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ボルボは、ヘラジカ轢いても平気

《登場人物》


 林堂 凜


 主人公。 小6、男。

 幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。

 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。




日本名、橘 健一。リーファの父。


台湾人。民間軍事会社の社長で、梁財閥の長男。リーファを溺愛している




香咲 ナディア=マフディー


小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。




梁 梨花リャン・リーファ 


小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。




ジャスミン・マーカス


アメリカ人。小5。女。


スマブラ団体戦・大阪大会、決勝の相手チームだった。


紆余曲折を経て、主人公が大好きになる。 



氷室 メグ



小5、女。女優志望。主人公と、市街戦をくぐり抜けた。主人公が好き。



五代珠乃


小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。

朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。




エディ・田中


五代珠乃の、血の繋がらない父。


犯罪組織、HAZEの創始者。


ヤクザ、中国マフィア、警察に追われていた。


梁家を付け狙い、その関連で、主人公たちと関連する人物を無差別に襲っていたが、現在は休戦中。






 腹にこもる重低音を立て、角から黒い四駆がぬっと現れた。

 いや、四駆っぽいフォルムだけど、角が丸くて、高級感がスゴイ。


 フロントにはスラッシュマーク。


「……VOLVO(ボルボ)?」


 チンピラの一人がそう呟くのと、サンルーフから、上半身が現れるのは同時だった。

 その人陰は、黒髪の上にベレー帽を載せ、マリンブルーの制服に身を包んだお嬢様。


 いつもの金縁・伊達メガネ。

 涼やかな笑顔で到来を告げる、我らが店長。


 「ごきげんよう」


 運転席の眠たそうな目をしたハゲが、アクセルを踏み込むのと、五代がサンルーフのへりに足を掛けたのは同時。

 獲物をロックオンした追尾ミサイルの勢いで、エンブレムが光る鼻っ面を、レクサスのケツに突き刺したのと、店長が宙を舞ったのも同時だった。


 悲鳴と板金のひしゃげる轟音、玉突きでタマネギと黒デヴの乗るセンチュリーに、弾かれたレクサスが突っ込む。


 衝撃でエアバッグが膨らむ中、逆落としに広がる髪が陽光をさえぎる。逆光に輝く金縁メガネ。

 十六時の太陽を切り取る影から、銀線が迸る。


 速い!


 バットを持ってる金髪の、手の甲と肩に、長い棒が突き立つ。

 悲鳴と共に、金属バットが地面を転がった。


 着地した五代はスカートをたくし上げ、太ももに巻いたバンドから、新しい鉄の箸――コリアンの食卓に並ぶヤツ――を抜く。


 お嬢様の仮面をかなぐり捨てた、リーファ並の戦闘力を持つ六年生。

 その絶叫が号砲だった。


 「叩っ殺せ!」

 

 「(シャア)!」


 間髪入れずに応じたリーファ。


 ブラスナックルの握り手・小指側。右フックをフルスイングしてきた、175センチはあるロン毛に向ける。

 極細ワイヤーの尾を引きつつ、針付き電極が、弾丸並みの速度で空を裂く。

 派手なシャツ越し、胸に突き立ち、悲鳴も上げずにケイレンする。


 「やめろ! メグ、警察を……」

 「呼ばなくても、どうせ通報されるって…… ご近所に」


 白けたメグの声が頼もしい。それを背中で聞いてる僕に、最後の一人が前蹴りを飛ばす。

 狙いは顔。相手はデカイし革靴だ。当たれば一発で血まみれだろう。


 当たるか、ボケ。


 斜めに身を沈めると、地を蹴った。

 地面すれすれをダイブ、ソイツの軸足に全身で激突。


 あっけなく僕と絡んで仰向けに倒れてく後頭部を、センチュリーのドアへ直撃させた。

 まだ、舌を出して気絶したままの、白デヴの横にうずくまる。

 のんきなデヴだ、全ての元凶のクセして。

 

 その横に丈の長いスカートが、風のように踏み込んで来る。

 ナディアのちょっとスパイシーな香り。


「死んどれ、どグサレェ!」


 自在ほうきの柄が、槍の如く、サイドウィンドウを貫いた。車内から黒デヴとタマネギ親父の悲鳴が上がる。当ててはないな。


 戦いはあっという間に決着がついた。

 

 狂ったように悲鳴を上げる、オバサン。厚化粧にヒビが入ってるから、やめれ。


 さらに、箸を足に突き立て、無力化したバット男の顔の真ん中に、靴の裏を叩き込み、トドメを刺した店長。


「……橘ァ。やかましいわ、そのババア」うざったそうに吐き捨てた。


「あ、ワリ」答えるや、頭一つ高い女のこめかみを、握りの部分で軽く打つ。悲鳴の止んだ足を払って、転がし、相棒は髪をかき上げた。


「おりんさい、タマネギ、黒マデヴ…… 車、燃やしちゃろか?」


 二人とも、ケツを燃やされた勢いで、飛び出して来た。

 二人とも、悪夢を見るような眼で、ラジエターから水蒸気を上げる車と、転がってる仲間を見ている。

 動かない、自分の奥さんにも駆け寄ろうとしない。


 そりゃ、そうだよな。小学生に逆襲喰らうなんて、夢にも思わんかったろう。


 遠くから聞こえてくる、パトカーの音。


 「……ちょっと、色々と覚悟だね」とリーファ。

 「それな」とナディア。

 「しゃーねーワ、相手、バット持ってたもん」と僕。

 「これは、いくら何でも……」

 「パパ、今は何も言っちゃダメ」メグがパパを黙らせた。


 「なんもあるかい」


 箸をくるくる器用に回してた五代が、つまらなさそうにボヤいた。


 「朴ジイ、伊達に逃がし屋やっとらんわ」

 

 言い終わらない内に、黒いバンが、角の向こうに滑り込んできた。こちらに向けた横腹。スライドドアが開くと、ドヤドヤと数人が降りて来た。満面の笑みを浮かべたオバチャンは、米袋でも拾うみたいに、軽々と三人を担ぐ。肩に二人、小脇に一人。


 ウソだろ、どこのドンキーコングだよ?


 五代は無表情に、人差し指と親指でわっかを作ってOKサイン。太ったオバチャンは、親指を立てる。その間にも、若い兄ちゃん達が、ペットボトルの水とデッキブラシで、地面の血をこすって流す。


 一分後には、濡れた地面だけを残して、風のように去ってしまった。

 あまりの手慣れっぷりに、あぜんとする僕達。


 残ったのは、家族がさらわれるのを止めることさえ出来なかった、タマネギ親父だけ。

 近づいてくるサイレン。

 ひょろっとした、ハゲの無精ひげ(朴ジイ)は、吸ってたタバコを、血の気の引いたメガネのレンズに押しつけ言った。


「コラ、タマネギ…… よーも、()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

 


(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。


毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。


宜しくお願いします!


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