表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
852/1081

夜からの逃走


全体の登場人物は、下のアドレスへ飛んでいただけると、助かります。


https://ncode.syosetu.com/n7465gz/1/


分からない人物がいたら、恐れ入りますが、飛んだ先で、サイト内検索をして拾って頂ければ、出てきます。


まだ載ってない人物もいるので、順次増やしていきます。


よろしくお願いします。(* .ˬ.))





《登場人物》




 林堂 凜


 主人公。 小6、男。


 幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。

任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。


すもも


主人公と同居することになった。眠そうな半眼と赤髪ロングが特徴の美少女。


伽藍町


沖縄・那覇にある、家出した未成年達を受け入れる、違法な集落。



島袋ノッポ


伽藍町で働いている、三人のうちの一人。あとのセンゾーと定ヤンは凛に叩きのめされた。



エリザベスおじさん


伽藍集落の斡旋所、『サザンクロス・いけだ』の店主。



梁 梨花リャン・リーファ 




 小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。




香咲 ナディア=マフディー




小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。


ジャスミン・マーカス


アメリカ人。小5。女。

スマブラ団体戦・大阪大会、決勝の相手チームだった。

紆余曲折を経て、主人公が大好きになる。 



氷室 恵メグ


小5、女。女優志望。主人公と、市街戦をくぐり抜けた。主人公が好き。


五代珠乃(店長)


小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。

朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。主人公が好き


山田


ジャスミンが宿泊しているホテルのコンシェルジュ。

自衛隊秘密組織、『別班』を指揮する。





 「んだよ、ソレェッ? 早く言えって!」


 「ありがどね、ベル……ありがどね……」


 そういいながらも、膝を付いて、きつく抱き合う僕ら。


 涙が止まらない。


 よかった……。

 本当によかった。


 僕のカンチガイで済んだこと、世界中の神様に感謝したい。


 雨の吹き込む、シリアの廃墟みたいになった部屋。


 部屋の窓側の壁は完全に消し飛び、鼻面をつっこんだままのランドクルーザーがドロドロ唸り続けてる。

 弱い僕らを見守る番犬みたいで、今は心強く感じる。


 排気ガスのニオイに満ちた、ヘッドライトだけが照らす空間。

 血まみれで思い思いに転がってる、三体のヤクザはぴくりとも動かない。


 三匹とも、僕が殺した。

 後悔も無ければ、実感もない。


 すももが無事だった安心感で、心がふわふわしてるだけ。

 側頭部と左足首の痛みだけがリアルだ。


 やったことの重大さ。

 頭のどこかでは理解してるけど、何故か恐怖はない。


 『あきらめてる』って言葉がイチバンしっくりくる。


 襲ってきたのは向こうだし、こうするしかなかった。

 すももを見捨てる選択肢は無い。


 なにより、今までを振り返ればわかる。


 バロチスタン、HAZE、半グレの耳をトバした夜……。

 なるべくして、こうなったんだ。


 そして、それは僕に闘う術があったから。


 リーファ、ナディア、オリガ、メグ……。

 ジャス子、五代はまた形の違う『銃を使わない闘い』だった。


 後悔はない。


 アイツらを見捨てる選択肢もまた、ありえなかったから。


 濡れて冷たくなった下着姿。

 髪をなでてやる。

 

 すももが僕に抱きついたまま、必死で言葉を口にする。

 

 「あ、アイツ、ら……『オンナの方は見せしめだ』って……」


 ……見せしめ?


 僕は身体を離し、しゃくりあげるすももを優しくなだめた。


 「すもも、今はここを離れるのが先だ」


 すももの呼吸が速くなる。

 過呼吸寸前だ。


 「ど、どうしよう。すもものせいで、ベルが……」


 僕は、安心させるために微笑んだ。


 「ここの匿名性に賭けよう。まず、この車を捨てる。予定通り、明日の午前中に那覇からピーチで大阪だ」


 ピーチ航空、平日なら八〇〇〇円くらいで大阪まで行ける。


 「コイツで、市街地のギリギリまで行こう。このあたりの海岸線、ほとんど無人だろ? 車を捨てる崖にも困らないしな」


 すももが呆然としたように僕を見つめる。


 「……なんで、そんなに落ち着いてられるの? 怖くないの?」


 軽く笑ってきめの細かい頬をなでる。


 「怖がってる、ヒマがないだけ……荷物をまとめろ。嵐がおさまらないうちに出よう」


 すももが、真っ赤な顔でキョドりだした。


 「あの……その……シャワー浴びたい。気持ち悪くて」


 「いや、そんな時間あるわけ……」


 そりゃ、あんなヤツラに触られたんだ、気持ちは分かるけど……。


 「……ちゃったの」


 「……え、ナニ?」


 固く眼をつむって、ヤケクソで喚いた。


 「もらしちゃったんだよ! おかげで、ヤラれずにすんだけどっ!」


 「……え」


 思わず、下を見ようとしたら、盛大にビンタされた。


 「見んな、ヘンタイ!」


 いや、がれきが当たったトコ、メッチャ流血してんですけど?

 手加減しようよ、すももさん。


 それに、嵐のお陰で部屋も僕らも水浸し。

 シャワーとか、いまさらなんだけど?


 「イヤ、ゴメン……なら、三〇秒で済ませろ。その間に、荷物をまとめとく」


 言い終わらない内に背中を向け、かろうじて壊れてないシャワー室へダッシュする、すもも。


 一瞬立ち止まって、壁に貼ってる『婚姻届け』を剥がすと、壁際のダッフルバッグに突っ込んだ。


 そりゃ、残していけないけどさ?


 僕はあきれながらも、準備にかかった。


 ◇◇◇


『この時間のリクエスト、ご紹介していきたいと思います。えー、スタジオの外は大雨。これ、帰れるかな? アハハ……』


 カーラジオからの、お気楽な声。

 ニュースが気になるからつけている。


 早送りみたいな速度で、雨を拭い続けるワイパー。

 それでも追い付かない程の雨が、フロントガラスの景色を歪め続ける。


 助手席には、疲れ切ったすもも。

 虚ろな眼を前に向けたまま、僕の手を握ってる。


 時刻は零時を過ぎている。

 死体と壊れた部屋をそのままに、ランクルは人気と灯りのない、海岸通りをひた走る。


 二人とも無言。


 今後のことを話すにも、励まし合うにも、僕らは疲れすぎていた。


 ……アイツらの雇い主は誰なんだろう?


 追っ手はかかるんだろうか?


 死体を処分するには重すぎるし、財布、スマホにはワザと手をつけなかった。


 僕の罪状に、『殺人』だけじゃなく、『強盗』『死体遺棄』までオプションで付くのを、避けたかったからだ。





【毎週火・木は更新お休みします】


(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。


毎日深夜0時過ぎ、週五更新を目標にしてます。


宜しくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ