もやしと魔剤＜モンエナ＞
全体の登場人物は、下のアドレスへ飛んでいただけると、助かります。
https://ncode.syosetu.com/n7465gz/1/
分からない人物がいたら、恐れ入りますが、飛んだ先で、サイト内検索をして拾って頂ければ、出てきます。
まだ載ってない人物もいるので、順次増やしていきます。
よろしくお願いします。(* .ˬ.))
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。
幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。
任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
すもも
主人公と同居することになった。眠そうな半眼と赤髪ロングが特徴の美少女。
伽藍町
沖縄・那覇にある、家出した未成年達を受け入れる、違法な集落。
島袋
伽藍町で働いている、三人のうちの一人。あとのセンゾーと定ヤンは凛に叩きのめされた。
エリザベスおじさん
伽藍集落の斡旋所、『サザンクロス・いけだ』の店主。
梁 梨花リャン・リーファ
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
ジャスミン・マーカス
アメリカ人。小5。女。
スマブラ団体戦・大阪大会、決勝の相手チームだった。
紆余曲折を経て、主人公が大好きになる。
氷室 恵メグ
小5、女。女優志望。主人公と、市街戦をくぐり抜けた。主人公が好き。
五代珠乃（店長）
小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。
朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。主人公が好き
山田
ジャスミンが宿泊しているホテルのコンシェルジュ。
自衛隊秘密組織、『別班』を指揮する。
強くなって来た潮風が、アタシの髪を、シャツを、ボトムを煽る。
十四時を過ぎた、沖縄の日差し。少しも優しくない。
「……あおせ小には必ず戻る。つっても、結局、親次第だけど」
涙で歪んだ視界の中、裏返しにしたケースに座る凛が、気まずげに呟いた。
「けど、オマエラが気ィ使って転校したら、間違い無く母さんも、僕を転校させる……察しろよ、それくらい」
「……ごめん」
「イイ傘だね、コレ」
離れた所からかけられた声と、傘を畳む音に、視線を向ける。
風で飛んでったアタシの傘を、あの女が無表情に畳む所だった。
ウソでしょ、傘が飛んでくスピードと高度、結構あったよね？
どんな身体能力してんの、バレー選手かよ？
動揺を顔に出さないようにしてるつもりだけど、うまく行ってるか自信無い。
けど、その女はアタシを気にするそぶりも無く、それがまたアタシをイラつかせる。
眼中ナイってか？
「その上下、ヌメロでしょ……イイセンスじゃん」
アタシじゃなく、凛に傘を渡しながら、イヤミもなく、淡々と事実だけを口にするソイツ。
なんで、パッと見でわかんだよ、こんなイタリアのハイブランド？
「話続けるぞ？ 父ちゃんから連絡来たら、コイツと大阪に戻る。校舎の配置は頭に入れてるし、警戒自体は全然たいした事ない。問題は、毒針を……」
「ちょっと、ベル！？」
初めて聞く、ソイツの大声。
「コイツは『内緒だ』って言ったら、一生しゃべらない……」
オンナからアタシに、初めて向けられた、憎しみの目。
嫉妬だ。
ちょっぴり優越感に浸りながら、無表情に見返してやる。
いいぞ、やっとアタシを認識したな？
「……相棒だったからな」
良い気分は一瞬で吹き飛んだ。
「ナニソレ！？」
なんで、過去形なんだよ！？
凛は覚悟してたみたいに告げる。
「最後の日、言ったろ？ 僕はオマエラの為なら、命をかける。でも、それは間違いだった……」
アタシは奈落の底に、もう一度突き落とされる。
すももってヤツの、眼に浮かんでる、優越感も気にならない。
「いつの間にか、僕がオマエラを縛ってたんだ」
……え？
オンナの顔から余裕が消え、あせりを浮かべた顔で、凛を見下ろす。
今度は真っ白になった頭に、相棒 ――＜元＞じゃない、断じて―― の言葉が焼き付く。
「あの、過保護に毒親をミックス、娘にDQネームを付けなかったことだけが、唯一やったイイ事……そんな橘さんが沖縄への旅を許すくらいだ……もう大丈夫だよ」
前半の下り、必要だった？
「オマエ、最後の日言ったよな？ 『イチバンの被害者って言うんなら、どう考えても、利用されるだけだった、あたしじゃね？』って」
アタシの心臓が跳ね上がる。
……やっぱ、覚えてたよね？ 覚悟はしてたけど。
「あっ、あれは！」
「その通りだ」
何の陰もなく、まっすぐ見上げてくる眼にアタシは言葉を失う。
「いつの間にかアタリマエになってた。『ゲーム貸して。友達だろ？』僕は、そんなクソ共、と何にも変わらなかった……サイテーだ」
「ちがうッ！」
アタシは必死で叫んだ。
拳を握りしめて、必死で。
「そんな風に思ったことなんかない！ そりゃ、オリガに振られた翌日、『慰めてくれ』って押しかけてきた時は、銃もってなくてヨカッタって、今は思うけどッ」
オンナの顔がグロいものを見たように歪む。
硬い顔でうつむく凛から、じりじりと距離をとってるのを見て、叫びたくなった。
そうでしょ、引くよね？
オマエ、実はイイ奴でしょ？
「ブラ外させて、おっぱい揉みながらキスマーク……」
赤い髪が揺れた、と思った瞬間、魔法のように現れた果物ナイフ。
「成敗！」
腰だめで体ごと突っ込むすもも。
蒼白な顔で、イス代わりのビールケースを構え、それを阻止する屋根ゴミ。
万感の思いを込めて、拳を握るアタシ。
イヤ、マジでサイテーだよね。
思い出したら、ムカムカしてきたワ。帰ってイイ？
「さんざか、揉んで吸って……最後は『失くしたくない……オマエ達を』」
背中を向け、さっさと元来た道をたどる、オンナ。
その足首をつかんで腹ばいのヒモ。
ずるずる引き摺られて行く姿の、情けない事。泣きたくなってきた。
……この力関係。このゼッタイ、コイツに養ってもらってるだろ？
「……ベル。冷蔵庫の魔剤ともやし、おいといてやるよ。餞別な？」
「それで、ナニを作れと、すももサン！？」
【毎週火・木は更新お休みします】
(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。
毎日深夜0時過ぎ、週五更新を目標にしてます。
宜しくお願いします！
