表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
591/1091

疫病神と牡蠣フライ


《登場人物》


 林堂 凜


 主人公。 小6、男。

 幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。

 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。



五代珠乃


小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。

朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。



梁 健一 (リャン・ジェンイー)


日本名、橘 健一。リーファの父。


台湾人。民間軍事会社の社長で、梁財閥の長男。リーファを溺愛している




エディ・田中(五代)


五代珠乃の、血の繋がらない父。


犯罪組織、HAZEの創始者。


ヤクザ、中国マフィア、警察に追われていた。


梁家を付け狙い、その関連で、主人公たちと関連する人物を無差別に襲っていたが、現在は休戦中。


ジェーン

リーファの父の相棒。伝説の工作員。



香咲 ナディア=マフディー


小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。




梁 梨花 (リャン・リーファ)


小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。




ジャスミン・マーカス


アメリカ人。小5。女。


スマブラ団体戦・大阪大会、決勝の相手チームだった。


紆余曲折を経て、主人公が大好きになる。 



氷室 メグ



小5、女。女優志望。主人公と、市街戦をくぐり抜けた。主人公が好き。


オリガ・エレノワ(オーリャ)



日本で言う、小6、女。ロシア人。ナディアの実家のメイド。凜の五先の相手。バロチスタンで、彼女の命を救って以来、主人公の事が好き。

わずかな間だけ、主人公の彼女だった。ロシアへ帰国した。








吉田カナト(カナト)


五代の近所に住んでる、小4、男子。

大人しく、クラスでイジられている。


吉田由里


カナトの母。看護師。童顔。





 リビングのローテーブルから見えるベランダ。

 部屋から漏れる照明が、風に揺れる僕の体操服を、ぼんやりと照らしてる。


 鍋の煮立つ音、そこに放り込む具材を刻む音。


 ローテーブルの下で、足を伸ばしてくつろぐ僕。

 

 あー、やっと帰って来れた。

 精神的なガードが下げれる安心感と、ナワバリに帰って来た心強さよ。


 部屋の隅にある、大型テレビから流れる、関西ローカルのニュースから、母さんの背中に眼を向ける。


「今日の晩ご飯、何?」


「とん汁とかきフライ…… お客サンやし、チキンナゲットも、揚げよか」


「……だってさ。苦手なものあるか?」


 僕の右斜め前、お客サン用の箸の前で、正座してる青い顔が答えた。


 「あ、大丈夫デス…… 突然おじゃまして、本当に申し訳ないデス」


 金髪に縁取られた、いつもは白い顔がガチガチに緊張してる。


 なんでだ? こんなジャス子、初めて見るぞ。


「気にせんでエエ。引き留めたん、こっちなんやから」


 どこか元気の無い声で、刻んだネギを鍋に放り込む母さん。

 味噌と、揚げ物の匂いが、少し離れたこの場所まで漂ってきた。


 お腹空いたなあ。白ご飯だけでも食べようかなあ。


「母さん、冷蔵庫から漬け物だしていい?」


「もうちょい待ちなさい。そんな腹ペコなんやったら、いつ帰るかちゃんとLINEしーな」


「……スミマセン」


 消え入りそうなジャス子の声。

 マジへこみしてるぞ、コイツ。


 一瞬言葉に詰まってから、母さんがちょっと笑いながら言った。


「別にエエて。なんで家まで来んかったん? 凜に聞いたけど、昼過ぎから近所で待ってたんやろ」


 顔を真っ赤にすると、僕を睨み、口パクで僕をなじる下級生。

 え、なんかマズかった?


 あ、そっか。


 ジャス子自身が、散々家の前で待ち伏せされて、『そういうのキモい』から自分はやんないって言ってたもんな。

 でも…… 家の前で待ってたワケじゃないだろ、セーフじゃないの?

 

 困ったようにうつむくと、段違いの金髪が揺れた。

 ローテーブルの、ガラス越しに見える、そろえたヒザ。

 

 レギンスの上で握られた拳に、力が入るのが分かった。


 「何て言うか…… 勇気がなくって」


 鍋をかき混ぜながら、クスクス笑う母さん。珍しい。


 「なんか、前来た時とは、カンジがだいぶ違うやん?」


 一瞬の空白。


 「えええッ!?」


 それこそ、生年月日でも当てられたみたいに、腰を浮かせて声を上げるジャス子。

 ジャス子ほどじゃないにせよ、僕も驚いた。


 「き、気づいてたの……? ですか!?」


 母さんの笑い声が少しだけ大きくなる。

 バカにしてるとかじゃなくて、ホントに愉快そうだ。


 「当たり前やん。凜が歯磨きしてる間、鼻歌歌って、布団でバタバタしてたやろ?」


 真っ赤な顔を両手で覆って、死にそうな声を絞り出す、元疫病神。


 「……も、ヤダ…… メッチャ死にたい」

 

 母さんのセリフより、あんまりにもらしくない、ジャス子の態度の方がビックリだよ?

 コイツが、芝居なんてするわけないし……。


 

 


 そうそう、言い忘れてたけど、階段で座り込んだまま、その…… 抱き合ってるときに、ドアが開いたんだよね。

 音の近さで、ぼくんちの玄関だって分かったから、慌てて二人とも離れたんだけど……。


 外階段への扉を開けて声を掛けてきたのは、やっぱり母さんだった。


「凜、おんのか?」


 顔を引きつらせたジャス子が、慌てて踊り場まで下りると、下に向かって頭を下げた。

 そのまま、けげんな顔した母さんのいる踊り場までかけ下り、目の前に立つと、直角まで頭を下げる。


「お、お夕飯時に、突然訪ねてきてスミマセン! ジャスミン・マーカスって言います、五年生です。すぐ帰ります、スミマセンでした!」


 一気に言うと、うつむいたまま、母さんの言葉を待っていた。

 まるで、叱られるのを覚悟してるみたいに。


 しばらく、険しい顔でジャス子を見ていた母さん。


 母さん、お世辞と、子供らしくない振る舞いをすっごく嫌う。


 でも。


 ふっと、表情を緩めた。

 ただ、緊張してるだけだって分かってくれたのかな?


「エエて。すぐ帰らんでも…… 父ちゃんまだやし、お夕飯食べてくか?」


「エッ?」


 弾かれたように顔を上げ、母さんと僕の顔を見くらべる。

 その表情の頼りないことよ。

 途方にくれてるって言葉が、ピッタリハマる。


 こんなジャス子、初めて見た。


 僕はジャス子に向かって、軽くうなずいた。

 ヘンに遠慮しない方がイイ、って意味だけど……。

 伝わったみたいだ。


 うわずった声で返事する、青い顔。


「じゃ、じゃあ、是非…… よろしくお願いしマス」




 んで、今に至る。


 母さんは、小皿で鍋の味見をしながら、優しい声で言った。


 「その時は、誰か分からんかったけど…… ミントの匂いで、あの時のコって分かったワ」


 ジャス子が顔を覆ったまま、消え入りそうな声で言った。


 「日曜の朝に…… ホント、スミマセンでした」


 「エエて」


 え、今日の母さん、優しくね?


 さっきから『エエて』ばっかり言ってるぞ?


 ……まあ、母さんが優しいときは落ち込んでる時だ。


 『八つ当たりしたら、余計落ち込むことになるから、絶対すんな』


 が、口グセだからなあ。

 なんだろ、ドアラ関連でグッズでもゲットしそこねたのかな?


 でも。

 次の言葉で、それだけじゃないって分かった。


「ジャスミンちゃん、その時こうも言うてたやろ? 『凜のママに、会ってみたかったけど、日曜の朝に非常識だし』って。へえ、しっかりしてるわって、印象に残ってたんよ」






(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。


毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。


宜しくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ