謝れよ
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。
幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。
任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
五代珠乃
小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。
朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
梁 梨花リャン・リーファ
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。
吉田カナト(カナト)
五代の近所に住んでる、小4、男子。
大人しく、クラスでイジられている。
吉田由里
カナトの母。看護師。童顔。
午後三時前。図書館の駐輪所。
天気は快晴だけど、僕と五代の気分はサイアク。
心配そうに見ていた親子も、小学生の痴話ゲンカだって判断したのか、今はもういない。
五代が口にした『銃』って言葉は、聞き違いだと思ってくれたみたいだ。
そりゃそうだ、小学生が実銃を持ってるなんて、思うわけないもんな。
この図書館の自慢なのか、駐輪所にもプランターが所狭しと並べられ、よく見るけど、名前の知らない赤・白・ピンク、色とりどりの花が駐輪所を縁取っている。
……すごく悲しいのが、その花を背負ってるポニテの金縁眼鏡が、青い顔をしていることだ。
コイツには内緒だけど、橘さん経由で、五代さんにこの事、伝えようかどうか、迷ってる。
ペン型の隠しカメラで、あのデブの顔は撮影してるから、写真付きで、だ。
可能なら、締め上げて、盗撮してないか吐かせて欲しいところ。
証拠もないのに、そんな事すんな、って?
五代と司書さんの会話に聞き耳を立ててた時点で、アウトだっての。
俺が脅したときの、あわて方も異常だし、僕らが来た途端、寄ってきたんだ。
誰でもクロだって思うわ。
とりあえず、その事は後だ。
僕は声のトーンを落とし、安心させるために、あんまり自分でも信じて無いことを口にする。
「いいか、盗撮されたかも知れないって可能性だぞ? ……オマエが半分一人暮らしじゃなかったら、ココまで言わねえよ」
暑苦しい僕の顔に、風が吹き付け、花と五代の香りを運んできた。
五代のショックを受けてる顔が、ホントにキツい。
「前から、思ってたけど…… オマエ、自分の事、ホントは美人だって自覚してないだろ? 行動ががさつすぎるもん」
五代が、もっと傷付いた顔をした。
言ってる僕の、心も痛い。
でも。
こいつ、危うい。
ほぼ一人暮らしの小六女子が ――しかも、とびきりの美少女―― こんなカッコで出歩くなんて、不用心すぎる。
店でもだ。
「オマエ、店でもタンクトップに短パンだろ…… 自宅なんだぞ、図書館よりマズいだろ? 今まで、トラブルなかったか? あれだけ過保護な五代さんが、許してる意味、ワカラン」
「うっさいわ!」
五代がやっと声を張り上げた。
金縁眼鏡を外した赤い顔、目がつり上がって、マジ切れしてる。
イイヨー、イイヨー……
黙って震えてるより、そっちの方が、ずっとマシだっての。
「オマエは、オレのオトンか!? 大きなお世話なんじゃ!」
「まだ、凝りねえのかよ!? 友達、仲間、従業員……呼び名は何でもいい、放っとけるかよ!」
「じゃかあしい!」
次の一言で、俺はキレた。
「どっちみち、オレみたいな傷モンの不良品…… どうなってもエエんじゃ!」
次の瞬間、五代の顔が派手に弾けた。
たたらを踏む、白い顔。
平手を振り抜いた、姿勢のままのオレを、信じられない眼で見る。
「謝れ」
チクショウ、泣きそうな声出すんじゃねえよ、俺。
「まず、俺に謝れ。次にユリさん、カナト……五代さんにもだ」
頬を押さえ、涙をあふれさす、キレイな小六女子。
せっかく、イイ朝だったのに…… 何もかも無茶苦茶だ。
視界がぼやける。
なんで、オマエはそうなんだ?
「チクショウ…… 俺、本気で心配してんのに…… イチバンに謝りやがれ」
我ながらの情けない声。
「なんで、オマエはそうなんだよ?
鉄パイプで襲われたとき、俺の命を助けてくれたよな?
オマエの店…… 手伝いに行ってるだろ?
昨日、俺のために、母さん説得してくれたじゃねえか?
なあ……」
俺はみっともなく、声を振り絞った。
「みんなが、オマエの事を好きだって…… なんで認められねえんだよ?」
「オレが、イチバンそうしたいんじゃあ!」
五代の絶叫。
背後がざわついてるのに気づいて振り返ると、軽い人だかり。みんな大人だ。
その中に、さっきいた司書のおばさんも混じってた。
スマホを構えてるヤツも、ニヤニヤしているヤツもいない。
ただ、ただ、不安で心配そうだ。
顔を赤くした五代は、ハンドルに手を掛け、
「木元さん、ゴメン」
目を伏せ、ペダルに片足をかけたまま、何度か地面を蹴ると、一目散に走り去った。
呆然と見送っていた僕だけど、ハッとして大人の人たちに頭を下げた。
「あの、お騒がせしました」
追いかけろ、追いかけなさい
口々に言われ、慌てて、カゴに重い本をのせて出発しようとしたところで、司書のおばさんに止められた。
「……あなた、タマちゃんの親戚?」
一〇分後。
僕は来た道を引き返して、五代の店に向かう。
全速力?
ちがうんだ。
さっき司書の木元さんから聞いた内容が、頭をずっとぐるぐる回って、歩道を歩いてる人にワリオ・アタックしそうになった。
『………どこまで話していいものかしら? 寂しがりやなコでねえ。
あの子のご両親の事は知ってる? 知らない? じゃあ、話せないわね……
今のお父さんに引き取られるまでは、毎日図書館に来てて…… ね 学校でも、上手くいってなかったみたいだったから』
(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。
毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。
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