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別班には似合わない

《登場人物》


 林堂 凜

 主人公。 小6、男。

 幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。

 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。


 梁 健一

 日本名、橘 健一。リーファの父。

 台湾人。民間軍事会社の社長で、梁財閥の長男。リーファを溺愛している


 梁 梨花リャン・リーファ 

 小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。


 大人ターレン

 犯罪組織、HAZEの元締め。リーファの祖父。梁に根深い恨みを持つ。


 五代珠乃

小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。



エディ・田中

五代珠乃の、血の繋がらない父。

犯罪組織、HAZEの創始者。

ヤクザ、中国マフィア、警察に追われていた。

梁家を付け狙い、その関連で、主人公たちと関連する人物を無差別に襲っていたが、現在は休戦中。





 「待て」


 ジェーンの言葉に足を止め、わずかに振り返る大人(ターレン)

 入り口から差し込む店外の光を浴び、半身が光を放っている。


 人生の大半を、影で生きてきた『別班』には似合わない。


 「勝手に話を進めないで貰おうか。聞きたい事が山ほどある」


 「説明するから、ついて来いと言ってるんだ…… 無理強いはせん。嫌なら帰れ」


 「アタリマエの事だが、子供達を巻き込むつもりはない。どうしてもと言うなら……」


 初老のスパイは、もどかしげに言った。


 「巻き込むのでは無い。我々が巻き込まれるんだ」


 「……何?」


 訝しむジェーン。

 私はそれよりも聞きたい事があった。


 「何もかもひっくるめて、一体、どういう風の吹き回しだ? 私を殺したいんじゃなかったの……」


 「知りたければ、ついてこい…… どうした?」


 言葉を切り、襟から引っ張り出した、Pチャンイヤホンに向かって話しかける大人(ターレン)

 

 その姿にげんなりする。

 見た目、官憲そのものじゃねえか。


 だが、その内容は、大人(ターレン)にとっても楽しいものじゃ、なかったらしい。

 すぐ行く、とだけ答え、私達の方を見ずに吐き捨てる。


 「ちょっとしたトラブルだ…… ややこしくなるから、オマエ達は口を出すなよ?」


 さっさと歩き出す後ろ姿。

 そう言われて、やっと後を追ってもいい気になった。

 我ながらひねくれているが、来て欲しく無さそうだと、俄然興味が引かれる。


 ハスマイラが立ち上がる。


 「行きましょう…… 一つ気になる事があるんです」

 

 その不安げな顔に、私は驚きを隠せない。

 ジェーンでさえ、眉を顰めている。

 

 涼しげなポーカーフェイスが、彼女の武器の1つだ。

 今日はどんでん返しが多すぎて、感情が追いつかない。


 今度はなんだってんだ?




 我々が大人(ターレン)の後を追って辿り着いたのは、4Fにあるチャペルだった。


 『山野愛子・着付室』の額がかかった壁の横に、長い通路が延々と続いており、その奥から怒鳴り声が聞こえて来る。


 そこから、青い顔をした若いカップルが現れ、我々の方を見ようともせず、足早に去っていった。


 その前を通り過ぎる宿泊客は、ちらりとそちらの方を見るだけ。

 客層が良いだけあって、つまらない野次馬根性は持ち合わせていないようだ。


 大人(ターレン)は上着を脱ぎ、カッターシャツにPチャンイヤホンをこれ見よがしに嵌めているため、ホテルのスタッフには見えない。


 無人の長い廊下。大人(ターレン)の背中を追って、無言で奥へ向かう、私とハスマイラと公安の姿をしたジェーン。


 「……何だ、この妙に長い廊下は? SAS(英国特殊部隊)の訓練施設か?」


 私が呟くと、ハスマイラが疲れた様に答えた。


 「フラワー・シャワーロードッスよ。新郎新婦の友人が、ココで米やら花やらを撒くッス…… 似てるのは、教官が怒鳴ってるとこくらいっしょ?」


 なるほど、確かにそうだ。

 喚いている声は、英語だしな。


 曲がり角を曲がった途端、そんな事はどうでも良くなった。


 そこにいた人数は、7人。


 顔を真っ赤にして喚いてるのは、白人の男達の内の一人。観光客だろう。

 それを見張っている、目つきの悪い私服の日本人二人は、ハムか警察で間違い無い。


 問題は、喚かれている二人組だ。


 「……やっぱり」


 ハスマイラのうめき声もむべなるかな。


 腰に手を当て、仁王立ちの半目で見上げている金髪碧眼の少女。

 先日、エディの店で会った、クソ生意気なジャスミンとかいうガキだ。


 俺は開いた口がふさがらない。

 

 なんで、こんなトコに?


 すぐ横、全く同じポーズで立ってる、そのガキにそっくりな女性。

 中年の白人女性には珍しく、バツグンのプロポーションを維持している、タイトスカートのワンピースに白いジャケットを羽織った姿。


 因みに、娘は薄いブルーのワンピース。ジャケットを着てないだけで、ペアのコーディネートだ。


 そっくりな美しい顔立ち。間違い無く、ジャスミンの母親だ。


 軽蔑しきった眼で、毛むくじゃらのアロハに短パンの白人を見上げていた少女が、見事な発音で言った。


 いや、外見からすれば、英語が上手いのは自然なんだが、シュリでフツーに日本語を話していたのを知ってる私からすれば、どうしても、『日本語が上手い』ではなく、『英語が上手い』と感じてしまう。

 

 「もう、いいって。酒臭いし、見た目もクサいし、ついでにビンボーくさいから、救世軍の炊き出しにでも並んで来なよ…… 来るトコ間違えてんだろ?」


 相変わらず、切れ味鋭いな?


 二十前後のガキ二人を従えてる、その父親らしいのが、顔を真っ赤にして怒鳴った。


 「オマエラこそ、親子そろって、客でも取りに来たんじゃねえのか!? ビッチ(娼婦)が懺悔にでも来たのかよ?」


 背後のガキ共が、調子を合わせて笑うのを見て、私はちょっと暴れたくなった。






(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。


毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。


宜しくお願いします!


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