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MIST ~壊れ始めた世界~


全体の登場人物は、下のアドレスへ飛んでいただけると、助かります。


https://ncode.syosetu.com/n7465gz/1/


分からない人物がいたら、恐れ入りますが、飛んだ先で、サイト内検索をして拾って頂ければ、出てきます。


まだ載ってない人物もいるので、順次増やしていきます。


よろしくお願いします。(* .ˬ.))





《登場人物》


 林堂 凜

 主人公。 小6、男。

 幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。

 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。


 ジャスミン・マーカス


アメリカ人。小5。女。


スマブラ団体戦・大阪大会、決勝の相手チームだった。

紆余曲折を経て、主人公が大好きになる。 



氷室 メグ


小5、女。女優志望。主人公と、市街戦をくぐり抜けた。主人公が好き。


ローズ・マーカス


ジャスミンの母。CIA職員。破天荒で、ちゃらんぽらんだが、娘を愛している。






 愉快そうに眼を細める、殺人コンシェルジュの前に、言葉も無く立ち尽くす、特攻服の群れ。

 

 なんの警告も、ためらいも無く、仲間の頭に鉄パイプをフルスイングした、狂人を見るのは初めてなんだろう。


 僕もだ。

 

 背筋が冷たくなる。


 ミャンマーで死体も、人が殺される所も、イヤになるほど見てきたけど……。

 知り合いが、誰かを撲殺するのは初めて見た。しかも、日本で。

 

 「ここにいろ」


 我に返った僕は、凍り付いてる背後のリーファに言い捨てて、さっきまで相棒がもたれていた後部座席のドアを開けようとした。


 すんでの所で思いとどまる。

 

 窓の外、なんの威嚇もなく、影の様に距離を詰める、山田さん。

 鉄パイプで正中線 ―― 頭頂から股間を結ぶ、体の中心線 ――を守りつつ、静かな雪崩のように襲いかかった。


 ダメだ。

 今、出たら、今度は僕が邪魔になる。


 「危ない、出ちゃダメ!」


 後ろからリーファがしがみついてきた。

 驚いた。


 修羅場で、コイツが僕の邪魔をするなんて。


 「離せ、邪魔だ!」


 「ヤダ、ここにいて! ガラスで切ったばっかじゃん、オマエがケガすんの、もう、見たく無い!」


 最後の方は、涙声。

 僕は言葉を失う。


 ……僕の知っていた世界が、壊れ始めてる。


 


 


 今、こうやって長い長い、回想に浸っている僕だけど。


 本当にそう感じたのは、この時だったんじゃないかな。





 リーファは女子達の中で、イチバン長い時間、そばにいた相棒だ。

 そりゃ、メグと一緒に、HAZEに襲われた時みたいなドンパチはなかったけどさ……。


 上級生との小さなイザコザ。

 別の小学校だったリーファ。孤立してたコイツを助ける為に乗り込んで、一緒に暴れた思い出。


 小学生らしいっちゃ小学生らしい、沢山の闘いを一緒に乗り越えてきたんだ。


 俺は背後の小さな頭を引き寄せ、自分のお腹に抱え込み、膝枕のように、だっこする。


 「大丈夫だ。ゴメンな……」


 次の言葉は、無意識に出た。

 

 「今までありがとう」


 一瞬してから、弾かれた様にお腹から顔を離し、ガクゼンと僕を見上げるリーファ。

 裂けそうな程、目を見開いて、唇を震わす。


 「……なんだよ、ソレ?」


 僕は何も答えられない。

 自分でもなんでそんな事言ったのか、わかんないから。


 でも、気を引くためとかじゃない。


 多分……。


 僕は、血色の悪くなってる顔を見下ろし、頬を撫でながら囁いた。


 「今、言っとかないといけないような、気がしただけ…… 大丈夫」


 しがみついて泣きじゃくる、相棒を抱き締め、自分に言い聞かせるように言った。


 「どこにも行かないって」

 


 ……結局それは、ウソになっちゃった、ワケだけど。





 「その娘から、離れろ!」


 後部座席を開け、ヤンキー達を叩きのめした時より、遙かに凶悪な顔で、怒鳴るコンシェルジュ。


 髪は乱れ、額から血を流しているけど、それ以外はほぼ無傷。


 三人斃れて…… いや、まだ死んだって決まってないか。

 三人倒れてて、後の四人は、つんのめりながら、バイクに向かって走ってる。


 マズイ事に、バイクが固まってるその後ろが、渋滞になってる。


 バイクで通せんぼされてる上に、ここは、ベンツが横向きで通せんぼしてるから、強引にすり抜けていくドライバーもいない。


 マスいな、カメラを構えてるヤツラもいる。


 僕は、負けじと怒鳴り返した。


「ヤバイって、撮られてる!」


 忌々しそうに舌打ちすると、懐から銃を抜く。

 ギョッとする間もなく振り返り、袖で顔の下半分を覆って速射した。


 三発撃って、バイクのヘッドライトが、三つ弾け飛んだ。


 ウソだろ?


 逃げてた四人が転び、腰が抜けたように、へたり込む。


 大混乱が始まった。


 悲鳴と怒鳴り声が、渋滞の列から沸き起こり、車を捨てて逃げ出す一般人達。


 そりゃ、逃げ出すワ、力業過ぎんだろ!?


 俺は絶叫した。


 「ナニ考えてんだよ、アンタ!? ここ日本だぞ! どこの国の軍隊に……」


 「黙れ」


 懐から、スマホを取り出しながら、吐き捨てる狂気の男。

 コイツ…… ホントに誰だよ?


 あの時、心に染みる話をしてくれたのは何だったんだよ?


「……凛?」


 胸の中から、そっと見上げてくる、白い顔。

 自分が震えてるのに気付いた。


 頼りない眼差し。


 自分のコトじゃなく、僕を心配してるんだ。


 震えは止まった。

 僕は微笑む。


「大丈夫だ、相棒」


 切なそうに唇を噛み、僕のお腹に顔をこすりつけて囁いた。


 「……凛、大好き」


 「離れろと言ってるだろう! ……私だ。珍走団を三人ほど転がした。国道六号線の力王交差点だ。片付けておけ」


 唖然とする僕を見下ろし、この上なく見下した顔で言った。


 「そう、ここは日本だ…… で、ある以上、私を裁ける存在はいない。霧みたいなものだからな」


 ……霧?


 僕の心臓が跳ねた。

 父ちゃんに聞いた事がある。


 政府が否定する、非公式な部隊。


 「アンタ、MIST()…… 別班なのか?」


 意外そうな顔。

 すぐに目を吊り上げた。


 「……さあな。離れろと言ってるだろう、頭を吹き飛ばすぞ!」


 「だったら、連れてってよッ!」


 面を上げたリーファに言葉を叩き付けられ、一瞬怯む、謎の男。

 今度は相棒が、僕の頭を抱えながら、顔の左半分を血で染めた、スーツ姿をニラむ。


 涙声。よく知らないヤツに対して、こんな弱気を面に出す、リーファを見たことが無い。



 「どこでもいい、凛が消えちゃわないところへ…… お願いです、コンシェルジュさん」





(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。


毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。


宜しくお願いします!


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