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王の血族

《登場人物》


 林堂 凜

 主人公。 小6、男。

 幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。

 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。


 梁 健一

 日本名、橘 健一。リーファの父。

 台湾人。民間軍事会社の社長で、梁財閥の長男。リーファを溺愛している


 梁 梨花リャン・リーファ 

 小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。


 大人ターレン

 犯罪組織、HAZEの元締め。リーファの祖父。梁に根深い恨みを持つ。


 五代珠乃

小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。



エディ・田中

五代珠乃の、血の繋がらない父。

犯罪組織、HAZEの創始者。

ヤクザ、中国マフィア、警察に追われていた。

梁家を付け狙い、その関連で、主人公たちと関連する人物を無差別に襲っていたが、現在は休戦中。







 負傷者と、死者の回収のために設えられた強力な光源が、切り拓かれた山の広場を真昼のように照らしている。


 持ち込まれた、発電機のエンジン音と、三十人を越える兵士達の話し声で、野外パーティーの様な活気だ。


 但し、生還を喜んでくれた、明るい雰囲気はとっくにない。

 味方が殺られた悲嘆と怒りで、空気はささくれ立っている。


 ドローンで敵影を追ってはいるが、天然の天蓋に覆われた広大な山中で、敵を見つけるのは至難の業だ。

 なにより、これだけ派手にやらかしたんだ、速やかにこの場を離れたい。


 今、恐ろしいのは、敵よりも日本の官憲だ。

 大人(ターレン)や公安の気が変われば、俺達が娑婆に戻って来る日は永遠にない。


 だから、せめて銃器を所持し、死体の山を築いた現場を押さえられるのだけは、避けたかった。

 現場の清掃を終え、一刻も早く離脱するのが急務だが、敵の再襲撃の可能性を考えればバラバラに散るわけにも行かない。


 今となっては、私達の窮地を救うために、フル装備で集結させた隊員達を、如何にして離脱させるかに頭を痛めている。


 


 先ほどまで合流した隊員達に、ハグされ、小突かれ、もみくちゃにされていた、黒のツナギ姿。

 ミャンマーから帰国して以来、いつも無表情なコイツが薄く笑っていたのは、こちらとしても、気分が良かった。

 

 目の前に立つ、俳優のように整った顔。

 今日の立役者は間違い無く、コイツだ(スローター1)

 

 黒い髪も、ツナギも土だらけだが、俺もコイツもそんな事は気にしちゃいねえ。


 王に促され、現場を目撃したスローター1から直接報告をうけている。

 その内容が、耳を疑うものだったからだ。


 四駆の後部ハッチを開き、そこに腰掛けている俺。

 その前で、背中に手を回し直立不動で立つ。俺の甥。


 不遜な自信に満ちていた、以前のコイツなら考えられない。

 ミャンマーで何があったのか詮索しないまま、今まで来たが……。

 


 大人(ターレン)の宣言により、リーファに危害が及ぶ可能性は低くなったと判断、護衛の形態を変えることにした。

 これ見よがしなSP式をやめ、目立たず、周囲に溶け込む形へ。

 

 富豪の娘に生まれたとは言え、一生こんな生活を送らせるわけには行かない。

 いずれ、普通の生活を送るための一歩だ。


 白羽の矢が立ったのが、ミャンマーでの任務を、終えたばかりのユンファだ。

 

 ハスマイラは、『対大人(ターレン)要人』として、しばらくは私の傍にいてもらわなければならない。

 大人 (ターレン)の実子である王を、父親に会わせるわけには行かないからだ。

 

 引き継ぎの際、ユンファと初対面のハスマイラは、『口数少なくて、理想の兵士ッスね』と称賛していたが、以前を知ってるリーファはダイレクトに聞いたものだ。


 『ユンファ、どうしちゃったのさ? 陰キャになってんじゃん』

 『色々あってな…… 誰に対してもこうだから、気にすんな』


 リーファに対してだけは、以前と変わらない口ぶりだった事に、ホッとしたりもした。



 

 私は、能面を保つスローター1(ユンファ)に不信感を出さない様にして、訊ねた。


 「……敵兵士の中に、少女が混じっていたという、根拠を教えてくれ」


 そう質問されるのは、分かっていたのだろう、淀みない回答が返ってきた。


 「偽装し、土中に潜んでいた私の傍を通過していった際に、朝鮮語の会話が聞こえました。声質から十代前半と推定します。その後、RPG砲手を始末した際、こちらを振り返った敵影を確認。顔にペイントされていたものの、黒のジャージに浮かんでいたボディーラインは、少女のそれでした。奇妙なのは、丸腰だったことです」


 私は俯き、黙り込む。

 

 戦場にジャージ?

 東欧か、中東の民兵かよ?


 ……捕獲した半グレがゲロした情報。

 『依頼者は小学生女子』って言う、片付いていた筈の問題が、またぞろ浮上して来やがった。


 鎮痛剤と抗生物質が効いてきたせいか、考えがまとまらない。

 弱音を吐くわけにはいかないので、別の訊き方をする。


 「そこから、どんな情報が考えられる? スローター1、オマエの意見を聞かせてくれ」


 「最初は人質、またはヒューミント(敵の協力者)の線を考えました。ですが、会話の内容を考えると、どちらでもなく、むしろ…… 命令する側に立つ人間だと考えられます」


 「なんだと?」


 流石に顔を上げた。

 ぼうっとする頭でも分かる。


 ありえない。

 独裁国家で、完全な男社会だぞ、あの国は?

 まして、少女が……。


 一つの事に思い当たり、私はユンファの眼を見た。


 まさか…… トップの血縁(ロイヤル・ファミリー)か?

 

 以心伝心、一つ頷く優男。


 「会話の内容はこうでした……『偉大なる父を侮辱し、聖母を手に掛けた傀儡を抹殺しろ』


 私は眉を顰める。

 意味がわからない。

 それに、それだけでは、その娘が王の血族である証左にはならん。


 しかし考えてみれば、北朝鮮関連のミッションは、その首席の顔に泥を塗った事になる。

 例えば、エディの妹ごと破壊した、延辺の麻薬工場。

 それ関連なのだろうか?


 「なんだそりゃ? ……ただ、敵が北朝鮮っだって事だけは確定だな」


 「続きがあります」


 頷いたユンファは、無表情のまま続けた。


 「こう叫んでました…… 『ダークベルを決して赦すな』」






(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。


毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。


宜しくお願いします!


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