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我が前にある物、全て我が道具

《登場人物》


 林堂 凜

 主人公。 小6、男。

 幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。

 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。


 梁 健一

 日本名、橘 健一。リーファの父。

 台湾人。民間軍事会社の社長で、梁財閥の長男。リーファを溺愛している


 梁 梨花リャン・リーファ 

 小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。


 大人ターレン

 犯罪組織、HAZEの元締め。リーファの祖父。梁に根深い恨みを持つ。


 五代珠乃

小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。



エディ・田中

五代珠乃の、血の繋がらない父。

犯罪組織、HAZEの創始者。

ヤクザ、中国マフィア、警察に追われていた。

梁家を付け狙い、その関連で、主人公たちと関連する人物を無差別に襲っていたが、現在は休戦中。





 ブチリと頭の奥で音がした。


「死ね、老害野郎!」


 しかし、俺の右ストレートを阻む、ハスマイラのハンドバッグ。

 右を振りかぶり、息を止めたまま、なんとか拳を止めた。

 洒落たバッグの陰、ざまあ顔をしているクソ野郎を見て、銃を持ってこなかったのを本気で後悔した。


 「どけ、ハスマイラ! 限界だ、深雪のいる天国の、遙か下層に送ってやる!」


 ハスマイラもまた、中腰のまま大人(ターレン)を振り返る。


 「ミスター、私はリーファちゃんの世話係でもあります。彼女の事をどう思ってるんですか?」


 少し長目の髪を、後ろに流したスーツ姿。白髪はほとんど交じっていない。

 その顔から、笑顔が消えた。

 不機嫌そうに顔を背けて呟く。


 「なら、口を挟むなとも言えないな…… 努めて考えないようにしている。私が追って来たのは、コイツの動向だ。彼女の事を調べたことは一度もない」


 俺は音を立てて、イスにどっか、とケツを落とした。


 「はいそうですか、って鵜呑みにするわけねえだろうが」


 ジロリ、と横目で俺を見ると、バカにしたように吐き捨てた。


 「彼女に何の罪がある? そもそも本気でかかれば、キサマを檻に入れるのはさほど難しくない。下のハム(公安)どもがその証拠だ。キサマは叩かなくとも、埃だらけの身体だし、証拠の捏造はヤツラの十八番だからな」


 「ほー、お優しいこったな? 生駒でキサマが自爆ベストを着せたユリとミナ…… 二人のJKにはどう申し開きするんだよ?」


 そうだ。不良の友達が、物見遊山で半グレの狩り場に向かったのを止めるため、危険な廃墟を訪れた高学歴の少女達。

 結局、不良の友達は惨殺され、ユリとミナは大人(ターレン)に自爆ベストを着けられた。


 義父は見たことも無いあきれ顔で、私を見つめている。

 言葉を選ぶようにして、ようよう言った。


 「いいか? あそこにいたのは、闇サイトで募った、金欲しさに人を狩るようなクズだけだ。なんの遠慮がいる?」


 「あの二人は違ったんだよ! 興味本位で覗きに行った友人を止めるために……」


 言ってる途中で、自分のセリフにむなしさを感じた。


 「そうか…… それを私はどうやって知る? オマエがゲラゲラ笑いながら撃ち殺したヤツラの中に、脅され、無理矢理参加させられた者がいないと言い切れるのか?」


 チクショウ、その通りだ。

 

 例え、そうだとしても、何とも思わねえ。

 あそこにいて、銃を握った時点で、無力化されて当然なんだ。

 

 だが、ハスマイラが援護射撃をくれた。

 怒りと軽蔑を含んだ声で。


 「泣き叫ぶ少女達に、よく自爆ベストを着せる気になりましたね? 趣味が悪すぎませんこと?」


 大人(ターレン)は悪びれもせずに微笑む。


 「おしおきだ。茶髪に金髪、原色の服。私はヤンキー…… ミズの世代では、不良のことをヤンキーとは呼ばんか…… ああいう連中が大キライだ」


 「アイツら、川津っていう、偏差値70越えの高校に通う才女だぞ?」


 一瞬、動きを止めた大人(ターレン)

 軽蔑しきったように、目を細め、意地悪く口の端を吊り上げる。


 「……そうかね。要するに、ギャップ差を狙って、底辺に見せかけたいから、あんな格好をしてたわけだ…… 目論見が成功して良かったじゃないか? 私ったら、騙されちゃったよ」


 イチイチいらつかせる野郎だ…… が、その通りではある。


 大人(ターレン)は、疲れた様な顔で言った。


 「我が前にある物…… 全て我が道具」


 なるほど、スパイらしいマインド・セットだ。


 「ミズ、別にあなたにどう思われた所で、何とも思わない。他人の評価が気になるなら、正義からほど遠い、スパイなどやらんしな」


 能面に戻ったハスマイラを見ないまま、大人(ターレン)は呟いた。


 「あの爆弾は本物だ。でなければ、ミスター・アリなら見破るだろう、超能力者なんだから…… ただし、中身の火薬は爆竹程度。起爆しても、火傷くらいしかせんよ」


 「そうですか…… 何故?」


 不意打ちを喰らった私を無視して、大人(ターレン)は、肩をすくめる。

 真剣とも、冗談ともつかないセリフを、真顔で言った。


 「火薬が足りなかったのさ…… 他のヤンキーどもに、使い切ってしまってね」






(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。


毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。


宜しくお願いします!


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