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デコにプーさん彫って、ウイグルに放り出すど

《登場人物》


 林堂 凜

 主人公。 小6、男。

 幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。

 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。


 梁 健一

 日本名、橘 健一。リーファの父。

 台湾人。民間軍事会社の社長で、梁財閥の長男。リーファを溺愛している


 梁 梨花リャン・リーファ 

 小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。


 大人ターレン

 犯罪組織、HAZEの元締め。リーファの祖父。梁に根深い恨みを持つ。


 五代珠乃

小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。



エディ・田中

五代珠乃の、血の繋がらない父。

犯罪組織、HAZEの創始者。

ヤクザ、中国マフィア、警察に追われていた。

梁家を付け狙い、その関連で、主人公たちと関連する人物を無差別に襲っていたが、現在は休戦中。






 『ガネーシャtoアシュラー…… <林堂くんを捕獲し、B2(尋問室)に連行せよ。抵抗したら、手足くらい撃っても構わん>って…… 何のつもりですか、ボス?』


 スマホから聞こえる、王の戸惑った声。

 俺は灼熱した頭のまま、音高く舌打ちする。


 テーブルをひっくり返し、大暴れして連行された、スイートルーム。

 周囲のホテルスタッフ達に緊張が走る。知った事か。


「何でオマエが…… 大人(ターレン)案件だ。首を突っ込むんじゃねえ」


 電話の向こうの声が、少し大きくなった。

 

 ありがてえ、部屋の隅でエディがスマホに喚いてるから、聞こえにくいしな。


「いや、大人(ターレン)関係ないじゃないですか!? 本部から報告があったんです。どう処理すればいいかって…… ボス、しっかりして下さい。まず、何があったか……」


「おお、聞いてくれんのか? じゃあ、手短に行くぞ? 娘の妹分に、『セーエキって苦いんだね。みんなも知ってたらどうしよう』って言われた『みんな』の中に、明らか、自分の娘が入ってたらオマエ、『いい質問です!』って言うのかよ? ジャスミン、小5だぞ?」


 王の手からスマホが滑り落ちたのか、耳を聾する音がした。


 部屋を見回すと、歴戦のホテルスタッフ達の顔が引き攣っている。

 若い女性スタッフなどは、口許を覆い目を見開いていた。


 そうだろ?

 案件だもんな?


 お陰で少し冷静になった。


 大きく息を吐く。

 

 警察を呼ばれなかったのは、俺達が、大人(ターレン)の知り合いだからだ。

 その義父は、一度も姿を現してない。


「済まねえ、王…… スタッフの方々にも非礼を詫びたい。通報しないで頂いたことに感謝します…… エディ、静かにしろ…… 互いに娘の恥になるぞ」


 エディの耳には届かなかった。

 目が血走って吊り上がった横顔。

 これ程激怒してる、コイツを見るのは初めてだ。


 俺の顔も同じだろうけどな。

 

「あのクサレ、オマエに取り返しつかん事しとってみい…… デコにプーさん彫って、ウイグルに放り出すど!…… 聞いとんか、タマぁ!? ……」


 切れたらしいスマホをぶら下げ、力なくソファーに座り込む、エディ。


 頭を抱えたその姿を見つめる、ホテルスタッフ達の顔には、怯えよりも、同情が浮かんでいる。


 ローズは、自室に帰されている。

 多分、ここを引き払うだろう。


『人殺しより、遥かにマシでしょ!?』


 そう喚いてたあの女とは、一生相容れねえ。


 マッチポンプじゃねえが、言いたい事はわかる。

 本人も殺しの経験があるみたいだから、俺達をディスってる訳でもねえ。


 純粋に銃を憎んでいるのに、娘の意思を尊重するところは、尊敬すら出来る。


 だが、論点がズレてる。


 人殺しよりマシなら、何をやっても良いわけじゃねえだろ?


 私はスタッフ達に、頭を下げて頼んだ。


「先程の話、未成年の絡むデリケートな内容です。どうか、ご内密にお願いしたい。ロビーで喚いていた我々が、今更ですが……」


 年配の女性スタッフが、痛ましげな顔で首を振る。


「いえ、お気持ちはお察しします。何かを出来る立場ではありませんが……」


 私は頷き、黙り込んでいるスマホに『出る』とだけ伝えた。


 

 もうここには来ねえだろう。




 夕陽に車体を輝かせ、サーフがホテルのエントランスに滑り込んできた。

 

 悄然と肩を落とし、四駆の後部座席に乗り込んだ俺達。

 運転席のボーンは何も言わない。


 掻きむしってるお陰で、セットがボロボロになってるエディが呻く。


 「……タマ、泣いとった。なんで、チョクで訊いてもうたんや、俺……」


 そうだ。

 エディの立場なら、母親代わりの、カナトの母に訊ねるべきだった。


 それで、思い出す。

 俺は何で、ハスマイラに相談しなかった?


 リーファに問いたださなかったのは、単に勇気がなかっただけで、感情に任せて、社を巻き込んでしまった。

 社長としての、俺の信用はガタ落ちだ。


 ……なにより。


 俺は弱々しく呟く。


 「ホテルのスタッフ達の前で、ジャスミンの名前を出した俺よりは人としてマシだ…… 大人のやることじゃねえ」


 「それやで…… 俺も、あの女も含めて、最低や。庇わにゃならんガキを晒して、どないすんねん」


 いたたまれず、俺も頭を掻きむしる。

 大の大人が二人揃って情けねえ。


 「冷静になってみりゃ、俺達の娘…… あのガキに何かされたって、決まった訳じゃねえよな、まだ?」


 「言うなや…… あー、なんであんな事言うてもうたんや、俺!」


 車を発進させたボーンが、言いにくそうに口を挟んだ。

 

 「ミスター・エディ。『何か知ってるか?』って、あの時訊かれた件ですが…… 俺が知ってるのは、林堂くんは同級生の男友達と遊ぶのを、何よりも望んでて…… 女の子からのLINEは無視してるのに…… いつの間にか巻き込まれてるって事です」


 俺達は、顔を上げることが出来なかった。






(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。


毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。


宜しくお願いします!


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