寝たフリは 修学旅行のお約束
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。
幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。
任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
梁 健一
日本名、橘 健一。リーファの父。
台湾人。民間軍事会社の社長で、梁財閥の長男。リーファを溺愛している
梁 梨花
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。
大人ターレン
犯罪組織、HAZEの元締め。リーファの祖父。梁に根深い恨みを持つ。
五代珠乃
小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。
エディ・田中
五代珠乃の、血の繋がらない父。
犯罪組織、HAZEの創始者。
ヤクザ、中国マフィア、警察に追われていた。
梁家を付け狙い、その関連で、主人公たちと関連する人物を無差別に襲っていたが、現在は休戦中。
『アルテミス! いつまで起きてるんだ、小さいままだぞ、そんな事では…… ダメだ! お菓子など、もっての他…… もうコンシェルジュは、やめたと言ったろうが!?』
「……おい、なんでテメエがまた出てくるんだよ?」
耳に当てた、スマホの明かりに群がってくる虫を払いながら、俺は唸る。
碌でもねえハナシを聞かされたおかげで、さっきより余計に気が立ってる。
ヒモ以下のガキと、クソ生意気なホンキーの病み日記の事じゃねえ。
『そんな事だから、ねえねが風呂で……』
ジャスミンの独り言が気になって、何人か撃ち殺しちまいそうだ。
チクショウ、リーファにどう訊けってんだよ?
……こんなんだが、一応、父親だ。
娘の『地雷』は心得てる。
コレ…… 訊ねたら、月単位で口きいてもらえないヤツだ。
こんなんでも父親……。
ローズ、あんなんでも母親なんだよな。
娘と仲も悪くなさそうだし。
少し自信がついた。
……いや、それどころじゃねえ。
忌々しそうに吐き捨てる大人。
『娘を寝付かせに行ったんだ…… 戦闘訓練を引き受けた条件の中に、22時就寝があるからな。尤も、見回りに行くたびに、親子揃って寝たふりしてるだけだが』
「修学旅行じゃねえんだぞ? もういい……」
叫び声が小さく聞こえた。
衝撃と、爆風の方が早かった。
腹に籠もる爆発音が、全ての感情を吹き飛ばす。
近い。
ってか、半グレどもを拘束してる広場。
気付いてみれば、反射的に伏せていた。
全身がビリビリ痺れている。
王と部下達。無事か。
こっちが爆発物を使う理由はねえ。
ヒザ立ちでホルスターから抜いた黒星のセフティを外す。
アゴに付いてた枯れ草がパラパラ落ちた。
『どうした?』
落ち着き払った義父の声が、地面に放り出したスマホから聞こえた。
こんな分かりやすい、証拠を残していくわけにゃいかねえ。
慌てて拾い、駆け出した。
胸ポケットに挿したのは、心臓を護る、気休め程度の弾よけだ。
「爆発。そこそこのデカさだ」
『銃声が聞こえん。と言う事は……』
「自爆か…… 王!」
焦燥に駆られるまま、俺は雑草を踏み分け走り続ける。
広場には、酸鼻を極める光景が広がっていた。
こちらから見て、右端に爆発で抉れた地面が見える。
そこを起点に、墨をブチまけたような状態で、人間の部品が散らばり、薙ぎ倒された木々が鋭い折れ口を晒していた。
並んで跪かせていたヤツラの、一人が自爆したのか?
一〇人ばかり並んでいたが、爆心地に近いヤツラは原型を留めてねえ。
端の二人は、弱々しく転がっているが…… 半分以上が火傷で爛れている。
先ず、ダメだろう。
悪いが、どうでもいい。
とっさに退避して伏せたのか、部下達は軽傷だ。
「王!」
大儀そうにあぐらをかいて、アタマを振っている王。
首から上が血まみれだが、しっかりした視線をこっちに向けてきた。
「ボス、自爆です……。一人だけ、誰も知らないってヤツが紛れ込んでるって言うから、距離をとろうとした途端、何か叫んで、ぶっ飛びました…… マンセーってのだけ聞き取れました」
嫌な緊張感が下腹を重くする。
韓国な訳がない。北朝鮮か。
俺は舌打ちしながら、ただ一人意識のある半グレを上からのぞき込む。
さっきまで話してたヤツだ。
『伏せる』って言う兵士なら基本の動作を知らないばかりに、背中にたっぷり爆弾の仕込みを浴びたんだろう。
呼吸も浅い。こいつも長くない。
「おい。心当たりはあんのか」
「……ねえ……よ。俺ら、つながりユルいし…… そういや…… 電話ばっかり掛けに行ってた……」
言い終わらない内に、俺は吼える。
「総員戦闘態勢! 備えろ、来るぞ!」
王を含め、一二人ほどの隊員が、機敏に散った。
深く考えるのは後回しだ。
仲間に連絡をとっていたのなら、このまま済むとは思えない。
だが、疑問が消えない。
ボディチェックも当然したはずだ。
何故爆弾を、見つけられなかった?
一体、どうなってやがる?
巨躯に似合わず、中腰の姿勢で素早く寄って来た王が、囁く。
「本部には連絡済みです…… ボス、車まで、撤退しましょう」
「わかった。各自、安全を確認するまで、車に近寄るな」
インカムから返答があった。
『シヴァより、アシュラーへ。遠隔解錠します』
隊員達が、息をひそめる気配。
ピピっという電子音と共に、離れた場所の四駆がハザードとルームランプを点灯させた。
間髪入れず、あらゆる戦場で聞き慣れた、ガスのバックファイアが森の奥で光る。
近づく死神の羽音。
「RPG!」
誰かが叫び終わる前に、サーフが爆散した。
(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。
毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。
宜しくお願いします!





