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第18話 写真

◇リリィ視点◇


 正面のヴァンピールエイプ、左腕のコープスウルフ。

 蔦による吸血と牙による麻痺。

 中々に凶悪なコンボだと思う。


 麻痺に対しては必要かもしれないと麻痺治癒魔法も習得してはいるがずっと噛みつかれていたら治るものも治らない。

 吸血はずっと受け続けていたら単純に生命がヤバイ。


 とりあえずコープスウルフの方から何とかしなくては。

 考えているそこへ、ミカが飛び込んで来た。

 手に持っているのはハサミ。


「こいつ、リリちゃんを離せ!!」


 ミカはハサミを剥き出しになったコープスウルフの眼球に突き立てた。


「!!!!!」


 絶叫を上げ私の腕が離された。


「ミカ、無理をして……だけどこれで!」


 私は麻痺治癒魔法(パラメル)を自分にかけると全身に力を入れ循環させ一気にマヒ状態を回復させた。

 ヴァンピールエイプ目掛け右手の剣を振るう。

すると三日月型のビーム『レッキングスライサー』が奔りサルの魔物を縦に両断する。

素早く体に絡んだ蔦を取り去ったところへコープスウルフが突撃して来る。


「奇襲結構、だが甘いっ!」


 右手の剣を分解し斧に再錬成すると突撃に合わせ振り下ろす。

 コープスウルフの顔面に斧の一撃が炸裂。

 口の部分が大きく割れて叩き伏せられたところに至近距離から『レッキングビーム』を発射する。

 直撃を受けたコープスウルフは動きを停止し、身体が燐光を発しながら消滅していく。


「これは……」


 消滅した、ということは自然発生した生物ではないということ?

 普通なら死体が残るはず。


「うへぇ、真っ二つだぁ……ちょっとしたグロだこれ……」


 現にヴァンピールエイプの真っ二つになった身体はそこに転がっている。


「とりあえずお父さんたち呼んで死体回収しないとね」


「ミカ、その……」


「んー?」


「あ、ありがとう。おかげで助かった」


「ふふっ、……ってリリちゃん。腕輪が!!」


 腕輪?

 まさか……

 クサビ様から貰った腕輪を見ると案の定宝玉が点滅を始めている。

 これはエネルギーが減ってきているという事。

 麻痺を治すために無理やり循環させたり色々したのがまずかったか?


 とりあえずは獣纏(じゅうてん)を解いてドレス形態を解除する。

 そしてマジックポーチから素早く『あるもの』を取り出す。

 小瓶に入ったもの黄金色の液体。


 こんな事もあろうかと先日私が錬成した急ごしらえの『マジックポーション』だ。

 材料はこの世界で手に入るものを色々混ぜてみた。

 その中でも『しょうが』は私の居た世界でいうポカポカ草なるものの根に効能が似ていたので使ってみると香りが良くなった。

 私はそれを一気に飲み干す……


「うぇっ、苦い……」


 飲みやすくするために砂糖を入れてみたがやはり苦い……

 だが胃が熱くなっていき、魔力が少し回復しているのを感じた。

 見れば点滅は止まっていた。

 どうやら気絶は免れたようだ。

 そう、気絶事態は免れた。

 免れたのだが……


□ □ □


「それで、自分で作ったポーションを飲んだら胃が痛くなったと……」


 ソファに横たわり唸る私を見てヤヨイさんが肩をすくめる。 


「ううっ……」


「刺激が強すぎたのね……さっきあげた胃薬が早く効くといいのだけれど……」


 どうやら適当に錬成したマジックポーションは魔力を回復する代わりに居に相当な負担をかけてしまったようだ。


「それにしても、未発見の妖怪を退治したのは凄いとは思うけどあんまり無茶しちゃダメよ?何かあったらどうするの?」


「だけど……」


「男の人が苦手だからタツ君達に協力を依頼したくないのはわかるけど、下手をすればふたりともやられていたのよ?あんまり心配させるんじゃあありません」


「……【綿棒】ない」


「面目ない、の言い違いね。単純に『ごめんなさい』でいいのだけれど……」


 確かに、下手をすればミカを危険にさらすことになっていた。

 そう言えば昔、ケイトとアリスと3人だけでこっそりシャープコーンという兎の魔物を狩りに行った事があるがあの時は帰ってから無茶苦茶怒られた。

 全員家長であるアンママにお尻を何回もぶたれて泣いたなぁ……

 それだけ心配させてしまったということだ。

 何か成長してないなぁ……


「リリちゃんを見ていると何だか息子を思い出すわ。あの子もよく行き先を告げずに遊びに出かけて心配させてくれたものよ」


「ねぇ、ヤヨイさん。息子さんってやっぱりヤヨイさんに似ているの?」


「そうね。何か目元がよく似ているって言われたわ」


 ヤヨイさんに似た男の子か。

 優しそうな人だろうな。


「えーと、確かここに……ああ、これね。小さい頃の写真しかないけど」


 ヤヨイさんは引き出しから一枚の紙を取り出した。

 『写真』というもので、風景を切り取ったように神に焼き付ける技術らしい。

 私はヤヨイさんから息子さんの写真を受け取り……


「え?」


 あれ、この子って……


「ホマレ?」


 写真の中の子どもは目の色も髪の色も違うが弟のホマレとよく似ていた。

 そう、小さい頃あの子はこんな感じだった。


「どうしたの、リリちゃん?」


「えっと……な、何でもない」


 この写真の意味。

 まさかこれは……


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