悪いね
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。
幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。
任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
日本名、橘 健一。リーファの父。
台湾人。民間軍事会社の社長で、梁財閥の長男。リーファを溺愛している
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
梁 梨花リャン・リーファ
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。
ジャスミン・マーカス
アメリカ人。小5。女。
スマブラ団体戦・大阪大会、決勝の相手チームだった。
紆余曲折を経て、主人公が大好きになる。
氷室 恵
小5、女。女優志望。主人公と、市街戦をくぐり抜けた。主人公が好き。
五代珠乃
小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。
朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。
エディ・田中
五代珠乃の、血の繋がらない父。
犯罪組織、HAZEの創始者。
ヤクザ、中国マフィア、警察に追われていた。
梁家を付け狙い、その関連で、主人公たちと関連する人物を無差別に襲っていたが、現在は休戦中。
稲をかられて残骸になってる左手の田んぼと、踏み込むのを止められた金髪の半グレ。月明かりが照らしてる。
右手の薄汚れた塀に、映る影絵。
エスティマのそばにいる金髪、その数メートル手前、ボルボのとの間には、朴ジイにヒザを蹴り折られかけた、ピンク頭。
さらに三メートルほど離れた屋根の上には五代と僕。
後部座席の横、塀が邪魔で、田んぼ側に立ってるジャス子とメグ。
二対五だけど、向こうは格闘技やってる大の大人、こっちは、年寄りと小学生。
数の有利は全く感じない。救いは飛び道具だけ。
金髪ちょんまげの肩に突き立ったのは、トゲがたくさん生えた円盤、鎖骨の下に生えてるのは、細長い棒。
もがいて角度の変わったその物体が、ヘッドライトを消してるボルボが出す、わずかな明かりを跳ね返した。
八方手裏剣とダーツの矢。隣の五代が、それを投げた二人を見て、驚いてる気配。
その数歩手前で、朴ジイに蹴られ、逆に曲げられかけた膝を引きずり、悲鳴を上げてる半グレ。
……朴ジイ、スゲェ!
中国拳法の斧刃腿。あらゆる格闘技の禁じ手。
砕かれた関節は、元には戻らないからだ。
武器を持った相手に迷い無く突っこむなんて、経験から来る自信がなけりゃムリ。
……けど、筋肉に支えられた膝は、簡単には壊れない。
頭から血を流しながら、その髪をつかむと、ちょうどいい高さになってる顔へ、右のパンチを叩き込む朴ジイ。
しつこく何度も。
何度も、何度も
くぐもった悲鳴と、一発ごとに切り裂かれていく顔。
ウソだろ、どんなカミソリパンチだよ!?
理由はすぐにわかった。
その拳に巻いてる、金属製の腕時計が、エスティマのテールランプで、赤く光ったから。
呆れるくらい、ケンカ慣れしてる。
朴ジイ、着てる作業服のせいもあって、単なるガラの悪い工員にしか見えんかったけど、かなりヤバイ人種だった。
「……があっ!」
雄叫びとともに、引き抜いた八方手裏剣とダーツを投げ捨て、仲間をタコ殴りにしてる朴ジイへ蹴りを飛ばす、金髪。
怒りに銃の存在を忘れてる。
力任せのローキックを喰らった、朴ジイが、一瞬体勢を崩した。
「朴ジイ、どいて!」
「撃つな! 人が来るど!」
ソレ、言っちゃダメだろ、相手は「こっちが撃てない」って思い込むじゃん!
手裏剣や、ダーツは相手をひるますくらいの効果しかないんだ。
こっちは、ガキとジジイだけ、銃を使わないと、負け確なんだぞ!?
朴ジイに蹴りとパンチを浴びせる金髪。
ピンクの髪を掴んでた朴ジイは、体を入れ替え、ソイツを楯にする。
「もう、今更だろ!? おい、ちょんまげ、死にたきゃ殺してやんよ!」
俺はサンルーフから照準を合わせ、引き金を引こうと焦る。
出来ない。朴ジイ、邪魔だって!
「我が前にある物…… 全て我が道具」
ジャス子の囁きに、振り向くと、たくし上げたワンピースのスカートが、降りるとこだった。
そこから抜いた物体を、両手で開くのを見た。大きめのUSB二個が、L字になった様な形。
そこから引き金が生えてるのを見て、ギョッとする。
「……同胞以外は」
ジャス子は呟き、ダッシュした。
「……22LR! メグ、止めえ!」
叫んだ五代が、屋根から降り立つより早く、メグも駆け出す。
俺もあわてて、サンルーフから飛び出す。
しまった、間に合わない!
腕時計ナックルで血だるまにされ、崩れていくピンク頭。
その朴ジイを捕らえて、楯にするつもりの金髪。
駆けながら、ジャス子はまっすぐ、右手をソイツに向かって伸ばした。
急所とヒザに、しつこく速い蹴りを放って距離を稼いでいた朴ジイ。
ジャス子に気づくと、腫れぼったい目を見開いた。
「ジャス、ダメ!」
叫んだメグが、ジャス子の腕を叩いて弾くのと、朴ジイが、金髪にタックルするのは同時だった。
朴ジイ、なんで!?
間一髪、ジャス子は引き金を引かなかった。スゴイ判断力だ。
「メグ、邪魔すんじゃねえッ!」
鬼の形相で吠えるジャス子。
俺は驚きのあまり、頭がしびれたまま。
……コイツ、タンゴの顔に向かって、銃口向けてた。
撃ち殺すつもりだったんだ。
もちろん、責めれた義理じゃない。
でも……。
でも。
オマエはそんな事しちゃ、ダメだろ!?
「まちがってないッ!」
メグは、辺りに響き渡る大声を上げた。
「けどッ…… オマエがそんな事するの、なんかイヤ!」
最後の方は、涙声だった。
五代もボーゼンと口を開けて見ている。
俺もだ。
撃たれかけた金髪は、尻餅ついたまま、ガタガタ震えてるし、朴ジイは、どこかを打ったのか、顔をしかめて立ち上がれない。
……俺は。
次のジャス子の言葉を聞いて。
自分のしてきた事。
女子達を、巻き込んで来た事。
なにもかもが…… 間違ってた様な気になった。
僕らは呑み込まれていく。
予測のつかない、最終章に。
「そ…… 悪いね。アタシはこのクソを殺して、凜と肩を並べるんだ」
(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。
毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。
宜しくお願いします!





