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人質から解放されたムスコは




 思わず、背中から抱きしめかけて、思いとどまった。

 ピンと伸ばした背筋から、何かの決意を感じとったから。


 可憐な横顔と、雪みたいな裸のギャップに、頭がクラクラして大変だったけど。


 きめの細かい、健康的な白い肌。

 メグの匂い。不思議な雪女の香り。

 

 太もも同士は今も触れてて、温かいじゃなくて、熱い。

 僕の横で、ベッドに足を伸ばして座ってる、黒髪の後ろ姿。頭頂のリボンは解けかけてる。


 迷いのない後ろ姿。それを僕は、片ひじをついて見上げたまま、必死に理性をかき集めて言った。


 「待て。オマエの夢は女優だろ? いや、そんなの関係なくフツーにまずいって…… ハウッ」


 下着の上から、とんがりコーンをガッチリ握られ、自動的に内またになる。


 「じゃ、なんでまな板の、背中と耳が弱点だって知ってんですか? 夢もムネもない十勝平野なら、OKなんですか? このとんがってるトコ、へし折っていいですか?」


 「やめて、そこ敏感!?」


 いや、ぐりぐり振り回すなし!?

 ストリートファイター用の、コントローラーじゃないんだよ!?


 鬼女の闇をまとった背中に、掛けようとした手が、宙をかく。

 文字通り、弱点を握られてるッ!


 ピタリとニュートラルの位置で、僕のジョイスティックを止める、ぷよぷよガチ勢。

 いや、ぷよぷよ関係ないけど。

 そのジョイスティック、メグが手を離したら手前側、つまりおへそ側に自動で倒れて来るのは間違い無い。


 「最近…… ホントに最近、分かったんです…… 凛と結婚できるなら、女優なんかどうでもいいんだって」


 「おい!?」


 何てこといいやがる? 田中さん達が今までどれだけ……。


 でもメグが、僕に目元を赤くした横顔を見せて、キラキラした瞳で微笑むから……。

 僕は口を閉じた。


 とりあえず、ムスコ(チンチン)を解放しろ、とか言いたかったけど。


 「思い出しちゃうんですよ、凜の事…… キレイな景色を見ても、おいしいものを食べても……」


 メグが僕のモノから手を離し ――人質から解放されたムスコは、先端をほぼ、ほぼこっちに向けて反り返るいや、どうでもイイ情報だったねゴメン―― 顔の前で五指をあわせて、恥ずかしそうに告白した。


 「分かったんです。これが恋なんだって」


 そう呟くメグの顔は、アホ男子の僕から見ても、画廊に飾られてそうな絵に見えた。

 タイトルはきっと、『恋する少女』。


 白くて細い指……。

 さっきまで僕のうまい棒を、わしづかみにしてたなんて信じられない。


 だけど。


 「ハウッ」


 「気づいたんです…… エッチでケダモノな凛と、キセージジツな事しちゃえば、こっちのものだって」


 「ナニ、勝手にパンツ脱がせてんの!? チョクで握るのためらえよ!?」


 訂正。『新入社員連れ込んだ、三十路なお局』の間違いデシタ。


 僕はメグの手を払い、慌ててパンツをずり上げた。

 柔らかい指が一瞬僕のモノをこすったから、声をあげそうになったけど。


 「そう言うトコだよ、オマエラ! なんで三マスとばしな勢いで、ソコに行き着くかね!? ……ウッ」


 しかし、再び、僕の棒をグリップする、駆け出し女優。パンツ越しだけど。


 「なんでかって?」


 ……あれ、なんだか急にこの部屋、寒くなってません?


 「なんでかって?」


 あ、二回言うんだ、大事なコトなんだ?


 白抜きの目でケンシロウの様なオーラをまとい、ほぼ寝転んでる僕に、黒塗りの顔を向ける。


 「金髪ロシアン、ネコミミパンツ二匹と広島おっぱい、オマケにブロンドえぐれムネ…… ナニしてきたか、訊いてもいいのかなあ?」


 「…………えっと」


 あれ、全身が冷やっこくなっていってるんですケド?


 おっしゃるとおりでした!

 いや、全員に文字通りツバつけた僕が、ナニウエメセで説教しようとしてたんでしょうか、恥を知れってもんですよね、まったく!

 今まで、メグに喰らい掛けたお仕置きのバリエーションが、振動つきコントローラー並に震える、脳をよぎる。


 耳かき、拳銃、ショックバトン。あ、裁ちバサミで取り外し可能にされかけた事もありましたよね?


 あ…… 僕の蜂サン針、ちょっと元気なくしてるかも……。


 「……もう、いいです」


 「へ?」


 「よいしょ」


 僕の胸の辺りに背中を見せてまたがる、白い身体。

 

 きゃしゃで、僕より小さいはずのメグが、そびえたって見える。

 アゴのすぐ下あたりには、真っ白な下着に包まれたおしり。


 すねたように呟くメグ。


 「暴れる悪い子は、こうです」


 柔らかくて、温かいお尻に押さえられて、動けない僕。


 「それでもって……」


 囁き声とともに、耳まで真っ赤になった身体が前傾していく。


 「悪いことばっかりしてる、このコは…… こう」


 パンツ越しに、柔らかくて小さなモノが押し当てられた。

 その正体に気づいて、頭が爆発する。


 唇だ。


 視界に大写しになった、純白のパンツ。


 え?


 ナニ?


 今、なにされたの?


 一気にMAXゾーンまで振り切った心臓の音を聞きながら、雪女の切ない声を聞いた。

 恥ずかしさで震える、泣きそうな声を。


 「だから凛は、メグと誰ともしたことないことするの…… メグが凛の一番になってみせるもん」






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