黒塗りベンツは、最近見かけない
全体の登場人物は、下のアドレスへ飛んでいただけると、助かります。
https://ncode.syosetu.com/n7465gz/1/
分からない人物がいたら、恐れ入りますが、飛んだ先で、サイト内検索をして拾って頂ければ、出てきます。
まだ載ってない人物もいるので、順次増やしていきます。
よろしくお願いします。(* .ˬ.))
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。
幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。
任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
ジャスミン・マーカス
アメリカ人。小5。女。
スマブラ団体戦・大阪大会、決勝の相手チームだった。
紆余曲折を経て、主人公が大好きになる。
氷室 恵
小5、女。女優志望。主人公と、市街戦をくぐり抜けた。主人公が好き。
ローズ・マーカス
ジャスミンの母。CIA職員。破天荒で、ちゃらんぽらんだが、娘を愛している。
僕は、言葉を失った。
僕だけじゃない、この和室にいる全員だ。
いままで、隣に座っていた父ちゃんは消え、目の前には四人の女子達が横一列、ならんで座ってる。
その後ろには、授業参観を見守ってるみたいなママ達。
……え?
まさかの蒸し返し?
窓の外は夜空を切り取ってる、隣家の屋根がみえるだけ。
まさか、あそこから、父ちゃん見張ってないだろうな?
そんな、馬鹿馬鹿しい……とも言い切れない考えは、すぐに頭から追いやられた。
うつむくリーファ。アゴの細い線がふるえてる。
前髪で陰になってるから、表情は分からない。
「空気ぶちこわしてるのは分かってる。でも、結局うやむやになっちゃうだろ? 私達にとってイチバン大事なコト……」
ハスマイラさんが、容赦なく言った。
「『私達』じゃなくて、『私』っしょ? 分母デカくするのは……」
「私達だよ。じゃなきゃ、ママ達の前で、だれがこんなみっともないマネすんのさ?」
か細い声で、喰い気味に返答する、シャギーカット。
驚いたことに、だれからも反論がない。
……いっつもゴマカしばっかりしてきた、僕。
それでも今回は、そんなつもりはなかった。
っていうか、怒った父ちゃんが怖すぎて、立ち去ってくれたことにホッとした、それ以外は考えてなかった。
……だから。
僕はボウゼンとするだけで、何にも答えることが出来なかった。
「今、訊くことでもないんじゃ、って自分でも思うけど…… 凛のパパが、怖すぎて…… よけい言わなきゃって気持ちになっちゃって」
納得した。
負けず嫌いなコイツらしい。
器用からは、ほど遠い性格。
確か血液型、Bだったっけ、コイツ。
でも……。
「後じゃ、ダメか相棒? 五代がさらわれたので、分かっただろ? みんなの命がかかってるんだ」
リーファはうつむいたまま、頷く。
「そうだね、わかってる。だからこれだけは、言わせてよ……」
涙で濡れた顔を上げ、僕をまっすぐ見つめる、幼稚園からの相棒。
情けない顔で見つめられ、僕はのけぞるような、ショックを受けた。
けど。
次のセリフは、もっと強烈だった。
「凛のパパが言った、『イチバンメイワクをかけた相手』って…… どう考えても、利用されるだけだった、あたしじゃね?」
僕は、どんな顔をしてただろう。
……そう…… なの…… か?
そんな風にとらえた事は、一度もなかった。
って、そもそも、それが最低なんじゃないのか?
ことあるごとに、甘え、頼り、それに応えてくれた相棒。
オリガにフられた翌日も『もう、ムリ。助けてよ』って訪ねていった僕を、結局は助けてくれた。
みるみる顔が熱くなる。
それって、イチバンやっちゃいけないことだったよな、今さらだけど?
相棒は、弾かれた様に立ち上がり、小さなリュックを掴んで、部屋を飛び出した。
「ちょ、待ってくれ!」
立ち上がりかけて、フラついた。
正座のせいで、足が少し痺れてる。
気まずそうに、ジャス子とメグが顔を見合わせてるけど、オリガに振られたとき、『リーんとこ行ってきんちゃい。きっと頼りにされるのを、待っちょるけん』って僕を送り出したくれた、ナディアの、痛ましそうな目。
僕を見つめて、頷いてくれた。
「……すぐ戻ります!」
「お願いするッス、林堂くん」
ハスマイラさんが、真剣な顔で言った。
四つん這いで。
「ジブン、足が痺れて、ちょっと……」
そりゃ、この中で、イチバン正座の時間、長かったけどさ!?
廊下へ飛び出すと、ちょうど玄関のドアが強く閉められる所だった。
太ももと、お腹の縫った傷が痛む。
マジで、今日もいろいろあった日だ。
ついさっき、上の部屋でメグととんでもないことしたのが、次々起こった事件で過去に追いやられてる。
でも。
心がひんやりとして、怖じ気づく。
追い付いたところで、なんて言えばいいんだろう?
リーファの言った事は、全くの事実なんだから。
僕に何が言えるだろう?
それでも、追いかけないわけには、いかないだろ?
どんな目に合わされたって!
玄関のドアを開けると、リーファが、家の前に止まってる、黒塗りの高級車に飛び乗るところだった。
いや、なに、このデカいベンツ?
めっちゃ、イカツイ。メグんちの評判、また下がるじゃん。
「ちょ、待ってくれ!」
音高く閉じられた、後部ドアがその答え。
まだ、ドアロックはされてない。
あわてて取っ手に飛びつき、ドアを開けると、革張りシートの匂い。
リーファが奥に向かって、お尻で這いながら叫ぶのと、運転手が大声を出すのは同時だった。
「アルテミス! また……」
「出してッ!」
……どこかで聞いた声。
天井のルームライトで照らされてる二人の呆然とした顔。
運転席から振り向いてるのは……。
リーファが答えをくれた。
「……山田さん?」
エッ、ジャス子の泊まってる、ホテル・コンシェルジュの?
僕も驚いた。
何にかって言うと、あの時は完璧超人に見えた山田さん。
こんな、間抜けな顔もするんだ。
「……乗る車、間違えてらっしゃいますよ、ミズ・リーファ?」
ようよう、言ったセリフに噛みつく、相棒。
「出して、お願い、誰にも会いたくないッ!」
「ちょ、相棒……」
「うるさいッ! さっさと降りろ、オマエなんか、イチバン会いたく無いワ!」
だよなあ。
「……あの、私はいいんですかね?」
間の抜けた事を聞いた、山田さんに、リーファの怒声が炸裂する。
「出してってば!」
叱られた山田さんが、あわてて前を向くと、ベンツは静かに動き出した。
(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。
毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。
宜しくお願いします!





