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ゾンビは生きてるか

《登場人物》


 林堂 凜

 主人公。 小6、男。

 幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。

 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。


 梁 健一

 日本名、橘 健一。リーファの父。

 台湾人。民間軍事会社の社長で、梁財閥の長男。リーファを溺愛している


 梁 梨花リャン・リーファ 

 小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。


 大人ターレン

 犯罪組織、HAZEの元締め。リーファの祖父。梁に根深い恨みを持つ。


 五代珠乃

小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。



エディ・田中

五代珠乃の、血の繋がらない父。

犯罪組織、HAZEの創始者。

ヤクザ、中国マフィア、警察に追われていた。

梁家を付け狙い、その関連で、主人公たちと関連する人物を無差別に襲っていたが、現在は休戦中。






『ワン・マンダウン! 任せろ、チョロいお仕事……』


 爆発音が轟き、こぼれ落ちそうな星空に、土煙が巻き上がる。

 手榴弾を持ってるのは、敵だけだ。

 

 部下の声が途切れた意味を頭から締め出し、藪に身体をくすぐられながら、決死の前進を続ける。

 濃い緑の匂い。口の中が鉄錆くさい。


『敵が退き始めました!』


 インカムから流れる吉報に、すかさず反応する。

 

「工事現場まで押しもどせ! ショベルカーの陰に集合しろ!」


 半グレの死体の散らばる広場から、五十メートルほど森を抜け、敵を追って開けた場所に走り出た。

 さっきの広場に似た、放棄された工事現場だ。


 ……土石流を防ぐための工事だったのか。

 小型のユンボーと、防弾におあつらえ向きの土嚢が、崖に沿って乱雑に積まれている。


 「sandbag(土嚢)を使って、拠点を作れ! 増援まで持ち堪えれば勝ちだ!」




 

「アシュラーよりギーター(本部)へ…… 六人斃された。敵はおよそ十五。全滅した場合、現場の清掃を行え。指揮権は副社長の李が持つものとする。復唱せよ」


 士気を下げること夥しい内容だが、王以外には聞こえてねえ。

 他のヤツラは警戒と拠点作りで距離がある。


 感情の抑制が利いた、オペレーターの声を聞きながら、俺はにわか作りの拠点を見回す。

 怪我人ばかりの六人で、慌てて作った割には上等だ。


 左側は錆びたユンボー、背後を山肌。

 残りを、辛うじて膝の高さくらいまでは積むことの出来た、土嚢が囲んでいる。


 腰の高さまで掘った塹壕に座って、苦笑した。


 円換算で資産が、兆を越える梁家。

 これらが、その次男の形見になるわけか。


 まあ、その『形見』の中でも折り畳みスコップは、値千金、どんな高級車よりも価値があった。


 死体を埋めるため持参したものだが、塹壕を掘ることができた。

 お陰で、土嚢の低さをカバーできる。


 王も通信を終え、振り返った。

 血まみれの形相。目が吊り上がり、人斬りの顔になってる。

 まあ、全員同じ様なものだが。


 「……増援、地雷を避けるルートで進み、十五分程度で追っ手の後尾にかじりつきます」


 「分かった」


 ……その十五分で、俺達何人生き残れるかだな。

 

 止血し、包帯を巻き終えた俺は、AKS-74u短機関銃のマガジンをチェンジした。

 これがラスト。

 後は黒星(中華トカレフ)しかねえ。


 後の隊員も似たようなもんだ。


 王、シヴァ、ボーンを含む残りの隊員、皆歴戦の強者だ。

 

 だからこそ、生き残れた訳だが、主戦力が一気に壊滅するのは、損失がデカ過ぎる。


 大人(ターレン)の件も、ハスマイラの事も中途半端。

 さっきは本部には、ああ言ったものの、殺されてやる気はさらさらねえ。

 

 なんとしても、生き残ってやる。


 現在、逃げてきた方角に対して、左側にあたる山肌の麓に籠城してる。

 後方から追って来た連中、約十二人、前方で待ち伏せしてた連中は三,四人まで減らす事が出来た。


 問題は、彼我の人数と装備に、開きがありすぎるって事だ。


 戦闘は火力だ。

 勝ち目は薄い。


 拠点の構築を終え、迎撃態勢に入っ手いる隊員達。

 誰も何も言わない。

 

 先ほど俺と王が言った、『一人殺せば二百万』


 その意味を全員が、分かってる筈だ。


『その額が提示されると言うことは、生きて帰れる可能性は限りなく低い』


 って事に。


聞け(アテンション)


 振り向いた隊員達にジェスチャーでインカムを切らせる。盗聴を考慮しての事だ。


 「勝ち筋は一つしかない。俺が合図するまで、発砲を控え……」


 土嚢に弾丸が刺さる音が聞こえ、俺達はとっさに首を竦める。


 集結した敵の、一斉射撃が始まった。

 文字通り、弾丸の嵐だ。


 巨大な雹が、屋根や地面を叩くかのように、絶え間なく弾着し、土煙を巻き上げる。

 弾を節約どころか、頭を上げることも出来ねえ。


 相手には、RPGも手榴弾もある。

 そいつを使われたら終わりだし、間もなく使うだろう。


 「頭を上げるな! 反撃のチャンスは必ず来る!」


 俺は叫びながら、単眼の赤外線スコープを装着、土嚢の隙間から敵の動きを監視する。

 

 ……正確には、一縷の希望をだ。


 ヤツが殺られていれば、俺達も終わる。


 頼む。


 緑色の視界の中、所々、白抜きになった、敵の姿がチラつく。

 

 山中なのに、肌寒さは感じない。

 ストレスから来る汗の匂い。


 白抜きの一つが、悠々と何かを担ぐ姿。

 心臓が爆ぜた。


 RPGロケットランチャー。


 あいつを撃ち込まれたら、終わりだ。


 ……ダメだったか


 土嚢で作った覗き穴から、狙える角度じゃない。

 

 俺は、頭を吹っ飛ばされる覚悟で、銃を構えようとした。

 


 その時だ。

 


 その背後で、何かが上半身をもたげた。


 カムフラージュに被せられていた、土と、半グレの手足を撒き散らしながら。


 俺は口の端を吊り上げる。


 「総員、射撃用意……」


 俺の囁き。隣で伏せる王が驚愕する気配。


 すぐに、囁きは別の隊員へと伝播されていく。


 コッキングする、ジャキン、という頼もしい音が、敵の銃声の中でも響き渡った。


 俺は、ゾクゾクしながら嗤う。


 スローター1。

 ハスマイラが来るまでは、娘の護衛をしていた、俺の甥(ユンファ)


 壊れ方は、相変わらず俺そっくりじゃねえか。


 「ゾンビが()()()()()…… 俺達の勝ちだ」






(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。


毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。


宜しくお願いします!


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