ちょうどもう一人
全体の登場人物は、下のアドレスへ飛んでいただけると、助かります。
https://ncode.syosetu.com/n7465gz/1/
分からない人物がいたら、恐れ入りますが、飛んだ先で、サイト内検索をして拾って頂ければ、出てきます。
まだ載ってない人物もいるので、順次増やしていきます。
よろしくお願いします。(* .ˬ.))
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。
幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。
任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
ジャスミン・マーカス
アメリカ人。小5。女。
スマブラ団体戦・大阪大会、決勝の相手チームだった。
紆余曲折を経て、主人公が大好きになる。
氷室 恵
小5、女。女優志望。主人公と、市街戦をくぐり抜けた。主人公が好き。
ローズ・マーカス
ジャスミンの母。CIA職員。破天荒で、ちゃらんぽらんだが、娘を愛している。
……なん…… だって?
今度こそ、僕は頭が真っ白になった。
僕のせいで…… コイツラが、狙われる?
え、待って?
さっき五代さん、すごく大事なコト言わなかった?
「五代が攫われたのって、僕のせいだったんですかっ!?」
伸びをして、腰を叩いてたスーツ姿が、苦笑する。
「いや、反応遅いな? 事実だけ話すと、あの後、半グレ並べてた工場に三人組が現れた。ソイツらのスマホを回収して去ったけど、隠しカメラに北朝鮮の硬貨を晒してた」
自分たちは、北の人間だってアピールか?
けど…… 五代さんらしくない。
「……捕まえるか、殺すかしなかったんですか? 泳がせてるとか?」
「……殺れんかった。一人はオマエラくらいの年の女の子やったから」
部屋中がどよめいた。
空気は澱んでるけど、女子やローズさんの華やかな香りが渦巻いてる。
え? 北の特殊部隊の中に、子供の隊員がいたってこと?
ちょ、ナニ言ってんの、五代さん?
「……すみません、冗談言ってるワケじゃないってのは、分かるんですが……」
「混乱してアタリマエや。ツッコミどころ満載やし、正体もわからん。ナニもかも、まだ調査中やけど、おそらく……」
苦笑を止め、低くなる声。
「ソイツらを斃せば、解決する可能性は高い。あの国は飽きっぽいからな…… 梁の部隊がソイツらを半減させた。オマエラはそれぞれ自分の身辺に気を配れ。後は俺と梁が狩る」
ローズさんが、余裕に満ちた顔で付け加えた。
「私の事忘れてない? ステイツは無敵よ…… 自己紹介が足りなかったわ。悪名高いCIAで働いてます」
ウソだろ?
思わず僕達はうつむいてるジャス子を見た。
頷く、段違いの金髪。
「……別に、誰にも訊かれなかったし」
……マジかよ。
パパがリビアで攫われたっていうのも、助け出すことが出来たのも納得だ。諜報員だったのか。
リーファが口を挟んだ。トイレで吐いて、顔色は悪いけど、口調に弱々しさはない。
「……でも、確かなの? 珠乃が攫われたのは、その…… 凛の家族が原因だって」
「そうじゃ、ここにおるほとんどが、狙われる心当たりあるしの」
二人の気遣いが身に染みた。
そうだ、僕は今、散々コイツラが味わってきた、『自分のせいで、周りにメイワクを掛けてる』って気持ちが痛いほど分かる立場になった。
やっぱり、僕はやさしいコイツラが好きだ。
「林堂の父ちゃんも待機してる。自分から話すやろ」
五代さんの言葉に、落ち着きをなくす僕達。
そりゃそうだ。
全員叱られるだけじゃ、すまないもんな。
ジャス子でさえ、唇を噛んでる。
多分…… あの写真のこと、僕の親に知られるのが怖いんだろう。
嫌な汗が傷口に沁みる。
皆の怯えた顔。
そうだ、僕らは親に叱られるのを待ってる子供にすぎない。
けど。
でも、その前に。
「ローズさん、アメリカの話、やっぱり待ってください」
これで、日本を離れられなくなった。
ローズさんが、分かっていたみたいに、おどけて眉を吊り上げる。
「僕のせいで、皆が狙われてる…… それなら、アメリカどころじゃない」
リーファのうんざりした声。
「……また始まった。いいから、自分の心配してなって。パパと五代さんに任せなよ」
そりゃ、オマエとナディアは大丈夫だろうけど……。
僕はそう言うのを我慢した。
だって…… コイツラの口から聞きたいんだ。
その代わりにこう言った。
「オマエラはどうすんだよ? 学校通い続けるワケだろ?」
「心配いらんけ」
ナディアが気遣うように言った。
疫病神になってしまった、僕の気持ちが分かるんだろう。
こういうとこ、やっぱりナディアだ。
「あおせ小より、安全な場所ないじゃろ? 行き帰りには、マフディの護衛がつくじゃろうけんど……」
薄褐色の肌を持つ同級生は、疲れた様に言った。
「この中でイチバン心配なのは、メグじゃな」
「……だね」
急に話を振られ、充血した眼でナディアとリーファを見回すメグ。
「なんで、メグの話になるんですか?」
リーファが顔を顰める。
「ナニ言ってんのさ。この中で、親がフツーなの、オマエだけだろ?」
僕は全身が燃え上がるような感動を覚えた。
やっぱり…… コイツラは最高だ。
眼を見開いたままのメグが、うわごとをもらすみたいに言った。
「……ハ? ナニ言ってんです? あんた達、ニワトリか何かなの? メグ達、敵同士なんですよ?」
リーファが壁にもたれたまま、めんどくさそうに言った。
「『ソレに関しては』だろ? 逆の立場で、オマエならどうすんのさ?」
「決まってるでしょ!? メグなら……!」
言葉を途切れさせ、うつむく雪女。
「……メグなら」
ただ、しゃくり上げるメグを見て、僕は目頭が熱くなった。
ジャス子が、三角すわりでうつむいたまま、暗い声で言った。
「ママ…… 部屋にバカが増えてもいい? ヘンな匂いするし、声もデカいけど…… お返しするまで、死なれちゃ困るんだよね」
メグの泣き声が高くなる。
そうだ、コイツがどう思おうと、一人じゃない。
素敵すぎる仲間がそばにいる。
ローズさんが泣きながら笑う。
誇らしげなその顔。
俺も震えるほど感動した。
流れる涙を隠しもせず、CIAのスパイで、ママは、明るく言った。
「もちろんよ、ハニー…… ちょうどもう一人、娘が欲しかったの」
(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。
毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。
宜しくお願いします!





