として幸せみたいだしそのおかげで私や末っ子のリムが生まれたのだから人生何があるかわからない。


「すいません。気づいたら迷い込んでいた様で……すぐに出ていきます!」


 踵を返し慌てて退散しようとするが……


「待て。神の住処に無断で入り咎無く出られると思ったのか?神域を侵すなどあってはならぬことだ」


 これは不味い。

 神様は予想以上に怒っている。

 父様の世界の言葉で確か……『ゲキオッコブンブンハロー』とかいう言葉だったか。


「咎……私に何を求めますか?」


「お前の犯した罪は甚大である。なればお前のみならずお前の家族にも罰は下るだろう」


「なっ!?ま、待って。家族は関係ない!!」


「そんな事は知らぬ。家族ならば連帯責を取らねばな」


 連帯責任?

 そんなのダメ。

 家族は何も悪い事をしていない。


「家族は何も悪くない。必要だって言うなら私の首を差し出したって良いわ!巻き込まないで!!」


「ほう」

 

 クサビ様が地面に降りてくる。


「首を差し出すとな?その意味が分かっているのか?」


「罪を犯したのは私よ。その事で家族が責めを負うなんて許されない」


 私の父、レム・ナナシはかつて転生前の世界で迫害されていたという。

 家族が犯した罪。それにより父様は人々から蔑まれる子ども時代を送ったという。

 また同じような思いをさせたくはない。

 キョウダイ達にだってそうだ。


「もし、それを認めてくれないというのなら……今からあんたと一戦交えてでも私は家族を守る!」


「なるほど、首を差し出すとはそういう意味か。実に危なげ、だが……面白い。ならばその覚悟、見せてみろ!!」


 クサビ様が両腕を顔の前に出し構えを取る。

 私は迷いなくクサビ様目掛け組み付いた。

 片腕は相手の首に、もう片方の腕は相手の腕を。

 クサビ様も同様の手でお互い組み合う。


「ほう、驚いたぞ『鑑定のロックアップ』か」


 鑑定魔法と言えば瞳を介した補助魔法で練度にもよるが相手のステータスと呼ばれる数値的なものが情報として捉えることが出来る。

 私はあれがあまり好きではない。

 品質のチェックなどには役立つが人の実力を推し量るにあたって精度は高くないと感じている。


 人の強さと言うのは単純な数値では表せない。

 そこで私が編み出したのは相手と組み合う事で数値だけではわからない実力を図る技術。

 それが『鑑定のロックアップ』だ。

 

「とうに廃れたものと思っていたが扱う人間が居たか、ますます面白い!」


 楽しそうに笑う神。

 その一方、私は全身に冷や汗をかいていた。

 

 鑑定をした瞬間、イメージが脳内に流れ込んで来た。

 それは天に聳えるほどの大山。


 これが神の実力。

 明らかに桁が違う。

 それでも引くわけにはいかない。


「なるほどな……」


 私はクサビ様をリバース・フルネルソンに捕らえると腰を落とす。

 そして相手を持ち上げながら後方へ反り返り、背面から後方に叩きつけた。

 しかし……


「ふははは、神を投げるとは面白い!!」


 クサビ様は地面に叩きつけられずブリッジで私のスープレックスを耐えていた。

 そのまま起き上がり身体をひねると逆に私をダブルアーム・スープレックスで投げつけたのだ。


 全身に強烈な痛みが奔る。

 だけど私は諦めるわけにはいかない。

 私の凡ミスで家族に迷惑をかけるわけにだけは。


「まだまだぁーーーっ!」


 すぐさま立ち上がった私を見てクサビ様は満足げな笑みを浮かべると戦闘姿勢を解く。


「え?」


「今ので十分わかった。お前の真価というものがな」


「ど、どういうこと?」


「フフフ、『鑑定のロックアップ』というものはただの鑑定ではない。お前が私を鑑定すると同時に私もお前を鑑定していたのだ。そして決めた。お前には私の手足となって働いてもらおう」


「そうすれば私の家族には手を出さない……と?」


「フフフ、あれはただの嘘だ。済まぬな」


 はい?


「私は決して狭量な神ではない。優れた者は正しく見積もり評価を下す。つまりだ、お前は合格というわけだ」


「合格ですって?」


「先ほど、お前は家族に害が及ぶと知り迷いなく私と戦う路を選んだ。敵うはずがないとわかっていながらも大事なものの為に立ち向かう『勇気』。危ないところもあるが私はそこにお前の父親と同じものを見た」


 私の中に父様を?


「レム・ミアガラッハ・リリアーナよ。私は神としてお前に祝福を、そして試練を与えよう」


 祝福と試練?


「かつて神域に入り神器を盗み出しある世界に逃げ込んだ輩が居た。お前にはその者を見つけ出してもらいたい」


「私が?」


「あちらの世界にはあちらの世界の理があるのでな。我らも大規模な干渉は出来ない。そこで、お前の出番だ」


「なるほど……それが試練と言うわけね。それで、その世界と言うのはもしかして」


「その通り。今からお前を送るのはお前の父親が生まれた世界。『地球』と呼ばれる世界だ」


 父様の世界……地球。

 父様が育った世界、私のルーツ。



読んでくださってありがとうございます。

何だか割と好きな事をしているというか自分でも趣味全開だなぁって(笑)

ちょっと地球に行くのの時間かかってますね(苦笑)

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