GCコンタップ(純正)の少女 3
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
梁 梨花リャン・リーファ
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。小学校は別。主人公が好き。
ジン
クラスメイト。男。クラスのリーダーで、優しい。
佐竹
クラスメイト。女。クラスのボス。
鈴香
ナディアの姉。高校生。
香咲 ヨシヒコ=マフディー
ナディアの父。パキスタン人。
お館様
ナディアの祖母。ヨシヒコの母。
オスマン
ナディアの叔父。
『ゲームセット!』
その後、1スト落とされたけど、勝つことができた。
二人とも無言。
気まずい。
「リンドウ」
「はい」
真剣な顔したお姉さんに、両頬を挟まれた。
「上手いな、スマブラ」
「……特技ほれだけなんひゅよ」
「……ふーん」
近い近い!
じーっと間近で眼をのぞき込まれる。
ぱっと手を離すと、モニターに向き直る。
「私、ドウダ?下手?」
「いや、上手いです、ビビリました。ただ、上スマあんまりパナさない……打ちまくらない方が」
「フンフン」
僕が実際にフォックスを使ったりしながら、アドバイスしているうちに、夕方になった。
夏が近くなり、窓から差し込む夕日が高くなって来たからわかんなかった。
「いけね、こんな時間だ」
「オナカすいたか?冷蔵庫に、マヨネーズあるけど」
「いや、今日習い事あるんです」
「?」
「えっと……」
「オッケー、何かあるのね。楽しかったし、私強くなった」
「ほんと、強くなりましたね。びっくりです」
SP始めた頃のナディアに近いくらい強くなってる。
どこから来たのかとか、色々聞きたいけど、時間がない。
「お礼にキスしたら、もう来なくなりそうだし……ワタシ暇だから毎日でも来てイイよ」
そう言って手を差し出してきた。
白くて細い手。
ぼくは、ちょっと緊張がぶり返して来たけど、フツーに握手した。
「僕も楽しかったです、またやりましょう」
翌日。
「oh、かかった!シネ!」
「やべ!」
また、モニカさんの部屋でスマブラしてる僕。
昨日レスリングで、リーファに、
「……知らない女の匂いがする」
と、ジト目で言われ、
「母さんが洗濯洗剤変えたんだろ、多分」
ってとっさに言えたのは、修羅場をくぐって来たおかげだろう。
モニカさんフォックスのハメ技に大分削られた僕は、距離を取るふりをして、追っかけてきたところに、村人の横スマッシュを合わせた。
「ノおおおウ!」
構えているボーリング玉に突っ込んで来て、ゲームセット。
「あー、もう、ファック!」
「……はしたないですよ」
「ファーック! ……ブレイクしよう。マヨネーズいる?」
好きなのかな、マヨネーズ。
「いや、何につけるんですか?」
動きをピタリと止めると、ツチノコを見つけたような目で僕を見た。
「……なんだと? 逆にマヨネーズ無しで食べれるものなんかあるの?」
「えぇ……」
友達の何人かはご飯にマヨネーズをかけて食べるらしいけど、僕はムリ。
「そうだ、モニカさんどこから来たんですか?」
「ロシア」
短い返事を聞いて、うるさく聞かないほうがよさそうだと思ったので、どうでもいいことを聞いた。
「ロシアってマヨネーズいっぱい使うんですか……うわっ」
僕の肩をガッシリ掴むと、
「よく言った、リンドウ! 母なるロシアとマヨネーズは同じ意味ね!」
僕の目を見つめたまま、マヨネーズの歴史と素晴らしさを語り始めたモニカさんを、呆然と見つめること2分。
「よし!リンドウにはロシア料理、マヨネーズ入りドシラクをゴチソーする。買いに行くぞ!」
そこからなんだ?
「よし、食え!」
ぼくは湯気をたてるカップラーメンを見つめた。
ツッコミ待ちかもしれない、一応言おう。
「ロシア料理って……カップヌードルじゃないすか」
「何言ってる!刻んだウィンナーとマヨネーズを入れたら、それは、タダのドシラクじゃない、イート!」
お腹は空いてるけど、ところどころ白くマダラになったスープに、雑に切ったウィンナーが、顔を出している。
何かのイヤガラセか?
いや、モニカさんはたまらなく本気っぽい。
期待に満ちた眼が、瞬きもせず僕をみている。
なんてこった、今日は階段であった途端、挨拶抜きで腕を掴まれて連行されたんだ。明日からはエレベーター使おう。
「いただきます」
覚悟を決めて、割り箸を口に運んだ。
……あれ?
「……うまい」
味は濃いけど、何かが不快とかいう味じゃない。
「そうだろう! ん〜、ハラショー!」
天にも登るような表情でカップヌードルを貪り始めるモニカさん。
思わず笑ってしまった。
「イート!まだ、あるぞ」
「いや、そんなに食べられないです」
鼻歌を歌いながらずぞぞぞと豪快に麺をすするモニカさん。
なんだか、見てるこっちも楽しくなってくる。
その時、聞き慣れたチャイムの音が鳴った。
僕と同じマンションだから当然か。
「イエース、今行くよ」
小声で答えると、鈍い色のスマホを取り出し、画面を確認する。
一瞬難しい顔をすると、手に持っていたラーメンを置いた。
「え?……」
壁にかけてあるフライパンを手に取ると、大股で玄関に向かう。
「モニカさん、どうし……」
「おまた、せっ!」
扉を全力で開けると同時にダイブ、前転で飛び出すモニカさん。
起き上がって、柵を蹴った反動でジャンプ、扉の陰にフライパンを叩きつけた。
壁に当たったのか、スゴイ音がした。
「おいぃ!?」
ぼくもラーメンをおいて、転びそうになりながらダッシュした。
毎日23時頃、週7更新を目標にしてますが、火曜と木曜は、25時になる事が多いです。
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