第30話 レム家四女メールVSオボログルマ
えーと、最終話まであと4話ということになりました。
それに加えマルチエンディングのエピローグが2つ。合計6話です。
皆さん、お付き合いください。
――ショッピングセンター中央広場――
カシャを倒したケイトは少し焦げた服についたすすを払いながらこちらに戻って来る。
「最悪!ちょっと焦げているじゃないの!この服結構気に入っていたのに……」
やれやれ、またそんな事を気にして。
服なんてただの布じゃない。
「また新しい服を買えると思ったらいいでしょ?」
私の言葉になるほどね、とケイトが肩をすくめた。
「さてさて、それじゃああたしはおばあちゃんとお話でもしようかしらね!」
ケイトはウキウキした様子でお祖母様に駆け寄っていく。
一方でフードを被った連中は何やらざわついている様子だ。
まあ、すでに二人ノックアウトされているから仕方ないか。
ていうかフード取ればいいのに……
「ってわけで既に二人やられているけどまだやる?」
「舐めるんじゃねぇぞ!」
ひとりがフードを取る。
そこには巨大な二本の角を頭部にたたえた牛の怪物が立っていた。
全身の皮膚が金属質になっており光を受けて輝きを放っている、
「妖魔として俺が貰った名は『オボログルマ』!俺が相手をしてやろう!!」
「うぇーっ、あいつ何かリムが好きそうな硬そうな相手だね」
アリスがオボログルマを見て呟く
「うんうん。リムが居たら間違いなく自分が行くって言いだすよね!!よーし、それじゃあリムの代わりにあたしがいっちゃおうかな!!」
両肩を回しながらメンバーで最年少のメールが張り切る。
「メール、あんまり遊んじゃダメよ?」
「はーい!!」
元気よく返事をするとメールはカーディガン、セーター、スカートを脱ぎ捨て運動着姿になる。
この子ったら最初から闘る気でこっちの世界に来たわね……
「あの、メールちゃん……」
お祖母様が心配そうに声をかける。
「えへへ、あたしの戦い、しっかり見ててね、おばあちゃん!」
軽いストレッチをしながらメールが前へ出ていく。
「な、なぁリリィ。あの子ってその、何歳だ?」
「メールは私の4つ下。だから12歳ね」
「あのな、普通に言うけど流石に12歳の女の子にアレの相手さすのって……」
「あのね、ウチのキョウダイよ?普通の12歳なわけ無いじゃない」
そりゃその辺の10歳なら絶対戦わせない。
だけどあの子は私の妹だから……私なんかよりもはるかに強くて真っすぐ育ったから何も問題ない。
「さぁさぁ、はじめようかオボログルマさん!よろしくお願いします!!」
元気よく頭を下げる。
だが顔を上げた瞬間……
「戦い中に相手から目を反らしちゃあダメだよなー!!」
距離を詰めたオボログルマの蹴りがメールのボディを捕らえる。
回転しながら後ろに吹き飛んだメールが膝をつきつつ態勢を整えた。
「あいつ、何て卑怯な真似を!!」
憤るタツルだが……
「今のは目を離したメールが悪いね」
「あいつ、姉さんに言われたっていうのに即油断して……」
アリスとホマレはダメ出しをしていた。
「いい蹴りだね牛さん!さぁ、行くよーっ!!」
「ブオォォォォ!!」
オボログルマが角を突き立てようと塔激して来るのに対しメールが拳で応戦。
拳と角が激しくぶつかり合い互いに弾かれ後退。
「わぉ、強いじゃん!!」
再度拳と角が激突し互いに後退。
そして三度激突しようとしたところで角がメールを掬い上げる。
更に角が伸びてメールを挟み込むとオボログルマはそのままベンチ目掛け倒れ込みメールを叩きつける。
砕けるベンチに倒れ込むメールめがけ踏みつけの追撃が為されるが……
「おっと、そう簡単には行かないよっ!」
メールは身体を捻りながら踏みつけを回避すると立ち上がりオボログルマの腹部に連続で拳を叩き込む。
「グゥゥゥ、何て重い拳だ……だが!!」
オボログルマの腕が変形し蹄鉄型のグローブ状になる。
「オックスタンプ―!!」
グローブによるパンチ攻撃を繰り出すがメールはそれを回避しオボログルマの肩に飛び乗ると片腕を高く挙げエルボーを連続で放ちオボログルマの顔面を撃ち据える。
「こ、こんな小技で……俺を倒せるものかーーー!」
オボログルマはグローブを解除してメールのひじを掴むと投げ飛ばす。
「そしてこれで終わりだー!!」
オボログルマの角が回転
更に背中の装甲がせりあがり火炎を噴射したかと思うと着地したメール目掛け猛スピードで突っ込んでいく。
ガンッ!と音がしメールの身体に回転する角が突き立てられた。
「いやぁぁぁ、メールちゃん!」
悲鳴を上げるお祖母様と対照的にケイトは落ち着きを払った様子で言う。
「大丈夫よ、おばあちゃん。ほら、よく見て。あの衝撃だけどメールの身体は貫通されていないわ」
そう、本来なら串刺しのはずだ。
だが角は回転し続けるのみで身体を貫いてはおらずまたオボログルマもそれ以上前には進まない。
それどころか回転する角を、メールは掴んでいた。
「リリィ君、もしや妹さんはあの攻撃を防いで……いるということかい?」
変態ユリウスが驚きの表情でこちらを見ている。
いや、こっち見ないでよ。ていうか服を着ろ。
「まあ、そういう事よ。あいつの角はリリィの身体を貫けず止まっているの。だって、あの子無茶苦茶硬いから」
「グヌヌヌ、何故だ。何故俺の必殺タックルを防ぐことが出来ている!?」
「ニヒヒ、あたしは闘気っていうのを纏う事で防御力を高めることが出来るの」
角の回転が鈍くなっていき、やがて完全に動きを止めてしまった。
「あたしの防御力は世界で最も硬いと言われてるアダマンタイトにも匹敵するの!」
「だ、だからってこんな……」
「せーのっ!」
掛け声と共に両腕に力を籠め、オボログルマの角がへし折られる。
「角が……俺の、角がぁぁ!!?」
「楽しかったよ牛さん、そろそろフィニッシュにするね」
メールはオボログルマをブレーンバスターに抱え上げると垂直に落とす。
その先には自身の膝、そうアダマンタイトの硬さを誇る膝が待っていた。
「アダマス・フェイスクラッシャー!!」
凄まじい硬さを誇る膝に叩きつけられたオボログルマの顔面にひびが入る。
メールが手を離すとオボログルマの身体はゆっくりと地面へと倒れ込んでいった。
「す、すごいな。僕はこんな凄い家族の所へ婿入りしようとしているのか……」
ユリウスが額に汗を浮かべ呟いた。
「まあ、みんな規格外なのは否めないわよね…………ていうか何度も言うけどあんたを旦那にする気はない!!」
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