ねーねー、五代さん、最近、調子乗ってるよね?
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。
幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。
任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
五代珠乃
小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。
朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
梁 梨花リャン・リーファ
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。
吉田カナト(カナト)
五代の近所に住んでる、小4、男子。
大人しく、クラスでイジられている。
吉田由里
カナトの母。看護師。童顔。
翌日。
大雨が通り過ぎた、日曜日の昼前。
僕は又、自転車で五代の店に向かっていた。
昨日、帰ってから送った、僕の『大丈夫か?』のLINEに対して、ニ時間後、やっと来た返信。
『明日、11時過ぎに来てくれ。渡したいもんがある。ムリなら、明日から来たらアカン…… ホンマにゴメン』
僕は、赤に変わった信号を見ながら、それを思い出し、ため息をつく。
んだよ、ソレ。選択肢ねーじゃんか。
国道を横切る横断歩道、横切って行く人たち。
当たり前だけど、昨日のコトと今日の事が気がかりで、よく眠れなかった僕を、心配してくれる人は一人もいない。
頭が重いし、気も重い。
なんで、五代があんな事を言い出したのか、何度あの場面を脳内再生しても、全く分からなかった。
僕が『ナイ』って言ったことがきっかけなのは、分かってる。
でも、そこからがどうしても、分からない。
そもそも、僕のことを『女の敵』『ナイ』って言ってたのは、五代の方だ。
リーファや、ナディア達と、仲良くなる資格がない?
全く分からない。
橘さんと、五代さんは親同士、知り合い。
そして、元々僕がこうやってシュリに通うようになったのは、タイジが鉄パイプで僕を襲ってきたところを、五代が救ってくれて、手首をケガしたからだ。
そもそも、タイジはナディアを襲うつもりで、待ち伏せしてた。
五代は結果的に、ナディアを救ったことにもなる。
そして、ナディアは、メグを救ったから、タイジ達に狙われた。
もし、五代が僕を救わなかったら、僕は多分死んでいた。
ナディアは、僕が助かったとき、はっきりと言ってた。
『ウチのせいで、凛になんかあったら、黙って死ぬもん』
……きっと、メグも同じだろう。考えたくないことだけど。
もし、僕と五代があの場にいなくて。
ナディアがタイジに鉄パイプで襲われ、殺されてても。
メグは立ち直れなかったろう。
つまり、五代は僕と、ナディアと、メグを直接救った事になる。
ジャス子もまた、やきもちで僕を蹴り殺しかけたとき、五代がさりげなくかばって、敬語を使われるまでになったんだ。
やっぱり、どう考えても『仲良くなる資格がない』の意味が分からない。
ぼんやり、そんな事を考えてたら、歩行者用の信号が点滅に変わってて、僕はあわてて自転車を発進させた。
カナトの家の前を通り過ぎる。
角を曲がったら、五代の店だ。
曲がった途端、僕は急ブレーキを掛け、スピンターン。
タイヤの溝がほとんど無くなってたのが、ラッキーだった、百八十度転回すると、全体重をペダルに掛け、逃走に移る。
軽い複数の足音が迫り、二秒で僕の命をかけた脱出劇は終了した。
ビー玉の様な眼で、群がるゾンビの如く荷台を掴んでる、ジャス子とメグ。
少し離れた、五代の店の前には、リーファ、そして、いつもの護衛と……。
「なんで、ナディアまでいるんだよっ!?」
「……なんじゃ、凜。ウチがおったら、なーんかマズいんけ?」
横目の半目で僕に冷たい視線を送る、ハーフパキスタン。
いや、メグとジャス子の眼も感情がないし!
ナニ、五代にハメられたの、僕!?
「遅いワ、相棒」
……店の前で、腕を組んで難しい顔をしてる、ジャージ姿のリーファ。
よく見たら、みんな軽装だ。
ナディアはTシャツに秋物の上着、スパッツにスニーカー。
ジャス子とメグもほぼ同じだ。
「……オマエラも、五代に呼ばれたの?」
リーファ以外の眼が険しくなって、大事なトコが縮み上がった。
コエエ! 南米のスラムに誘導された気分さ!
答えてくれたのは、雪女。
コイツの不思議な香りをかぐのは久しぶりだけど、横に並んで、自転車に手を掛けてる、ジャス子のミントと混じってる。どっちにしても、いい匂いだけど。
「LINEのグルで、リーファさんに言われたんですよう。『明日、朝十一時、イイモン見せるから、五代が店に来いってさ。じゃないと…… 凜に見せたり、入れられたりする事になる。後、カナトの事があるから、動き易いカッコで頼むワ、だって…… 最近、五代さんって、なんか調子に乗ってるよね?』って」
最後の下り、メッチャ、イジメの仲間を集う女子らしいよね?
真っ黒になった顔、白抜きの眼と口で嗤う、女子三人組。
「アタシの知り合いの知り合い、五代さんが合法ドラッグキメて、直立不動で地面に転がってたトコみたんだって……トーヨコで」
「しってますぅ。『オツカレサマデス! オツカレサマデス!』って連呼してたんでしょお?」
「マジか? ジャス子の知り合いの知り合いってトコが、たまらなくうさんくさいけんど、ウチは信じるけん!」
……うわぁ。
コイツラ、男らしいつっても、サスガ女子。
メッチャ『女子』な、陰湿攻撃も出来るのね?
リーファだけ、浮かない顔で、鍵の掛かった、引き戸を見つめてる。
僕は自転車をひいて、三人から離れ、リーファに近づいた。
「アタシら、呼んだ理由もわかんないし…… 凜、何か知ってる?」
「様子は変だった。僕も気になってる……あ」
ガチャリと、鍵の開く音。
会話をやめ、全員がそっちを見た。
わずかに開いた引き戸。
それだけ。姿は現さない。
五代の平坦な声だけが、扉の向こうから聞こえ、嫌な予感が高まる。
「よー来てくれた…… 入れや」
(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。
毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。
宜しくお願いします!





