香咲家の食卓 1
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
梁 梨花
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。小学校は別。主人公が好き。
ジン
クラスメイト。男。クラスのリーダーで、優しい。
佐竹
クラスメイト。女。クラスのボス。
鈴香
ナディアの姉。高校生。
香咲 ヨシヒコ=マフディー
ナディアの父。パキスタン人。
お館様
ナディアの祖母。ヨシヒコの母。
オスマン
ナディアの叔父。
念願の小学生大会に出場できることになって、僕のテンションは爆上がりだった。
給食の残り物の回収に来る、アンナがスマートに見えるくらいだ。
リーファのパルテナもどんどん精度が上がって来てるし、ナディアも大分SPに慣れてきた。
数ヶ月後の大阪大会、全く負ける気がしない。
それでもまだ、みんなには内緒だ。
何が起こるか分からないからね。
でもその前に、やっとかなくちゃいけない事がある。
ナディアの実家との決闘だ。
あれから2週間以上経ってて、随分昔の話みたく思える。
毎晩の様に、オンラインで部屋を建てて知らない奴等との闘いを繰り返し、lineグループで良いところと悪いところをアドバイスする、その繰り返しだった。
ナディアはその心配ばかりしている。立場上仕方ない事だけど、大会の事だけ考えて欲しい。
正直、海外の小学生勢って聞いたことないんだよね。
中東では、以前サウジアラビアで大きな大会があって、日本の上位勢が優勝してるけど、小学生は聞いたことない。
万が一負けても、坊主と土下座でナディアの家の平和が買えるのなら全然構わない。
まあ、負けないんですけどね!
そんな時だ。
ナディアのお父さんが帰国したのは。
「林堂、リーファ。次の土曜、家に来てくれんか?オトンらがお礼を言いたいっていっちょるんじゃが」
木曜の通話ブラで、ナディアが言った。
リーファがねじ込む。
「……の割にはいやそうじゃん。そんな言い方されたら絶対行きたくなる」
行きたくなるんだ!?
「うーん……こういう事はやっぱり、おふざけ抜きで礼言わにゃいかん事や思うちょるけ。林堂のご両親にもお礼したいんじゃが……そう言うの嫌いそうじゃろ?」
「お煎餅貰って上機嫌だったからあれでいいよ」
「うん……」
「何?まだなんかあるの?」
リーファの問いにナディアが歯切れ悪く言った。
「……誰もオトンに会わせたくないんじゃ。イタイけん」
「君が林堂君かぃ!?」
ウェーブのかかった黒髪、褐色のおじさんが腕を広げて叫んだ。
「あ、はじめまして林堂です」
美男子って感じのナディアのパパが僕を大袈裟に抱きしめた。
「いやぁ、会いたかった〜!君とお母さんには何万回ハグしてもこの気持ちは伝えきれないよぉう、ね、カオリ」
ナディアのママは、嬉しそうに微笑む。
「そうよ。アキヒコさん!ホントに林堂君のお母さんカッコ良かったんだから!」
「いやあ、二人揃って叱られてしまったねぇ。でもそれもこれも、結果オーライだよ!君がリーファちゃん!?なんとまあ、美人な。僕にはわかる!君は5年後には大変な美女だ!カオリみたいなネ!」
んもおう、アキヒコさんったら
キャッキャする二人をリーファは青い顔で見ている。
ナディアん家の広々としたダイニング。
席に着いたナディアは暗い顔でうつむき、姉である鈴香さんは、涙を目にためて唇を噛んでいた。
「チキショウ……何で鈴がこんな目に……」
わかる。
これはキツイ。
僕ら六年生にもなると、親が授業参観に来るのも恥ずかしいのに、これはむごすぎる。
僕はリーファの手首をそっとハタキ、ノールックで軽く頷いた。
ここは、ナディアの傷を最小限でおさえるんだ!
毎日23時頃、週7更新を目標にしてますが、火曜と木曜は、25時になる事が多いです。
祭日、日曜は、早めに投稿する事もあります。
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