うちのタマ要りませんか?
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。
幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。
任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
五代珠乃
小6、女。リーファの宿敵である、犯罪組織、HAZEの創設者を、経歴上の父に持つ。
朝鮮語に堪能。下品で、勇敢な、拗らせ美少女。
オリガ・エレノワ(オーリャ)
日本で言う、小6、女。ロシア人。ナディアの実家のメイド。凜の五先の相手。バロチスタンで、彼女の命を救って以来、主人公の事が好き。
梁 梨花リャン・リーファ
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
氷室 恵
小5、女。女優志望。主人公と、市街戦をくぐり抜けた。主人公が好き。
鈴木
メグのママ。事務所では、メグのメイクを担当。
田中
メグのパパ。小さな、芸能事務所を経営。
『なんで直ぐに、連絡してくれなかったんでずがっ!』
「いや、忙しかったんだよ…… メグ、地下鉄だから、また後でな?」
『却下』
「……想定内デス、ハイ」
最近、女子の横暴に慣れてきた、林堂凛(小6)
ヤツらは、気分で動く生き物なんだ。
大阪メトロの……連結部。
車両の騒音も、揺れも、生で伝わってくるから、この上なく、居心地が悪い。暑いし。
でも、しゃーないじゃん?
金曜日の20時、帰宅ラッシュの車輌内、ここくらいでしか、通話なんか出来ないし。
闇金の取り立て並に、しつこくline鳴らされるんだから、無視も出来ない。
ブロック?
家まで押しかけてくるわ!
なお、もう一人、オマチデス。
小5のモデル兼、女優兼、雪女の涙声が、デカくなって来たから、そっと、耳を離す。
コイツ、声量スゲェんだ。
『マキんとこに、 "タイジが、病院から消えた" って連絡あって……その後、 " 確保した、同胞のお陰で、殺人犯にせずに済んだ。こっちでケジメとる" って……どんだけ、心配したと思ってるのよっ!?』
う……そうなんか。
そっか。心配して、くれてたんだな。
「いや、悪かったよ。ゴメン、忙しかっタンダ」
おっぱい押し付けられたり、チヂミ食べたり、を思い出してしまい、最後の方、声が裏返る。
マズイ!
今、心を読まれたら……!
スマホから、ふうっと冷たい息が、吹き出して来た。
どういう仕組みサ!?
『まぁた、女かぁぁぁ』
ヒィィ、やっぱり!
どこからか、ヒュードロドロな効果音、暑いからありがたい!
嘘じゃボケ、ちっとも、ありがたナイわ!
「そ、そうっ、タイジから僕を助けてくれた、女子!」
『……は?』
ここだッ!
今までの、ヤラレっ放しの僕じゃないぞ!
今までのいきさつを、勢いこんで、一気に話す(除く、おっぱいのくだり)
思った通り、自分が、迷惑かけたって負い目があるから、強く出てこない。
『……それで、メガネ届けに行くとこなんだ……電車、うるっさいなあ、止めてっ!』
「犯罪者にする気!?」
吹き出してくる汗は、暑さのせいばかりじゃなかった。
八つ当たり、コエエ……
「こっちは無事。今、家か? そっちこそ、どうなったんだ?」
『へー。覚えてては、くれたんですね? ほー』
「……勘弁しろよ」
『あの後……』
「あ、ゴメン、駅、着いたから後で」
『絶対、わざとでしょ!』
大阪メトロの階段を上り、大通りの交差点に出た。
メガバンク、税務署なんかの、おカタイ建物と結構な交通量が、通行人や、自転車を照らしている。
大半は、仕事帰りか、習い事帰りだ。
夜の熱気が、汗をかいた、Tシャツにまとわりつく。
僕は、舌打ちする。
またシャワー浴びなきゃ、いけないじゃんかよ。
「こんなモン、忘れんなよ、あのボケ…… こっちか」
一つ、角を折れて、住宅街に入ると、急に人通りが少なくなった。
父ちゃんに、連絡がついた時には、もう、五代降ろした、後だったんだよね。
五代んちのそばで待機、乗せて帰るって言ってくれたけど……
自分で帰るからいいって、断った。
なぜって?
仕事、残ってるもん、帰りの電車。
次は、リーファに連絡しなきゃで、どうせ、グチグチ言われるからだよっ!
だって家に、ストレス持ち込みたくないもん、自宅は、休む場所っ!
メグの機嫌も、とらなきゃだけど、これ以上残業してたまるか。
……なんだよ、このヘビーな一日?
殺されかけたんだぞ?
みんな、もっと、僕に優しくしてヨ!
……まあ、そんな優しい人間は、一人も思い浮かばない。
現実に、ウンザリしながらも、スマホが示す、五代の店を目指す。
「……アレか」
住宅街の、古びた家並みの一つ。
緑のテント屋根に、カタカナで『シュリ』って描かれた一戸建てが、弱い街灯に、照らされてる。
一階が、店になってるヤツだ。
建物の古さにくらべて、テントが新しいから、店始めて、まだ、そんなに経ってないのかな?
しつっけェんだよ、ビチグソ野郎!
中から、聞こえて来た声で、そんな事どうでも良くなった。
あわてて、走り寄るけど、持ち帰り窓口? っぽい小さな窓からは、暗い店内が見えるだけ。
二階からだな。
のれんや、ちょうちんを掛けるためのフックから、目を離す。
少し下がって、張り出したテント屋根の向こうに見える、窓を見上げた。
明かりが、見えないって事は、奥の部屋か。
それでも、男の怒声が、窓を突き破って、生活道路に響きわたる。
「ボケェ、娘が利き手ケガして、帰って来てんねんぞ? 冷静やったら、オヤジちゃうわ!」
……そうかも。
僕だって……
それを想像したら、頭に血が上る。
僕だって、オーリャや、リーファや、ナディアや、メグ、ジャス子の誰かが、ケガさせられたら、うん、この辺りだな、僕がクズって言われる理由。
初めてヒキで自分の立ち位置、を見れた気がする。真顔になった。
ところで、オーリャの事思い出したら、余裕で凹むなあ……
「んなら、朴爺に確認せえや、その半グレ、知り合いらしいからッ!」
「オマエ、殺し合いに、巻き込まれたんやろうがッ? 林堂言うジャリから、ワビの一言も無いん、どうなっとんじゃ!」
僕のお腹に、ビリビリ電流が走る。
……まあ、そうなる……かな?
次の、五代のセリフは、意外だった。
「口が裂けても言えるか、ボケ!
『惚れさしたる』言うて、橘に、位置情報流させて、こっちが、つけまわしてんど?
ストーカーが、『巻き込んだ、責任取れ』言うてんのと、同じやろがい!」
……コイツ、メッチャ冷静じゃん。
なんか……
えー……
そう言われたら、急に、申し訳ない気持ちに、なってきたぞ?
「……から言うて、殺されかけたんやろが?」
「林堂がな!? オレちゃうわ! 受け止めたときに、手ェぐねったんじゃ。しゃーないやろ」
「……んで、首尾は? 舞い上がって、告って来たんちゃうやろな? 許さんぞ?」
「あるか。ジジイが、告るとか言うな、キッモイのう」
「うちのタマの、何が気にいらんのじゃああ!」
まただよ!
また、会話が出来ないのが、出て来たジャナイ、もうイヤ!
毎日23時頃、週7更新を目標にしてますが、火曜と木曜は、25時になる事が多いです。
祭日、日曜は、早めに投稿する事もあります。
宜しくお願いします!