アホじゃん
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。
幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。
任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
五代珠乃
小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。
朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
梁 梨花リャン・リーファ
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。
吉田カナト(カナト)
五代の近所に住んでる、小4、男子。
大人しく、クラスでイジられている。
吉田由里
カナトの母。看護師。童顔。
プロの格闘家みたいに柔軟な回し蹴りが、リーファの側頭部めがけ、蛇のように襲いかかる。
疾い!
けど、ほぼ不意打ちのキックを、すぐに立ち直ったリーファが、のけぞってかわす。
五代の右脚が走り抜けたのは、リーファの残像だった。
広めの廊下、巻き起こした風が、相棒の斜め後ろにいる、僕のとこまで、五代とリーファの匂いを運ぶ。
反り返ったバネを使い、鷹の様に五代の軸足へダイブ。
その、リーファの顔が弾けた。
二、三歩たたらを踏んでから、距離を取る相棒。
五代の振り抜いた足が空中で戻って、ツバメ返し。
リーファ、足の裏でビンタされたんだ。
「ワオ…… 足クセの悪さ、アンタと同じだよ、十勝平野?」
「え、テコンドー? こっから見えないって! ねえね!?」
無感動なメグの声、廊下の離れた場所で、ネットを揺するジャス子の叫び。
一本足で、右脚を抱え上げたまま、五代が煽る。
凄いバランス感覚だ。
「どした、橘ァ? そんなもンか?」
リーファがゆっくり首を左右に倒す。
「……くっちゃべってるヒマがあったら、蹴りゃいいじゃん。足、一本しかないのかよ?」
ブチ切れた声で、呪いを吐いた。
「惜しかったネェ、HAZE? 余裕カマしたこと、地獄で後悔させてやんよ」
五代が足を下ろし、リーファの右手にはまった、ブラスナックルを冷めた目で見た。
「やめろ、オマエラ!」
僕はここに来て、やっと声を上げることが出来た。
いいながらも、一発入れられてるリーファが、これで済ます訳ないって分かってる。
「はいはーい、ちょっとストップでーす」
ちょうど、二人の間あたりに立ってたメグが、トコトコ、割って入る。
「退いとけ、裁ちバサミィ! オマエは後じゃ!」
「メグ、どけ! 流れ弾喰らうよ!」
「言われなくても、退きますよ、バカバカしい……んしょっ、と」
メグが行儀悪く、床に並べられた、刺身包丁や、鉄の箸を足で僕の方に寄せた。
「凜、これ片付けてくださいな? 後、その右手のヤツ、ジャマでしょ…… ん」
リーファはギロリとメグを睨んでから、舌打ち。
差し出されたメグの手に、外した凶器をのせる。
そうだ、プライドの高いリーファが決闘で、素手の相手に武器を使うわけがない。
そいつをジャス子のいる方に滑らせ、遠ざけてから、
「はーい、通りますよ-。それも片付けますから。そしたら、存分にどうぞ-」
五代の横を通り過ぎ、後ろに並んだ、凶器を回収に向かう。
僕は、言葉を選んで言った。
「なあ、ちょっと待てって。肝心の親同士、手打ちが済んでるって言ったよな? まず、話を聞いてみようぜ?」
廊下の向こう、ネット越しにジャス子が叫ぶ。
「ねえね、五代さん! その後でも、遅くないだろ…… ナニ煽ってんだ、昭和女! マジモンのヤリ合いになる未来しか見えねえだろがッ!」
「だから、物騒な道具、没収して回ってんでしょ…… 五代さん、今日の事、誰かに言った?」
「言うたら、止められるやろがい」
武器を拾いながら、背中で返事する、雪女。
「よかった。周りの人、まともなんですね」
「……イヤミにしか聞こえんわ」
「もういいかい? 構えなよ。アタシは不意打ちしなくても勝てるしさ?」
「裁ちバサミ、背中に回られると気が散る。はよ、退け」
僕は叫んだ。
「おい、無視かよ!?」
「このまま、終われる訳ないだろ? 学校上がる前から、どんな生活送って来たか、知ってるオマエが言うんかよ?」
僕は唇を噛む。黙らざるをえない。
「え、そうなんですか?」
メグの意外そうな声。
「本国で狙われたから、母さんの母国に来たんだ…… そして、コイツは、身内を殺されてる」
リーファは、左拳でアゴの両側を交互に押し、ストレッチ。
両手を高く掲げてから、気合いを入れ、ムエタイのアップライトスタイルを取った。
五代は半身になって、わずかに腰を落とす。
「引く訳ないだろ…… 行くよ!」
「来いやァ!」
メグはぐりんと目玉を回すと、呆れたように、てくてく廊下の端を戻って来た。
「アホじゃん、この二人」
リーファが左ローキックをトバす。
左半身のまま、バックステップですかす、五代。
……僕は相棒をよく知ってる。
思った通り、蹴り足を戻さず、五代のすぐそばの床を踏む……と同時に、深くヒザを曲げて、体が沈んだ。
流れるような、タックルで、五代の両足を刈りに突っ込む。
……素人に、タックルは切れない。
そして、五代は素人じゃなかった。
右手を伸ばし、リーファの額を激しく右掌で叩きながら、両足を手の届かない所まで引く。
ウソだろ!?
……タックルをかわされ、隙だらけのリーファ。
五代はそのまま、髪の毛を掴むと、左膝を鼻っ面にたたき込んだ。
バチィン、と肉を打つ音が響き、こちらから見える、相棒の後頭部が揺れる。
「リーファ!?」
掌で受け止めたヒザの陰からのぞく、リーファの眼を見たのか、五代の顔に動揺が走った。
「可惜」
呟くや、その足をホールド、五代を一気にリフトした。
(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。
毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。
宜しくお願いします!





