表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
771/1086

ポッキーは好きですか?


全体の登場人物は、下のアドレスへ飛んでいただけると、助かります。


https://ncode.syosetu.com/n7465gz/1/


分からない人物がいたら、恐れ入りますが、飛んだ先で、サイト内検索をして拾って頂ければ、出てきます。


まだ載ってない人物もいるので、順次増やしていきます。


よろしくお願いします。(* .ˬ.))





《登場人物》


 林堂 凜

 主人公。 小6、男。

 幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。

 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。


 ジャスミン・マーカス


アメリカ人。小5。女。


スマブラ団体戦・大阪大会、決勝の相手チームだった。

紆余曲折を経て、主人公が大好きになる。 



氷室 メグ


小5、女。女優志望。主人公と、市街戦をくぐり抜けた。主人公が好き。


ローズ・マーカス


ジャスミンの母。CIA職員。破天荒で、ちゃらんぽらんだが、娘を愛している。





 ベンツの屋根に手を掛け、車内をのぞき込んでいた、左半分、血に染まった顔。


 急にリーファから顔を逸らした。

 正気に戻ったような顔で呟く、一流ホテルのコンシェルジュ。

 

 「まず、この場を離れます…… ベルトを締めて」

 


 ◇


 裏道を抜け、片側一車線の道路を、何事も無かったかのように走るベンツ。

 どこへ向かっているのかは、分からない。 

 

 「……あなた方の保護者には、私から連絡を…… 運転中です、やめなさい」


 「山田さんこそ、じっとして!」


 後部座席から手を伸ばしたリーファが、叱りつける。

 ハンカチでていねいに顔に付いた血を拭う。


 「……裂けてる。ちゃんと処置しないと」


 僕の位置、右ハンドルの斜め後ろだから、血を流してる横顔が見えた。

 髪の生え際辺りから、流血していて、その周りが変色している。

 

 ヤンキーの振り回す木刀が掠ったんだ。

 七人を一人で相手するって、無茶苦茶だろ?


 払いのけるでもなく、苦々しげにたしなめる、狂気のコンシェルジュ。


 「大丈夫ですから、シートベルトを……」


 「血まみれで運転してたら、通報されるでしょ!? 一回で聞きなさい! 」


 リーファの一喝。


 目を見開き、一瞬、体を硬直させる山田さん。

 

 なんだ、なんだ?

 なんかのスイッチが入ったの?

 

 急にガックリ肩をおとすスーツ姿。大きな体がしぼんで見えた。


 びっくりしたのは、リーファの方だ。


 「……山田さん?」


 さっきまで、機嫌良く、絡んできた相手を撲殺していた、サイコパス。

 今は、なんだか、泣き出しそうに見える。


 「……ごめんね、痛かった?」


 恐る恐る訊ねるリーファ。

 怖がってるとかじゃなくて、ただ、心配してるだけみたいだ。


 前を向いたまま、弱々しく山田さんは言った。


 「分かりましたから、座っていて下さい…… もうすぐセーフハウスに着きますから、そこで」


 ◇


 市内の外れにある、古い分譲マンションに辿り着いたのは、午後9時過ぎだった。


 生活感あふれた車が並ぶ駐車場。

 黒のベンツが浮いていた。


 隣の車にドアをぶつけないよう、そっと滑り出てから、辺りを見回す。


 八階建ての建物三棟が、一つの敷地に入ってる、マンモスマンションっていうの? 知らんけど…… の一室がセーフハウスみたいだ。


 片手にコンビニ袋を持ったリーファが、夜空を切り取る最上階を見上げながら、驚きの声を上げる。


「うわあ、おっきいね。山田さんのお家?」


「……たまに使うくらいです。非常食くらいしかありませんよ? ゲスト用のシャワーとベッドは有りますが」


 そう釘を刺しながらも、額に貼られた絆創膏を気にする、山田さん。

 ハンカチで丁寧に傷口を拭いたリーファが、二枚並べて、無理やり貼り付けたんだ。


 問題は、ソイツがピンクのキティちゃん柄だった事。


 消毒液なんかは、さっきコンビニでリーファが食料と一緒に買い込んだけど、絆創膏は、こいつの常備品だ。


 そのコンビニでの買い出し、僕ら怪我人がついて行くと目立つから、車内で待ってたんだけど…… 空気の重かった事。


 あっちからは、話しかけてこないし、こっちからも話しかける気がしない。


 リーファが戻って来るまで、地獄の様な沈黙に耐えるしかなかったんだよね。



 

 相棒は、コンビニの袋をかかげ、僕らを元気づけるように言った。


 「だから、ローソンに寄ったんでしょ? 山田さん、ポッキーは好き?」


 「……まあ、昔食べた記憶は、うっすらと残ってますが……」


 僕は、山田さんを見上げながら、違和感の連続に混乱する。


 もともと、この人と会ったのは、ジャス子の連泊してる、シェラトン・ホテル。

 そこで、コンシェルジュをしてたからだ。


 僕達小学生カップルを、子供扱いすることもなく、真剣に話を聞いてくれた。

 立派でイケてるオジサンの見本みたいな人だった。


 それが…… だよ?


 今日、再会してみれば、僕には塩対応、オラついてきた族の連中に、ヒザと鉄パイプを叩き込む。

 しかも、メッチャうれしそうに…… って、橘さんかよ?

 

 あ、そういや僕、『楽には死なさん』とか、殺害宣言されたワ、会うなり。


 マジでこの人、二人いるのか、二重人格かのどちらかじゃね?

 って思ってたんだけど……。


 リーファに対しては、メッチャ腰が引けてて、返事をするのがやっと。

 僕とジャス子に対しては、ユーモアとウィットに富んだ受け答えをしてくれてたのに……。


 この人がどういう人間なのか、まったく掴みきれない。


 あ。


 エレベーターホールに向かう、大きな背中を追いながら、僕はとっぴも無いことを思いつく。


 穏やかな時は、ナディアのパパに。


 楽しそうに暴れてるときは、五代さんに。


 リーファに叱られてるときは、橘さんに似てなくない?



 ◇



 山田さんが、部屋の明かりを付けると、生活感の無い、3LDKの間取りが広がっていた。


 少し澱んだ空気を追い出すため、ベランダの窓を開放する。八階から見下ろす、民家と国道の明かり。

 遠くには、ツインタワーが見えた。


 フローリングにぺたんこ座りした、相棒が、Lサイズのコンビニ袋をひっくり返す。

 電子マネーでアシが付かないよう、山田さんが渡した現金で買い込んだアイテムがドカドカバラ撒かれる。


 上着を脱ぎつつ、ソレを見下ろす山田さんのしぶい顔。

 

 ワカリマス。


 僕が代わりに文句を言った。


 「だから、なんでサンドイッチとおにぎりが、イチバン下なんだよ? 食べ物の上に重いモンのせんなって、五〇〇〇回くらい言ってんぞ?」


 リーファが口を尖らせる。


 「いいじゃん、味なんか変わんないんだし。ゴメン、山田さん、お酒は買えなかった」


 「飲みませんが…… この大量の消臭スプレーはなんです?」


 ソレを抱えた、リーファがゆらりと立ち上がる。前髪の下の目が、白く光った。

 

 僕らは、息を呑むしかない。


 「……今から、大事なコト言うよ? 私がトイレに入った後は、一時間使用禁止…… 破ったら、ぶっ殺す」


 僕達の情けない顔。

 

 リーファんち、トイレ3つあるから、そんな事心配したことなかったけど……。


 なんで女子って、こんなにメンドクサイんだろ?

 





(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。


毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。


宜しくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ