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ラン ランララ ランランラン


《登場人物》


 林堂 凜


 主人公。 小6、男。

 幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。

 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。



五代珠乃


小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。

朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。


香咲 ナディア=マフディー


小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。




梁 梨花リャン・リーファ 


小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。


 

吉田カナト(カナト)


五代の近所に住んでる、小4、男子。

大人しく、クラスでイジられている。


吉田由里


カナトの母。看護師。童顔。


「それと……」


 五代は改めて背筋を伸ばし、提げてきたクーラーボックスの横で、フローリングに手を付いた。


「林堂、パンダにしたんはオレや。すみません」


 ユリさんの隣で、黒髪をさらさらと床に流しながら、頭を下げる五代。


 所作がホントにキレイで、土下座してるのにミジメさが全くない


 僕もその後で、ひざ立ちになり、あわてて言った。


「あ、オレも悪かったから、マジで」


 相棒相手に、あんな事してたもんなあ、カナトの家で。

 まあ、リーファにハメられたトコあるけど。


「んなもんわかっとるわ…… タマちゃん、それでも、暴力はアカン。乱暴な子は、ウチに入れへんで?」


「うん、もうせーへん……ゴメン」


 頭を下げたまま、ビックリするほど素直な返事をする五代。


 子供みたいだ。


 父ちゃんが呆れたように言った。


「凜、オマエ、かわすとか受けるとかでけんか? 何の為に修行させてん?」


……いや、そうしないと治まらないトコあるんだって。


 僕が口をへの字にしてると、ユリさんが、思い出したように顔を上げ、ヒザでにじり寄る。


「修行で思い出しました! そうです、ウチのムスコ、凜くんと橘さんのおかげで、いじめられなくなったんです!」


 父ちゃんが、愉快そうに手を叩く。


「ホンマですか!? 凜、ようやったやんけ」


「ホンマに……ウチもタマちゃんも、ずっと、ずっとしんどかったんです……どんだけお礼言うても足りません」


 ハンカチを口元に当てて、涙ぐむユリさん。こう言うのみてると、ホント、『お母さん』なんだけど。


 父さんが、わくわくしたように聞いてくる。


「どんなカンジやねん、凜?」


「完全に心がひっくり返った。近いうちにナマさないと、マズいレベル」


 大ウケした父ちゃんが、爆笑する。


「確か、4日くらいしか経ってへんやろ? スゴいやんけ。爆発するきっかけ待ってただけやな、ソレ」


 父ちゃんが、少し困った笑顔でユリさんに言った。


「……吉田さん、これからタイヘンやで? 反動で暴れ回るやろうけど、カナトくんに『前の方が良かった』とかゼッタイ言わんようにね?」


 ユリさんと、五代の両方が思わず笑う。


「お父ちゃん、それ、林堂と橘に、もう言われたワ。親子やなあ」


「当たり前やん、凜、俺のマネしとるねんし、リーファちゃん、教えたこと、ペイ・フォワードしてくれてるねんから」


 「あの映画メッチャ好き! 図書館で借りて観たワ」


 うれしそうに、両手を打ち鳴らす、五代の後ろ姿。


 父ちゃんのゴキゲンを取ってるとかじゃない。ホントに楽しそうだ。


 「なんで、知ってんねん……せっかく、ウンチクたれたかったのに」


 呆れたように笑う父ちゃん。


 ユリさんが、意を決したように正座し直した。


 来た。


「あのっ……本当に助かったんです。なんの見返りも求めへんで、正義感だけで、初対面のカナトを助けてくれて」


 母さん達が真顔になった。


 「どれだけ、有り難かったか……カナトも、凜くんみたいに育って欲しい。本気でそう思ってます」


 「……何ちゅうヒドい事を」「子供カワイないんか?」


 「二人とも言い過ぎじゃね!?」


 素早く天井に顔をそらした、五代と両親をスルー、ユリさんは核心に入る。


「それでですね……橘さんに、林堂くんの喜んでくれそうなモノを教えてもらって……プレゼントさせて頂いたんですが……よろしいでしょうか?」


「凜」


 ……だよな。


 母さんの一声で、僕はワンショルダーから。出来るだけゆっくり、マウスの箱を引っ張り出す。


 可能な限り、ノロノロと。


 だって……離れたくないんだもの!


 母さんの、さめた眼。


 「やっぱ、それか……」


 ヤメテ、そんな眼でこの子(マウス)を見ないでッ!


 お願いだから、お気持ちだけとか、言わんといて!


 「吉田さん、お気持ちだけ有り難く頂きます」


 「いやーっ!」


 父ちゃんが深刻な顔で呟いた。


 「やはりマウスに取り憑かれていたか……」


 「やめて、連れて行かないでッ!」


 ラン ランララ ランランラン


 「ちょっと王蟲に似とるな、確かに……」


 感心してねえで、助けろヨ、五代!?


 何だよ、期待した僕がバカだったのか!?


『隠してもどうせバレるし、ユリさんの立場、悪なるやろ? まあ、任せとけ』


 って言うから、信じたんだぞ!?


 僕はチラリと窓を見たけど、


「窓割ったら、スマホ解約するからな?」


 先読みした父ちゃんに釘を刺される。


 チクショウ、この六階からマウスを抱いたままダイブ、車の屋根でクッションを取って、リーファんトコまで逃げようと思ってたのに!


 何、死ぬ?


 そんなの、やってみなきゃワカンナイだろ!


 大体、ケガは治るけど、マウスは返したら、無くなっちゃうんだぞ?


 どのみち、コイツとお別れするくらいなら、死んだ方がマシだ!

 

 「いえ、どうか……」


 「吉田さん。凜に、この先、高価なお礼を期待して、何かをやるような子になって欲しく無いんです。代価をもらったら、仕事になってまいます」


 僕が絶望して、むせび泣きそうになった瞬間。


 五代が想像もしてなかった事を言った。


 「お母ちゃん、ソレ、オレもお金出してんねん」


 ユリさんがすかさず言った。


「私らからの気持ちなんです。価格の問題やありません」


 いや、それ、逆効果。


 一層、厳しくなった顔で、母さんが言った。


「いや、値段が問題です。タマちゃん、お金出したって、余計アカンわ。大体……」


 五代の後ろ姿は動じない。


「ゴメン。正確には、『店』からや。LINEでも言うたやろ? こいつ、よー『仕事』してくれたで?」


 

 あ。

 


 僕は頭が空白になった。


 母さんが、さっき言ったセリフ。

 


『代価をもらったら、仕事になってまいます』


 


 誰かが返事をする前に、立ち上がる五代。


「お母ちゃんら、ごはんマダやろ? 食材持ってきたから、台所貸してーな……」


 大型クーラーを提げたその後ろ姿の、勇ましさ。


 微かに振り向いた店長は、ほぼ、背中で言った。

 


「手伝え、店員……使えるようになったトコ、見せたらんかい」




(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。


毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。


宜しくお願いします!


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