第17話 麻痺耐性の意外な上げ方とは
◇リリィ視点◇
「獣纏――!!」
魔道具を起動させる言葉を唱えると魔道具からあふれ出した光が私を包み込む。
そして私は波間を泳ぐ尾の繋がった魚が刺繍されたドレスを纏った。
「リリちゃん、その衣装むっちゃイケてる!!」
「そ、そう……?」
ドレスか……鎧とかの方が個人的には格好いいから好きだけれど……仕方ない。
というか『イケてる』とは何処へ行くのだろう?
私は右手に片手剣、左手にボウガンを錬成する。
見ればそれぞれに魚の意匠が刻まれている。
どうも普段錬成するものより精度も高そうだ。
そんな風に考えているとヴァンピールエイプがツタを3本伸ばしてきた。
私はその蔦を剣で切り払うとすかさずそれぞれの蔦の根本となる場所にボウガンの弓を打ち込む。
これがヴァンピールエイプの対処法。
蔦の根元には操っている小さな手が存在する。
そういうわけで蔦が伸びた際に根元を破壊すれば蔦による攻撃が出来なくなる。
個体差もあるが手の数は5~6本。
全て潰せばただの蔦を纏ったサルになるというわけだ。
というわけで凶悪な割に対処法が簡単で知能もそんなに高くないこのモンスター。
こいつを私が初めて討伐したのは6歳の時だった。
続いて2本放たれた蔦も斬り裂きやはり根元を撃ち抜く。
これで5本潰したから後は1本あるかないか。
さらに伸ばしてこないのは弾切れ、あるいは切り札としてあと1本を隠しているのか。
いずれにせよここまで来たら後は距離を保ちつつボウガンで攻撃を……
そう思った瞬間だった。
「リリちゃん危ない!上っ!!」
ミカの声に上を見上げるがすでに遅かった。
頭上から飛来した獣が左腕に食らいついたのだ。
攻撃により、私はボウガンを落としてしまった。
「こいつ……そんな、バカな!?」
筋肉が剥き出しになり所々骨が浮き出しているグロイ獣。
こいつは……
「うそでしょ、コープスウルフ!?」
かつて父様が異世界転生した際にワンパンしたモンスター。
ワンパンだったがはっきり言ってこいつは中級モンスターなのであくまで父様のスペックがおかしかっただけ。
あっちの世界のゴルガ峡谷という所にしか生息していないはずなのに何故?
まさかこいつもこっちの世界に生息する『ヨウカイ』!?
何よりヤバいのがこいつの牙には個体によってさまざまな状態異常スキルが付与されている。
麻痺、毒、出血、魔力阻害etc……
そしてこいつのスキルはというと……
「麻痺属性か……スタンダードだけどマズイ!!」
身体がしびれていく。状態異常耐性は習得が難しいのでそんなにレベルを上げていない。
どうやって上げるかと言うと該当属性をひたすら受けて耐性を得るというもので苦行以外でしかない。
そう言えばアリスは『セイザー』なる座り方で耐性を少しずつ上げていたっけ。
あれ、『セイザー』すれば習得できるなら私もやっておけばよかったじゃない。
何で『あんたもよくそんな態勢取れるわね』って呆れてたのよ。ちょっとした抜け道だったじゃない!!
後悔している所にヴァンピールエイプが最後の一本である蔦を伸ばし私の身体に絡みつかせてきた。
えっと……
「ちょっと、こいつら何で共闘しているのよ!?」
普通、コープスウルフなんて言う強者が出てきたらヴァンピールエイプは逃げ出すはずだ。
それなのにこの2体はまるで共闘する様に同じ場所にいる。
何かがおかしい。
「まあ、麻痺+吸血は流石にまずいわね……」
さて、どうしたものか……
読んでくださってありがとうございます。
面白い、続きが読みたいと思った方は是非、評価とブクマをお願いします。
励みになります。




