ブチキレ暴力女子のソムリエと、大きなお友達・専用ザク
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。
幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。
任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
五代珠乃
小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。
朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
梁 梨花リャン・リーファ
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。
吉田カナト(カナト)
五代の近所に住んでる、小4、男子。
大人しく、クラスでイジられている。
吉田由里
カナトの母。看護師。童顔。
リーファは僕の上から、一瞬で身を翻すと、ベッドに向かって飛ぶ。
え、ノーパンの後ろ姿、全力鑑賞したかって?
んな余裕あるか、「なんでこの部屋やねん!」って激おこボイスが、廊下中に響き渡ってんじゃん!
僕は、三角座りしてコカンを隠し、間接照明のスタンドを立てるのに精一杯。なんか、運動会で、かけっこ終わって、旗をもってるみたいだな。
そんな事を思っていると、かなりの勢いで、ドアが開けられた。
立ってたのは、肩で息をしてるかぐや姫カット。
よそ行きなのか、チェックのスカートに長袖のカットソー。
露出少なめ、金縁眼鏡のお嬢様スタイルだ。
そのハンターのような視線が、まず向けられたのはベッド。
シーツから突きだした、リーファの後頭部。
寝たふりしてるけど、頭部に装着されたネコミミカチューシャと、布団に転がってるエッチなサイコロが全てを台無しにしてる。
うわ、五代、眼も眉もつり上がってんじゃん!
ところで、なんで怒ってる? いつものオマエなら、爆笑してるトコだよな?
ひっ、こっち見た……。
コェェ!
店長の顔どんどん、真っ赤になってくぅ!
え、こんなキレ方してる五代、見たことないぞ?
なんか、コイツが今までキレたのは、バカにされて逆上した時ばっかで……。
今回、チガウ!
うん、ブチキレ暴力女子のソムリエやってる僕だからワカル!
なんだろ、女子特有のイイ匂いに混じって、陰湿なうわぐつ画鋲攻撃を、鉄の味でソテーした様な理不尽な殺意……。
理不尽?
そうソレ!
僕がさんざか味わってきた、女子によるDVを一言で、表現した言葉!
ん? ソレって……。
金縁眼鏡が、カーペットの上でウィンクしてる、リーファのパンツと眼があった。
狂気を帯びる眼。
あ、終わったワ。
次の瞬間、地面を揺るがし、踏み込まれる五代の左足。
「カナトの家で、なにやっとんじゃ、ボケェェ!」
デスヨネー
腰の入った右ストレートを喰らいながらも、納得する僕。
火花が散って、意識が途切れた。
五分後。
ユリさん、リーファと僕、三人並んで正座させられ、昭和の鬼教師みたく、仁王立ちで説教する五代。
僕の左隣で気まずそうに首をすくめたカナトのママから、香水の香りがするけど、それどころじゃなかった。
打ち下ろしの右を喰らった、左目ンとこが痛い。ゼッタイパンダになってる。
手錠を外してくれたのだけが、唯一の救い。
救い、小さいな?
「なんじゃ、その『大きなお友達』専用ザクみたいなあざとい、カッコ? ……即死もんやのう、生まれてきて恥ずかしゅうないんかい?」
体にシーツを巻き付け、てるてる坊主になったリーファが、上から煽ってくる五代を、ギロッとニラミ上げる。負けた気がするがイヤなのか、ネコミミは外してない。
「割と、ぶっすり刺さったことを報告させていただきます」
五代の額に浮かぶ四つ辻。
急ににっこり笑うと、スマホを取り出し、清々しい笑顔で言った。
「素敵! 早速、広島とパツキン・アメリカに報告致しますわね? 月曜には、クラス公認のカップル!」
「……まあ、待ちなよ、五代さん? 何か欲しいモンとかない?」
急に軟化する相棒。
あり得ない、買収さえ持ちかけてる。
リーファのクールな白い顔、空調効いてるのに、脂汗がスゴい。
けど、ワカル。
こんな事クラスのヤツラにバレたら(含む担任教師)……
「悲しい事が起こって、先生は悲しいデス。
橘さんを、わりと遠い、隣町のドンキーホーテまで走らせた原因は何なのか?
明日は体育館に集合、学年集会を開いて、その辺りをねっぷり話し合いたいと思います。
長くなりますので、お弁当を持参。お菓子とジュースの持ち込みも許可します」
涙目で立ち上がる、佐竹。必死で笑いをこらえてしんみりさを演出してるクソ内にこう言うだろう。
「先生! こうなったセキニンは、二人を放置してた、私たちにもあると思うんです……
地下の生徒指導室で、宿泊する許可を下さい。一晩かけて、二人を水責めに……
げふんげふん、本心を聞き出すチャンスがほしいんです……アルコールは持ち込みません、お願いします!」
「は、早まるな、店長! 不登校が二人できあがるぞ! いいのか、良心は痛まないのかッ!」
あ、コイツいたんだ? みたいな顔で僕を見下ろす金縁眼鏡。
え、その冷え冷えな眼、なんですの?
カメムシの死体でも、もう少し優しい眼で見るんじゃね?
「なんや、おったんかい、見境なしのM男……手錠外して、悪かったのう、似合ってたのに」
……ヤダ、失礼しちゃう。
でも、怖くて言い返せませんでした。
一瞬、痛みをこらえる様に顔をしかめてから、言った。
「オマエ、正座やめてエエぞ」
「え、なんで!?」
リーファとの分断狙ってる?
僕、相棒には睨まれたけど、ユリさんは気まずそうに頷いた。
「まあ、コレ、明らか橘さん、林堂くんのコト、脅しとるもんねえ……」
カーペットに転がってる、手錠と銃を見ながら、言いにくそうに呟く。
「コカンはバッキバキやったけどな。九〇年代にこじらせた、五〇過ぎのヲタクが妄想するような、ベタなカッコで迫られたんや、この変態にも情状酌量の余地アリ……や。コカンはバッキバキやったけど」
二度言うほど、大事な事かしら、ソレ?
「……そう」
相棒が、正座したまま、眼を伏せ静かに呟く。
全員がそっちの方を向いた。
「コイツ、被害者なんだ? まあ、ハタ目そう見えても仕方ないか」
リーファがゆっくりと五代を見上げる。
そのあんまりにも、揺るぎない視線に、五代の眉が寄った。
ユリさんもだ。
ホントの地獄は、これからだった。
「昔々、あるところに七年間、『相棒』やってた女の子がいました……って、長くなるし、ヤメ。今日あった事だけ話せば、どんな関係か分かってもらえるワ」
(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。
毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。
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