表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
613/1091

お釣りはちょっと、細かくなります


《登場人物》


 

 林堂 凜


 主人公。 小6、男。

 幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。

 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。


 


 梁 健一 (リャン・ジェンイー)


もう一人の主人公。日本名、橘 健一。リーファの父。台湾人。民間軍事会社の社長で、梁財閥の長男。リーファを溺愛している



 梁 梨花 (リャン・リーファ)


小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公・林堂凜の幼馴染で、相棒。主人公が好き。



ハスマイラ


二〇代半ば、女。梁の部下で、リーファの護衛。梁に惚れているが、今のところ、特に進展はなし。


 王


 梁の最古参の部下。スキンヘッドの大男。リーファの叔父に当たる。


 チャン


 蛇頭の元締め。以前、HAZEに雇われ、裏切ったエディ達に撃たれた。


 

 大人(ターレン)


 犯罪組織、HAZEの元締め。リーファの祖父。梁に根深い恨みを持つ。


 

エディ・田中(五代)


 五代珠乃の、血の繋がらない父。犯罪組織、HAZEの創始者。

 ヤクザ、中国マフィア、警察に追われていた。梁家を付け狙い、その関連で、主人公たちと関連する人物を無差別に襲っていたが、現在は休戦中。



ジェーン

 

梁の相棒。伝説の工作員。








『スローター1 to  アシュラー。国道沿い、ゲスト(チャン)のベンツがハザード・ランプを点灯した…… 路肩で駐車している、セルシオの後方に接近』


 1トントラックで追跡している、スローター1からの連絡に、私は少なからず驚いた。


 作戦を開始してから、五分も経ってない。

 敵は、ここから2,3キロ足らずの場所で待機してたのか。


 相手は焦ってる様だ。孤立無援、三人足らずで組織から逃げようとしているのだから無理もない。


 チャンから金を脅し取って、高飛びをする気満々みたいだな。

 

 私が何か言う前に、ハスマイラは自動ドアをくぐり、レジに立つ店長の前で俯く、くりさか嬢を呼びに行った。


 それを眺めながら、私は言った。


「追い越して、人質とタンゴ()の有無を確認しろ」


 青い顔で、飛び出してきたウェイトレス姿。

 あきらめ顔の店長に手を合わせ、ハスマイラが踵を返す。


 ……くりさか嬢、これだけやらかしたら、多分クビだろうな。


 不安げな彼女に、ドライビングレコーダーが拾う画像の映った、私のiPhoneを見せる。


 スローター1の声。


タリホー(発見)


「やれ」


 一旦、セルシオの前方に出たトラックが、うなりを上げて後方へと走り出す。


 トラックに搭載されたバックカメラ。

 運転席の男と後部座席の男女、慌てる姿が大映しになっていく。


 鉄板のひしゃげる派手な音と悲鳴。隣で見てる、くりさか嬢のも混じってる。

 

 ボシュッという、火薬が炸裂し、ガスが発生する音とともに、運転席が白いナイロンで覆われた。

 

 運転席の男は、エアバッグに挟まれ動けない。


 すかさず、後方から走ってきたアルファードが横付けされ、ドアの開閉を封じる。


 後部座席で首を押さえて蹲る女、その横で信じられない顔をしてる男。


 アルファードのサイドウィンドウから突き出された、銃を見上げながら、男はゆっくりとハンズアップ。


 ベンツの横で呆然と立ってる、チャンの姿に笑ってしまった。


 トラックの運転席から降りて来た、作業着姿のスローター1は、朗らかに叫ぶ。


「いよう、田中ァ、鈴木ィ…… ヤッちゃったわァ」




 


 

『なんとまあ…… 忙しい夜だよな、お互い』


「まったくだ」


 スマホの向こうで、呆れたように笑うチャンから眼を離し、白みかけた空をレイバン越しに見上げる。


 九月の空を黄色く染め始めた、朝の光。

 お世辞にも美しいとは言えない国道を、曙光が照らし、ほんの少しだけ肌寒かった大気を優しく撫でる。


 ファミレスの自動ドアから、数段下りた入り口前。

 隣で口許を覆って涙ぐんでいる、クライアント(くりさか嬢)


 駐車場から国道へ、次々と合流していく隊員達を乗せた車。

 

 傍らに立つ王が、腕時計を身ながら呆れたように言った。


 「現在、0410…… 任務完了。これ、最短記録じゃない、ハス?」


 「……ッスよね。くりさか嬢、着替えてくるヒマも無かったッスワ。マジ、簡単なお仕事でしたよねェ」


 あはははー


 お気楽な笑い声をBGMに、俺はカメラの向こうのチャンに訊ねた。


「良かったのか、アイツら逃がして?」


『しゃあねえよ、クライアントの意向だろ? お嬢さん、妹を助けてくれたな? いつか借りは返す』


「……いえ」


 泣き笑いで、そう返すのが精一杯のくりさか嬢。

 コーヒーと穏やかな香りがした。


『じゃ、行くワ。いつか、どこかで…… また』


 私の返事を待たず、妹の待つベンツへと踵を返す、チャン。


 私は、iPhoneのアプリを落として言った。


「|ミッション・コンプリート《任務完了》…… 帰還する」


 私は傍らに立つ、くりさか嬢を見下ろした。

 疲れた顔に浮かぶ、誇らしげな表情。


 悪くねえ仕事だった。


「美味い紅茶だった」


「また、どこかのお店でお会いできたら、お出ししますね」


「……また、クビになるぞ?」


 私達は軽く笑う。


 「ミズくりさか。個人的には助けられたが…… 接客のプロとしては失格だ」


 俯いて恥ずかしそうに笑う、女子大生。


「最初のバイトだったんですよ。今まで勉強ばっかりしてたから…… 向いてないのは分かってるけど、卒業しなきゃだし」


 「なら勉強に戻れ。働くのはいつでも出来る…… ハスマイラ、精算しろ」


「押忍…… 五人足×三万プラス深夜手当、危険手当…… 」


 ハスマイラは先ほど俺達のスマホを取り出した、ジュラルミンケースを開くと、輪ゴムで止めた現金を取り出した。


 万札だけでなく、海外紙幣も並んでる。


「流石に足りないッスね…… 申し訳ないけど、バック(米ドル)も混じるっスよ?」


「へ? へ?」


 エプロンのポケットに突っ込まれていく札束を、ずり落ちメガネで見下ろすだけの、ボブカット。


 「……俺達はプロの兵士だ。規定の料金以上は受けとらねえ」


 四〇〇万弱、エプロンポケットに突っ込まれたくりさか嬢は、ハナミズとヨダレを垂らしそうなアホ面で、立ち尽くす。


 我に返ると、悲鳴を上げた。


 「受け取れません!」


 「なら、チャンに返せ。俺達は君の依頼で、仕事をしただけだ」


 正論に足を縫い止められ、喉の奥で呻く、くりさか嬢。


 私は、四駆の後部座席に乗り込みながら、凍り付いている彼女に吐き捨てた。


 「あんなザマで金を稼ごうなんざ10年早い…… 父親の様になりたければ、しっかり勉強しろ」


 国道に合流する、サーフ。


 運転席の王が何か言おうとしたとき。


 道路に飛び出してきたくりさか嬢が、ルームミラーに映った。


 「勉強します!」


 遠ざかっていく彼女の姿が、叫ぶ。


「あたし、父みたいな立派な検察官になるんです!」


 俺は思わず、額を押さえて爆笑した。


 王と、ハスマイラ達もだ。

 

 大丈夫、くりさか嬢には見えてないだろう。

 バカにしてるって勘違いされちゃ敵わねえ。


 なんてこった。


 俺達は、図らずも天敵を一人増やす、手伝いをしたことになる。

 


 ひとしきり笑った後、王が言った。


「中国からの追加報告です。大人(ターレン)は、ホアンに、『一番手はオマエだ』って言ったらしいんですが……」


 私は顔を顰めた。良い気分が台無しだ。


 二番手以降も控えてんのかよ?


(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。


毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。


宜しくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ