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消えゆく退路

《登場人物》


 林堂 凜

 主人公。 小6、男。

 幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。

 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。


 梁 健一

 日本名、橘 健一。リーファの父。

 台湾人。民間軍事会社の社長で、梁財閥の長男。リーファを溺愛している


 梁 梨花リャン・リーファ 

 小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。


 大人ターレン

 犯罪組織、HAZEの元締め。リーファの祖父。梁に根深い恨みを持つ。


 五代珠乃

小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。



エディ・田中

五代珠乃の、血の繋がらない父。

犯罪組織、HAZEの創始者。

ヤクザ、中国マフィア、警察に追われていた。

梁家を付け狙い、その関連で、主人公たちと関連する人物を無差別に襲っていたが、現在は休戦中。





 結局、辿り着いたのは、東大阪にある、我が社の会議室だった。


 そこで居候をしている、エディを交えて話すことになったのだが、私としては複雑な気分だ。


 私しか知らない筈だったジェーンの正体。


 大人(ターレン)、ハスマイラに続いて、仇敵だったエディにまでバラすことになった。

 ジェーン本人の希望だから、是非もないが、引っ越しの話に続き、後戻りの利かない状況になっているのを、ひしひしと感じる。


 林堂家に護衛を付ける事は、最初から諦めている。

 一時的にならともかく、いつまでもメイワクを掛け続ける訳にはいかない、と、林堂くんの母親なら言うに決まっているからだ。


 高校の教室ほどのスペースに、楕円形のデスク。

 私とジェーンの対面にエディが難しい顔で座っている。

 我が社のエンブレムを背にした、エディに違和感を感じる。

 

 ハスマイラは、自分から席を外した。


 彼女は、師である、ジェーンと同席するのを遠慮する。

 話の結果は、私から伝えるので、構わない。


 ジャケットに金縁メガネのエディが、首を傾げる。


 「あの国が、十年前の話を引き摺っている、特殊部隊の中に、ガキが混じっていた…… どっちもにわかに信じられん話やで」

 

 以前、俺、エディ、ナディアくんの父親の三人と、行動を共にしたときのジェーンは、オバチャンの格好だった。

 今の特徴のない相棒の姿を一瞥したエディは、状況を察知したのか、顔を顰めただけだった。


 「さっき、言うてた『ダーク・ベル』ってなんや?」


 ジェーンは無表情に即答した。


 「すまんが、言えん。ケン()にさえだ」


 私は気にしなかった。特殊作戦群の任務を口外できるはずがない。

 エディは肩をすくめた。


 「訊き方変えるわ。十年間、あの飽きっぽい北を怒らせ続ける様な、内容やったんかい?」


 「……のようだな。それが原因で隊を追われた訳だし、現にその少女が『ダーク・ベルを赦すな』と叫んでいたんだろう?」


 「一体、なにやらかしてん…… まあ、エエワ」


 オールバックに金縁メガネの白い顔のエディ。

 やり手の弁護士に見えるが、それに劣らないほどの頭脳の持ち主だ。


 「そのガキの正体…… ロイヤルファミリーの一員としか思えん。しかも、現場に出張ってくるくらいやったら、末端か妾の子やろな。一番あり得るのは、何かの理由で、手柄を立てたがっている……」


 私は一番、訊きたかった事を口にした。


 「俺達は、北の命令系統に詳しくねえ。命令をしてるヤツを殺ったら、襲撃が止むって可能性は?」


 エディが三本指を立てた。


 「無くはない。一番上からの指令やったら無理やけど、末端が昔の事ほじくりだして、手柄を立てたがってるんやったらな。さっきも言うたけど、あの国は飽きっぽい。っちゅうか、粛正の嵐で上が入れ替わり続けてるから、命令出しっぱ、でほったらかしが結構あるんや…… ただ」


 エディは視線を伏せた。


 「そいつら、特殊部隊っぽかったんやろ? あの国、実は、世界でイチバン特殊部隊の数が多いねん。それでもそれ使って日本で暴れるって事は、かなりの権力の持ち主やろな、そのガキ」


 私は身体が重くなった。


 「北政府も本気って事か…… 一体何やったんだよ?」


 最後のセリフは、いら立ち紛れの独り言だったが、ジェーンはポツリと言った。


 「言えない…… 多分、またやらないと、いかんだろうからな」


 「……何?」


 私とエディは、思わずジェーンを見た。

 ふざけている様子は一切無い。


 「こっちは寡兵だ。私は味方を護る為なら、どんなことでもやる」


『ダーク・ベル』……。

 何かの戦術か、道具なのか?


 なんであれ、コイツはやり方に色々問題はあるが、命をかけて仲間を救い出してきた、揺るぎない実績がある。

 だからこそ、ジェーンは相棒なのだ。


 「……せや、半グレの一人が爆発したって件な。それ、『靴爆弾』や。北のヤツは靴紐も火薬になっとるからな」


 「……マジかよ?」


 私は呻いた。

 迂闊だった。


 911の三ヶ月後、アメリカン航空機内で、イギリス生まれのアルカイダの一員が靴に仕込んだ爆弾を爆発させようとする事件があった。その影響で旅客機搭乗前の身体検査では靴を脱ぐのが一般的になったんだが、我々の世界では、徹底されていない。


 エディが言葉を繋ごうとしたその時、スマホの呼び出し音がそれを遮った。


 エディの顔色が変わる。


 私達に何の断りもなく、オーバルデスクに置かれた自分のiPhoneをひっつかみ、耳に当てると開口一番、言った。

 


 「朴ジイ、どないした…… それ、どこでじゃあ!?」





(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。


毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。


宜しくお願いします!


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