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何歳ですの?


《登場人物》


 林堂 凜


 主人公。 小6、男。 


幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。


任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。




オリガ・エレノワ(オーリャ)



日本で言う、小6、女。ロシア人。ナディアの実家のメイド。凜の五先の相手。バロチスタンで、彼女の命を救って以来、主人公の事が好き。



 梁 梨花リャン・リーファ 


 小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。



 香咲 ナディア=マフディー


 小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。



氷室 メグ



小5、女。女優志望。主人公と、市街戦をくぐり抜けた。主人公が好き。


鈴木


メグのママ。事務所では、メグのメイクを担当。


田中


メグのパパ。小さな、芸能事務所を経営。



ハスマイラ


二十歳半ば。女。リーファの護衛。


リーファのパパが好き。




シヴァ


リーファパパの社員。元・英国特殊部隊隊員。




ボーン


リーファパパの社員。元・米国海兵隊員。




 「うおいっ!?」


 僕が、声を上げたときには、身を翻して、駆け出してた、ナディア。


 顔が熱くなる。


 柔らかさにビビって、手で唇を、こすり続ける僕。


 犯人は、玄関ドアの向こうに、逃げ込んだ。


 アイツ、なんちゅー、大胆なことを!


 雨の中、恐る恐る、辺りを見回す。


 クラスの奴らに見られてたら……


 佐竹辺り(クラスの女ボス)に、見られてたら。


『林堂、間違えてたらゴメン! ナディアんちの前で、うれしそうになっつ(ナディア)のパンツ被ってたって、本当!?』


 ソウダ、それくらいの尾ひれは、間違いなく付く!


 何故なら、ゴシップ命の、女子だから!


 心臓を、ばっくん、ばっくん言わせながら、そろそろと、辺りを伺う。


 雨が、ソコソコ激しいせいか、大人ばかりで、公園帰りの小学生なんかは、見当たらない。


 この時間は、サッカーなんかの、習い事帰りの奴らとすれ違うもんだけど、それも無い。


 五代の向こう、汚れた軽トラの中で、ハゲの爺さんが、窮屈そうに寝てるだけだ。

 

 僕は、ホッと胸を撫で下ろす。


 ……一応は。


 あくまで、一応。


 なぜって、10mほど先のブロック塀に、最近しょっちゅうすれ違う、五代がもたれてたから。


 ……見られてたかな?


 救いは、彼女が、別小(別の小学校)で、ほぼ見知らぬ、他人だと言う事。 


 ただ。


 結構な勢いの雨の中、うつむいて、傘もなく雨にうたれる五代に、言葉を失くす。


 胸に抱いてるのは、昨日見た豆柴。


 モコモコした、茶色の毛もびしょ濡れだ。


 きゅーんと、鳴きながら、飼い主を見上げるつぶらな瞳。


 僕は彼女の立つ方角へ、自転車を向けた。


 雫が流れていく、前髪に覆われて、表情は見えない。


 金縁メガネのフレームからも、水滴が涙みたいに落ちていく。


 僕は左手で、傘を掲げながら、ペダルを踏む足に、力を込めた。


 こんなとこで、傘もなしで……


 彼女の腕の中の豆柴と、目が合い、僕は安心させるように、微笑んだ。


 ギアを中速に切り替える。


 お腹空いたなあ。


 そういや、母さんまだ帰ってないだろうな。


 タタタ、という足音に、考えを中断され、自転車がガクンと揺れた。


 「うおっ」


 恐怖とともに、振り返る。


 ヤッパリ!


「い、いい加減にして、下さいませんこと!?」


 荷台をガッシリ掴んで、息を切らせている、五代。


 声はキレイで、口調は丁寧だけど、ベレー帽はズレ、白い顔の中で、目が血走っていた。


 チクショウ、結構な速度で、突破したつもりだったのに!


 「は、離せ!」


 「こっちも、忙しいんですのよ!? なんで、ジャリ……ん子達と、お菓子の袋トバししてるような、幼稚くちゃい人相手に……あなた、いくつなんですの!?」


 恥しさで顔が熱くなった。 

 そう言われたら、返す言葉ないよね!?

 

  「いや、ほっとけ、頼んでねえよ!?」


 豆柴が、コーフンして、キャンキャン吠えだす。


 「この私が、粉かけてるのに、あろう事か……ムシ相撲を選ぶって……! 医者が言うところの、『しっかり目のお薬』ちゃんと飲んでます?」


「下唇噛むなって、コエエわ! 何なんだよ、オマエ!?」


「そもそも、私はペットがキライなんです! イヤイヤ仕方なく、こうやって……


 見なさい、毛! 制服が毛だらけ! うるさい、スタローン、犬鍋にしますよ!?」


「いや、ハガーじゃねえのかよ!? どこで借りて来たんだ……」


 微かな違和感。


 雨に打たれて、吠えてる、豆柴の視線の先が……


「前に飛べ!」


 五代の絶叫。


 僕は、わずかなラグの後、傘も自転車も捨てて地を蹴る。


 両手を広げた、五代に向かってダイブ。


 頭のあった空間を、薙いだ何かが、ナディアの傘の柄を、真っ二つに折った。


 これ、喰らったら、死んでたぞ!?


 HAZEか!


 青い制服の、お腹に飛び込み、自転車ごともつれて倒れる。


 左手で、五代の背中を支え、右手と左肘、右膝が、濡れたアスファルトを叩いた。


 アドレナリンで、痛みは感じない。

 

 死が迫ってる。


 耳鳴りが始まる。


 「……イッテェ」


 尻もちをついた五代が、呻いた。


 巻き込んじまった!


 どこかで、豆柴の吠える声。


 雨音に混じって、通り過ぎた、自転車の甲高いブレーキ音。


 敵が、鉄パイプを片手に振り返った。


 赤い頭に、包帯を巻いたノッポ。

 眼が完全に、据わっている。


 ……オマエかッ!


 昨晩、ナディアママのラリアットを喰らって、KOされてた中坊が、音を立てて自転車を捨てた。


 頭の中で、ブチリという音がした。


 そうかよ? 死にに来たんかい。


 距離は3m。


 五代の事は、後だ。


 視界が赤く濁ったけど、体は滑らかに動く。


 ワンショルダーを、背中から胸側へ回すと、慌てず、ファスナーを下ろした。


「死ねや、コラ!」


 罵声を上げる、ヤンキー。


 俺は、立上りながら、左後方にステップして、距離を取る。


 来いよ、こっちだ。


 用があるのは、俺だろ?


 気が遠くなるほど、訓練してきた通り、敵から視線を切らないまま、カバンの中のストラップを外し、グリップを握った。


 勝ち確。


 だらし無い僕だけど、銃の収納の向き、点検だけは、怠らない。


 雨の中でもM36は、確実に仕事をしてくれるはず。


 五代も同時に転がり、距離を取りながら、絶叫した。


 「パク爺、ゴ!」


 パイプを振りかぶって、迫る包帯の顔に、ピッタリ、エイムした。


 座った眼に、走る動揺。


 片腕で顔をかばいながらも、駆け寄り続ける無謀さに、俺は笑った。


 アホか、スプリガンじゃねえっつの、そんなもんで防げるかよ?


 銃口を、的の広い胸に向け直して、トリガーを……


 引くヒマが無かった。


 いつの間にか、近づいて来てた、無点灯の軽トラ。


 倒れた自転車を踏み越え、ヤンキーを背中から、紙くずの様にふっ飛ばした。


「うおお!?」


 僕は叫んで、横っ飛びにダイブ。


 ノーブレーキで、フロントグリルを叩きつけられた、ヤンキーは、空を飛んだあと、派手に地面を転がり、力なく横たわって、動かなくなった。


 通行人が2人ほど、悲鳴を上げて逃げ出した。


 運転手が、あわてた風も無く、降りてくる。


 さっき車で寝てた、腫れぼったいまぶたの、爺さんだ。


 「林堂!?」


 玄関から、ナディアの声。


 「朴爺……殺したのかよ?」


 掠れる声で、訊く五代。


 凍りつく僕らの前で、舌を鳴らすと、豆柴が、その爺さんに駆け寄る。


 仔犬を抱き上げながら、迷惑そうに、朴爺が言った。


「知るかいな。Go(殺れ)言うたん、タマやろが……死んどったら、別料金やぞ?」




 



毎日23時頃、週7更新を目標にしてますが、火曜と木曜は、25時になる事が多いです。

祭日、日曜は、早めに投稿する事もあります。


宜しくお願いします!


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