昔のゲーセン、『GAME SET!』で、灰皿とか飛んできたらしい
僕は崖端で大木を生やし、一回切れ目を入れて、待ち構えた。
カッカして飛び込んできたジョーカーに、斧で伐採した大木をぶつけ、大ダメージを喰らわす。
これだから、むらびとはやめられない。
やめたいんだけどね? 基本勝てないから。
そのまま、パチンコで運んで、崖外へ。
カブで殴り、崖の外から帰ってくるところにボーリングを叩き込んで終わり。
僕はがっかりした。
コイツやっぱり弱い。
vip4体って自慢してたけど、怪しい。よくて、VIP手前だろう。メンバーにするのは無理だ。
へえすごい、VIPキャラの数、僕より多い!って言ったら信じてたしな。
VIPキャラっていうのは、オンライン対戦で勝ちまくって『戦闘力』という数値を上げ、一定のラインを超えた者に与えられる称号だ。
スマブラ人口の5%くらいしかいないらしい。
『Game Set!』
三人とも無言。
4月のまだ、涼しい風が、他で遊んでる奴らの声を運んでくる。同級生の女子達が離れたジャングルジムの所でダベっていた。
凍りついた空気に降ってくる、セミの声が笑える。
「もう一回だ、ニホンジン!」
「いいぜ、インドネシア人」
のっぽが頭を叩いてきたのを、予測してたから、払いのける。
ジェイクがミェンミェンに変えてきたのを見て、僕は生温かく笑ってしまった。
強キャラ厨、子供らしくてよろしい。
僕は、徹底的に心を折ってやるつもりだったので、ドンキーコングに変えた。
少しは使いなれてるらしく、ミェンミェンは、長く伸びる腕で、ドンキーコングを丸焼きにする。
ほとんど、こっちはなんのダメージも与えず、ふっ飛ばされる。
のっぽが、歓声をあげ、ジェイクが、余裕を見せてきた。
2機目のドンキーも、いいように殴られ、50%のダメージをくらう。
勝ちを確信したのか、ミェンミェンが、ガクガクとしゃがみをくりかえす。
『屈伸煽り』と呼ばれる、おちょくり方で、試合でやったら負けにされる。
でも僕はこれを待ってたんだな。
僕はゴリラに、肩をすくめ、口を尖らすポーズをさせた。これも禁止だ。
相手も、ポーズを決める。
一見仲良しに見えるけど、違うんだなあ。
ぼくは、転がってミェンミェンを弾き飛ばすと、空後キックで、画面の外に運ぶ。
崖の外で、はたき落とすと、あっという間に、ミェンミェンは、画面の下に消えた。
これで1キル同士。
慌てて降りてきたミェンミェンの攻撃をかわし、掴んで殴って放り投げた。
頭突きで地面に埋め、担いで、画面の外に投げ飛ばした。
これで2キル。
僕は、再びゴリラに肩をすくめるポーズをとらす。
これ、撃墜アピールっていうんだけど、ドンキーコングのこれが、ぶっちぎりで、煽り性能高い。
ドンキーコングが、崖に逃げながらぐるぐる腕を回す。
ミェンミェンが、やみくもに強い攻撃を繰り出してくるのをやすやすといなし、僕は着実に掴んで殴ってダメージを与える。
最後は相手のジャンプにあわせ、着地と同時にゴリパンで決めた。
『Game Set!』
「ふざけんな!」
ジェイクが、プロコンを放り出して、僕の胸ぐらを掴んだ。