道化師は笑う
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。
幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。
任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
梁 健一
日本名、橘 健一。リーファの父。
台湾人。民間軍事会社の社長で、梁財閥の長男。リーファを溺愛している
梁 梨花
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。
大人ターレン
犯罪組織、HAZEの元締め。リーファの祖父。梁に根深い恨みを持つ。
五代珠乃
小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。
エディ・田中
五代珠乃の、血の繋がらない父。
犯罪組織、HAZEの創始者。
ヤクザ、中国マフィア、警察に追われていた。
梁家を付け狙い、その関連で、主人公たちと関連する人物を無差別に襲っていたが、現在は休戦中。
「……ボス?」
振り返ると扉の向こうで、工作機械のライトに淡く照らされたボーンが、強ばった顔で立っていた。
「お? おう、どうした?」
マズイ。四〇前のオッサン同士で手を繋ぎ、マイムマイムっぽい何かを踊ってるのを見られたか?
有り難いことに、何にも背負うモノのないエディは浮かれて『北朝鮮・律動体操』を踊っている。それ程離れてないところに並べられてる、四つの死体のお陰で、異世界感がハンパない。
流石は本場の出身、ぬるん、ぬるん、とした独特の動きを、ボーンがガン見してるお陰で、先手を取ることが出来た。
「何かあったのか? 報告しろ」
『名状しがたきモノ』でも、目撃してるような顔をしてたボーン。
我に返ると、あわてて報告した。
「あ、失礼しました。ジェーンさんが……」
その背後から現れた、鳥の巣頭のオバチャン。
しかめっ面だが、これがデフォルトだ。
「なにやっとんじゃ、あんきらども」
青バイ姿のジェーンが、機嫌良く手を挙げる。
「アンタか。チョグムジョネヌン コマウォッソ」
突然、口から滑り出た、韓国語。いや、北だから、文化語か。
オバチャン・ジェーンが間髪入れずに答えた。
「シンギョン スジマ…… 周りが分からん言葉使うな、バカタレ」
ギョッとした顔で、自分の前に出てきたオバチャンを見るボーン。
エディが面白そうに笑う。
「特戦群出身やったら、コッチの言葉は必須やもんな…… アンタはどう見る、タマが襲われた件?」
「トクセングン……? ファック、アジアのデルタフォースじゃねーか!?」
知らなかったボーンが、小さく叫ぶ。
むっつりしたままの、オバチャンがそれを無視して答える。
「何を言うとるんじゃ。あては、専門家じゃったけんど、ジブンは北そのものやろが? ……見回りはしてきたけんどな」
エディはイスにどっかり掛けると、長い足を組んでフフンした。
いや、怪我人は俺だし、座らせろよ。
だが、ジェーンの言わんとすることは分かる。
北の連中のやり口は、エディの方が熟知しているだろう。
「まあな…… タマが美少女過ぎて、偶然攫われた可能性は高い。あんまりにも美少女やから、前も……」
「話が進まん」
俺のツッコミに、フッと自嘲するエディ。
「せやな、タマの美少女エピソード、語りだしたら一晩……」
最後の方が掠れた。
マズイ。
林堂くんの事を思い出しやがった。
「エディ」
「わかっとるわ…… もし、北の仕業やったら、そこで寝とるうんこ共の位置情報使って、強襲するやろな。ポリに通報して、俺らをお縄にするのはナイ。イチバンリスク無いけど、出世には繋がらん。チョクで殺しに来る…… 惨くな」
俺は、眉を顰めた。
「サツがアリンコみてえに、集まって来てんだぞ? 自滅覚悟かよ?」
エディの声が低くなる。
「……内容による。要は、どれだけ任務の内容が重いか、や。常に、家族を人質に取られてるんが、あの国や。ヘタ打ったら、『出身成分』落とされる…… 『出身成分』言うんは、北固有のカースト制度や。家族と国のために、アイツら平気で命捨てよるぞ」
理解して、頷くボーン。
「……見張りに戻ります」
「ボンズ、戻らんでエエ」
「戻らんでエエワ、ボーン…… おったんやな、オバチャン?」
ボーンが血相を変える。
「何で、真っ先に言わねえんだよ、ミスタ・ジェーン!?」
私は無理に落ち着き払って言った。
「エディ、武器は持って来たが、言われた通り仲間はこれだけしかいねえぞ?」
エディは、自信ありげに笑う。
「よう、言うとおりにしてくれた。警察に見つかるのが、イチバン困る。相手もな…… 何人おった?」
「三人…… 歩きでバラバラに集まって来よる。長モンはなし」
「それが限界やろな。集団やと、コッチが通報したら捕まる確率グンと上がる…… 何の為に、銃や爆弾、そこのエスティマに積み変えて、梁の四駆、離れた月極に駐めさせたと思う?」
「……あ」
ボーンが呟いてくれたお陰で、辛うじて俺は声を上げずに済んだ。
そうか。武器は使うためじゃねえのか。
珠乃やジャスミンの大立ち回りも、通り向こうで車を爆破した犯人も、ここで転がってる死体と、侵入してくる敵が殺し合った事にすればいい。
武器は北のヤツラに、罪をなすりつけるための道具だ。
イスにふんぞり返って、道化師は笑う。
まさしく、俺達を長年悩ませた、『HAZE』の狡猾なやり口。
人の嫌がる事をさせれば、世界一だろ、コイツ?
「退路も無しに籠もるかいな? 入った途端、丸焼きじゃ。そこの死体も敵も…… 武器積んだアホの車もな」
(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。
毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。
宜しくお願いします!





