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兵士、そして元・兵士

《登場人物》


 林堂 凜

 主人公。 小6、男。

 幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。

 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。


 梁 健一

 日本名、橘 健一。リーファの父。

 台湾人。民間軍事会社の社長で、梁財閥の長男。リーファを溺愛している


 梁 梨花リャン・リーファ 

 小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。


 大人ターレン

 犯罪組織、HAZEの元締め。リーファの祖父。梁に根深い恨みを持つ。


 五代珠乃

小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。



エディ・田中

五代珠乃の、血の繋がらない父。

犯罪組織、HAZEの創始者。

ヤクザ、中国マフィア、警察に追われていた。

梁家を付け狙い、その関連で、主人公たちと関連する人物を無差別に襲っていたが、現在は休戦中。






 そう叫びながらも、俺は反射的に伏せていた。


 銃弾を背後から喰らった王が、右手側、十メートルほど離れた場所で、横倒しになっている。


 複数の叫び声。他の味方も被弾した。


 なんでだ?


 心臓を頭に移植したみたいに、鼓動に合わせてガンガンしやがる。

 俺達が撤退している方角からの掃射。


 つまり、挟み撃ちにされている。


 あまりの事に声も出ねえ。

 半グレ共を捕獲したとき、周囲は調べた。なんの気配も無かった。


 ……って事は、あれか?

 一時間以上かけて、山を越えて来ただと?


 俺たちが、ここに誘導された可能性は?

 ないとは言えん。

 自爆したヤツは、北朝鮮の一味だったのだから。


 頭上を通過していく、死神の羽音を聞きながら、過呼吸を起こしそうになる。

 行く手から聞こえてくる銃声の数は、俺達より多い。


 やばい。

 部下共々、ここまで追い詰められた記憶はねえ。

 

 バロチスタンの、シンとの戦いでも、ここまで数の差は無かった。


 リーファの顔が脳裏に浮かぶ。


 死の恐怖が触れられそうな確実さで、目の前に迫ってきている。


 ジェーンとの連絡はとれない。当然だ、知らせず出てきた。致命的な油断だった。

 

 いや、違う。


 ヤツが北朝鮮に狙われる理由を聞いたとき、


 『数日待ってくれ』


 って言われたから、そうしたんだ。半グレを狩り出すくらい、問題ないって思ったから。


 なんだ、つまりは油断じゃねえか。


 ……けど、本当は。


 俺は拗ねてたんだろうな、ジェーンが隠し事をしてたことに。


 顔を動かさずに笑う。


 おかげでこのザマだ。

 まさか、和歌山のど田舎でくたばる事になるとは思わなかった。


 ハスマイラが台所に立ってる横顔が目に浮かんだ。

 いつの間にかアタリマエになってた光景。


 少しづつ増えてきた、副菜の数。

 

 

 オマエの声が聞きたい。


 そう思ったとき。


 ……小さな明かりが。

 

 闇に呑み込まれそうだった心の奥で、小さい炎がぽうっと光った。


 耳がおかしくなりそうな銃声と、応射する味方の喚き声。

 


 ……味方の。


 俺は雄叫びを上げて立ち上がった。


 一番、手近なマズルフラッシュに向け、絶叫と共に、マガジン半分の弾丸を叩き込む。

 

 確かな手応え。


「梁家なめんじゃねええ!」


 夜空に向かって遠吠えを放つ。

 すぐそばを擦過する弾丸の嵐。


 死んでるかも知れない、横倒しの王に喚く。


「王、いつまで寝てやがる、クビにすっぞ!?」


 部下達の注目する気配を、インカム越しに感じた。

 そうだ、こっちを見ろ。


 俺は、ボスだ。

 テメエらより先に折れるわけにゃ、いかねえんだよ!


 赤外線スコープを額にあげ、インカム無しでも聞こえるくらいの声で喚く。


 「皆殺しにして突破する! 俺に続け!」


 野太く、歯切れの良い返答に押されるように、俺は突撃する。


 ふわふわと雲の上を走るような感覚。

 視界は信じられないくらいクリアーで、月明かりしかないのに、二十メートル先のペイントされた敵の顔がハッキリ見えた。


 自分の放つ鬨の声が、頭の中に籠もって響く。


 身体のどこかに、衝撃が走った。


 痛みも熱も感じない。


 ただ、何かを感じただけだ。


 動揺する両目の真ん中めがけ、走りながら、AKS-74uの引き金を絞る。


 普通なら当たらない。

 だが、今なら当てられる確信があった。


 ソイツの頭がキレイに吹き飛び、元・人間の肉塊になって倒れる。


「ツーダウン!」


 叫びながら、横に飛ぶ。

 大木に肩からぶつかる。寄りかかりながら、残りの弾丸を、手近の敵にブチ込んだ。


 「死んどけ!」


 叫びながら、左半身が液体を浴びたようになってるのに気付く。


 「ボス、首! 被弾してます!」


 そう言いながら駆けてくる王こそ、血まみれだった。


 生きてたのか!

 全身の細胞が活性化する。


 俺は立ち上がると、強ばった顔で走り寄る、防弾プレートの腹に蹴りを入れ絶叫した。


 「いいから、とっとと撃てッ! 猫の手も借りたいくらい、忙しいのがわかんねえのかよ!?」


 あっけにとられる隊員達の気配。

 

 これも、部下の目を気にした芝居だ。

 指揮官が死にかけだったら、士気に関わる。

 

 こいつなら分かるだろう。


 唖然としていた王が、じわじわと笑いを浮かべ、素早くヒザ立ちになって射撃を開始。

 冷静な声で言った。


 「ガネーシャ to ALL…… 臨時ボーナスだ。一人殺すごとに、百万円。総員奮起せよ」


 場違いな歓声。

 心なしか、反撃のボルテージも上がった様な気がする。


 その中に、いつもは冷静なシヴァの声が混じっているのを聞きつけ、笑いそうになる。

 こういう、バカ共のあつまりだから、碌に結婚も出来ないんだよな。


 

 王の顔を見るまでもなく、傷が深いのは分かってる。

 

 だが、撃ち返せる以上、まだ俺は兵士だ。

 元・兵士じゃねえ。

 

 何人道連れにできるか。


 俺はハイな気分で叫んだ。


 「アシュラー to ALL。二百だ! 全員、生きて帰るぞ!」





(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。


毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。


宜しくお願いします!


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