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フィンランドへ熱波士留学する彼氏、それを支える夜の女


《登場人物》


 林堂 凜


 主人公。 小6、男。

 幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。

 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。



五代珠乃


小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。

朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。


香咲 ナディア=マフディー


小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。




梁 梨花リャン・リーファ 


小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。


 

吉田カナト(カナト)


五代の近所に住んでる、小4、男子。

大人しく、クラスでイジられている。





 僕は、突き上げてくる衝動に従って、テーブルに駆け寄る。


 リーファの『ヘッ、見事に釣れやがった』的な笑顔も今は気にならない。


 期待すんな、期待しちゃだめだ!


 そんな自分への警告も、手に取った箱の感覚に消し飛び、


「おお? うおお!」


 訳の分からない叫び声が漏れる。


 この重さ、包装紙の上からでも掌に刺さる、箱の角。


 ラノベの文庫本、三冊くらいの厚さ。


「ぼ、ぼきゅ、ぽろ!?」


「り、凜、怖いって……」


 モノも言わず、えんじ色のラッピングを剥がしにかかる。


 視界が赤く点滅する。


 僕はもう、ケダモノになっていた。


 引き裂かれた包装紙から現れた、黒ベースの箱には『4K』の青い文字。


 


 僕が世界一欲しくて


 だからこそあきらめてたゲーミングマウスが目の前に


 

 宇宙!


 「ほごぴほうううう!」


 視界一杯の宇宙!

 

 そしてビッグバン!


 オーイシマサヨシの『UNIVERSE』が頭の中で鳴り響き、僕は、なんどもジャンプ!


「アトランティス・ミニ! なんで、どうやって!?」


 海外モデルで、全然手に入んないんだぞ!?


 若干顔を引きつらせて、iPhoneで僕を撮ってたリーファが、ビビリながら答えた。


「ユリさんに、昨日聞かれたんだよ、『林堂くんが一番喜ぶモノ教えて?』って。アンタ、ずっとスマホでそれ眺めてぼやいてたじゃん……きゃっ」


 僕は、リーファに飛びつき、抱きしめてからお姫様だっこ。


 柔らかい体、いつもの匂い。


「でかした! さすが相棒!」


 レスリングで慣れたモンだけど、不意打ちだったから、リーファは真っ赤。


 それでも、iPhoneを投げ捨てると、僕の首に手を回して笑う。


「なんか、今の凜、Switch約束したときの、カナトみたいだったぞ?」


「あー、こんな気持ちだったんだな、アイツ! メッチャワカル、そりゃ、ケツにボールぶち込んででもGETしたくなるワ!」


 ひとしきり笑ってから、僕らは座り込んで、おでこをくっつける。


「ね、早く使ってみたいだろ? 私のパソコン運び込んどいたから、使ってみなよ?」


 僕は感激のあまり、相棒の頭をくしゃくしゃにしてから、赤くなってる頬を両手で挟んだ。


「おまえ、最高! なんて仕事の出来るヤツ……」

 


 


『ワタシ、ビジネス、失敗シナイヨ?』



 


 金髪の青い眼が、一瞬頭をよぎる。


 相棒は、僕のどんな小さな変化も見逃さない。


 まして、彼女(オリガ)は嵐の中心にいたんだ。


 リーファの眼に浮かんだ動揺は、きっとぼくの鏡。



 それでも、次の瞬間にはムリに微笑んで言ってくれた。


「そうだよ? 何年オマエの世話してきたと思ってるのさ?」


 僕らのいつものやりとり。


 僕もすぐに立ち直って合わせた。


「うっせ。僕が何年オマエに世話されてきたと思ってんだ?」


 また、おでこをぶつけあって笑うことが出来た。


 システムキッチンに、テーブル。その下に敷かれたラグ。


 そこに放り出されたリーファのiPhoneを拾う。


「……動画撮ってたの、ユリさんに見せる用? なんか恥ずいな?」


 受け取ったリーファが録画を切りながら笑う。


「いいじゃん。高価な贈りものなんだから、ユリさんだって凜の反応見たいでしょ? それとも、言う?『コンナノモラエマセンヨー』って」


 僕は、五代ばりに恥じらいMAXで言った。


「ソンナコト、イエマセンヨー……だって、アタイたち(マウスと)出会っちゃったから」



 午後14時過ぎ。


 僕らは近所のスーパーに来ていた。


 相棒が、料理を作ってくれるって言うから、食材の調達だ。


「簡単なモノしか作れないけど」


 って言うリーファに、


「簡単なモノにしてくれ。短気なオマエが作るモン、いつもカタいか、生煮えか、だからな」


 って真顔で言ったら、ケツを蹴られた。


 野菜売り場は、いつ来ても寒い。


 カートを押しながら、僕は口を尖らす。 


 「だって、オマエ、電子レンジでチン、一分も待てないじゃん?」


 「うっさい! 今日のアタシに、昨日のパンツは履けないンダヨ!」


 「イヤ、履くなし?」


 ぷりぷり怒ってる横顔を見上げる。


 大きなスカート、皮のポシェット。


 言ったら、怒るかもだけど、地味を装うモデルみたいだ。


 台湾と日本のハーフ、スレンダーで切れ長の眼。


 中学生くらいにしか見えない、ショートカットの美少女。


 見れば見るほど、僕の隣を歩いてる理由がワカンナイ。


 けど。


 それ言い出したら、ナディア、メグにジャス子もタイプは違うけど、とびきりの美少女。


 オリガなんか、美女に近かったもんな。


 そばにいるってだけなら、五代もそうだし。


 もう最近は受け入れた。


 僕は美少女に縁がある。


 ただし、全員引くほど乱暴だけど。


「ね、凜」


「な、ナニ!?」


「……なんで身構えるんだよ?」


 いや、心を読まれたかと思ったんですよ!


 ここにいたのが、メグなら、もうぶん殴られてる。


 だが、今日の相棒は、愛すべきアホだった。


 頬を押さえて照れ照れしながら、うっとり目を閉じてる。

 


「私たち、その、新婚夫婦……はムリだけど、ワンチャン、同棲してるとか思われちゃうかな? ……駆け落ち


 した二人は、アパート暮らし。熱波士になるため、フィンランドに留学しようとする凜。ワタシは、費用を稼


 ぐために、水商売で似合わない服を着るの……ん? 熱波士、知んないの? サウナでタオルをパタパタする


 人……そうそう、アレ……

 

 いや、免許いるんだよ? シルバー人材が暇つぶしにバイトしてると思ったって……だから、例えじゃん。


 アンタ、なーんも将来のビジョンないから……レジ行きゃ、どう思われてるかワカルって……すみませーん、


 ショウガのチューブってどこですか?…… え、そうなんです……キレイって、おばさん、うまいんだから。


 ね、私とコイツ、並んだら…………弟……スカ」


 


 


 

評価、ブックマークなど、是非、よろしくお願いします。


(* .ˬ.))


(下にある星のマークです。また、『小説家になろう 勝手にランキング』の文字を押していただけたら、ランキングサイトの評価が上がりますので、ありがたいです)




毎日深夜0時過ぎ、週7更新を目標にしてます。


宜しくお願いします!


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