表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
497/1110

5足す1は、5


《登場人物》


 林堂 凜


 主人公。 小6、男。

 幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。

 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。



五代珠乃


小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。

朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。


香咲 ナディア=マフディー


小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。




梁 梨花リャン・リーファ 


小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。


 

吉田カナト(カナト)


五代の近所に住んでる、小4、男子。

大人しく、クラスでイジられている。


吉田由里


カナトの母。看護師。童顔。



 『ホラ、また上からファイア、ガードしたとこ……つかみだよ! なんで、何度もかかるんだよ、ボク? 死ね!』


 ……その後、下投げから、サマーソルト、サマーソルト、トドメのホッホー(アッパー)


 スマブラ、オンラインの低レベル帯、みんなやることいっしょだから、見なくてもワカル。

 

 

僕の手首を、優しくさすり続ける五代に言った。


「カナトの事……なんか、スマン。確かに、知らん生き物だな、アレ」


「返事に困る事、言いなや……」


 力なく呟く、五代。手は放してくれない。


 くすぐったいんだけどなあ。


 にょき、と扉から、出てきた五代のiphone。

口を開く前に、僕の顔をパシャリ。すぐに引っ込むその手。


「……おい」


「怒んな。すぐ、消す。オレが顔見られたくないだけ……」


 慌ただしく、立ち上がる気配。


「顔、超・腫れとるやんけ! 動くなよ、林堂?」


 畳の上を駆ける音、冷蔵庫の開く、おなじみのサウンドを聞いて驚く。


「おま、部屋に冷蔵庫あんの?」


 遠ざかって、また近づいてくる五代の声。


 「籠もれるようになっとるからの。シャワーもあんぞ?」


 「えー、いいなあ。一人暮らし出来そうじゃん。僕の部屋もそうだったら……」


 あわてて、元のポジションに戻って来た五代が、ドアの隙間から保冷剤を突き出しながら言った。


「いや、ほぼ一人暮らしやしな? そんなんエエから当てとけ」


 僕は一気に体が重くなった。


 また、やらかした。今それ関連でユリさんとバトったとこじゃんかよ。


「……ワリ」


「エエて。それより、オマエんち、謝りに行かにゃ。ユリさんも……」


「エエワ、いつものコトだしな。相棒も今、同じコト言ってるだろ、ユリさんに。それに、そんなことしたら、母さん暴力嫌いだから、オマエを殴ろうとした事の方で、メッチャ叱られるぞ、ユリさん」


 無言の五代。手探りで僕の顔を見つけ、保冷剤を当ててる手を上から押さえた。

 


『んもー、今度はピンクのゴリラかよ!? ゼッタイ煽って来るヤツじゃん!』



 あー、あのカラーのドンキー、マッチングしたときの緊張感ハンパないんだよなあ。



「いや、無関係のオマエラ巻きこんで、ケガさせたんやぞ? 『いつものコトだし』で……」


 僕は、イラッとして言った。


「『ムカンケイ』の五文字いらんワ。 そう言うトコだぞ、ユリさん怒らせたのも……言葉選べよ」


「……せやかて」


「おま、『チョーセンが』って言われて、キレてただろ? 自分だけは、何言ってもいいのかよ? あの後、ユリさん土下座しようとしてたんだぞ。誰得なの、コレ?」


 五代の声が震え始める。


「オマエが……殴られ損やんけ……」


 ……そういえば、そうな?


「あ? わざとだよ。ああしねえと治まんねーだろが……まあ、予想の三倍くらい効いたけどなって……」


 ドアが開いたと思ったら、もう一方の手で目隠しされた。冷たくて柔らかい、手。


「何すんだよ……おい?」


 そのまま、引き寄せられ、そっと仰向けに倒される。

 後頭部の終着点が、五代の柔らかい太ももだって感触で分かった僕は、軽くパニック。


「お、おい!?」


「勘違いすんな、ドアホウ。口あけてみ……眼は開けんなよ」


 遠慮無く、口に指を引っかけ頬の内側をのぞき込む気配。


「犬歯で切ったんか……ゴメンな。ユリさんやなくて、オレが謝るべきやったんや」


 しおらしい呟きに混じって、パリパリとおむすびの包装を開ける音。


 保冷剤は、僕の頬に当てたまま。

 


 『やってない! やってないって! もー、GEOで売り飛ばしてやる、このクソゲー!』

 


 いや、カナト。気持ちメッチャわかるけど、リーファのだぞ、ソレ(スマブラ)



「そこのツナマヨが橘で、最初にころりんした昆布が、オマエのやろ?」


「……なんで分かったの?」


「オマエ自分の分、先にやりそうやしな」


「……そうなのかな。あんま考えてなかった」


 唇をかさかさしたモノがくすぐる。おにぎりのノリだ。


「ほれ、かじってみ」


「いや、口の中」


「坊や、ワタシのおむすびが食べれないっていうの? レディの扱い方、ママに教えてもらいなさい?」


「ベヨおばさんがそう言うなら、是非もありませぬ……頂きます」


 スマブラに出てくる、女王様キャラのセリフに促され(五代、何で知ってんだ?)僕は目を瞑ったまま、一口かじる。


 ちゃんとセロファンで仕切られてたから、ノリがパリパリしてて、うまい。


「これは……! まったりとしていながら、しつこくなく、エッジが効いててむしろウマイ!」


「マジか…… 確かに! 天使のヴェールのような歯ごたえが、二丁目のおっさんみたいに気さくなヴァイブをまとっとるし、ヴェルヴェットカラーの包装が魅惑的だから、お子様のおやつにはピッタリかも知れません!」


「ヴ、多くね? オマエよくそんなけ、口回るよな?」


「口って言えば、口元、昆布ついとるワ……ん、とれた」


「え、オマエ、今、スカートで拭いた? 血ついたら、とれねーぞ?」


「どうせ、汗臭い、オマエの頭のせとるし、念入りに洗濯するからエーワ」


「うわ、カンジわりィ……相棒もスカートで拭いてたけど、とれんのかな?」


「……다른 여자의 이야기를하지 마라」


 不満そうな低い声。


「いや、突然、文化語(北朝鮮語)やめれ?」


「……韓国語って言わんねんな。驚いた」


「ガッコで厳しくしつけられてマスから。出身が分かってる時は、そっちで呼ぶし、分かんないときは、コリアン(朝鮮語)って言う」



『ピカチュウ死ね-! あああ、このゲームのせいで、今まで好きだったマリオとか、超嫌いになってく! 特に、ヨッシ-!」


 それな。



 五代がぽつりと言った。


「……ブロンド、橘、広島、裁ちばさみ女に、昔の女」


「何、急に? 思い出したくないヤツ混じってるし、ヤメテ?」


 五代は、魂が抜けた様な声で言った。


「5足す1は……5」


「……ハ?」


 五代の虚ろな声が、閉じた目の上から降ってくる。


 意味は全く分からない。


 でも。


 五代の素顔に、初めて触れた様な気がした。

 


「実体のないオバケやから……1にはなれん……一生」



 


(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。


毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。


宜しくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ