火星人でごめん
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。
幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。
任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
五代珠乃
小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。
朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
梁 梨花リャン・リーファ
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。
吉田カナト(カナト)
五代の近所に住んでる、小4、男子。
大人しく、クラスでイジられている。
吉田由里
カナトの母。看護師。童顔。
僕のTシャツ越し、押しつけられてる裸の胸が熱を、肩に乗せられたアゴが、言葉を伝えてくる。
「なのにっ…… おっぱいみせろとか、揉ませろとか…… アタシにも少しくらい、何かくれたっていいじゃん……」
首筋を涙で濡らされ、熱かった。
僕の言うことを何でも聞いてくれるリーファ。
僕に助けが必要な時、いつでも駆けつけてくれる相棒。
少し、体温が冷えた。
コレ、もう相棒ってカンジじゃなくなってるけど……
まだ、相棒でいてくれるかな。
でも。
僕だって言い分がある。
「ごめん、リーファ……でもさ」
僕は、ゆっくり白い体を引きはがすと、鼻の頭が赤くなってる相棒に言った。
「オマエだって悪い。こんなコトされて我慢出来るヤツいるかよ」
意表を突かれたような表情の、涙顔。僕は大まじめな顔を崩さなかった。
リーファはすねたような上目遣い。舌足らずな声で言った。
「なによ、それって、誰でもいいんだ。りーじゃなくてもいいんでしょ」
あ、言い方、雑だったな。
「オマエにこんなコトされて、我慢出来るヤツいるかよ……だったワ」
頬を軽く膨らませて、そっぽむく顔。
涙を軽く拭ってやったけど、ゴキゲンは斜めなままだ。
「りー、だまされない。凜、口うまいもん」
僕は、ため息をついて笑った。
「オマエの事、二番目とか、言うわけないし…… まだ、一〇日くらいしかたってないのに、次とか、ムリだって」
一〇日。
たったそれだけしかたってないのか。
正直、色々ありすぎて、昔の事みたいに思える。
僕って、やっぱり冷たいんだろうか。
あんなに好きだった、オーリャとの事……もう、昔の事に思えるなんて。
元気なく、目を伏せる相棒。猫耳も心なしか、しおれてる。
僕は、そっと目にかかった、前髪を払ってやった。
何か……すがるみたいに僕の言葉を待ってる目。
「オマエに嘘つくわけないだろ? 今日は、素直でかわいい……」
「いつもは?」
喰い気味に甘えると、僕の頬にキス。
ちょっと驚いて、口を開こうとすると、
「ね、いつもは?」
また、同じ所に、キスする困り眉した相棒。
三回目は思わず、唇で迎え撃ってしまった。
驚いた顔。
僕もあわてて、顔を引く。
「ご、ごめん! あんまり可愛かったから……」
大きな花が開くみたいに笑顔になってく、同級生。
「うれしい……夢みたい」
涙が、頬を流れてくのを見て、僕は罪悪感に押しつぶされる。
「相棒なのに……」
リーファは、僕とおでこ同士くっつけて、囁く。
「なんでもいい。前より、好きになっちゃったもん」
今度は僕が押し倒された。
背中にベッドの柔らかい感触。お腹には、相棒の温かい重み。
ぼんやりと明かりを映す天井を見上げながら、何か納得できない僕。
「ね、相棒……ジャス子にも言ったけど、こんな風な結ばれ方ってダメだよ。後悔しかのこらない」
体をこわばらせるリーファ。
くっついた顔からの吐息でお腹が熱い。
せっかく、幸せそうに笑ってくれてるのに……ゴメン。
でも……言わなきゃ。
僕から、大事なヤツへの『正直』をとったら、何にも残らない。
「オマエ達が大事だから、言うんだ。リーファ、僕が眠れない時、そばでいっしょに眠ってくれたろ? ナディア、メグも……」
シーツとの間に差し込んだ腕、僕の背中に回した指が食い込む。
ちょっと痛かった。
僕も、相棒の背中をトントンしてた手を止め、言葉に力を込めた。
だって、大切な幼なじみだもん。
チチは揉んじゃったけど。
「今は、何にも答えられないけど…… これだけは言える」
背中に穴が開くんじゃないかってくらい、強く爪を立てるリーファ。
僕は、気にしなかった。僕の言ってる事、きっと理解してくれてる証拠だから。
「失くしたくないんだ。オマエを……アイツらも」
……必要な事、伝えられたかな?
激しくしゃくり上げる、リーファの背を優しく撫でながら、天井を見つめてぼんやり考えた。
……ずずっ
リーファが、僕のお腹の上を這い上がってくる。
ずずずっ
僕は、髪を撫でてやる。甘えたりないのかな?
僕はひとり、フフッと笑った。
いいよ。
たくさん、甘えさせてやる。
ずずずずっ
……気持ち、貞子っぽいな、動きが?
ん、壁ドンじゃなくて、ベッドどん? な体勢で上半身を起こすリーファ。
黒髪がすだれみたいに垂れ下がり、表情が見えない。
思わず、胸の方をチラ見してしまう。ちゃんとブラを付け直してて、ホッとした。
……ホントだって!
全く残念じゃない、わけじゃないけど。
僕は出来るだけ優しくほほえみかける。
大切な相棒に。
これからも、一緒にいたいリーファに。
そのまま、笑顔が永久凍結するとは思わんかった。
真上、陰になった顔から、年季の入った怨霊みたいな片眼が見下ろしてれば、お釈迦様でもチビるよね?
見つめ合う……っていうか、麻痺させられること、数秒。
永遠に思える時間の後、相棒の手が、いつでもそばに置いてる、僕のワンショルダーに伸びた。
ジッパーを下ろす音、地獄の番犬みたいなドスの利いた声を、為す術もなく聞く僕。
「つまりは、『後悔するような事した後に、ジャス子と同じ様な事があって、ナー、メグとも一緒に眠った』ワケだね?」
僕は、その言葉の意味を理解するのにしばらくかかった。
その間に、リーファの白い手が、僕のバッグからゆっくり抜かれる。
手には、鈍く光る、M36チーフ・スペシャル。
僕は答えない。
舌が痺れて、声がでないから。
リーファの充血した眼から、赤い涙が一筋流れる。
僕は、ぼんやりと死を意識した。
次の言葉、あまりに『デスヨネー』だったし。
「さんざか、吸って揉んで……最後は『失くしたくない……オマエ達を』って……思考回路、火星人かよ?」
(* .ˬ.)) 今日も、お付き合い頂き、ありがとうございます。
毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。
宜しくお願いします!





